家族のところに帰してほしいか?」 「ゆゆっ!?かえしちぇくれるにょっ!? おにいしゃんありがちょう!はやきゅ~~!!」 「でも、お父さんもお母さんももう逃げ出しちゃってるかもしれないぞ~」 「ゆーっ!?しょんなわきぇにゃいよっ!! おちょーしゃんもおきゃーしゃんも、まりちゃのこちょがとっちぇもきゃわいいんだよ!! じぇったいまりしゃをたしゅけにきちぇくれりゅよっ!!」 「だって来ないじゃん。 人間が怖くて、しーしー漏らして逃げ帰っちゃったんじゃない? お前達ゴミクズなんて薄情だもんなあ、子供なんてさっさと見捨てるだろ」 「おちょーしゃんはじぇったいまりしゃをみしゅてにゃいもんっ!!ぷきゅーっ!! おにーしゃんはへんにゃこちょいわにゃいでにぇ!!まりしゃおこりゅよっ!?」 「だって、さっき僕がお前をさらったときも助けなかったじゃん。 なんでだろうね?」 「ゆゆっ!?ゆ……ゆー……きっちょ、ちゃんすしゃんをまっちぇたんだよ!!」 「そうかなー。 あれは、いつお前を見捨てて逃げ出そうかとタイミングを見計らってる目だったけどなあ」 「ゆんやーっ!?へんにゃこちょいわにゃいでにぇ!!へんにゃこちょいわにゃいでよぉぉ!! おちょーしゃんはまりしゃをゆっくちしちゃこだっちぇいってちゃもんっ!!みしゅてにゃいもん!!」 「ホントかな~~。 都合が悪くなれば子供なんてさっさと捨てるのがゆっくりだしな~~。 たとえばさー、こうなったら……?」 「ゆっ!!?ゆやあああぁぁ!!おぼうちしゃん!!まりしゃのゆっくちしちゃおぼうちしゃんっ!! かえちてにぇ!!かえちてにぇ!!まりしゃのおぼうちしゃんかえちちぇえええぇぇ!!」 「こんなふうにお飾りがなくなってゆっくりできなくなったら、お父さんもお母さんもお前を見捨てるんじゃないかい?」 「ゆゆーっ!!しょんなこちょにゃいよ!! まりしゃはゆっくちしちぇるもん!!おかじゃりがにゃいごみくじゅとはちぎゃうもん!!」 「だから、お飾りがなくなってんじゃん」 「おかじゃりがにゃくちぇもごみくじゅじゃにゃいもん!!おちょーしゃんもおきゃーしゃんもしっちぇるもん!! まりちゃはゆっくちしちぇるっちぇ!!みゃいにちねるみゃえに、そういっちぇしゅーりしゅーりしちぇくれりゅもん!!!」 「眉毛キリッて……自信あるのね。 そうかー、ごめんな。 お兄さん意地悪言っちゃったよ!じゃあ、お父さんとお母さんのところに帰してあげような!」 「ゆゆっ!?おぼうち!!おぼうち!!おぼうちしゃんかえしちぇよおおぉぉ!!」 「さ、ここから帰りな。 家族と仲良くやれよ!」 「ゆーっ!!まりしゃのおぼうちしゃああん!! ゆんやああああおちょーしゃあああん!!おきゃーしゃん!!きょわかっちゃよおおぉ!!」 「ゆんびゃああああぁぁ!!やべぢぇえええええ!!どぼぢぢぇごんにゃごぢょじゅるにょおおお!!? ばりじゃだよおおおぉぉ!!おねーじゃんっ!!いぼうどぢゃんっ!!にゃかよちのばりじゃだよおおおぉぉ!!」 「うるちゃいよっ!!ごみくじゅはだまっちぇにぇ!!」 「ぷーすぷーす!!ぷーすぷーす!!だよっ!!」 「いぢゃいぢゃいぢゃい!!いぢゃいよおおおぉぉ!!だじゅげぢぇおぎゃーじゃああぁぁん!!おぢょーじゃあああ!!」 「まだれいむをおかあさんってよぶのおぉ!!? ずうずうしいこだよ!!いいかげんにしてねっ!!ぐーりぐーり!!」 「ゆごぎょおおおおおおいぎゃああああああおべべぐりぐりじにゃいでえええぇぇ!!!」 「おまえなんかにおとうさんとよばれるなんてまりさのおてんっ!だよっ!! まりさがおまえなんかのおやにみえるのおぉ!? ごみくずのおちびちゃんなんかつくる、ゆっくりしてないくずまりさにみえるっていうのおお!!? とりけしてねっ!!とりけせぇぇ!!」 「ゆ゛あ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「ゆゆっ!れいむ、いいことをおもいついたよっ!!みんなでごみくずをゆーさゆーさしようねっ!!」 「ゆーっ?ゆっくりりかいしたよ!!」 「ゆっ?ゆっ?やめぢぇね!?にゃ、にゃにしゅるにょおおおぉ!!? ゆーっ!ゆぅーっ!!ゆーさゆーさ、しにゃい、でっ、ゆっ、ゆっ、ゆぐっ、ゆっ、ゆふほぉぉ!?」 「ゆゆっ!!ごみくずのおそまつなぺにぺにさんがでてきたよっ!!」 「ゆんやああああぁぁ!!?みにゃいで!!みにゃいで!!みにゃいでよおおぉぉ!!!」 「ゆーっ、みてるだけではきけがするうすぎたないぺにぺにさんだね。 おい、まりさ、生きてっか?」 「………………………」 「もしもーし?治療できた?お、こっち見たな。 生きてりゃいいか。 聞こえる?僕の言ってることわかるか?」 「………………………」 「しかしひどくやられたもんだな。 まさかここまでやるとは思わなかったよ。 ぺにぺにの先から突き刺すなんてぞっとするわ。 お前らに比べたら、僕の虐待なんてまだまだだなあ」 「………………………」 「口聞く元気もないか。 そりゃそうだな、実の親にあそこまでやられちゃな。 まあ、お前も自分がやられる立場になってさすがにわかったろ。 飾りがないからゆっくりできないってお前ら言うけど、 飾りがなくたって、心も思い出も家族もある、どこにでもいる普通のゆっくりなんだぜ。 お前と同じさ」 「………………………ち、ぎゃ………」 「ん?あ、もう喋れるの?なんだよ」 「………ちぎゃ……ぅ………ば……り……」 「落ち着いてゆっくり喋っていいぞ」 「………………ばりじゃ…………ちぎゃ………ごびぐ、ずじゃ………ない……」 「………お前ね、あれだけやられてまだ言ってんのか。 家族全員がゴミクズ認定してたじゃないか。 飾りがなければ無条件でゴミクズ扱いするのがゆっくりなんだよ。 毎日一緒にゆっくりしてたお前でも、だ」 「……………ちぎゃ、う………おどー、ぢゃ………おがー………ばぢがえ、だん、……だよ…… ぼがの………ごびぐずど………うっがり、じぢゃ…………っだん……だよ……」 「お前、…………驚いたな、ここまでされてもまだ信じられるのか」 「おぼうぢじゃん………おぼうぢ、じゃんが、ながっだがら………」 「信じるっていうより、藁にもすがる思いってとこかな、こりゃ。 でもさー、それじゃ、あいつらが言ってる「かわいいおちびちゃん」ってのは、 つまるところ、帽子ってことにならない?」 「ゆ゛?」 「だって帽子しか見てないじゃん。 たった今ここでゆーゆー呻いてるお前なんかどうでもいいわけだろ。 単純な引き算だな、おちびちゃんマイナスお帽子イコールゴミクズ、と。 そうか、じゃ、この帽子イコールまりさを返してやればおちびちゃんが全員揃うわけだ。 なーんだ、簡単にハッピーエンドじゃん。 じゃあこの帽子返してくるから、お前もういらないから。 潰していいよな?」 「ゆ゛!?や゛っ!!や゛だや゛だや゛だあぁぁぁ!!じにぢゃぐにゃい!!じにぢゃぐにゃいいい!!」 「別にまりさは死なないよ、返すから。 まあ、全快とはいかないが……」 「ゆ、ゆゆううぅ……」 「まりさ……でも、でも、えいえんにゆっくりしなくてよかったよ! ゆっくりいきてさえいれば、またゆっくりさせてあげられるよっ!!」 「ゆーっ、そうだね……ゆっくりがんばろうね!! おにいさんっ!!おちびちゃんをなおしてくれてありがとうございますううぅ!!」 「ほんとうにありがとうございますうぅ!!このごおんさんはいっしょうわずればぜんっ!!」 「じゃ、早速会うかい?」 「ゆっ、ゆゆぅぅ……れいむ、こころのじゅんびさんはできてる?」 「ゆぅ、きがおもいね……あんなにひどいことしちゃったもんね…… おちびちゃん、おかあさんをゆるしてくれないよね……」 「みんにゃでごめんにゃしゃいしゅれば、きっちょゆるちてくれりゅよっ!!」 「しょーだよ!!いっぴゃいごめんにゃしゃいしちゃらゆるちてくれりゅよ!! だっちぇまりちゃおにぇーしゃんは、とっちぇもゆっくちしちぇるもんっ!!ね、おきゃーしゃん!!」 「お、おちびちゃんたち……… ゆっ……そうだね………れいむたちはかぞくだもんね!」 「こんかいのことは、まりさおとーさんがいっしょうせきっにんっ!をもって、 おちびちゃんをゆっくりさせるよ。 おちびちゃんにみんなでいっぱいあやまって、またかぞくでいっしょにゆっくりしようね。 まりさたちは、もりでもじまんのなかよしかぞくっ!だからね!!」 「ゆゆゆゆ~~っ!!」 「そうか。 じゃ、連れてきていいんだな?」 「ゆっ!!ゆっくりおちびちゃんにあわせてねっ!!!」 家族で口を揃えて叫ぶと、お兄さんは深くうなずき、家の中に入っていった。 「ゆゆ、きんちょうっするね……」 「みんな、おちびちゃんをゆっくりさせてあげてね!!」 「ゆっくちりきゃいしちぇりゅよっ!!おきゃーしゃんはしんぴゃいしょうだよ!!」 すぐに引き戸が開き、お兄さんがまた出てきた。 その手には……見紛うことなき、ゆっくりした子まりさが乗っていた。 「さあ、ご対面だ」 お兄さんが屈み込み、手に乗せていた子まりさを床に置く。 「ゆっくりしていってねっ!!」 「…………ゆわああああぁぁ………………!!!」 まりさ達は呻いた。 苦悶からではない、喜びと驚嘆からだった。 子まりさは全快していた。 あれほどに深く傷つけられていた全身も、 何本も折られ抜かれた歯も、えぐり出した左目も、すべてきれいに再生している。 そして、なんの屈託もない、太陽のように明るくてゆっくりした笑顔で、 ころころと可愛い声を転がし、眩いばかりのゆっくりした挨拶をしてくれたのだ。 あんなにゆっくりできないことをした家族に向かって。 「おとうさん、おかあさん?ゆっくりしていってね!!」 「「ゆ、ゆゆっ…………ゆっくりしていってねえええぇ!!!」」 うれし涙を流し、れいむとまりさは全身の力を込めて挨拶を返した。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!! まりさといっしょにゆっくりしようねっ!!」 大喜びで跳ね回り、嬉しくてたまらないという様子で何度も挨拶する子まりさ。 まるで大輪の花のごとく咲き乱れるわが子を、姉妹を、 家族全員が踊らんばかりにして出迎え、何度も何度も挨拶を返した。 「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」 「おにぇーちゃん、ゆっくちしちぇる!!ゆっくちしちぇるよおおぉ!!」 「ごめんねっ!!ごめんねぇ!!おちびちゃんっ、おちびちゃああぁん!! あんなゆっくりできないことをしたおかあさんをゆるしてねえぇ!!」 「ゆっ?なんのこと?」 「ゆゆゆゆっ!!? だ、だって……あんなことしたよ……おかあさんたち……」 「おちびちゃん!!ゆっくりだいじょうぶなの!? もう、どこもいたくない!?ゆっくりできないところはないっ!!?」 「ゆーっ!!まりさ、ゆっくりしてるよお~~!! いたかったけど、もうだいじょうぶだよっ!! しんぱいしてくれてありがとうね!!おとうさんとおかあさんはゆっくりしてるね!!」 「あ、あああ………ゆるして……ゆるしてくれるんだね…… おちびちゃんはやさしいね……ゆぐっ、ゆっ……ありがとう……あじがどうぅ………!!」 「ゆゆっ?すーり、すーり!!ゆっくりできるよぉ~~!!」 感涙にむせびながら頬をすり寄せてくる親れいむに、子まりさはまた破顔する。 家族にとってかつてないほどの喜びがそこにあった。 ひとしきり涙ながらのすーりすーりを味わってから、 親まりさがその輪から離れ、お兄さんに向きなおって頭を下げた。 「おにいさん………ほんとうに、ほんとうにありがとうございます。 ゆっくりできないまりさの、ゆっくりしたおちびちゃんをたすけてくれて、ありがとうございます」 「ゆっ!!そうだよっ!!おにいさああんありがとおおおおお!!!」 親れいむも飛び出し、お兄さんに何度も頭を下げた。 「にんげんさんはゆっくりしてるよ!! あんなにゆっくりできてなかったおちびちゃんをなおしてくれてありがとう!!ありがとう!! ゆっくりかんしゃしますっ!!いっしょうごおんはわすれませええん!!!」 「いや、大したことじゃないさ。 なあ、ちゃんと治ってるかな? ちょっと自信がないんだ。 隅々までよくチェックしてくれないか?」 「ゆゆっ!!ゆっくりりかいしたよ!!じーろ、じーろ」 「じーろ、じーろ!」 「「「じーりょ、じーりょ。 じーりょ、じーりょ」」」 家族で子まりさを取り囲み、目をこらしてその体をまじまじと見つめる。 「本当に大丈夫かい?どこか傷になっているところはないか?」 「ゆっ!どこにもないよっ!!ぴっかぴかのおはださんだよっ!!」 「肌?」 「まりさおちびちゃんのおはださんは、みずみずしいつるつるすべすべおはださんだよっ!!」 「髪はどうだい?足りなくないか?」 「ゆっくりだいじょうぶだよ!!きゅーてぃくるできらきらした、さらさらきんぱつさんだよ!!」 「お目目はどうだい。 ちゃんとしてるか?」 「ぱっちりくりくり、ほうせきさんみたいにかがやくおめめ!みてるだけでまぶしいねっ!!」 「歯は?治せてるか?」 「すっごくゆっくりしてるよぉぉ~~!!しんじゅさんのようにひかりかがやいてるよ!! どこからどうみても、あのゆっくりしていたおちびちゃんだよぉぉぉぉ!!!おにいさんありがとおおぉぉ!!」 「あっそ。 「はい、本物のまりさ」 「ゆっ?」 目の前に置かれた我が子を見て、家族はきょとんと口を半開きにしていた。 「で、これはただの野良ゆっくり。 しかもまりさじゃなくてれいむ。 しかも成体」 「ゆっ?ゆゆゆ??」 野良れいむの頭から子まりさの帽子を取り上げて、本来の持ち主の頭に戻してやる。 野良れいむが騒ぎはじめた。 「ゆゆっ!!ゆゆゆっ!!かえしてね!!まりさのおぼうしさんかえしてねぇ!!」 「お前の帽子じゃねーだろ。 ああ、もう演技はいいよ、れいむ」 「ゆーっ!!?れ、れれれれれいむじゃないよ!!れいむはれいむじゃないよ!!れいむはまりさだよっ!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 「ゆ?ゆゆ?ゆゆゆゆゆぅぅ!?」 状況が認識できないようで、家族は野良れいむと子まりさを交互に見ながらぐるぐると目を回している。 それはそうだろう。 ついさっきまで愛しい我が子だと思って頬ずりしていたゆっくりが、 実は子まりさでもなんでもなく、 全身にカビと汚れをこびりつかせた成体の野良れいむだったのだから。 そして、今帽子をかぶって目の前に立っている子まりさは、 体中生々しい傷痕だらけで、左目にあたる部分はまっさらに埋められ、 歯軋りしている口内はほとんど隙間だらけ、挙句の果てにまむまむからしーしーをちょろちょろと垂れ流していた。 認めたくない要素しかない現実を目の前に突きつけられ、 完全にパニックを起こして硬直している家族の前で手を叩き合わせ、我に返らせる。 パァン!! 「ゆ゛っ!?」 「起きてるか、おい?」 「ゆっ!!ゆゆゆっ!?おに!!おにいさっ!?これ、これはどういうっ」 「ああ説明してあげます。 こいつはそのへんで拾ってきたただの野良。 まあ、比較的頭のいいやつを探して用意してあったんだけどね。 リボンが千切れてなくなったとかで苛められて、ずっと一人で生きてたんだとさ。 この帽子をかぶってまりさになりすませば、飾りも手に入るし、あったかい家族も迎えてくれるぞって言ってやったら、 大喜びで僕のイタズラに協力してくれたよ」 「ゆ゛!!ゆ゛んや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!? どぼじでばらじじゃうのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!???」 「いやー、あっはっは。 面白かったね!」 「や゛っど!!や゛っどゆっぐじでぎるどおぼっだどにいいいいいい!!! いっじょにゆっぐじじでぐれるがぞぐがでぎるどおぼっだどにいいいいいいいい!!! や゛だ!!ぼうびどりぼっぢはや゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「このクソ汚い、大きさも全然違う野良れいむを、お父さんとお母さんは君だと思ってすーりすーりしていたわけだけど。 気分はどうだい、まりさ?」 子まりさは答えない。 しかし、全身をぶるぶると震わせているのが見てとれた。 「瑞々しいつるつるすべすべのお肌。 キューティクルでさらさらした金髪。 宝石みたいに輝くお目目。 帽子を乗せただけでこの言われようだ。 なーんだ、やっぱり帽子がまりさなんじゃん! お前、いらないじゃん!ゴミクズじゃん!」 「あ゛っ………あ゛っ………………あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 両親がわめき始めた。 自分達がこの子まりさの前で演じた茶番劇、その意味するところがようやくわかったらしい。 「ぢがうっ!!ぢがうっ!!ぢがうっ!!ぢがうううううぅぅ!! おぢっ!!おぢびぢゃんぢがうのおおおおおおぉぉぉぉ!!!」 「なーにが違うんだか。 こんな汚い、しかもれいむをあんなにゆっくりしてると褒めてたくせに。 帽子だけありゃいいんだろお前ら?ほら、これでこいつがおちびちゃんだぞ」 「ゆぐっ……ゆぐっ……ゆぇ?ゆっ、ゆゆゆっ!! まりさだよっ!!れいむはまりさだよっ!!おとーさん、おかーさんっ!!ゆっくりしていってねぇぇ!!」 再び子まりさの帽子を取り上げ、野良れいむの頭に載せてやる。 「ぢがうっ!!ぢがうよおぉ!!ぞいづはおぢびぢゃんじゃだいよおおぉぉ!!」 「なんでー?さっきあんなにおちびちゃんおちびちゃん言ってたじゃん。 こっちはいらないよね?ねえねえまりさ、お前もういらないってさ。 どんな気持ち?どんな気持ち?」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぢがうの!!ぢがうのおおぉぉ!! おぢびじゃんっ!!ぎいでっ!!おがあざんのばなじをゆっぐじぎいでねえええぇ!!?」 目の前で帽子を移動させればこのとおり判別がつくのに、 最初から子まりさの帽子をかぶせてあればなんでも子まりさに見えるらしい。 しかも、これだけ大きさも外見も違う成体のれいむを、たしかに子まりさと認識していた。 つくづく、ゆっくりの認識基準というものがさっぱりわからない。 最初に帽子を見て識別したら、あとは適当に認識しているのだろうか。 せいぜい目がある、口がある、髪がある、程度の認識だろうか? そして、いざそれが自分の子供だと思えば、目も口も髪もすべてリアルタイムで美化されまくって認識されるというわけか。 思い込みの生き物だと言われているゆっくり、そういうものなのかもしれない。 ともあれ、無理に理解しようとしない方がいいだろう。 あまりにも人間と違いすぎる。 こいつらの目に映っている景色と人間が見ている景色は、実は全く違うものなのだろう。 林立するビル群は「灰色の山」、道路を行き交う車は「大きい人間さんのすぃー(車のついた板)」、 ぼんやりした色とりどりの巨人(人間)がうろついている中で、 下部に目口のある饅頭をくっつけた帽子が動き回っている世界。 想像して少し気分が悪くなった。 よそう。 そういえば、子まりさがさっきから喋っていない。 「おかあさんのおはなしをきいてねっ!?ねっ!?おちびちゃんっ!! ちがうよっ!!ちょっとかんちがいしてただけだよっ!!あんなのおちびちゃんじゃないよおおぉ!!」 「きいてねっ!!おちびちゃんっ!! そのっ、あのっ、だれにでもまちがいはあるんだよっ!!おと、おとーさんにもあるよっ!! ちょっとだけ、ちょっとだけまちがえちゃったんだよっ!!ごめんね、おちびちゃん!! おねがいだからおへんじしてえぇ!!」 「…………ゆ゛っぐぢだばりぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」 こっちが気圧されるほどの咆哮が子まりさの口から発せられた。 「ゆ゛びぃっ!!?」 「なにぎゃおぢびじゃんだっ!!なにぎゃおがあじゃんだ!!おどうじゃんだっ!! おぼうぢじがみでにゃいじゃにゃいがっ!!ごのおぼうぢがづいでれびゃ、なんでみょばりじゃっ!! おぼうぢがなげれびゃ、ばりじゃはごびぐじゅにゃんじゃにゃいがあああああぁあ!!!」 「お、おぢびぢゃっ………ゆっぐ、ゆっぐりおぢづいでねっ!?」 「だばりぇだばりぇだばりぇえええぇぇ!! ごんにゃぼの!!ごんにゃぼにょおおおお!!」 子まりさは自分の帽子を床に叩きつけ、ぼんぼん踏みつけはじめた。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびぢゃんなにじでるのおおおおお!!?」 「だりぇがおぢびじゃんだ!!おぼうぢじがみでにゃいぐぜに!! ばりじゃなんじぇいらにゃいぐぜに!!おぼうじじがぼじぐにゃいぐぜに!! ごろじでやりゅっ!!おばえらのおぢびぢゃんにゃんがじぇいっじゃいじでやりゅっ!! ぢにぇっ!!ばりじゃよりだいじにゃおぼうじにゃんがぢにぇぇ!!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛やべでね!!やべでね!!おぢびぢゃああん!!」 「ゆんやああああああやべでええええ!! ぞのおぼうじざんがないどでいぶがおぢびじゃんになれないよおおぉぉぉゆびぇ!!!」 全く空気の読めていない野良れいむをつまみ上げて家の中に放り込む。 しかし、自分でやったこととはいえなかなか珍しい光景だ。 自分の飾りを、殺意をこめて壊しにかかるゆっくり、しかもほんの子供。 あることないことさんざん吹きこんで親への疑念を植え付けてやったとはいうものの、ここまで効果覿面とは。 ゆっくりを洗脳するのは恐ろしく簡単なんじゃないだろうか? 「ゆぐぎぎぎいいいいいい!!!」 自らの帽子に歯を突き立て、引き裂きにかかっている。 いよいよ本気だ。 家族は恐慌をきたして必死に止めようとしている。 「やべでっ!!やべでえええ!!おぢびぢゃああああんどぼじでぞんなごどおおお!!」 「おがざりがないどゆっぐりでぎだいよおおおおお!!?」 「しょうだよにぇっ!!ゆっくちできにゃいよにぇっ!!!」 憎しみを込めた視線で両親に挑みかかる子まりさ。 「おかじゃりがにゃいとせいっさいっされるもんにぇっ!!! おとーしゃんも!!おかーしゃんも!!みんにゃもっ!! おぼうしがにゃかったらまりしゃをいじめりゅんだもんにぇ!!! おちょーしゃんとおかーしゃんにきょろしゃれるもんにぇっ!!!」 「ゆ……あ………ああ……おち、おちびちゃ………」 「ご……ごべん、ね………ごべんだざい………おぢびぢゃ………」 「いいよっ!!きょろしちぇよ!! まりしゃはごみくじゅだもんにぇっ!!いきちぇるかちのにゃいくじゅだもんにぇ!! まりしゃだっちぇもういきてちゃくにゃいよ!! しゃあ、きょろしちぇねっ!!しゃあ!!しゃあ!!しゃあああ!!!」 帽子を打ち捨て、子まりさは唾を飛ばして怒鳴り親に詰め寄る。 「ごべんなざい!!ごべんなざい!!おぢびぢゃんごべんなざあああいい!! ぼう!!ぼういじべだいがら!!ぼうにどどあんだごどじだいがらあああああ!!」 「ゆ゛ぅうううううおぢびぢゃ!!おぢびぢゃんっ!!ゆっぐじじでよおぉ!!!」 「ゆっくちしちぇ!?ゆっくちしちぇだっちぇえええぇ!!?」 叫んだ親れいむに向かって、子まりさは自分のまむまむを突き出して吼えた。 その傷跡生々しいまむまむからは、だらしなくしーしーが滴っている。 「こにょまむまむをみちぇよ!!もうまりしゃ、まむまむとじらりぇにゃくにゃっちゃよ!! あにゃりゅもひりゃきっぱにゃしぢぇ、しーしーとうんうんがかっちぇにでちぇくりゅんだよっ!! ひぢゃりのおめめしゃんもにゃいよ!!はしゃんもいっぴゃいなきゅなっちゃよっ!! しーしーまみりぇのうんうんまりしゃがどうやっちぇゆっくちできりゅにょっ!!?」 「ゆあ………ゆ………あああああ………ごべ……ごべんだ………ざ…」 「まりしゃ、あかちゃんちゅくれにゃくなっちゃよっ!! よかっちゃね!!おきゃあしゃん、あんにゃにうれちしょうにまむまむつぶしてちゃもんにぇ!! もうまりしゃ、じぶんのあかちゃんとしゅーりしゅーりもできにゃいよ!! ゆっくちしちぇだっちぇ!?ゆっくちしちぇっていっちゃの!? ごんなぐぞばりじゃがどうやっちぇゆっぐぢでぎるっでいうんだあああ!!! ごだえりょおおおおおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 「ゆぐじでええええ!!!ゆぐじでおぢびぢゃああああああん!!!」 「ごべんだざい!!ごべんだざい!!でいぶがわるがっだでず!!ごべんだじゃあああいい!!!」 「「「「ゆええええええん!!ゆうぇえええええええーーーーーーん!!!」」」」 「ゆぐぎゃああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」 さんざんに難詰して家族一同を泣かせたあげく、 ついに子まりさ自身も大粒の涙を流して慟哭した。 もはやどこにも救いがない。 僕は子まりさの背中をつついて言った。 「はいはい、もういいかな?」 「…………」 「こんなお父さんとお母さんなんだけど、君のことを責任を持ってゆっくりさせるって言ってたんだ。 やっぱり親子の絆は断ち切れないもんだし、これからも面倒見てもらわないと。 仲良くしていってね!」 「………しょんなこちょいっちゃの………?」 目を見開き、子まりさが親ににじり寄った。 「まりしゃを、ゆっくちさしぇるっちぇ………? じゃあ、じゃあ、なんぢぇ、ぷーすぷーすしちゃの………?まむまむつぶしちゃの……?」 「ゆひいいいぃぃ!!」 「はいはい、キリがないからそこまで。 ちょっとお兄さんに質問させてくれ。 ねえ、お母さん?お父さん?」 「ゆぐっ………?」 帽子を打ち捨てた傷だらけの子まりさと、無傷の家族たちを交互に指差して僕は聞く。 「片や、お飾りのない傷だらけの子ゆっくり。 片や、自分の可愛いおちびちゃんを喜んでぷすぷすして、おちびちゃんを生めなくした家族。 さあ質問だよ。 『ゴミクズはどっちでしょう?』」 「…………!!!」 「おかざりのないゆっくりは視界に入るだけで迷惑をかける、と君たちは言った。 では、罪のない可愛い子を、あんなに親思いでゆっくりできた子をぷすぷすさんで傷だらけにする君たちはどうかな? 飾りがないというだけで、自分で生んだかけがえのない命を苛め、弄ぶ君たちは? 言っとくけど君たちの答え次第で、森に帰れるかどうかが決まるからね。 さあ、正直に答えてくれ。 ゴミクズはどっちかな?ゲスはどっちかな?ゆっくりできないのはどっちかな?」 「あ゛……あ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛…………!!!」 ぶるぶる震えながら、悲壮そのものの表情を浮かべる家族。 これなら正答を答えてくれるだろう。 「ば、………ば……ばりじゃだぢでじゅうう………!!」 「でいぶだぢだよ……でいぶだぢが、ごびぐずだったよ…………ごめん、な…ざい……」 「「「「ごべんなじゃい………ごべんなじゃい………ごべんなじゃい………」」」」 僕は満足し、子まりさに笑いかけた。 「さあ、お母さんたちは反省してるようだけど。 許してあげようか?」 「………はんちぇい?」 暗い右目で僕を見上げ、子まりさは聞いてきた。 「はんちぇいってにゃに? しょれ、まりちゃがまたあかちゃんちゅくれるようになりゅ?」 「あはははは!聞いてのとおりだよ、お父さんにお母さん。 ま、あとは君たち家族の問題だからゆっくり話し合ってくれ」 子まりさを家族のほうに押しやるついでに、帽子を拾い上げて尋ねる。 「あ、これ、いる?」 「いらにゃい」 「おぢびぢゃっ……!!」 「おぼうちがにゃければ、おきゃーしゃんがころしちぇくれりゅもん。 まりちゃ、ちにちゃいから、おぼうちいらにゃい」 「お、ぢび、ぢゃ………………」 ぼろぼろと涙を流して突っ伏す親れいむ。 死を望むほど生に絶望した我が子、自らの手でそこまで追いやった我が子と暮らしながら、 いったいこの家族がどんな団欒を見せてくれるのか見ものだ。 しかし、呑気なゆっくりがここまで悲壮感を漂わせるとはもはやギャグだ。 何よりも親の庇護を求め、愛されることを求めることにかけては人間の比ではないゆっくり。 自分の親から肉体を破壊されたうえに帽子以外の存在意義を全て否定されるという体験を経ると、 ここまで面白く捻じ曲がるというわけか。 「さて、昨日も言ったとおりだ。 君たちがしっかり反省して、弱い者苛めをしなくなったと確認できたら、みんな森へ帰してあげよう。 そのお帽子がなくなった子供をどう扱うか、お兄さんがしっかりチェックしてるからな。 餌は毎日お父さんとお母さんに渡すから、家族にどう分配するかも含めてそっちで考えてくれ。 じゃ、ゆっくりしていってね!!」 言い渡し、僕は後ろ手にベランダの引き戸を閉めた。 (中編2へ) 次.
次の乙女ゲームの世界に転生している話ですが、内容は『ほとんど日常、たまに恋愛』です。 主人公から攻略対象やフラグ回避等の言葉は出てきません。 何かに目覚めて強くなったりもしません。 乙女ゲームネタは、ほとんど出てきません。 4章でちょっぴり出てく るくらいです。 菖蒲が前世の記憶を得た5歳から、学園を卒業する18歳までの日常がゆっくりと進んでいきます。 前世で小説に漫画にゲーム、乙女ゲームも大好きだった菖蒲ですが、転生先の乙女ゲームのことは知りませんでした。 そのため、普通に生活し、成長していきます。 最短でストーリーを展開を追いたい方は本編のみをどうぞ。 60話から、2,000~4,000文字。 たまに、2,000文字未満、6,000文字くらいのときもあります。 出てくるのは4章からです。 細かい描写はありません。 そういうことがあった、という風に出てきます。 百合のつもりはありませんが、人によっては百合だと感じるかもしれません。 3章までは保険。 「私の幼馴染ならこれぐらい出来るでしょう」 そう言って今日も虐待が始まる。 崖から落とされたり、狼の群れに突っ込まされたり、危険な竜をけしかけられたり、時には魔法の実験台にされたりするなど、ハンナのアルに対する仕打ちは苛烈であった。 アルには身内がいなかった。 そのためなのか、村人達はアルを迫害し、唯一面倒を見てくれたハンナもまた、試練と称してアルに無理難題を強いる有様であった。 そして、十五を迎えた時、ハンナは魔導の才を認められて冒険者学院への入学を果たすことになる。 その傍らにはアルもいた。 しかし、これまでの数々の仕打ちによって鍛えられたアルは、既に同年代では到底敵わないほどの実力を手にしていた。 そして、学院に舞い込む依頼から経済的にも自立し始めたアルは、幼馴染に見切りを付けて、周囲に集まる多くの仲間達と共に気ままな学院生活を送っていく。 一方ハンナは、心の拠り所を失ったことで、魔法の実力にも陰りが生じ始め、生来の苛烈さから友人にも恵まれずに凋落していくのであった。 クレアは七歳の冬、母親に捨てられ孤児院で育つことになった。 三年後、父親と名乗る豪商ラッセル・レイノールに引き取られる。 彼はクレアを娘として迎え入れるが、そこでは継母と異母姉による激しい虐待が待っていた。 そんな彼女にある日転機が訪れる。 伯爵令息と婚約することになったのだ。 しかし、彼はクレアを拒絶して……。 誰からも愛されない彼女はついに復讐を思い立つ。 愛されないことがどれほど辛いか思い知れ。 題の通りです。 特に序盤が胸糞です。 そのためのR15です。 苦手な方はご注意ください。 主人公、自己肯定感が低く少々卑屈です。 最終話まで多分毎日更新。 更新優先となります。 感想はありがたく読ませていただきます。 ゆっくりペースで直しています。 感謝しております! 律夏 りつか :とてつもなく辛い過去を持ち、自分にも周りの人間にも関心を持てない美少年。 千里 せんり :常に心に穴が空いたような静かな孤独の中にいる一匹狼美青年。 こんな2人と周りの人間のことを出会いからゆっくり書いていきたいと思います。 明らかに友人の枠を超えているが、恋人というわけではないという曖昧な関係を書きたいと思っているので、べろちゅー以上のエロい事はほとんどないと思います。 もしかしたら書くかも・・・? お金持ちのことは詳しくわからないので、想像で書くので、そういうやつなんだなと暖かい目で見守ってください笑 ここはこうですよ!っていう意見?とかがあったら教えて欲しいです。 誤字脱字なども。 アルファポリスでも投稿してます。 しかし、彼にも転機が訪れる。 原因不明 の現象により彼を捕えていた貴族の屋敷が半壊した、少年は相棒の小さなトカゲと共に外の世界へと旅立っていく。 初めまして!! 普段は砂糖と蜂蜜とメイプルシロップを混ぜたぐらいの甘さの恋愛小説ばっかり読んでますが、小学生ぐらいからの妄想の世界の話を書いてみました。 処女作なので優しくお願いします。 批評はなんでもウェルカムです。 なんちゃって英語がよ く出ます。 勉強などが忙しいため更新は週1-2を目標に頑張ります。 なので、ゆっくり読んでください。 そして、忘れかけた頃に読みに来てもらえれば少しはお話が進んでるかと思います。 あらすじは、、、 主人公は戦闘機に乗って敵と戦います。 主人公は人間であって人間じゃありません。 主人公は基本強いです。 主人公は幼少期に色んな虐待を受けてきました。 でも、色々と人が死にます。 TSがあるので一応ガールズラブとボーイズラブを付けていますがこのお話は肉体的には男と女でしかカップリングしません。 ただ、主人公とヒロインがTSします。 結構、お話がゆるいときはゆるくなると思います。 でも、基本お話は硬めな気がします。 最後に ストーリーは妄想の世界で出来上がってても、文字で表現しきれないことが多々あります。 誤字脱字、日本語が謎、その他色々すいません。 公爵令嬢ハーフェルナ10歳は、テーブルに頭をぶつけたせいで失神し、前世を思い出す。 目が覚めたあと、自分のこれまでとこれからについてゆっくり考える暇もなく、ハーフェルナは婚約者候補の第二王子ルドルフのお茶会へ招待され、衝撃の告白をされる。 ルドルフも、前世の記憶を持っていたのだ。 前世では腐男子だったというルドルフは、この世界が前世で人気だった剣と魔法の王道乙女ゲームに似ていると説明する。 その上、ゲームの中のハーフェルナは、ルドルフの婚約者で悪役令嬢だったという。 好きなことを隠し続けてきたルドルフは本音を漏らした 「美少年じゃなくて、美少年を眺められる方がよかった」 と。 自分の置かれたふざけた状況にハーフェルナは思った。 「特別幸せな人生じゃなくていいから、自由が欲しかった」 と。 互いに残念な本音を打ち明け合う、見た目は可憐な少年少女。 ゲームと違ってリアリティのある異世界の現実に直面したふたりは、慎ましくも自由な人生と手に入れるべく、婚約者という名の協力関係になる。 主人公は女性です。
次のゆっくり虐待とは、ゆっくりしていってね!!!(ゆっくり)を使った創作ジャンルの一つである。 「ゆっくり」は元々AAから派生したキャラクターである。 2008年頃、ゆっくりAAはあらゆるところにコピペされ、爆発的な広がりを見せた。 次第に、単にゆっくりのAAが貼られるだけではなく、ゆっくりを用いた創作物も作られるようになり、 その中で、ゆっくりを「虐待」するというジャンルが現れた。 キャラクターを虐待する、というジャンル自体は「ゆっくり虐待」が発祥というわけではなく、以前にも存在していた。 それが「ゆっくり」に広がったものが「ゆっくり虐待」である、ということもできる。 このジャンルに共通することは、ゆっくりが悲惨な目に遭うことである。 人間の手によるものか否か、非があるのは人間側かゆっくり側(あるいはどちらもかないか)、などは基本的には問わない。 一口に「ゆっくり虐待」と言っても、内容は様々である。 「ゆっくり虐待」はキャラクターの虐待を主眼とする、暴力・グロテスク描写を根底に持つジャンルである。 虐待に適応した独自の設定が広く普及しており、その中には性的な表現なども含まれる。 虐待の対象となるキャラクターに愛着を持つ人、暴力や性的な表現などに嫌悪感がある人など、「ゆっくり虐待」を好ましく見ていない人は多い。 このため、ジャンルの愛好者は、ゆっくり虐待に特有の表現を非愛好者の目に触れさせないために可能な限りの配慮を図ることが必要である。 例えば、ゆっくり虐待を取り扱う多くの創作表現コミュニティにおいては「設定の持ち出し」「無断リンク禁止」などのローカルルールが定められている。 これは「虐待表現などを目にしたくない層」と棲み分けを図るためのマナーである。 概ねボール形の球型か丸みを帯びたナスビ型で、骨格はなく弾力的に体型を変える。 移動はドラゴンクエストのスライムのように、体全体で飛び跳ねて行うか、這いずるように移動する。 全体として人間の頭部に似ており、目や口、頭髪などに類似した器官を備える。 頭頂部に「おかざり」と呼ばれる装飾物を備えるが、これは生得的なものであり基本的に身体の一部である。 最も大きな開口部は摂食や発話を行うための「口」である。 耳や鼻はないが聴覚・嗅覚は備えており、人間には分からない匂い(ゆっくりの死体・死んだゆっくりのおかざりなどに付着する「死臭」やゆっくりの排泄物の臭い)を識別することもある。 他に排泄や生殖等を行うための開口部を下部に備えている場合もある。 体内はほぼ(饅頭の中身の総称としての)「あん」で占められている。 小豆あん、クリーム、肉まん・ピザまん系など種類によって中身が何かは異なる。 設定によっては餡子は機能分化を遂げている場合があり、生命維持を司る「中枢餡」が存在するという設定もよく利用される。 その場合中枢餡が過度に損傷・破壊されると死に至る。 嘔吐・創傷などで体内の餡が大量に漏出したりしても同様の結果となる。 またサイズによって大まかに以下の種類に分けられる。 ・実ゆっくり 後述の植物型妊娠によって、蔦にぶら下がった状態の幼生ゆっくり。 最大でピンポン玉程度まで成長し、蔦から切り離されることにより誕生するという扱いになる。 ・赤ゆっくり ゆっくりの赤ん坊。 略して「赤ゆ」等の呼称がある。 ピンポン玉程度から始まり、時間経過や成長によるサイズの増大で次の段階に移行。 大体ソフトボール大が目安の模様。 ・子ゆっくり 子供のゆっくり。 略して「子ゆ」等。 ソフトボール大~それ以上のサイズを指す。 ・成体ゆっくり 「成ゆ」のように呼ぶ場合もあるが、最早この状態では「ゆっくり」で通じる。 大きさはバスケットボール大。 ・家ゆっくり ここまでに記してきた分類よりもサイズが著しく小さく、成体でもピンポン玉未満のサイズにしかならないゆっくり。 家とは主に人間の家のことを指し、人間の家の家具の陰などに住み着いているものを指す(早い話がゴキブリみたいなもの)。 野生では主に山林に生息する。 基本的に「弱い」とされているので、沿岸部・高地など過酷な環境に暮らすことは稀である。 食糧難や開発などの理由で山林から追われたり、飼い主に捨てられた元飼いゆっくりなどが野良として都市部に住み着くこともある。 ペット用・食用などの目的のための商業的な人工繁殖も行われている。 他の動物と同じく従属栄養生物であり、生育に必要なエネルギーの補給は食事により行われる。 雑食性であり、野生では草や木の実・昆虫・きのこなどを、都市部では人間の残飯やゴミを漁って食べる。 甘いものを特に「あまあま」と呼び非常に好む。 逆に、酸味・辛味・苦味などの刺激物は忌避する。 摂食メカニズムについては「食べたものは全て餡子に変換される」と説明されることが多い。 共食いは死骸を含め基本的にタブーとされているが、状況次第(後述の「装飾品による個体の識別」等の理由によりゆっくりの死骸を死骸と認識できない場合等)では行われる。 ゆっくりの身体は甘味物で構成されているため、タブーによる忌避さえなければ、「あまあま」を好むゆっくりにとっては非常に魅力的な栄養物となる。 雌雄の区別はないが、繁殖はつがいのどちらかが母体になることで行う。 どちらが母体となるかは、後述の「種」によって雄役・雌役がほぼ決まっていることが多い。
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