顧客視点とお客様の声は全くの別物 サービスや商品の提供者が顧客視点を理解する手段の1つとして、アンケートリサーチを実施するケースがあります。 アンケートを実施して「お客様の声」を集め、顧客視点を理解しようというわけです。 しかし、このアプローチは顧客視点について誤った理解をしているため上手くいかない可能性が高いです。 一見、顧客視点とアンケートで得られる「お客様の声」は合致するように思われます。 しかし、実際のところこの2つは異なるものです。 なぜなら、決められた設問に回答するだけのアンケートでは、顧客は自ら本当のニーズを表現する(言語化する)ことができないからです。 また、アンケートを提供者側で作成する場合、真の顧客視点の質問ではなく提供者視点(提供者の思い込みによる疑似顧客視点)で作られるケースが多いことも理由の1つです。 提供者側で考える顧客視点はいわば理想の顧客像であって、現実の顧客が求めるニーズは全く逆であったり、別次元のものであったりすることも十分ありえます。 顧客が行動するのは、自分自身の欲求や願望を満たすため 実際に、提供者が「顧客はどのような商品やサービスが欲しいのか」についてシンプルに考えられているケースは少なく、提供者側の視点で「自社製品を買ってもらうにはどうしたらよいか?」「どうすれば他社の製品より好きになってもらえるか?」と考えてしまう場合が多いようです。 提供者視点の問題点は、顧客のアクションを変える手段にばかり目を向けてしまい、一番重要な顧客の目的について深く考えなくなってしまうことです。 顧客のアクションの動機はあくまで自身の欲求や望みを満たすことにあります。 意識的に提供者視点から顧客視点に転換し、顧客へ感情移入することで、初めて顧客の隠れた欲求を深く理解することができます。 感情移入して顧客の行動を考える では、どのような方法をとれば、提供者視点から顧客視点への転換を図ることができるでしょうか。 それはマーケティング戦略の枠組みを、提供者側から「4P」で捉えていくのではなく、顧客側から「4C」で捉えていくことで、実現できます。 例えばWebサイトにおけるマーケティングを提供者視点で考えた場合、以下のようになります。 リードの獲得にお悩みの方は、今一度、顧客の本当のニーズを理解できているか振り返ってみてはいかがでしょうか?.
次の集中的に『顧客起点マーケティング』(西口一希著)から学んだことをまとめています。 マーケティングの本質、基礎、実践がここにあると思うからです。 マーケティングがどこからスタートするかというと、いうまでもなく、マーケット(市場)です。 マーケットとは、人の感情や、思考、行動が形作った経済市場。 だから、消費者の立場に立つ、お客さんのことを徹底して考える。 ということが、マーケティングの基礎となるのです。 N1分析は、架空の想定顧客ではなく、名前のある顧客個人について知ることを意味します。 N1分析とは? お客さんの生活態度や習慣、興味関心、思考、購買行動から購買に関する認知や心理を理解する。 それをN1分析といいます。 手順としては、時系列で知る必要があります。 認知・・・いつ、どのようなきっかけでお店を知ったのか?• 購買行動・・・なぜ来店したのか?• 頻度・・・なぜ、常連客となったのか? そのお客さんが、お店を認知したきっかけ、来店したきっかけ、それから常連となったきっかけ。 それぞれのタイミング何があったのかを深く聞くことがN1分析です。 カスタマージャーニーの抽出 マーケターとして知りたいことは、顧客が認知から来店、常連化までどのような道筋を通ってきたのか? ということです。 その流れ、道筋を、マーケテイング用語でカスタマージャーニーといいますが、これを抽出します。 認知 具体的に想定していきます。 まず認知したのは、何がきっかけだったのか。 飲食店にとって、この問いは重要です。 どこに、経費をかければいいかわかるからです。 たとえば、広告媒体なら、どの広告を出した時なのか。 それとも、口コミであれば、どんなお客さんから口コミされるのか。 看板なら、どんな部分に興味を持ってくれたのか。 お客さんの心理がわかれば、それをメンテナンス、拡大すればいい。 購買行動 次に、なぜ来店したのか? ということ。 友達との集まりで。 美味しいと聞いたから。 共感できるから。 来店に至るまではさまざまな動機があったでしょう。 お客さん自身、気づかぬ動機があったかもしれません。 それをつかむのです。 頻度 なぜ、常連として通ってくれるようになったのか。 単純に美味しかったから、というのはもっともな理由ですが、それでヒアリングを止めてしまうと、いつまでたっても理解は深まりません。 サービスがよかったのか、周りに行く場所がないのか、落ち着くから。 など様々な意見が出てくると思います。 きっかけから「アイデア」を創る それぞれのきっかけが、アイデアを創る大きなヒントとなります。 「アイデア」については、先だっても解説しましたが、簡単にいうと「どんな便益と独自性を感じ取ったか?」ということ。 例えば、お店を認知したきっかけは、ある広告媒体だったとします。 でも来店のきっかけは、たまたま友人に連れていかれた時の場合。 お客さんは、どんな便益と独自性を感じ取ったでしょうか。 広告で見て行きたいなとは思いながらも、きっかけがなくて、そんな時、友人から誘われて来店につながった。 大きなきっかけは、友人の誘いであって、広告ではありません。 でも、広告も認知させる目的ならば、役割を果たしています。 単純に広告を増やせば、機会は広がりますが、それはどこもやっていることで、独自性はありません。 ではたとえば、認知させるために人が集まるところに屋台を出して、無料でピザを配る、というのはどうでしょう? 結構すごいインパクトです。 広告媒体にかけるコストとみれば、安いものかもしれません。 同時に、口コミも生まれます。 見た目もはなやかに目立てば、SNSなどでも広がるかもしれません。 要は、お客さんにとって、便益があって、なおかつ独自性があれば最高だということです。 顧客セグメントごとN1分析 こうしたアイデアを生み出すために、先だっても紹介した顧客ピラミッドの各セグメントごとに考えていくわけです。 顧客ピラミッドで考える戦略としては、おのずと以下のようになります。 C Kazuki Nishiguchi, Shoeisha Co. , Ltd 西口一希著「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社)• 常連は、超常連に。 一般ユーザーは、常連に。 離れかけた顧客は、また来てもらえるように。 一度も来たことがない人には、来てもらえるように。 知らない人には知ってもらえるように。 各セグメントごとの戦略自体は、シンプルですが、各段階でどのような施策をするのか。 それを、各セグメントごとにN1分析をして「アイデア」を創り出し、費用対効果を高めていくのがマーケターの務め。
次の顧客起点マーケティングとは 「顧客起点マーケティング」は、1人の顧客を起点に商品やサービスの新たな可能性を見つける概念である。 1人の顧客を徹底して理解することから有効な打ち手を導き出して拡大展開し、対象とする顧客セグメントの人数や構成比の動きを見ることで、マーケティング投資の効果検証まで行う。 たった1人の顧客の意見を聞くことを「N1分析」、これを通して見つかる、人の心を動かせる商品・サービスの魅力や訴求を「アイデア」と表す。 定量的なアンケート調査や統計分析は、仮説の絞り込みやコンセプトの検証には有効だが、それだけでは、人の心に訴えて行動を起こしてもらうだけの強度のある「アイデア」をつかめない。 1人の顧客から考える N1分析をする場合、無作為に選んだ誰か1人に話を聞けばいい訳ではない。 まず顧客全体の人数や構成比を正しく把握するために、ビジネスの対象とする顧客を5つに分解する「顧客ピラミッド」(5セグマップ)を使う。 さらに、ブランド選考度の軸を加えて顧客全体を9つに分解する「9セグマップ」を使う。 これらのフレームワークを活用して、特定の顧客セグメントから1人を抽出して「N1分析」を行い、購買行動を左右する言語化されていない深層心理のニーズをつかんで「アイデア」を開発して、定量的な検証も行って打ち手を検討する。 実施したら、結果的にセグメントが狙い通りに動いたのか、各セグメントの人数や構成比を確認して評価する。 顧客ピラミッド 商品やサービスの顧客層全体を、次の5つにセグメント分類する。 とは言え、下位70-90%の顧客は無視すべきではない。 ロイヤル顧客も中長期では一定割合で離反するので、新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤル化の両立を実現しなければ事業は縮小する。 セグメントごとに「顧客数」「年間売上」「費用」「利益」を把握することで、顧客起点での投資検討が可能になる。 5つの基本戦略 顧客ピラミッドで考える戦略の選択肢は次の通り。 顧客9セグマップ 自社ブランドだけを買い続けている顧客はほとんどおらず、様々な競合ブランドも代替品も合わせてダイナミックに買い回りしているのが現実である。 そこでロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客、認知・未購買顧客の4層をブランド選考(次回の購入意向)の有無で8つに分類する。 その上で、セグメントごとに販促、ブランディングの戦略をたてる。
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