概要 [ ] 漫画の内容は、ほとんどが異性(または同性)とのを描いたもので占められている。 男性向けの作品でレーティングを付与した作品は成人向け漫画とされるが、女性向けの作品の場合は とも呼ばれる。 一般的に「成人向け」として発表される著作物の場合、・やでは性描写と残虐描写それぞれがの対象となるが、漫画の場合は残虐な描写のある作品(著名な作品を例に挙げるならば『』・『』・『』・『』等)及びギャンブルに関する描写のある作品(著名な作品を例に挙げるならば『』・『』・『』・『』等)に関しては、出版業界では基本的に規制を行っていない。 但し、自治体によって指定される場合がある。 具体的なセックス描写や性的なを描きつつもを見せない(具体的に性器を描かない)ことで18禁指定とならない 一般(非18禁)作品もあり、週刊古参の()・()・()・()など30歳代以上を読者層とする壮年向け雑誌で発表されるほか(「」シリーズなど)、『』の「()」・『』の「()」、「」「」()など男子を読者層に含むヤング青年漫画雑誌では掲載作品の多くに性描写が存在する。 なお、2000年代以降「」()など非18禁ではあるが大半に性描写が含まれる漫画雑誌が刊行されるようになり、「成人向け指定はされていないが一般向けとも言い難い」という観点から、書店の判断で「 ソフトエッチコミック」などと称して区別される場合がある。 18禁指定漫画の刊行は・・・などこのジャンルにほぼ特化した零細の出版社と、・などの中堅出版社によるものが大半である。 やなど出版大手は版元で18禁指定とする漫画作品は扱っていない(『』など流通後に自治体により指定された事例は存在する)。 漫画やゲームなど作品では何らかの形で性的描写を描いたものが多いため、非18禁漫画と18禁漫画の差は具体的男女性器描写の有無または修正の程度で判断されている。 性交描写及び性器描写が見当たらないにも関わらずゾーニングマークを付ける 「グレーゾーン」作品も存在する。 なお、性行為や性器の描写ではなく、性器を除いた裸体の描写であれば や サービスカットとして、通常のおよびにも数多く存在する。 また、成人向け漫画の世界で自分の世界を築き上げる漫画家も多く、もちろん、エロでなければ描けない世界というものもある。 またエロが必須とされることを除けば、それ以外の表現はむしろ一般の商業誌より制約の少ないジャンルであり、その自由度の高さから作家独自の嗜好によって特異ともいえる表現が追求され、結果として漫画の多様性をもたらした側面も大きい。 また、自由度の高さから「」に代表される過激な作風を持つ漫画家の作品発表の舞台となっている。 漫画評論家のは急逝直前まで『戦後エロマンガ史』を『』誌に7年に渡り連載していた。 この連載は完結直前に米澤の急逝で状態となっていったが、に が改正されたのを受けて、より320頁の書籍にまとめられ緊急出版された。 また、図版も2,500点以上使用しており、資料的価値が高い。 出版・流通業界の自主規制 [ ] 書店で販売の成人向け漫画。 出版社のにより、成人向けとして販売する書籍には以下に示されるマーク(以下 ゾーニングマーク)が付けられる。 これらはもっぱら男性向漫画に貼付される場合が多い。 楕円形で黄色地に黒文字、もしくは黒地に黄色文字で「 成年コミック」の表示。 主に単行本で用いられる。 黄色地長方形に黒文字で「 成年向け雑誌」の表示。 主に漫画雑誌で用いられる。 赤地の正方形もしくは円に白色の「 18」を書きその上を黒字の「」、またはの「」を模した白地に四角や円の赤枠の黒文字で「 18」の表示(下段に「 未満」の文字が入る場合もある)。 成人向け漫画では少なく、主にやなどで用いられる。 ゾーニングマーク付き雑誌は、書籍販売店および漫画雑誌専門店での販売が主流となっている。 他方、販売規制に合わせて描写等の修正を強めた雑誌(『コンビニ誌』)もかつて存在していたが、2019年8月末をもってコンビニでの成人向け雑誌の販売は原則終了した。 販売店側の自主規制としては、販売箇所の分別、販売箇所の販売物の明示、袋がけなど、立読み防止対策および18歳未満の青少年への販売禁止の徹底などが行われている。 なお、一部ではゾーニングマーク付き書籍について区分陳列等のが条例でも定められている。 また成人向け漫画の販売箇所を分別している書店においては、非18禁指定・18禁指定の単行本とも混在して成人向け漫画コーナーに置いている書店(など)もあれば、ゾーニングマーク付きの18禁漫画の単行本のみを成人向けフロアに配置し、非18禁指定の単行本は一般向けフロアに配置して取り扱っている書店(など)もある。 法的規制 [ ] ゾーニングマークによる自主規制とは別に、法的規制としてはによる指定と、によるの規制がある。 有害図書指定制度による規制 [ ] 詳細は「」を参照 指定制度は、青少年の健全な育成を目的として、性や暴力に関して露骨な描写を含んだ書籍等を「有害図書」(の場合は「不健全図書」)に指定することで青少年への販売を禁止するものである。 有害図書の個別指定は、にもとづいて都道府県などの自治体が ゾーニングマークの付いていない書籍を対象に行う。 有害図書に指定された書籍は、18歳未満の者への販売が禁止され、区分陳列等が法的に義務付けられる。 特には、東京に出版業者が集中していることもあって、地方自治体の条例でありながらも絶大な影響力を持ち、が定めたにより実質的に全国的な販売規制の基準となっている。 具体的には、同一タイトルの雑誌(増刊含む)が東京都によって連続3回、または年間通算5回不健全指定された場合、「雑誌を自主廃刊する」か「一般書店での販売を止め、直販もしくは成人向け雑誌専門店での販売に特化する」といった出版倫理協議会による申し合わせがある。 また、においては、東京都によって不健全指定された書籍の取り扱いを規約で禁止しており 、該当する書籍はAmazonのサイトから削除される。 なお、不健全指定自体は販売を全面的に禁じるものではなく、18歳未満の青少年への販売を規制するものに過ぎないため、Amazon以外の通販サイトでは成人向け商品として販売が継続されている場合が多い。 不健全指定された書籍のタイトルなどはのウェブサイト上ので確認できる。 わいせつ物頒布罪による規制 [ ] 詳細は「」を参照 ()は、判例上では性的秩序・性道徳の維持を目的として、な文書・図画等の頒布を禁止するものである(最高裁判所大法廷判決昭和32年3月13日刑集11巻3号997頁())。 ゾーニングマークを付けて成人向けに販売されている漫画においても性器描写に修正がかけられているのは、を受けての出版社の自主規制である。 によると、「わいせつ」の基準は「その時代の健全な社会通念に照らして、徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされている(最高裁第二小法廷判決昭和55年11月28日刑集34巻6号433頁())。 このように曖昧な基準であるために、過去には18禁漫画(書籍)の発行元が、業界で標準的な局部修正を施していたにも関わらず、わいせつ物頒布容疑で逮捕される事件(等)が発生している。 この事件は、さらなる出版物規制に繋がりかねず、業界全体に与える影響は多大であるということで話題となった。 また、逮捕までに至らなくても、官公庁から作家個人に警告をする例もある。 摘発の基準は上述のとおり時代によって変わりうるものであるため、過去に発売された漫画が性器描写の修正を薄めて再版されたり、逆に規制が強化されたりする場合がある。 この刑法175条については、現状にそぐわない不合理な規制であり、廃止すべきとの批判もある。 歴史 [ ] までは、成人向けの雑誌は、読み物や体験手記と言った文章が中心で、それらの雑誌の合間に漫画が入る場合、古典的な漫画の絵で描かれた艶笑譚である。 男性向け成人漫画 [ ] 1970年代から1980年代 [ ] 「謎の」と呼ばれた日本初の『 』 劇画調のような成人向け漫画、つまり「エロ劇画」あるいは「官能劇画」は、に出現した。 劇画調の成人向けの劇画雑誌はと呼ばれ、多くは劇画調の的な漫画が描かれた。 1973年には日本初の官能劇画誌『』が創刊された。 当初は文章中心の成人向け雑誌に発表され、すぐに専門の雑誌を生むに至る。 その後、三大エロ劇画誌『』『』『』が続々と創刊される。 これらの雑誌は比較的表現の自由度が高く、当時の漫画界にを引き起こした。 エロ劇画の代表的な作品に『』がある。 まではエロ系の漫画雑誌はこの類だけであった。 現在は劇画調が薄まり、への接近が感じられる絵柄が増えている。 このようなスタイルは1980年にが『』()で連載した「 」が元祖である。 また吾妻はアシスタントのやらと日本初のロリコン漫画同人誌『 』を同時期にしており、商業誌・同人誌ともにこの分野の開拓者である。 ・から、世界初の現在のようなスタイルの成人向け漫画誌『 』((昭和57年)2月号創刊)が創刊される。 また、(昭和57年)、成人向け劇画雑誌として発行されていたセルフ出版(後の)の『』が、(昭和58年)5月号より誌面を全面リニューアルして、『レモンピープル』の後を追うことになる。 これらはロリコン漫画、及び二大ロリコン漫画誌と呼ばれ、に乗ってその範囲を広げた。 その後、アニメ調の絵柄を使用した類似の雑誌が大量に発行され、劇画調の成人向け漫画が衰退していく形(ただし、なくなってはおらず、一部雑誌にいまだに残っている)で、現在に至っている。 ロリコン漫画とそれ以前の成人向け劇画では、当初は新しい表現としてはっきりとした絵柄の違いがあったが、その境界は次第に埋まりつつある。 これは成人向け劇画からもアニメのような絵柄への歩み寄りがあったこと、雑誌の数が増えて作風の幅が広がったことなどが原因として挙げられる。 1990年代以降 [ ] アニメ絵のロリコン漫画の普及と成人向け劇画のロリコン漫画への歩み寄りから、純粋な成人向け劇画の成人向け漫画市場における割合は壊滅したとまではいえないものの、非常に小さくなったというのは事実である。 ロリコン漫画の方は市場拡大による顧客層の多様化により、描写を主体とした純粋なロリコン漫画とは別に、大人の女性や人妻・熟女といったキャラクターによる性描写が主体の漫画も出現しており、これらの漫画がロリコン漫画と呼ばれることはほとんどない(これらの漫画の中には、アニメ絵と劇画調の絵柄が融合しているものも見られ、成人向け劇画のロリコン漫画への歩み寄りの一つともいえる)。 純粋にロリコン漫画と呼ばれるものは、アニメ絵の成人向け漫画の中の一ジャンルを指すものとなっている。 これはかつて「ロリコン漫画」という一つのジャンルに分類されたアニメ絵の成人向け漫画が主流化し、ジャンルが多様化したことにより、起こった現象であるといえる。 「ソフトエッチコミック」では少女キャラクターを主体としたロリコン漫画は自主規制で控えられる傾向にある。 そのため、大人の女性や人妻・熟女といったキャラクターによる性描写が主体のジャンルの漫画に偏りやすい傾向にある。 2000年代以降は女装()やなどとは作風が異なる同性愛をテーマにした男性向けの18禁漫画も登場している。 これらのジャンルの成人向け漫画は、普通の成人向け漫画の延長線的色合いの強い作品も多く、また性描写も激しいため、いわゆる女性向けのとは区別されて扱われる。 また、『少年少女はXXする』()や『』()など、18禁漫画家の執筆活動をテーマとした一般作も出現している。 女性向け成人漫画 [ ] 1980年代後半からのの台頭で、劇画誌の作家が流入し、新たな成人向け漫画の舞台となった。 これにやや遅れて、少女向きの雑誌から的絵柄で性体験をより色濃く描く漫画が出現し、それらはと呼ばれるようになった。 これらのレディースコミックとは別に、男性同士の同性愛を描いたと呼ばれるジャンルの漫画も出現している。 これらのコミックの中には、強弱あれ性描写を扱っている漫画もある。 ゲイ向け成人漫画 [ ] 1971年に創刊された『』など、に多くは掲載されてきた。 『スーパーモンキー』(アダムズ出版)や『バラコミ』、『ピーナッツ』などのゲイ向けの漫画専門誌が刊行されたこともある。 またゲイの中にはボーイズラブ漫画を読む人もいる。 アダルトゲームとの関連 [ ] 成人向け漫画は、と連携して発展してきた。 光栄マイコンシステム(現・)の「」が日本最初のアダルトゲームとされているが、ゲーム性はなく、実用ソフトとも言えるものであった。 その後、(昭和57年)、が野球拳ゲームを、また PSK が「ロリータ野球拳」を発売するが、前者はのが作成したソフトで、後者はタッチが吾妻ひでお風であった。 このように、アダルトゲームは草創期からアニメ調の絵柄が受け入れられてきた。 これは、成人向け漫画の購買層と重なる。 極初期には、劇画調のアダルトゲームもあったが、現在はほとんどすべてがアニメ調のゲームである。 その後、多数のが発売されるが、成人向け漫画の作家と、ゲームの原画家や彩色家、シナリオ作家などと多くの人材の交流が行われている。 また、ヒットしたアダルトゲームの漫画化なども行われている。 ただし、成人向け漫画は、毎回性的描写を入れつつ、雑誌に一話ずつ掲載するのが主な発表形式であり、アダルトゲームを漫画化した場合は性的描写不足になりがちなため、性的描写を無くして一般向け漫画にする場合の方が主流である。 また、アダルトゲームの漫画作品化については、大半が何らかの別のメディアミックス企画やその構想に関連し、アニメ化など関連作品の展開を見据えた動向調査などの役割も持っている事が多く、この様な性格を持つ作品の大半では、性的要素が排除される。 ただし、作画担当者には成人向け漫画を専門にしていた漫画家や同人作家が起用されることが幅広く行われており、その様な者にとっては一般向け漫画に進出する重要なステップの1つとして機能している。 との連携も大きい。 アダルトアニメの原作として、成人向け漫画が選択されることもある。 脚注 [ ] [] 注釈 [ ].
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