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次のサスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがリーフスプリング式。 パートタイム式の4WDで、走行シーンにあわせて、2輪駆動または4輪駆動(ハイ/ロー)を選択できる。 後輪のどちらかが接地していれば、左右後輪が直結状態となるリアデフロックを使用して、写真のようなぬかるみからも脱出が可能となる。 仮に片側の車輪が浮いてしまうような凹凸がある場所であっても、4WDのローレンジとリアデフロックで切り抜けられた。 ボディーはミシリともいわず、剛性の高さをうかがわせた。 そんな現地仕様では搭載されるエンジンも、2. 4/2. 8リッターの4気筒ターボ付きディーゼルに2. 7リッターの4気筒ガソリンと、こちらもなかなか多彩だ。 当初、日本における働くクルマとして1968年に初代モデルが誕生。 すなわち、昨2018年に生誕50年という記念すべき時を迎えたこのピックアップトラックのブランドは、2017年時点では6カ国で生産され、180以上の国や地域で販売されるというグローバルな存在へと成長を遂げているのである。 一方で、そんなグローバル化に伴うサイズの拡大などを理由として、実はかつての母国である日本での販売はストップされることに。 「13年ぶりの導入」というフレーズとともに2017年9月から日本で販売されている現行のハイラックスは、前述のタイ仕様をベースに日本市場に向けての法規適合などのリファインを行って、タイ工場から輸入されているものだ。 もっとも、販売再開とはいっても先に紹介した多彩なモデルすべてが持ち込まれているわけではなく、2. 4リッターの直4ディーゼルターボエンジンを6段ATと組み合わせた4WD仕様の、4ドアダブルキャブボディーのみと仕様が限定されている点に、トヨタの慎重さがうかがい知れる。 もはや大きな需要は望み得ない中で、紆余(うよ)曲折の末にほそぼそと販売が再開された……というのが、日本での最新ハイラックスに対する率直なイメージだ。 上級グレードの「Z」をベースに、オーバーフェンダーや専用デザインのアルミホイール、フロントグリル、バンパーなどといった特徴的なエクステリアを採用する。 オーバーフェンダーやドアハンドル、テールゲートハンドルをブラックで統一。 荷物の固定などに4つのフックが付いたデッキは、サビや腐食に強い亜鉛メッキ鋼板を採用している。 最大積載量は500kg。 開口部の幅は1380mm、最大床面長は1565mmとなる。 全長5320mmにして全幅が1885mm。 3085mmと長大なホイールベースのおかげもあって最小回転半径は6. かくして、前7代目モデルへの移行のタイミングをもっていったんは取りやめとなった日本での販売が現行モデルで復活したのは、ひとつには6代目以前の車両を所有して業務などに用いるユーザーの「買い替えるべきモデルが見つからない」という声に応える意味合いも大きかったという。 ところが、いざふたを開ければそうしたユーザーによる買い替え需要も発生はしたものの、実はそれ以上に多かったのが20代の若い人の購入事例だというのだから、やはり自動車商売とは分からないもの。 前述のような大きなサイズや6. 4mにもなる最小回転半径などは問題とせず、むしろそれを面白がるようにスポーツやレジャー用に手に入れるという例が少なくないというのだ。 かくして、テストドライブに先駆けそんなハナシを聞いていたら、ミニバンには必須とされていたスライドドアを持たない「CX-8」の売れ行きが想定外の高さ、という話題を思い出した。 もちろんそうは言ってもこの先、爆発的なヒットとなる可能性は考えにくい。 操作性や視認性重視のデザインを採用したシンプルなインテリア。 センターコンソールのエアコンスイッチ横に駆動方式のダイヤル式セレクターが配置されている。 シート表皮はベースモデルの「Z」グレードと同じ、ブラックのファブリックとなる。 リアシートの定員は3人。 背もたれは直立気味だった。 リアシート座面は6:4の分割式で上方に跳ね上がり、デッキに置きたくない荷物の収納などに役立つ。 日本に導入される「ハイラックス」のパワーユニットは、2. 4リッター直4ディーゼルターボのみ。 最高出力150ps、最大トルク400Nmを発生する。 組み合わせられるトランスミッションは6段ATのみとなる。 はるばるタイからやって来たハイラックスのドライバーズシートへと、Aピラーに備え付けられたアシストグリップをつかんで体を引き上げるようにしながら乗り込む。 当然着座位置も高いので見下ろし感は大型のSUVに負けず劣らずで、視界も良好。 フード先端左側にニョッキリ生えた補助ミラーも、見た目は滑稽ながらボディー端の位置を正確につかむのに有効であることを、後にタイトなラフロード走行で教えられることとなった。 垂直のリアウィンドウを直後に構えるリアシートは、貨物車扱いゆえバックレストも垂直に近いのがタマにキズだが、フロントシート下への足入れ性に優れることで、2人までであれば大人もそれなりの時間をストレスなく過ごせる実用性が確保される。 ちなみに、クッションは6:4分割のチップアップ機能付き。 荷台には置きたくないかさばる荷物を収納できるのはありがたい。 パートタイム4WDゆえ「H2」のモードを選択して、まずは一般道へ。 2t超の重量があっても思いのほか軽々と走り始めるのは、1600rpmにして400Nmと大きなトルクを発する可変ジオメトリーターボ付きエンジン+ローギアード気味設定の駆動系の成せる業という印象。 4リッターの心臓が発するノイズは遠慮なくキャビンへと入ってくるし、変速時のショックは明確。 海外仕様や用品装着でカスタマイズされたモデルや、「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」を戦うラリー車などが勢ぞろい。 世界各国で販売される、「ハイラックス」の多様性を実感できた。 右ハンドルのスマートキャブとなるアイルランド仕様モデル。 通常のドアに加え、後部アクセス用として、後ろヒンジのドアも備わる。 前席後方にスペースを有し、シートベルトも装備しているので狭いが人も乗れる。 荷台部分にTRD製の「キャノピー」を装着した、かつての「ハイラックス サーフ」を思わせるTRDのカスタマイズカー。 キャノピーは赤、白、黒の3色をラインナップする。 FIA公認となるアジア最大の国際ラリー「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)」に参戦しているJAOSのラリー仕様「ハイラックス」。 さらなる強力な武器となることが実感できたのは、デフロックのメカニズムだ。 左右後輪のいずれかさえ接地していれば、目立った空転を起こす以前にしっかりしたトラクションが得られるのがこの機能。 世のSUVが追い求めるようなファッション性は皆無だし、ぜいたくな装備や快適性も二の次。 そんなハイラックスが、若いユーザーからの指名買いの対象にもなるのは、それがライバル知らずの一台ということを証明しているからにほかならないはずだ。 (文=河村康彦/写真=荒川正幸/編集=櫻井健一).
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