吉野家 牛丼。 吉野家・すき家・松屋、今夏のオススメ6選!肉だく牛丼、うな牛、うまトマハンバーグ定食

吉野家の牛丼の怖すぎる噂!新価格280円の並盛りを食べる前に知っておくべきこと

吉野家 牛丼

料理を最大限に美味しく味わうにはどうすればいいのか。 食についての雑誌『dancyu』(プレジデント社)の植野広生編集長は、「食べ方ひとつで食事の楽しさや味わいが変わる。 だから、立ち食いそばでもフレンチでも、焼肉でも鮨でも、A級もB級も関係なく楽しみます。 料理、酒、食べ方、器、会話、景色、インテリア、音楽……さまざまな要素を楽しみます。 もっと美味しく、もっと楽しくと。 そんな食いしん坊として、一番楽しいのは、実は「ひとりメシ」です。 いきなりですが、実際に「ひとりメシ」で編み出した食べ方の例をご紹介しましょう。 これで、僕がどのような食いしん坊なのか、そして食べ方ひとつで食事の楽しさや味わいが変わるということを少しわかっていただけると思います。 まずはナポリタンの食べ方。 「植野と言えばナポリタン」と言われるほど(僕の周りのごく一部ですが)、長年にわたって食べ方について研究と工夫を重ねてきました。 いまや多くの食いしん坊たちが真似をしているという究極の食べ方です。 いきなりこれを読むと「変態!」と思われるかもしれませんが、試しにやってみてください。 同じ料理でも、味わいが本当に変わりますから。 イラスト=中村隆 ナポリタンに、いきなり粉チーズとタバスコをふりかける人をよく見かけますが、それはもったいない。 それでは、最初から最後まで同じ味、しかも粉チーズとタバスコとナポリタンが混ざり合って平板な味わいのまま食べ続けることになります。 僕は、まずはそのまま食べてプレーンな味わいを確認(「ストレート」と呼びます)。 次に、フォークに粉チーズをふり、そのままスパゲッティを巻いて食べます。 こうすると、口の中でナポリタンの味わいが広がり、その後から粉チーズの香りが追いかけて来ます。 味わいにグラデーションができて、より複雑性を感じられるのです。 これを「インサイド」と呼んでいます。 さらに、粉チーズとタバスコをフォークにふる「ダブルインサイド」もあります。 イラスト=中村隆 次に、スパゲッティをフォークで巻いてから、粉チーズやタバスコをふります。 「インサイド」とは逆に、粉チーズやタバスコの風味の後からナポリタンの味わいが追いかけて来ることになります。 これは「アウトサイド」と呼び、当然ながら「ダブルアウトサイド」もあります。 さらに、「アウトサイド」には、粉チーズなどを上からふる「アップ」と、皿に粉チーズなどをふっておいてフォークで巻いたスパゲッティの下面につける「ダウン」というバリエーションもあります。 つまり、「ストレート」「インサイド」「ダブルインサイド」「アウトサイドアップ」「アウトサイドダウン」「ダブルアウトサイドアップ」「ダブルアウトサイドダウン」……と一口ずつ、異なる味わいを楽しむのです。 面倒くさいな、と思うかもしれませんが、一度試してみてください。 たとえば一皿800円だとすると、いきなり粉チーズとタバスコをふりかけている隣の人は800円の価値でしか食べていないけれど、860円くらいの価値を楽しめますよ。 それはそれで正解なのですが、僕はそれだけでは満足しません。 温度と食感の変化とグラデーションによって、さらに味わいを高めます。 たとえば、であれば、「牛丼アタマの大盛り、ご飯少なめ、サラダ、胡麻ドレッシング」を注文します。 で、運ばれてきたら、まず牛肉だけ一口食べ(その店のその時の味付けを確認するため。 店や時間によって微妙に異なるので)、ついで、胡麻ドレッシングで軽く和えたサラダを牛丼の上にのせ、すかさず、サラダと牛肉を5対5の割合でつまんで食べる。 すると、口の中で冷たいサラダと熱い牛肉が混ざり合い、温度と食感の複雑な変化によって牛肉の味わいがさらに引き立つのです。 この「肉&サラダ合わせ」は、5対5が基本ですが、牛肉とサラダの割合を変えることで味わいと食感も変化します。 牛肉を多めにすれば、温度が高くなり、牛肉の甘味が立ちます。 サラダを多めにすれば、温度が下がり、牛肉の食感がアクセントになります。 この微妙な変化が、一緒に食べるご飯の味わいも変えることになるのです。 ちなみに、ここに紅ショウガを加える高等技術もあります。 口の中に最初に紅ショウガの香りと辛味が広がるのと、後から追いかけて来るのとでは、味の印象がまったく違うはずです。 さらに、七味のふり方まで加えると……、これはかなり複雑なマトリックスになるので、またの機会に詳しく説明しましょう。 そうなると、かき揚げは全体的につゆを吸って一気に香ばしさが消え、うかうかしているとあっという間にドロドロになってしまいます。 これはもったいない。 僕は「たてかけ」でお願いします。 そばの上にのせるのではなく、丼の縁にたてかけるように置いてもらうのです。 そうすれば、つゆの侵略を受けていない上のほうはサクサクのまま食べられます。 そして、徐々につゆがしみてくる下へと向かって食べていけば、「ややしっとり」「しっとり」「どっぷり」と、つゆに浸っていく感じをグラデーションで楽しめるのです。 だったら、かき揚げは別皿に入れてもらって、別々に食べればいい、と思うかもしれません。 しかし、それでは「そばとかき揚げ」になってしまいます。 かき揚げそばは、かき揚げがつゆに浸ってしっとりした感じと一緒にそばを食べるのも醍醐味。 天ぷらとして香ばしさ、つゆとの一体感、その両方を味わえる最上の手段が「たてかけ」なのです。 イラスト=中村隆 まずはつゆに浸ってないかき揚げをかじり、そばをすする。 次に少しつゆがしみてきたあたりをかじってそばをすする。 最後につゆでふやけて柔らかくなったかき揚げとそばを一緒に食べる。 これぞかき揚げそばの正しい食べ方です(コロッケそばにも応用できます)。 ちなみに、卵もつけて天玉そばにする場合も、「たてかけ」が基本ですが、ポンっと落とした生卵をどうするかが大きな問題です。 そのままにしておくと、黄身が割れて丼の中が卵味になってしまいます。 そこで、レンゲをもらい、生卵につゆをかけて黄身の周りに白い膜をつくる(黄身を軽く保護)。 それをレンゲの中に入れておく。 これで、万一途中で黄身が割れてしまっても、丼全体に氾濫するのを防げます。 もし、店にレンゲがなかったらどうするか。 もちろん、かき揚げを割り、それで卵をすくって食べます。 とんかつのサクッとした旨さとカレーのスパイシーな味わいを楽しみつつ、融合の美味を楽しむものなのです。 そのため、多くのかつカレーは、とんかつの手前半分くらいにカレーがかかったスタイルになっています。 ロースかつの場合、通常は奥側が脂身、手前が肉になるように置かれています。 つまり、脂身が多い奥の部分はカリッとした衣で軽やかに食べることができ、手前の肉部分にはカレーがかかって濃厚な旨味を楽しめるのです。 天才的な構造ですね! これをより美味しく食べるには、カットされたとんかつの「右から2番目」のパーツから左へと食べ進めていきます。 イラスト=中村隆 単体のとんかつの場合は、「左から3番目」あたりの肉と脂身のバランスが最適なところから食べ始めるのが王道ですが、かつカレーの場合は、カレーが加わることでこの部分の旨味が強くなってしまい、最初の一口としてはインパクトが強すぎます。 「一番右側」は衣に覆われていて(店によってはほぼ衣状態)、とんかつとしてはバランスが悪いので、最初にカレーをかけて皿の端に置いておき、最後に食べます。 衣とカレーが一体化して、混沌とした状態を味わうのもかつカレーの醍醐味。 最後に、この罪悪感たっぷりの本能的旨さを堪能しましょう。 そのために2番目から食べ始めるのです。 もちろん、これらはご飯と一緒に食べ進めるのですが、とんかつの脂身の強さやカレーのスパイシー加減などに合わせて、ご飯やカレーの量を調整します。 また、途中でちょっと口を変えたい場合に、塩やソースを使う高等技術もありますが、特にソースの場合は、衣にかけずにとんかつの断面にかけてください。 そうすることで、衣の香ばしさを失うことなく、味に奥行きをつけることができます。 手前の左側が頭方向で、奥の右側が尻尾方向というのが一般的です。 鰻は、頭の近くは身質がきめ細かく、腹の辺りは一番脂がのっていて、尻尾のほうは身が締まっています。 ということは、頭のほうから尻尾に向かって食べていけば、ふわっとした食感から入り、徐々に脂の旨味を感じてピークに向かい、その後、しっかりした身の味わいを楽しんでフィニッシュ、という理想的な展開が実現します。 つまり、鰻重は手前の左から右へ、奥の左から右へと食べ進めばいいわけです。 ご飯粒があちこちに散らばった状態で食べてしまっては興醒めです。 そこで、まず手前左側(鰻の頭側)に箸を入れ、鰻とご飯一口分をすくい取ります。 これを繰り返せば、手前半分を綺麗に食べることができます。 次いで、奥の半分も同様に左側からスライドさせて食べ進めます。 こうすると、無計画に箸を入れた結果、食べ散らかして残ったご飯粒を箸でかき集めるような事態になることはありません。 ただ、これは右利きの場合。 左利きの方は、お重を反転させて手前と奥を逆にしてください。 また、うな重の蓋を開けるとすぐに山椒を満遍なくふりかける方もいますが、これはいただけません。 鰻が山椒の香りに支配されてしまいます(本当に美味しい鰻なら山椒は要らないくらいです)。 まずはそのまま食べ、もっとも脂がのっている手前の右側や奥の左側あたり(鰻の腹のあたり)まで食べ進んだら、山椒を使います。 それも、上から山椒をふると、食べたときに口の中が山椒の香りになってしまいます。 そこで、鰻をめくってご飯の上にふります。 鰻とご飯の間に山椒をふることで、鰻の香りや味を感じた後から山椒の香りがふわっと来るようにするのです。 ---------- 植野 広生(うえの・こうせい) dancyu編集長 1962年、栃木県生まれ。 法政大学法学部卒業。 上京後すぐに、銀座のグランドキャバレー「モンテカルロ」で黒服のアルバイトを始める。 その後、鰻屋や珈琲屋、アイスクリーム屋など多数の飲食店でアルバイトを経験。 卒業後、新聞記者を経て、出版社で経済誌の編集を担当。 その傍ら、大石勝太(おおいし・かつた。 「おいしかった」のシャレ)のペンネームで「dancyu」「週刊文春」などで食の記事を手掛ける。 2001年、プレジデント社に入社、以来「dancyu」の編集を担当し、2017年4月に編集長に就任。 趣味は料理と音楽。 食と音楽のイベントを手掛けるほか、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動。 「情熱大陸」「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」などテレビやラジオの出演多数。 ---------- (dancyu編集長 植野 広生) 外部サイト.

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吉野家の牛丼の怖すぎる噂!新価格280円の並盛りを食べる前に知っておくべきこと

吉野家 牛丼

ロケットニュース24では以前、吉野家の通販限定で販売している保存食をお届けした。 味付けはさすがの仕上がりだったものの、食感はあくまでも保存食といった印象だったことは記事で述べた通りである。 さて、今回は吉野家の公式通販ショップで『牛丼の具【冷凍】』を購入。 店で販売されている『牛皿(並盛)』と食べ比べて、味をチェックしてみることにした。 公式通販ショップによれば「出来立てをパック詰め後、急速冷凍することにより、お店の味をそのままお届けいたします」とのこと。 果たしてお味はいかに! ・『牛丼の具【冷凍】』は『牛皿(並盛)』よりも高級 今回購入したのは『牛丼の具【冷凍】』の5袋入り。 賞味期限は製造日を含めて365日と長めなのがウレシイ。 1袋あたりで計算すると676円。 送料(全国一律)がかかることもあって、牛丼の具にしてはリッチなお値段である。 ちなみに店で販売されている『牛皿(並盛)』は税込330円だ。 それでは実際に『牛丼の具【冷凍】』と『牛皿(並盛)』を比較してみよう。 ・『牛丼の具【冷凍】』の方が汁気が多め まずは見た目をチェック。 5分間湯煎して温めた『牛丼の具【冷凍】』と、店舗で購入した『牛皿(並盛)』を皿に移して比べてみると…… 牛肉や玉ねぎの量に大きな違いは無いようだが、『牛丼の具【冷凍】』の方が汁気が多くて 全体的に薄茶色っぽい。 続けて重さを量ってみたら…… 『牛丼の具【冷凍】』は133グラム、『牛皿(並盛)』は111グラム。 その差は約22グラムである。 見た目から推測すると、『牛丼の具【冷凍】』は汁気が多い分だけ重くなっているような気がする。 ・どちらもウマいが味に違いあり それではいよいよ味を確かめてみよう。 そのまま食べたりご飯と一緒にもいただいてみたが、さすがは吉野家。 どちらもウマいことはウマい。 だがしかし…… 2つの味は同じではない。 店頭で購入した『牛皿(並盛)』の方が味はスッキリしていて、具や出汁の風味がしっかり感じ取れる。 また肉はプリッとしている印象だ。 一方で 『牛丼の具【冷凍】』はやや濃厚でまったりとしていて、肉はやや硬め。 また、冷えると白い脂が固まって表面に浮いているのが確認できた。 もしかすると、温めたことで肉から脂が溶け出たのかもしれない。 冒頭でもお伝えした通り、ホームページには「出来立てをパック詰め後、急速冷凍することにより、お店の味をそのままお届けいたします」と書いてある。 まさにその通りの印象で、『牛丼の具【冷凍】』は店の『牛皿(並盛)』を冷凍して温め直したような仕上がりだった。 ・『牛丼の具【冷凍】』は『牛皿(並盛)』よりも高級 しかし、繰り返になるが、どちらもウマいことはウマい。 店の味とは違うものの、『牛丼の具【冷凍】』にも 吉野家らしい独特の甘い味付けや肉の旨味は健在だ。 『牛丼の具【冷凍】』は、近くに店舗が無い方やいつでも同店の味を楽しみたい方に重宝する商品といえるだろう。 まとめ買いや、定期お届けコースを注文することで送料無料になったりもするので、興味のある方は吉野家公式通販ショップをチェックしてみてはいかがだろうか。 参考リンク:吉野家公式通販ショップ Report: Photo:Rocketnews24.

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吉野家・すき家・松屋、今夏のオススメ6選!肉だく牛丼、うな牛、うまトマハンバーグ定食

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料理を最大限に美味しく味わうにはどうすればいいのか。 食についての雑誌『dancyu』(プレジデント社)の植野広生編集長は、「食べ方ひとつで食事の楽しさや味わいが変わる。 だから、立ち食いそばでもフレンチでも、焼肉でも鮨でも、A級もB級も関係なく楽しみます。 料理、酒、食べ方、器、会話、景色、インテリア、音楽……さまざまな要素を楽しみます。 もっと美味しく、もっと楽しくと。 そんな食いしん坊として、一番楽しいのは、実は「ひとりメシ」です。 いきなりですが、実際に「ひとりメシ」で編み出した食べ方の例をご紹介しましょう。 これで、僕がどのような食いしん坊なのか、そして食べ方ひとつで食事の楽しさや味わいが変わるということを少しわかっていただけると思います。 まずはナポリタンの食べ方。 「植野と言えばナポリタン」と言われるほど(僕の周りのごく一部ですが)、長年にわたって食べ方について研究と工夫を重ねてきました。 いまや多くの食いしん坊たちが真似をしているという究極の食べ方です。 いきなりこれを読むと「変態!」と思われるかもしれませんが、試しにやってみてください。 同じ料理でも、味わいが本当に変わりますから。 イラスト=中村隆 ナポリタンに、いきなり粉チーズとタバスコをふりかける人をよく見かけますが、それはもったいない。 それでは、最初から最後まで同じ味、しかも粉チーズとタバスコとナポリタンが混ざり合って平板な味わいのまま食べ続けることになります。 僕は、まずはそのまま食べてプレーンな味わいを確認(「ストレート」と呼びます)。 次に、フォークに粉チーズをふり、そのままスパゲッティを巻いて食べます。 こうすると、口の中でナポリタンの味わいが広がり、その後から粉チーズの香りが追いかけて来ます。 味わいにグラデーションができて、より複雑性を感じられるのです。 これを「インサイド」と呼んでいます。 さらに、粉チーズとタバスコをフォークにふる「ダブルインサイド」もあります。 イラスト=中村隆 次に、スパゲッティをフォークで巻いてから、粉チーズやタバスコをふります。 「インサイド」とは逆に、粉チーズやタバスコの風味の後からナポリタンの味わいが追いかけて来ることになります。 これは「アウトサイド」と呼び、当然ながら「ダブルアウトサイド」もあります。 さらに、「アウトサイド」には、粉チーズなどを上からふる「アップ」と、皿に粉チーズなどをふっておいてフォークで巻いたスパゲッティの下面につける「ダウン」というバリエーションもあります。 つまり、「ストレート」「インサイド」「ダブルインサイド」「アウトサイドアップ」「アウトサイドダウン」「ダブルアウトサイドアップ」「ダブルアウトサイドダウン」……と一口ずつ、異なる味わいを楽しむのです。 面倒くさいな、と思うかもしれませんが、一度試してみてください。 たとえば一皿800円だとすると、いきなり粉チーズとタバスコをふりかけている隣の人は800円の価値でしか食べていないけれど、860円くらいの価値を楽しめますよ。 それはそれで正解なのですが、僕はそれだけでは満足しません。 温度と食感の変化とグラデーションによって、さらに味わいを高めます。 たとえば、であれば、「牛丼アタマの大盛り、ご飯少なめ、サラダ、胡麻ドレッシング」を注文します。 で、運ばれてきたら、まず牛肉だけ一口食べ(その店のその時の味付けを確認するため。 店や時間によって微妙に異なるので)、ついで、胡麻ドレッシングで軽く和えたサラダを牛丼の上にのせ、すかさず、サラダと牛肉を5対5の割合でつまんで食べる。 すると、口の中で冷たいサラダと熱い牛肉が混ざり合い、温度と食感の複雑な変化によって牛肉の味わいがさらに引き立つのです。 この「肉&サラダ合わせ」は、5対5が基本ですが、牛肉とサラダの割合を変えることで味わいと食感も変化します。 牛肉を多めにすれば、温度が高くなり、牛肉の甘味が立ちます。 サラダを多めにすれば、温度が下がり、牛肉の食感がアクセントになります。 この微妙な変化が、一緒に食べるご飯の味わいも変えることになるのです。 ちなみに、ここに紅ショウガを加える高等技術もあります。 口の中に最初に紅ショウガの香りと辛味が広がるのと、後から追いかけて来るのとでは、味の印象がまったく違うはずです。 さらに、七味のふり方まで加えると……、これはかなり複雑なマトリックスになるので、またの機会に詳しく説明しましょう。 そうなると、かき揚げは全体的につゆを吸って一気に香ばしさが消え、うかうかしているとあっという間にドロドロになってしまいます。 これはもったいない。 僕は「たてかけ」でお願いします。 そばの上にのせるのではなく、丼の縁にたてかけるように置いてもらうのです。 そうすれば、つゆの侵略を受けていない上のほうはサクサクのまま食べられます。 そして、徐々につゆがしみてくる下へと向かって食べていけば、「ややしっとり」「しっとり」「どっぷり」と、つゆに浸っていく感じをグラデーションで楽しめるのです。 だったら、かき揚げは別皿に入れてもらって、別々に食べればいい、と思うかもしれません。 しかし、それでは「そばとかき揚げ」になってしまいます。 かき揚げそばは、かき揚げがつゆに浸ってしっとりした感じと一緒にそばを食べるのも醍醐味。 天ぷらとして香ばしさ、つゆとの一体感、その両方を味わえる最上の手段が「たてかけ」なのです。 イラスト=中村隆 まずはつゆに浸ってないかき揚げをかじり、そばをすする。 次に少しつゆがしみてきたあたりをかじってそばをすする。 最後につゆでふやけて柔らかくなったかき揚げとそばを一緒に食べる。 これぞかき揚げそばの正しい食べ方です(コロッケそばにも応用できます)。 ちなみに、卵もつけて天玉そばにする場合も、「たてかけ」が基本ですが、ポンっと落とした生卵をどうするかが大きな問題です。 そのままにしておくと、黄身が割れて丼の中が卵味になってしまいます。 そこで、レンゲをもらい、生卵につゆをかけて黄身の周りに白い膜をつくる(黄身を軽く保護)。 それをレンゲの中に入れておく。 これで、万一途中で黄身が割れてしまっても、丼全体に氾濫するのを防げます。 もし、店にレンゲがなかったらどうするか。 もちろん、かき揚げを割り、それで卵をすくって食べます。 とんかつのサクッとした旨さとカレーのスパイシーな味わいを楽しみつつ、融合の美味を楽しむものなのです。 そのため、多くのかつカレーは、とんかつの手前半分くらいにカレーがかかったスタイルになっています。 ロースかつの場合、通常は奥側が脂身、手前が肉になるように置かれています。 つまり、脂身が多い奥の部分はカリッとした衣で軽やかに食べることができ、手前の肉部分にはカレーがかかって濃厚な旨味を楽しめるのです。 天才的な構造ですね! これをより美味しく食べるには、カットされたとんかつの「右から2番目」のパーツから左へと食べ進めていきます。 イラスト=中村隆 単体のとんかつの場合は、「左から3番目」あたりの肉と脂身のバランスが最適なところから食べ始めるのが王道ですが、かつカレーの場合は、カレーが加わることでこの部分の旨味が強くなってしまい、最初の一口としてはインパクトが強すぎます。 「一番右側」は衣に覆われていて(店によってはほぼ衣状態)、とんかつとしてはバランスが悪いので、最初にカレーをかけて皿の端に置いておき、最後に食べます。 衣とカレーが一体化して、混沌とした状態を味わうのもかつカレーの醍醐味。 最後に、この罪悪感たっぷりの本能的旨さを堪能しましょう。 そのために2番目から食べ始めるのです。 もちろん、これらはご飯と一緒に食べ進めるのですが、とんかつの脂身の強さやカレーのスパイシー加減などに合わせて、ご飯やカレーの量を調整します。 また、途中でちょっと口を変えたい場合に、塩やソースを使う高等技術もありますが、特にソースの場合は、衣にかけずにとんかつの断面にかけてください。 そうすることで、衣の香ばしさを失うことなく、味に奥行きをつけることができます。 手前の左側が頭方向で、奥の右側が尻尾方向というのが一般的です。 鰻は、頭の近くは身質がきめ細かく、腹の辺りは一番脂がのっていて、尻尾のほうは身が締まっています。 ということは、頭のほうから尻尾に向かって食べていけば、ふわっとした食感から入り、徐々に脂の旨味を感じてピークに向かい、その後、しっかりした身の味わいを楽しんでフィニッシュ、という理想的な展開が実現します。 つまり、鰻重は手前の左から右へ、奥の左から右へと食べ進めばいいわけです。 ご飯粒があちこちに散らばった状態で食べてしまっては興醒めです。 そこで、まず手前左側(鰻の頭側)に箸を入れ、鰻とご飯一口分をすくい取ります。 これを繰り返せば、手前半分を綺麗に食べることができます。 次いで、奥の半分も同様に左側からスライドさせて食べ進めます。 こうすると、無計画に箸を入れた結果、食べ散らかして残ったご飯粒を箸でかき集めるような事態になることはありません。 ただ、これは右利きの場合。 左利きの方は、お重を反転させて手前と奥を逆にしてください。 また、うな重の蓋を開けるとすぐに山椒を満遍なくふりかける方もいますが、これはいただけません。 鰻が山椒の香りに支配されてしまいます(本当に美味しい鰻なら山椒は要らないくらいです)。 まずはそのまま食べ、もっとも脂がのっている手前の右側や奥の左側あたり(鰻の腹のあたり)まで食べ進んだら、山椒を使います。 それも、上から山椒をふると、食べたときに口の中が山椒の香りになってしまいます。 そこで、鰻をめくってご飯の上にふります。 鰻とご飯の間に山椒をふることで、鰻の香りや味を感じた後から山椒の香りがふわっと来るようにするのです。 ---------- 植野 広生(うえの・こうせい) dancyu編集長 1962年、栃木県生まれ。 法政大学法学部卒業。 上京後すぐに、銀座のグランドキャバレー「モンテカルロ」で黒服のアルバイトを始める。 その後、鰻屋や珈琲屋、アイスクリーム屋など多数の飲食店でアルバイトを経験。 卒業後、新聞記者を経て、出版社で経済誌の編集を担当。 その傍ら、大石勝太(おおいし・かつた。 「おいしかった」のシャレ)のペンネームで「dancyu」「週刊文春」などで食の記事を手掛ける。 2001年、プレジデント社に入社、以来「dancyu」の編集を担当し、2017年4月に編集長に就任。 趣味は料理と音楽。 食と音楽のイベントを手掛けるほか、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動。 「情熱大陸」「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」などテレビやラジオの出演多数。 ---------- (dancyu編集長 植野 広生) 外部サイト.

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