寄生 され た カタツムリ。 カタツムリの寄生虫に人間が感染するとどうなるの?

犬は『カタツムリ』が原因で死に至ることがあるって本当?

寄生 され た カタツムリ

槍形吸虫という寄生虫のライフサイクルは、ウシのふんに混じった卵をカタツムリが食べるところからスタートする。 幼虫に寄生されたカタツムリがはった跡には、「粘球」というボールに包まれた大量の幼虫が残される。 その後、幼虫はこのボールを食べたアリの体に移動する。 アリに寄生した槍形吸虫の幼虫は、この2番目の宿主を毎夜奇妙な行動に駆り立てる。 夜になり気温が下がると、アリは草に登って葉にかみついたまま動きを止めるようになるのだ。 葉の上でじっとしているアリは、ヒツジやウシなど早朝に草を食べる草食動物に葉ごと食べられてしまう。 こうして槍形吸虫の幼虫は最終目的地である草食動物の体内への移動を完了する。 運よく草食動物に食べられずに済んだアリは、太陽が昇り気温が上がってくると、顎を開けて葉から地面に降りる。 ところが、日が暮れると再び草に登り、葉にかみついて動きを止める。 槍形吸虫は自らが草食動物の体へ到達するまで、宿主のアリにこの「自殺行為」を繰り返させるのである。 槍形吸虫の生活環。 クモは獲物の捕獲や移動、防御など目的ごとに糸を使い分けるが、クモを操りその糸で「シェルター」をつくらせる寄生虫がいる。 ニールセンクモヒメバチという体長7~8ミリほどの寄生バチは、宿主のギンメッキゴミグモを操ってこの糸を利用する。 卵からふ化した寄生バチの幼虫は宿主の体液を吸って成長するが、サナギになる前にクモの神経を何らかの方法で操作し、風雨などに耐えられる丈夫な網をつくらせる(この網を「操作網」という)。 操作網は、クモが脱皮や産卵の前に張る「休息網」がベースになっているが、クモ本来の休息網よりもずっと強い。 サナギを守る網が完成すると、幼虫は宿主の体液を吸い尽くして殺してしまい、網の中で繭をつくってサナギとなる。 休眠状態のハリガネムシを抱えたこれらの虫たちが、陸上でカマキリに捕食されると、ハリガネムシはその体内で目覚めて寄生生活を開始する。 ハリガネムシに寄生されたカマキリは不規則な動きをするようになり、やがて、川の水面でキラキラと反射する光を見ると、溺れ死ぬ危険を顧みず水の中に飛び込んでしまう。 すると、ハリガネムシはカマキリの体内から飛び出し、水中で交尾と産卵にいそしむのである。

次の

カタツムリをゾンビにする寄生虫が恐ろしい

寄生 され た カタツムリ

概要 [ ] 「カタツムリ」という語は日常語であって特定のを指してはおらず、生物学的な分類では多くの科にまたがるため厳密な定義はない。 (陸に生息する)のうち、殻のないものを大雑把に「」、殻を持つものを「カタツムリ」「 デンデンムシ」などと呼ぶ。 一般にカタツムリは蓋をもたずの先に目を持つの陸貝で、中でも球型や饅頭型の殻を持つものを指すことが多く、殻に蓋をもつ類や細長い殻をもつなどがカタツムリと呼ばれることは少ない。 しかし前述のとおり厳密な定義がないため、殻をもつ陸貝をすべてカタツムリと呼んでも間違いとは言えない。 日本では一般的にカタツムリと呼ばれるものとしてはやの種類が代表的なものである。 一般に移動能力が小さく、山脈や乾燥地、水域などを越えて分布を広げることが難しいため、地域ごとにが起こりやすい。 他の動物群と同様に、種類は北より南の地方で多い傾向がある。 日本列島に限っても、広い分布域をもっているのは畑地や人家周辺にも見られるや、のなどごくわずかな種で 、それ以外のカタツムリは地域ごとに異なる種が生息しており、関東と関西では多くの種類が入れ替わっている。 また島などでは特に種分化が起こりやすく、やでは島ごとに固有種が進化していることも多い。 このような種分化は地球規模ではさらに顕著で、大陸間ではやのレベルで大きく異なるのが普通である。 紅白の軟体をもつ Indrella ampulla (マラッカベッコウマイマイ科:産)。 2枚の丸襟のように見えるのは外套膜の伸長部で、その合わせ目の部分が呼吸孔。 体は軟体部とも呼ばれ、(かくじくきん)と呼ばれるで殻内の殻軸部に付着している。 この筋肉を収縮させ体を殻内に引き込む。 殻と体は別物ではなく、殻は体の器官の一つであり、中に内臓もある。 よって、カタツムリが殻から出たらナメクジになるということはなく、殻が大きく破損したり、無理に取ったりした場合死んでしまう。 他のも同じである。 一般にカタツムリと呼ばれる有肺類では頭部に触角が大小2対あり、大触角(後触角)の先端には眼がある。 これに対しヤマタニシなどの前鰓類の陸貝では触角は1対しかなく、先がとがっており、眼はその根元にあるなどの違いがある。 全てのカタツムリは軟体部が湿った状態でなければ生きていけない。 また暑さ寒さによっても活動に支障が出る。 このような時にはカタツムリは物陰に潜み、殻の中に軟体を引っ込めて、殻口に粘液の膜を張る。 この膜は専門用語で「エピフラム」 と呼ばれるもので、乾燥するとやのような質感の膜になり、軟体を乾燥から守る。 またエピフラムには微小な穴も開いていて、窒息しないようになっている。 ナメクジと近縁の種であるため塩分に弱いというイメージが持たれがちであるが、小笠原諸島のみに生息するオトメカタマイマイなどは本土から流木に乗って海を渡り小笠原諸島に漂流して独自の進化を遂げたと推測されており、むしろ塩分には耐性がある。 触角のある頭部下面には口があり、口内の上には顎板(がくばん:jaw)が、底部にはおろし金状の(しぜつ:radula)があり、後者で餌を磨り取って食べる。 ガラス面を這うカタツムリの口を観察すると赤味を帯びた小さいものが見え隠れすることがあるが、これが顎板で、さらによく見ると顎板の動きと呼応して透明の歯舌の運動も見られる。 口は食道から胃へとつながり、奥の方でUターンして殻口近くで肛門となる。 カタツムリは他の有肺類と同様にで、触角の後方側面(右巻きでは右側、左巻きでは左側)に生殖孔と呼ばれる生殖器の開口部があるが、普段は閉じていて目立たない。 生殖孔は一つであるが、そのすぐ内部では雌雄の二つの生殖器の開口部に分かれている。 生殖行動時には内部から陰茎が反転翻出し相互に生殖孔に挿入して交尾が行われる。 生殖器の構造は分類上きわめて重要な部分と考えられており、新種記載の際にはその構造を図示記載するのが通例である。 同定する際にも解剖してその構造を調べなければならない場合も多く、古い時代に殻の特徴のみで分類されたものが、後に生殖器の構造からまったくの別科であったと判明したものもある。 一般に動きが鈍いとされるが、一概には言えず、短い距離では、肉食性のカタツムリ(エウグランディナ・ロセアなど)は、獲物を捕らえようとするときには他のカタツムリを追い越すスピードを出す。 1993年12月25日)。 殻 [ ] 殻の巻き方 [ ] カタツムリには(右旋:dextral)と(左旋:sinistral)があり、上から見て、渦の中心からどちら回りに殻が成長するかで決められる。 実際に区別をするには、殻頂を上にして殻の口を自分の方に向けたとき、殻の口が右にあれば右巻き、左にあれば左巻きとするのが簡単である。 日本産のものでは種ごとに巻きの方向が遺伝的に決まっており、大部分の種は右巻きであるが、など少数の左巻き種がおり、キセルガイ科のように科全体が左巻きのものもいる。 巻きの方向を決めるのは一つの遺伝子によるとされ、この遺伝子が欠如もしくは機能しない場合、その種本来の巻き方向とは逆に巻いた逆旋回個体となるという。 実際に逆旋個体が発見されることもあるが、きわめて稀な例である。 通常、逆旋個体は体の構造も逆で、交尾孔も右旋個体は右側、左旋個体は左側に開く。 多くのカタツムリでは対面しながらすれ違う位置で交尾孔のある側を相互に合わせるため、巻き方が逆であると交尾が困難となり種分化がおこる場合もあると考えられている。 外国にはやのように同一種内で右巻きと左巻きの両方が普通に出現する種類もある。 このような両旋型の種の交尾は、他方の殻の上にもう一方の個体が乗るマウンティング形式であるため巻き方の違う個体同士でも交尾が可能であるという。 殻皮 [ ] カドバリコマイマイ科の Trochulus 属の一種。 殻皮に毛をもつ種は色々な科に見られるが、その意味はよく分かっていない。 カタツムリの表面にはキチン質で構成された(かくひ)と呼ばれる薄膜があり、石灰質で出来た殻の表面を覆っている。 殻皮はカタツムリに限らず貝類のほとんどの種類に存在し、石灰質の殻本体を腐食から保護するのが基本的な役目であるが、カタツムリではそれに加え汚れが付き難くする役目、彩色することにより殻を背景にとけ込ませる保護色の役目なども合わせもつとされる。 殻皮の表面には細かい凹凸や規則正しい微細なディンプルが無数に存在し、接着面積を少なくすることによって、殻皮に付着したゴミや汚れなどを雨で洗い落とす効果があり、その結果カタツムリは殻表をいつも美しく清潔に保っているとされ、この構造にヒントを得た防汚効果のある建物の外壁なども開発されている。 またフィリピンのタニシマイマイ類などには、二重構造の殻皮をもつことで日照時と降雨時の色や模様が変化し、鳥などの外敵から見つかり難くする効果を得ているとされる種類も知られている。 さらに殻皮が一部が変化して毛状になっている種類も世界中の色々な科に見られるが、その機能についてはよく分かっていない。 欧州の Trochulus 属のカタツムリでは、水分の多い環境に棲む種に特に毛が発達する傾向が見られることから、濡れた殻が他物に吸着するのを防ぐためのものではないかとの説も出されている。 日本産ではやなどが多数の毛に覆われた殻をもつ。 またオナジマイマイ科のなどの殻の周囲にも殻皮が伸びた毛が見られるほか、ヤマタニシ科のも長い毛を持つものが多いが、これらは老成すると脱落している場合も多い。 殻の形 [ ] 殻高が低い(=殻高より殻径の方が大きい)ものが一般的になじみがあるが、陸産貝類にはキセルガイ科(左巻き)やキセルモドキ科、オカチョウジガイ科(ともに右巻き)など細長い殻をもつものもある。 カタツムリと呼ばれるものの中にも、オナジマイマイ科のやニッポンマイマイ科のなども日本産の一般的な種に比べると殻高が高く、外国産のものでは更に長い殻をもつものも多く知られる。 一般的に樹上や岩などの壁面を生活圏とする種類で殻高の高くなる傾向がある。 しかし例外も多く殻形の適応については必ずしもよくわかっていない。 逆になどのように扁平な殻を持つ種もある。 海の貝では捕食者に対抗するために棘や瘤などで殻を武装するものも多いが、日本産のカタツムリでは目立つ突起を持つ種はいない。 世界的に見ても小型-微小な種で棘をもったものが少数知られるほかは、大部分の種は滑らかもしくは多少のシワやデコボコ、もしくはある程度の螺肋(らろく)や縦肋(じゅうろく)をもつ程度である。 これは活動の妨げになることと系統による制約との両方が関係していると考えられるが、明確な説はない。 また海の貝によく見られる螺肋は有肺類以外の陸貝ではしばしば見られるが、有肺類に限っては微小種以外ではあまり見られない。 ただし、弾力のある毛状の殻皮をもつものはしばしば見られ、日本産では多数の長い毛に被われるや、殻の縁沿いに毛が並ぶなどが見られる。 殻口 [ ] 殻口を複雑な凹凸で狭くする Daedalochila uvulifera (アパラチアマイマイ科)-- 陸貝のうち(ぜんさいるい)のものは殻口を塞ぐ蓋をもつが、カタツムリの大部分は蓋をもたない有肺類である。 そのため、敵に襲われて殻内に逃げ込んでも殻口が無防備となりやすく、一部の種では殻口を厚くしたり狭くしたりして、殻破壊の糸口や外敵の侵入などを防ぐように進化している。 では殻の内壁が弁状に突出したバネ式の閉弁構造を発達させており、体が殻奥に引っ込むと自動的に通路を塞ぐようになっている。 またや、なども殻口や殻内に多数の歯状突起や襞(ひだ)をもつ。 海岸近くに棲むにも同様の歯状突起をもつ種が多い。 外国のものではオニグチマイマイやサカダチマイマイなどが殻口内部に複雑な突起を発達させた種としてよく知られている。 このような様々な殻口の構造は成貝になって初めて形成されるのが普通で、成長の最後の仕上げとして大きなエネルギーを費やすのである。 このような殻口には種類ごとの特徴が出やすく、殻口が破損しているものや完全に形成されていない幼貝などではが難しい場合も多い。 殻口は貝自身にとっても観察者にとっても重要な部分の一つである。 殻の模様と色 [ ] (ナンバンマイマイ科)。 の熱帯林の樹上に生息し、鮮やかな緑色と黄色い色帯は保護色と考えられている。 カタツムリには様々な模様のあるものも多く、特に「色帯(しきたい)」と呼ばれる、殻頂を上にしたとき水平方向に走る帯状の模様をもつものが多い。 このパターンは系統とは関係なく世界中のカタツムリに多く見られる。 日本産の( Euhadra)では色帯の出る位置が決まっており、その位置は上から順に1-4の番号が振られ、帯がない場合は0で表記される。 全部の色帯が出たものは1234、まったく色帯のないものは0000となる。 この色帯も遺伝子に支配されていると考えられており、同一種の同一個体群内でもいろいろなものが見られることも多い。 また色帯と垂直に交わる色の濃淡が見られる場合もあり、これは「火炎彩(かえんさい)」「虎斑(こはん)」、あるいは「トラマイマイ模様」と呼ばれる。 これはや、などでよく見られる。 模様の呼称の元となったトラマイマイはの斑紋の顕著な一型とされ周辺地域に分布する。 カタツムリの色は一般に茶色系統のものが多く、特に日本産のものでは色彩の乏しいものが多い。 しかしにはのような鮮やかな黄緑色や、やのような鮮やかな模様をもつものなど、黄色や紫やピンクなど美しい色彩をもつものも多く、これらも生息環境に適応して進化した結果であると考えられている。 また伊豆諸島に分布するシモダマイマイでは殻の色彩が同地域に住むヘビの模様と呼応して変化しており、鳥などのに対する(Batesian mimics)ではないかという説もある。 蓋 [ ] カタツムリは一般に蓋を持たないが、ヤマタニシ科などでは蓋がある。 では蓋が円錐形に盛り上がるのが特徴になっている。 生態 [ ] 生息環境 [ ] 多くの種は乾燥に弱いためある程度の湿度があるところに多く生息するが、乾いたところを好む種類もあり、中には砂漠の環境に適応した種さえある。 やのように海岸や畑地、道路や人家周辺などの開けた場所を好む種や、深山にしか生息しない種などがあり、種ごとに地理的分布や生息環境が決まっていることが多い。 中には岩の表面に住むもの、朽ち木にいるもの、あるいは樹上性のものなど、限られた条件にのみ生息するものもある。 また、貝殻の材料となるはカタツムリにとって補給の難しい資源であり、個体数の制限要因となり得る。 したがって、それを豊富に供給してくれる地はカタツムリにとって好適な環境で、そのため種類も個体数も多い。 たとえばの隆起の森林では、温暖な気候も相まってカタツムリの個体数が多く、貝殻を踏まずに一歩も歩けないほどである。 また石灰岩地で種分化してとなっているものも多い。 このようなことから、ある場所で採取された一群のカタツムリを見ることで、その地理的位置やおおよその環境を推定することも可能である。 生殖 [ ] いろいろな形の恋矢(れんし)とその断面 などのではであるが、では同一個体が卵子と精子を持つである。 ただし成長中の個体にあっては雄の機能が先に成熟することが多い。 一般には他の個体と相互に交尾することで受精し産卵する。 雌雄同体のためもできるが、産卵数・孵化率とも著しく低下する例が多い。 交尾の際、は(せいきょう)と呼ばれる入れ物ごと受け渡されるのが普通である。 一般には生殖器を直接挿入しない動物が精子の入れ物として精莢を形成するが、カタツムリは直接交尾をするにもかかわらず精莢を作るため、その機能は精子運搬のためだけではなく、精子の栄養体ではないかと考えられている。 精莢は雄部生殖器の一部を鋳型として形成されるため分類群によって違った形をしているが、概ね半透明で細長いのが一般的で、受け取った側の雌部生殖器内で分解される。 リンゴマイマイ科やオナジマイマイ科など一部のグループでは生殖器に(れんし、英:)と呼ばれる石灰質の状構造を持ち、交尾の際にはそれを相手に突き刺すことが知られている。 その行動はダートシューティングと呼ばれる。 恋矢で刺された個体は寿命が短くなることが明らかになっている。 またオナジマイマイ科やニッポンマイマイ科では、生殖期に大触角の間の「額」の位置が盛り上がって瘤(こぶ)状になっているのが見られることがある。 これは頭瘤(とうりゅう)と呼ばれるもので、性を分泌すると考えられている。 卵はの殻で覆われた球形のものが多いが、のものや、やの一部のようにで稚貝を直接生むものなどもある。 産卵場所は地面の浅いところや朽木の下、木の根元の隙間などで、卵は頭部後方側面の生殖孔から一つずつ産み落とされ、一箇所にまとめられるのが普通である。 多くは1週間から1か月程度で孵化する。 通常の水生巻貝に見られるような幼生期は卵の中で過ごすため、孵化した子は小さくて巻きも少ないとはいえ既にカタツムリの形をしている。 餌 [ ] ヒダリマキマイマイとその食痕。 1個のしずく型が一舐めの痕。 横一列に数回舐めると "一歩" 前進し、手前の列が終わった地点から再び横一列に舐め始めるため、食痕はS字状の連続となる。 ほとんどの種は植物性のものを食べ、生の植物や枯葉などやや分解の進んだ植物遺骸などを食べるほか、を餌とするもの、雑食性のものなどがあり、一般にやや広い食性をもつ。 また建物壁面やガードレールなどの人工物の表面に発生したも餌となり、そのは日常的に見ることができる。 農作物や園芸植物を食べるやは害虫として駆除の対象ともなる。 多くの種がセルロースを分解吸収できるため、やなどの紙類もよく食べ、その場合には糞も元の紙の色になる。 しかし中には他のカタツムリを捕食する肉食性の種もあり、米国南部原産の肉食種はの駆除のためにや、その他の太平洋諸島に人為的に移入された。 しかしアフリカマイマイの駆除にはあまり役立たず、むしろこれらの島々の固有種を捕食して絶滅に一役買うこととなってしまった。 このほか近年日本の一部に定着した地中海原産のも農作物のほか陸貝を捕食すると言われており、のはを捕食する大型種として知られる。 またカタツムリは殻を形成・維持するためにを多く必要とし、捨てられた貝殻や古くなった他のカタツムリの死殻をなめることもある。 雨が降った後、塀や壁にカタツムリが沢山現れる所を見ることがあるが、これもコンクリートに含まれるカルシウムを摂食する為に集まっている現象である。 天敵 [ ] 捕食中の カタツムリを主食とする動物()としては、類の幼虫や類のがよく知られているが、に分布するアゴザトウムシ科 Ischyropsalididae のも主にカタツムリを食べることから、ドイツ語で ("マイマイザトウムシ"の意)と呼ばれる。 やに生息するもカタツムリを専食することで知られ、顎を器用に使い貝の中身だけを食べる。 これらの専食者以外にも多くの動物が捕食者となり、なかでも鳥類は主な天敵の一つである。 また地上性のカタツムリでは、類、、、、、、類、類などのにも捕食されるほか、やなどの扁形動物、類、捕食寄生をするの昆虫など敵は非常に多い。 餌の項にもあるとおり、同じ陸産貝類にも肉食で陸貝を狙うものがあり、日本ではがその例として知られている。 これらの天敵に対し、殻のある種では殻の中にじっと潜んで天敵から身を守るのが一般的であるが、など腹足の筋肉が大きく進化した一部の種ではやなどの天敵に対し殻を振り回して撃退していることが実証研究で明らかになっている ()。 寿命 [ ] カタツムリの寿命は種によって大きく異なるはずだが、それほど詳しいことはわかってはいない。 大型のマイマイ類では数年、小型の殻の薄い種類では1年程度かそれ以下と考えられており、の寿命は普通1年で後者に属する。 科のものは長寿傾向にあり、野外で成貝として採取したを15年間飼育した例も知られている。 この例では、飼育環境を不注意に乾燥させてしまったのが死因であるため、実際には更に長生きした可能性もあるという。 人との関わり [ ] 名称 [ ] 日本語における名称としてはカタツムリの他に、デンデンムシ、マイマイ、蝸牛(かぎゅう)などがある。 語源については諸説がある。 カタツムリ 笠つぶり説、潟つぶり説、片角振り説など諸説ある。 なお、「つぶり」は古語の「つび(海螺)」で巻貝を意味する。 デンデンムシ 子供たちが殻から出ろ出ろとはやし立てた「出ん出ん虫」(「出ん」は出ようの意)であるとの説がある。 マイマイ 「デンデンムシ」と同様に子供たちが舞え舞えとはやし立てたことに由来するとの説がある。 蝸牛 語源については動作や頭の角がウシを連想させたためとみる説がある。 はカタツムリの(デデムシ、マイマイ、カタツムリ、ツブリ、ナメクジ)の分布の考察を通して、『』において方言というものは時代に応じて京都で使われていた語形が地方に向かって同心円状に伝播していった結果として形成されたものなのではないかとする「」を展開した。 ただし晩年の柳田は方言周圏論の問題点を認識するようになっていた。 他の言語では陸のカタツムリと水生の巻貝類を呼び分けないこともあり、翻訳などの際に注意が必要である。 例えば英語のや独語のなどはカタツムリばかりでなく全体を指す語であり、単に"snail"などとある場合には前後関係から陸生か水生かを判断しなければならない。 これらの言語では特に陸貝を言う場合はland snail s 、Landschnecke n などと言うこともある。 食品・民間薬 [ ] ・のエスカルゴの養殖場 として有名なは、専用のブドウ畑(高級品ならワイン用の品種のブドウを用いる)や穀類で寄生虫がつかないよう衛生的に養殖された(Helicidae)のカタツムリの一種であり 、主にヨーロッパとヨーロッパ系人種が多いアメリカで食用にされ、養殖も盛んに行われている。 スペイン・では、の具材として欠かすことのできない食材である。 ギリシャでも広く食用にされている。 フランス領のなどでは、現地に産するの 属のものが大量に消費されてきた。 卵もホワイトキャビアの俗名で食用とされる場合がある。 缶詰などのエスカルゴにはなどを使ったものも多く、中国や台湾などでは白珠といわれる軟体部の白いアフリカマイマイの品種が多く養殖されている。 アフリカマイマイ科とリンゴマイマイ科では足の溝の特徴が異なるため、缶詰の肉でも判別可能である。 一般にはアフリカマイマイの肉の方がやや硬いとも言われるが、調理法や個人の嗜好にもよるため優劣を比較することはできない。 日本でもカタツムリを食べる文化は古くからある。 例えば飛騨地方ではが子供のおやつとして焼いて食べられていた 他、喉や喘息の薬になると信じられ、殻を割って生食することも昭和時代まで一部で行われていた(後述にもあるがカタツムリは寄生虫の宿主であることが多く、衛生的に養殖された物を除き生食する行為は危険である)。 また殻ごと黒焼きにしたものも民間薬として使用され、21世紀初頭でも黒焼き専門店などで焼いたままのものや粉末にしたものなどが販売されている。 食用上・飼育観察上の注意 [ ] 種類にもよるがカタツムリやナメクジ、ヤマタニシやキセルガイなどの陸生貝及びタニシ類などの淡水生の巻貝はなどの寄生虫を持っていることがままある。 接触後は手や接触部分をしっかり石鹸や洗剤で洗い、乾燥させ、直接及び間接的に口・眼・鼻・陰部などの各粘膜及び傷口からの感染を、予防しなければならない。 万一、体内に上記の寄生虫が迷入・感染すると、で生育しようとするため、眼球や脳などの主要器官が迷入先である場合が多い。 よって、罹患者は死亡または重い障害が残るに至る可能性が大きい。 信仰 [ ] カタツムリを信仰対象とするものは、前述の民間療法と関連したと見られるものが多い。 埼玉県には子供の耳ダレに験があるとされる「だいろ神」というカタツムリ神があり、祠にはカタツムリの殻を奉納したと言われる(「だいろ」とはカタツムリのことで、地方によってはナメクジを指すこともある)。 珍しい信仰で、カタツムリの粘液やからの発想である可能性が高いが、詳しい由来は不明である。 民俗・芸能 [ ] カタツムリは古くから子供たちに親しまれていて、日本では多くのや囃し文句などがあるほか、多くの呼称がある。 これらはの『』にもの好例として多く採録され、でんでんむしなどその語源なども考察されている。 柳田によれば「でんでん」は「出ろ、出ろ」と子供がカタツムリを指して呼ぶ言葉が訛ったものではないかと推測している。 国定教科書に「かたつむり」の唱歌が掲載されて以降は「カタツムリ」という呼称が確立され、現在は総称としても用いられるに至った。 このため地方の方言呼称や童謡がどれほど残っているかは疑問である。 かたつむり(唱歌) [ ] 映像外部リンク - () 作詞作曲:不詳 「」((明治44年)発表)• 講談社『もっと! 科学の宝箱 もっと! 人に話したくなる25の「すごい」豆知識』(TBSラジオ編、2014年)• INAXストーリー. 2012年6月14日閲覧。 2Aug2018閲覧。 貝のストーリー 「貝的生活」をめぐる7つの謎解き. 東海大学出版部• 毎日新聞、2016年12月12日閲覧• Morii, Yuta; Prozorova, Larisa; Chiba, Sathosi 2016-11-11. Nature Publishing Group. 6 Article number: 35600. 39 参考文献 [ ]• 『原色日本陸産貝類図鑑』〈保育社の原色図鑑 61〉、1995年(原著1982年)。 編著『日本の貝』成美堂出版〈ポケット図鑑〉、1994年6月。 、『貝』保育社〈エコロン自然シリーズ〉、1996年4月(原著1978年)、改訂版。 フリーランス雑学ライダーズ編著『あて字のおもしろ雑学 意外な驚き・知的な楽しさ』永岡書店、1988年9月。 写真と文『貝の図鑑 採集と標本の作り方 海からの贈り物』南方新社、2003年8月。 Abbott, R. Tucker October 1989. Compendium of Landshells: A Full-Color Guide to More than 2,000 of the World's Terrestrial Shells. Melbourne, Florida: American Malacologists, Inc.. 240. PDF. BMC Evolutionary Biology BioMed Central Ltd. 5 59 : 11. 関連項目 [ ]• 外部リンク [ ]• ・『』 -• - 動物行動の映像データベース。 オオベソマイマイ属の交尾時に恋矢で相手を突き刺す動画。

次の

犬は『カタツムリ』が原因で死に至ることがあるって本当?

寄生 され た カタツムリ

概要 [ ] 「カタツムリ」という語は日常語であって特定のを指してはおらず、生物学的な分類では多くの科にまたがるため厳密な定義はない。 (陸に生息する)のうち、殻のないものを大雑把に「」、殻を持つものを「カタツムリ」「 デンデンムシ」などと呼ぶ。 一般にカタツムリは蓋をもたずの先に目を持つの陸貝で、中でも球型や饅頭型の殻を持つものを指すことが多く、殻に蓋をもつ類や細長い殻をもつなどがカタツムリと呼ばれることは少ない。 しかし前述のとおり厳密な定義がないため、殻をもつ陸貝をすべてカタツムリと呼んでも間違いとは言えない。 日本では一般的にカタツムリと呼ばれるものとしてはやの種類が代表的なものである。 一般に移動能力が小さく、山脈や乾燥地、水域などを越えて分布を広げることが難しいため、地域ごとにが起こりやすい。 他の動物群と同様に、種類は北より南の地方で多い傾向がある。 日本列島に限っても、広い分布域をもっているのは畑地や人家周辺にも見られるや、のなどごくわずかな種で 、それ以外のカタツムリは地域ごとに異なる種が生息しており、関東と関西では多くの種類が入れ替わっている。 また島などでは特に種分化が起こりやすく、やでは島ごとに固有種が進化していることも多い。 このような種分化は地球規模ではさらに顕著で、大陸間ではやのレベルで大きく異なるのが普通である。 紅白の軟体をもつ Indrella ampulla (マラッカベッコウマイマイ科:産)。 2枚の丸襟のように見えるのは外套膜の伸長部で、その合わせ目の部分が呼吸孔。 体は軟体部とも呼ばれ、(かくじくきん)と呼ばれるで殻内の殻軸部に付着している。 この筋肉を収縮させ体を殻内に引き込む。 殻と体は別物ではなく、殻は体の器官の一つであり、中に内臓もある。 よって、カタツムリが殻から出たらナメクジになるということはなく、殻が大きく破損したり、無理に取ったりした場合死んでしまう。 他のも同じである。 一般にカタツムリと呼ばれる有肺類では頭部に触角が大小2対あり、大触角(後触角)の先端には眼がある。 これに対しヤマタニシなどの前鰓類の陸貝では触角は1対しかなく、先がとがっており、眼はその根元にあるなどの違いがある。 全てのカタツムリは軟体部が湿った状態でなければ生きていけない。 また暑さ寒さによっても活動に支障が出る。 このような時にはカタツムリは物陰に潜み、殻の中に軟体を引っ込めて、殻口に粘液の膜を張る。 この膜は専門用語で「エピフラム」 と呼ばれるもので、乾燥するとやのような質感の膜になり、軟体を乾燥から守る。 またエピフラムには微小な穴も開いていて、窒息しないようになっている。 ナメクジと近縁の種であるため塩分に弱いというイメージが持たれがちであるが、小笠原諸島のみに生息するオトメカタマイマイなどは本土から流木に乗って海を渡り小笠原諸島に漂流して独自の進化を遂げたと推測されており、むしろ塩分には耐性がある。 触角のある頭部下面には口があり、口内の上には顎板(がくばん:jaw)が、底部にはおろし金状の(しぜつ:radula)があり、後者で餌を磨り取って食べる。 ガラス面を這うカタツムリの口を観察すると赤味を帯びた小さいものが見え隠れすることがあるが、これが顎板で、さらによく見ると顎板の動きと呼応して透明の歯舌の運動も見られる。 口は食道から胃へとつながり、奥の方でUターンして殻口近くで肛門となる。 カタツムリは他の有肺類と同様にで、触角の後方側面(右巻きでは右側、左巻きでは左側)に生殖孔と呼ばれる生殖器の開口部があるが、普段は閉じていて目立たない。 生殖孔は一つであるが、そのすぐ内部では雌雄の二つの生殖器の開口部に分かれている。 生殖行動時には内部から陰茎が反転翻出し相互に生殖孔に挿入して交尾が行われる。 生殖器の構造は分類上きわめて重要な部分と考えられており、新種記載の際にはその構造を図示記載するのが通例である。 同定する際にも解剖してその構造を調べなければならない場合も多く、古い時代に殻の特徴のみで分類されたものが、後に生殖器の構造からまったくの別科であったと判明したものもある。 一般に動きが鈍いとされるが、一概には言えず、短い距離では、肉食性のカタツムリ(エウグランディナ・ロセアなど)は、獲物を捕らえようとするときには他のカタツムリを追い越すスピードを出す。 1993年12月25日)。 殻 [ ] 殻の巻き方 [ ] カタツムリには(右旋:dextral)と(左旋:sinistral)があり、上から見て、渦の中心からどちら回りに殻が成長するかで決められる。 実際に区別をするには、殻頂を上にして殻の口を自分の方に向けたとき、殻の口が右にあれば右巻き、左にあれば左巻きとするのが簡単である。 日本産のものでは種ごとに巻きの方向が遺伝的に決まっており、大部分の種は右巻きであるが、など少数の左巻き種がおり、キセルガイ科のように科全体が左巻きのものもいる。 巻きの方向を決めるのは一つの遺伝子によるとされ、この遺伝子が欠如もしくは機能しない場合、その種本来の巻き方向とは逆に巻いた逆旋回個体となるという。 実際に逆旋個体が発見されることもあるが、きわめて稀な例である。 通常、逆旋個体は体の構造も逆で、交尾孔も右旋個体は右側、左旋個体は左側に開く。 多くのカタツムリでは対面しながらすれ違う位置で交尾孔のある側を相互に合わせるため、巻き方が逆であると交尾が困難となり種分化がおこる場合もあると考えられている。 外国にはやのように同一種内で右巻きと左巻きの両方が普通に出現する種類もある。 このような両旋型の種の交尾は、他方の殻の上にもう一方の個体が乗るマウンティング形式であるため巻き方の違う個体同士でも交尾が可能であるという。 殻皮 [ ] カドバリコマイマイ科の Trochulus 属の一種。 殻皮に毛をもつ種は色々な科に見られるが、その意味はよく分かっていない。 カタツムリの表面にはキチン質で構成された(かくひ)と呼ばれる薄膜があり、石灰質で出来た殻の表面を覆っている。 殻皮はカタツムリに限らず貝類のほとんどの種類に存在し、石灰質の殻本体を腐食から保護するのが基本的な役目であるが、カタツムリではそれに加え汚れが付き難くする役目、彩色することにより殻を背景にとけ込ませる保護色の役目なども合わせもつとされる。 殻皮の表面には細かい凹凸や規則正しい微細なディンプルが無数に存在し、接着面積を少なくすることによって、殻皮に付着したゴミや汚れなどを雨で洗い落とす効果があり、その結果カタツムリは殻表をいつも美しく清潔に保っているとされ、この構造にヒントを得た防汚効果のある建物の外壁なども開発されている。 またフィリピンのタニシマイマイ類などには、二重構造の殻皮をもつことで日照時と降雨時の色や模様が変化し、鳥などの外敵から見つかり難くする効果を得ているとされる種類も知られている。 さらに殻皮が一部が変化して毛状になっている種類も世界中の色々な科に見られるが、その機能についてはよく分かっていない。 欧州の Trochulus 属のカタツムリでは、水分の多い環境に棲む種に特に毛が発達する傾向が見られることから、濡れた殻が他物に吸着するのを防ぐためのものではないかとの説も出されている。 日本産ではやなどが多数の毛に覆われた殻をもつ。 またオナジマイマイ科のなどの殻の周囲にも殻皮が伸びた毛が見られるほか、ヤマタニシ科のも長い毛を持つものが多いが、これらは老成すると脱落している場合も多い。 殻の形 [ ] 殻高が低い(=殻高より殻径の方が大きい)ものが一般的になじみがあるが、陸産貝類にはキセルガイ科(左巻き)やキセルモドキ科、オカチョウジガイ科(ともに右巻き)など細長い殻をもつものもある。 カタツムリと呼ばれるものの中にも、オナジマイマイ科のやニッポンマイマイ科のなども日本産の一般的な種に比べると殻高が高く、外国産のものでは更に長い殻をもつものも多く知られる。 一般的に樹上や岩などの壁面を生活圏とする種類で殻高の高くなる傾向がある。 しかし例外も多く殻形の適応については必ずしもよくわかっていない。 逆になどのように扁平な殻を持つ種もある。 海の貝では捕食者に対抗するために棘や瘤などで殻を武装するものも多いが、日本産のカタツムリでは目立つ突起を持つ種はいない。 世界的に見ても小型-微小な種で棘をもったものが少数知られるほかは、大部分の種は滑らかもしくは多少のシワやデコボコ、もしくはある程度の螺肋(らろく)や縦肋(じゅうろく)をもつ程度である。 これは活動の妨げになることと系統による制約との両方が関係していると考えられるが、明確な説はない。 また海の貝によく見られる螺肋は有肺類以外の陸貝ではしばしば見られるが、有肺類に限っては微小種以外ではあまり見られない。 ただし、弾力のある毛状の殻皮をもつものはしばしば見られ、日本産では多数の長い毛に被われるや、殻の縁沿いに毛が並ぶなどが見られる。 殻口 [ ] 殻口を複雑な凹凸で狭くする Daedalochila uvulifera (アパラチアマイマイ科)-- 陸貝のうち(ぜんさいるい)のものは殻口を塞ぐ蓋をもつが、カタツムリの大部分は蓋をもたない有肺類である。 そのため、敵に襲われて殻内に逃げ込んでも殻口が無防備となりやすく、一部の種では殻口を厚くしたり狭くしたりして、殻破壊の糸口や外敵の侵入などを防ぐように進化している。 では殻の内壁が弁状に突出したバネ式の閉弁構造を発達させており、体が殻奥に引っ込むと自動的に通路を塞ぐようになっている。 またや、なども殻口や殻内に多数の歯状突起や襞(ひだ)をもつ。 海岸近くに棲むにも同様の歯状突起をもつ種が多い。 外国のものではオニグチマイマイやサカダチマイマイなどが殻口内部に複雑な突起を発達させた種としてよく知られている。 このような様々な殻口の構造は成貝になって初めて形成されるのが普通で、成長の最後の仕上げとして大きなエネルギーを費やすのである。 このような殻口には種類ごとの特徴が出やすく、殻口が破損しているものや完全に形成されていない幼貝などではが難しい場合も多い。 殻口は貝自身にとっても観察者にとっても重要な部分の一つである。 殻の模様と色 [ ] (ナンバンマイマイ科)。 の熱帯林の樹上に生息し、鮮やかな緑色と黄色い色帯は保護色と考えられている。 カタツムリには様々な模様のあるものも多く、特に「色帯(しきたい)」と呼ばれる、殻頂を上にしたとき水平方向に走る帯状の模様をもつものが多い。 このパターンは系統とは関係なく世界中のカタツムリに多く見られる。 日本産の( Euhadra)では色帯の出る位置が決まっており、その位置は上から順に1-4の番号が振られ、帯がない場合は0で表記される。 全部の色帯が出たものは1234、まったく色帯のないものは0000となる。 この色帯も遺伝子に支配されていると考えられており、同一種の同一個体群内でもいろいろなものが見られることも多い。 また色帯と垂直に交わる色の濃淡が見られる場合もあり、これは「火炎彩(かえんさい)」「虎斑(こはん)」、あるいは「トラマイマイ模様」と呼ばれる。 これはや、などでよく見られる。 模様の呼称の元となったトラマイマイはの斑紋の顕著な一型とされ周辺地域に分布する。 カタツムリの色は一般に茶色系統のものが多く、特に日本産のものでは色彩の乏しいものが多い。 しかしにはのような鮮やかな黄緑色や、やのような鮮やかな模様をもつものなど、黄色や紫やピンクなど美しい色彩をもつものも多く、これらも生息環境に適応して進化した結果であると考えられている。 また伊豆諸島に分布するシモダマイマイでは殻の色彩が同地域に住むヘビの模様と呼応して変化しており、鳥などのに対する(Batesian mimics)ではないかという説もある。 蓋 [ ] カタツムリは一般に蓋を持たないが、ヤマタニシ科などでは蓋がある。 では蓋が円錐形に盛り上がるのが特徴になっている。 生態 [ ] 生息環境 [ ] 多くの種は乾燥に弱いためある程度の湿度があるところに多く生息するが、乾いたところを好む種類もあり、中には砂漠の環境に適応した種さえある。 やのように海岸や畑地、道路や人家周辺などの開けた場所を好む種や、深山にしか生息しない種などがあり、種ごとに地理的分布や生息環境が決まっていることが多い。 中には岩の表面に住むもの、朽ち木にいるもの、あるいは樹上性のものなど、限られた条件にのみ生息するものもある。 また、貝殻の材料となるはカタツムリにとって補給の難しい資源であり、個体数の制限要因となり得る。 したがって、それを豊富に供給してくれる地はカタツムリにとって好適な環境で、そのため種類も個体数も多い。 たとえばの隆起の森林では、温暖な気候も相まってカタツムリの個体数が多く、貝殻を踏まずに一歩も歩けないほどである。 また石灰岩地で種分化してとなっているものも多い。 このようなことから、ある場所で採取された一群のカタツムリを見ることで、その地理的位置やおおよその環境を推定することも可能である。 生殖 [ ] いろいろな形の恋矢(れんし)とその断面 などのではであるが、では同一個体が卵子と精子を持つである。 ただし成長中の個体にあっては雄の機能が先に成熟することが多い。 一般には他の個体と相互に交尾することで受精し産卵する。 雌雄同体のためもできるが、産卵数・孵化率とも著しく低下する例が多い。 交尾の際、は(せいきょう)と呼ばれる入れ物ごと受け渡されるのが普通である。 一般には生殖器を直接挿入しない動物が精子の入れ物として精莢を形成するが、カタツムリは直接交尾をするにもかかわらず精莢を作るため、その機能は精子運搬のためだけではなく、精子の栄養体ではないかと考えられている。 精莢は雄部生殖器の一部を鋳型として形成されるため分類群によって違った形をしているが、概ね半透明で細長いのが一般的で、受け取った側の雌部生殖器内で分解される。 リンゴマイマイ科やオナジマイマイ科など一部のグループでは生殖器に(れんし、英:)と呼ばれる石灰質の状構造を持ち、交尾の際にはそれを相手に突き刺すことが知られている。 その行動はダートシューティングと呼ばれる。 恋矢で刺された個体は寿命が短くなることが明らかになっている。 またオナジマイマイ科やニッポンマイマイ科では、生殖期に大触角の間の「額」の位置が盛り上がって瘤(こぶ)状になっているのが見られることがある。 これは頭瘤(とうりゅう)と呼ばれるもので、性を分泌すると考えられている。 卵はの殻で覆われた球形のものが多いが、のものや、やの一部のようにで稚貝を直接生むものなどもある。 産卵場所は地面の浅いところや朽木の下、木の根元の隙間などで、卵は頭部後方側面の生殖孔から一つずつ産み落とされ、一箇所にまとめられるのが普通である。 多くは1週間から1か月程度で孵化する。 通常の水生巻貝に見られるような幼生期は卵の中で過ごすため、孵化した子は小さくて巻きも少ないとはいえ既にカタツムリの形をしている。 餌 [ ] ヒダリマキマイマイとその食痕。 1個のしずく型が一舐めの痕。 横一列に数回舐めると "一歩" 前進し、手前の列が終わった地点から再び横一列に舐め始めるため、食痕はS字状の連続となる。 ほとんどの種は植物性のものを食べ、生の植物や枯葉などやや分解の進んだ植物遺骸などを食べるほか、を餌とするもの、雑食性のものなどがあり、一般にやや広い食性をもつ。 また建物壁面やガードレールなどの人工物の表面に発生したも餌となり、そのは日常的に見ることができる。 農作物や園芸植物を食べるやは害虫として駆除の対象ともなる。 多くの種がセルロースを分解吸収できるため、やなどの紙類もよく食べ、その場合には糞も元の紙の色になる。 しかし中には他のカタツムリを捕食する肉食性の種もあり、米国南部原産の肉食種はの駆除のためにや、その他の太平洋諸島に人為的に移入された。 しかしアフリカマイマイの駆除にはあまり役立たず、むしろこれらの島々の固有種を捕食して絶滅に一役買うこととなってしまった。 このほか近年日本の一部に定着した地中海原産のも農作物のほか陸貝を捕食すると言われており、のはを捕食する大型種として知られる。 またカタツムリは殻を形成・維持するためにを多く必要とし、捨てられた貝殻や古くなった他のカタツムリの死殻をなめることもある。 雨が降った後、塀や壁にカタツムリが沢山現れる所を見ることがあるが、これもコンクリートに含まれるカルシウムを摂食する為に集まっている現象である。 天敵 [ ] 捕食中の カタツムリを主食とする動物()としては、類の幼虫や類のがよく知られているが、に分布するアゴザトウムシ科 Ischyropsalididae のも主にカタツムリを食べることから、ドイツ語で ("マイマイザトウムシ"の意)と呼ばれる。 やに生息するもカタツムリを専食することで知られ、顎を器用に使い貝の中身だけを食べる。 これらの専食者以外にも多くの動物が捕食者となり、なかでも鳥類は主な天敵の一つである。 また地上性のカタツムリでは、類、、、、、、類、類などのにも捕食されるほか、やなどの扁形動物、類、捕食寄生をするの昆虫など敵は非常に多い。 餌の項にもあるとおり、同じ陸産貝類にも肉食で陸貝を狙うものがあり、日本ではがその例として知られている。 これらの天敵に対し、殻のある種では殻の中にじっと潜んで天敵から身を守るのが一般的であるが、など腹足の筋肉が大きく進化した一部の種ではやなどの天敵に対し殻を振り回して撃退していることが実証研究で明らかになっている ()。 寿命 [ ] カタツムリの寿命は種によって大きく異なるはずだが、それほど詳しいことはわかってはいない。 大型のマイマイ類では数年、小型の殻の薄い種類では1年程度かそれ以下と考えられており、の寿命は普通1年で後者に属する。 科のものは長寿傾向にあり、野外で成貝として採取したを15年間飼育した例も知られている。 この例では、飼育環境を不注意に乾燥させてしまったのが死因であるため、実際には更に長生きした可能性もあるという。 人との関わり [ ] 名称 [ ] 日本語における名称としてはカタツムリの他に、デンデンムシ、マイマイ、蝸牛(かぎゅう)などがある。 語源については諸説がある。 カタツムリ 笠つぶり説、潟つぶり説、片角振り説など諸説ある。 なお、「つぶり」は古語の「つび(海螺)」で巻貝を意味する。 デンデンムシ 子供たちが殻から出ろ出ろとはやし立てた「出ん出ん虫」(「出ん」は出ようの意)であるとの説がある。 マイマイ 「デンデンムシ」と同様に子供たちが舞え舞えとはやし立てたことに由来するとの説がある。 蝸牛 語源については動作や頭の角がウシを連想させたためとみる説がある。 はカタツムリの(デデムシ、マイマイ、カタツムリ、ツブリ、ナメクジ)の分布の考察を通して、『』において方言というものは時代に応じて京都で使われていた語形が地方に向かって同心円状に伝播していった結果として形成されたものなのではないかとする「」を展開した。 ただし晩年の柳田は方言周圏論の問題点を認識するようになっていた。 他の言語では陸のカタツムリと水生の巻貝類を呼び分けないこともあり、翻訳などの際に注意が必要である。 例えば英語のや独語のなどはカタツムリばかりでなく全体を指す語であり、単に"snail"などとある場合には前後関係から陸生か水生かを判断しなければならない。 これらの言語では特に陸貝を言う場合はland snail s 、Landschnecke n などと言うこともある。 食品・民間薬 [ ] ・のエスカルゴの養殖場 として有名なは、専用のブドウ畑(高級品ならワイン用の品種のブドウを用いる)や穀類で寄生虫がつかないよう衛生的に養殖された(Helicidae)のカタツムリの一種であり 、主にヨーロッパとヨーロッパ系人種が多いアメリカで食用にされ、養殖も盛んに行われている。 スペイン・では、の具材として欠かすことのできない食材である。 ギリシャでも広く食用にされている。 フランス領のなどでは、現地に産するの 属のものが大量に消費されてきた。 卵もホワイトキャビアの俗名で食用とされる場合がある。 缶詰などのエスカルゴにはなどを使ったものも多く、中国や台湾などでは白珠といわれる軟体部の白いアフリカマイマイの品種が多く養殖されている。 アフリカマイマイ科とリンゴマイマイ科では足の溝の特徴が異なるため、缶詰の肉でも判別可能である。 一般にはアフリカマイマイの肉の方がやや硬いとも言われるが、調理法や個人の嗜好にもよるため優劣を比較することはできない。 日本でもカタツムリを食べる文化は古くからある。 例えば飛騨地方ではが子供のおやつとして焼いて食べられていた 他、喉や喘息の薬になると信じられ、殻を割って生食することも昭和時代まで一部で行われていた(後述にもあるがカタツムリは寄生虫の宿主であることが多く、衛生的に養殖された物を除き生食する行為は危険である)。 また殻ごと黒焼きにしたものも民間薬として使用され、21世紀初頭でも黒焼き専門店などで焼いたままのものや粉末にしたものなどが販売されている。 食用上・飼育観察上の注意 [ ] 種類にもよるがカタツムリやナメクジ、ヤマタニシやキセルガイなどの陸生貝及びタニシ類などの淡水生の巻貝はなどの寄生虫を持っていることがままある。 接触後は手や接触部分をしっかり石鹸や洗剤で洗い、乾燥させ、直接及び間接的に口・眼・鼻・陰部などの各粘膜及び傷口からの感染を、予防しなければならない。 万一、体内に上記の寄生虫が迷入・感染すると、で生育しようとするため、眼球や脳などの主要器官が迷入先である場合が多い。 よって、罹患者は死亡または重い障害が残るに至る可能性が大きい。 信仰 [ ] カタツムリを信仰対象とするものは、前述の民間療法と関連したと見られるものが多い。 埼玉県には子供の耳ダレに験があるとされる「だいろ神」というカタツムリ神があり、祠にはカタツムリの殻を奉納したと言われる(「だいろ」とはカタツムリのことで、地方によってはナメクジを指すこともある)。 珍しい信仰で、カタツムリの粘液やからの発想である可能性が高いが、詳しい由来は不明である。 民俗・芸能 [ ] カタツムリは古くから子供たちに親しまれていて、日本では多くのや囃し文句などがあるほか、多くの呼称がある。 これらはの『』にもの好例として多く採録され、でんでんむしなどその語源なども考察されている。 柳田によれば「でんでん」は「出ろ、出ろ」と子供がカタツムリを指して呼ぶ言葉が訛ったものではないかと推測している。 国定教科書に「かたつむり」の唱歌が掲載されて以降は「カタツムリ」という呼称が確立され、現在は総称としても用いられるに至った。 このため地方の方言呼称や童謡がどれほど残っているかは疑問である。 かたつむり(唱歌) [ ] 映像外部リンク - () 作詞作曲:不詳 「」((明治44年)発表)• 講談社『もっと! 科学の宝箱 もっと! 人に話したくなる25の「すごい」豆知識』(TBSラジオ編、2014年)• INAXストーリー. 2012年6月14日閲覧。 2Aug2018閲覧。 貝のストーリー 「貝的生活」をめぐる7つの謎解き. 東海大学出版部• 毎日新聞、2016年12月12日閲覧• Morii, Yuta; Prozorova, Larisa; Chiba, Sathosi 2016-11-11. Nature Publishing Group. 6 Article number: 35600. 39 参考文献 [ ]• 『原色日本陸産貝類図鑑』〈保育社の原色図鑑 61〉、1995年(原著1982年)。 編著『日本の貝』成美堂出版〈ポケット図鑑〉、1994年6月。 、『貝』保育社〈エコロン自然シリーズ〉、1996年4月(原著1978年)、改訂版。 フリーランス雑学ライダーズ編著『あて字のおもしろ雑学 意外な驚き・知的な楽しさ』永岡書店、1988年9月。 写真と文『貝の図鑑 採集と標本の作り方 海からの贈り物』南方新社、2003年8月。 Abbott, R. Tucker October 1989. Compendium of Landshells: A Full-Color Guide to More than 2,000 of the World's Terrestrial Shells. Melbourne, Florida: American Malacologists, Inc.. 240. PDF. BMC Evolutionary Biology BioMed Central Ltd. 5 59 : 11. 関連項目 [ ]• 外部リンク [ ]• ・『』 -• - 動物行動の映像データベース。 オオベソマイマイ属の交尾時に恋矢で相手を突き刺す動画。

次の