検査結果が正常でないときに疑われること・わかること 1. 増えすぎている場合 虫垂炎 肺炎 胆のう炎 膵炎 腎孟腎炎 心筋梗塞 外傷 2. 減りすぎている場合 再生不良性貧血 悪性貧血 膠原病 放射線や抗がん剤の副作用 白血球ってナニ? からだのなかに細菌やウイルスなどの異物が侵入してきたときに、それらをやっつけるはたらきをしているのが白血球です。 けがをしたり炎症を起こしたりすると、それに負けまいとして白血球がどんどん増えます。 つまり、白血球が増えるということは、たいていの場合、からだのどこかに炎症が起こっていたり、細菌やウイルスに感染していることを示しています(白血病が原因の場合は、ただの炎症が原因になっているときに比べて異常な増え方をします)。 ちなみに、傷口が化膿してできる膿などは、戦って死んだ白血球と異物のかたまりです。 血色素(ヘモグロビン) 検査結果が正常でないときに疑われること・わかること 貧血 鉄欠乏性貧血:鉄分の不足による。 若い女性に多い。 病気やケガによる出血が原因の貧血:痔、胃潰瘍、子宮筋腫など。 気づかないほどの少量の出血でも、長期に続くと貧血になる。 悪性貧血:ビタミンB12の不足による。 再生不良性貧血:骨髄の造血能力が落ちる。 溶血性貧血:赤血球の寿命が短くなって、骨髄での製造が間に合わない。 血色素ってナニ? 血色素は、主成分が鉄であるヘムという赤い色素(血液の赤い色は、血色素によるもの)と、グロビンというたんぱく質からできていて、赤血球の中に含まれています。 前述したように、赤血球はからだの中に酸素を運びますが、それができるのは、じつはこの血色素のおかげです。 血色素のもとであるヘムに、酸素をつかまえる性質があるのです。 つまり体内では、赤血球の船に乗った血色素が、酸素をつかまえてすみずみまで運ぶ、という運搬作業が休みなく行われているわけです。 したがって、血色素が不足すると貧血になるのです。 ヘマトクリット 検査結果が正常でないときに疑われること・わかること 1. 減りすぎている場合 貧血(貧血の詳しい分類については血色素〔ヘモグロビン〕の項を参照) 2. 増えすぎている場合 多血症 ヘマトクリットってナニ? ヘマトとは血液を、クリットとは分離を意味します。 ヘマトクリットは、一定量の血液を遠心分離で固形成分と液体成分(血漿けっしょう)に分け、固形成分の中の赤血球の割合を調べる検査です。 もしも赤血球の割合が減っていれば、赤血球と一心同体の血色素も減っていることを示します。 ですから、ヘマトクリット値が低ければ、貧血が疑われます。 赤血球、血色素、そしてこのヘマトクリットを調べることで、いろいろある貧血のおおよその種類を診断することができます。 血小板数.
次の血液検査でわかること 貧血・炎症 白血球数(WBC) 体の中の細菌・異物をやっつける白血球の数を調べます。 減少すると体の細胞が酸欠状態になり貧血を起こします。 基準値 : 男 40.0~52.0% 女 33.5~45.0% 血色素量(Hb) 貧血を調べます。 貧血の診断は、赤血球数・ヘマトクリット値との結果と合わせて判定します。 基準値 : 男 0~10mm 女 0~15mm 腎機能 尿 酸(UA) 細胞の核の燃えかすで「プリン体」という物質が分解されて出てきます。 関節に沈着すると痛風発作の原因になり、心臓や腎臓に沈着すると心筋梗塞や腎障害を起こしやすくなります。 腎機能を確かめます。 クレアチニンは老廃物として通常は尿中に排泄されますが、腎臓の機能が低下すると血中に増えてきます。 増え過ぎると、糖尿病や肝臓・膵臓の病気が疑われ、減り過ぎると冷や汗、動悸、昏睡などの症状が現れます。 基準値 : 4. 6~6. 2%未満 栄養 総蛋白(TP) 血清中の蛋白の総称。 栄養状態や肝臓・腎臓の障害をみます。 肝障害・栄養状態をみます。 これらの臓器の異常がわかります。 これらの臓器の異常がわかります。 アルコ-ルによる肝機能障害の指標になります。 肝臓や胆道の病気の判断の指標となります。 肝臓の処理能力をみます。 肝臓の機能などをみます。 基準値 : 0~5.0U ZTT(クンケル硫酸亜鉛試験) 血清中のたんぱく質の割合を調べる検査の一種。 肝臓の機能などをみます。 基準値 : 2.3~12.0U 肝炎 HBs抗原・抗体 B型肝炎ウイルス感染の有無を調べる検査の一種。 基準値 : (-) HCV抗体 C型肝炎ウイルス感染の有無を調べる検査の一種。 基準値 : (-) 腫瘍マーカー CEA(癌胎児性抗原) 主に消化器系のがんの疑いを調べる目安です。 そのほか胆石症、肝硬変、肝炎、胆管炎、膵炎などでも上昇します。 そのほか、神経芽細胞腫、大腸がん、神経内分泌系腫瘍(グルカゴノーマ、インスリノーマ)などでも高値を示します。 肺がん以外にも子宮頚がん、食道がんなどでも高値を示すことがあります。 とくに転移性乳がんでの陽性率が高いです。
次のいくつかの種類がある 白血球には大きく分けて5つの種類(好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球)があり、その役割も異なっています。 それぞれが大切であり、どれか一つでも欠けてはいけません。 それぞれの働きを簡単に見てみましょう。 ・好中球 白血球の多くを成しているのが好中球です。 血管外にいる細菌などの異物のもとに駆けつける機能(遊走)と、それらを取込んで殺菌する機能(貪食)を持っています。 ・好酸球 好酸球は特に寄生虫の感染の際に能力を発揮します。 しかし一方で、ぜんそくやアトピーなどのアレルギー疾患の一因になりうるという側面もあります。 ・好塩基球 好塩基球はアレルギー反応などに関与しているとされていますが、その存在意義や機能についての詳しい研究はあまり進んでいませんでした。 しかし近年では、東京医科歯科大学の研究によって、好塩基球はマダニに対する免疫を作る役割があることが明らかになりました。 ・単球 単球はマクロファージともいわれ、好中球よりもやや長い時間血中に存在して、細菌だけでなく古くなった不要な細胞も食べて(貪食)除去します。 このため、単球は大食い細胞とも呼ばれることがあります。 ・リンパ球 リンパ球は特にウイルスなどの小さな標的を攻撃する役目があります。 骨髄やリンパ節、扁桃腺などのリンパ器官といわれる部位に多量に存在しています。 白血球の数値からわかること 白血球数が多い場合・少ない場合 白血球が基準値よりも多い場合は細菌感染・がん・白血病などの疑いが、逆に基準値よりも少ない場合は重症感染症や再生不良性貧血の疑いがあります。 白血球数の数値に異常がでた場合は、さらに詳しい血液像検査を受診することをおすすめします。 おわりに 白血球の数値は、風邪などの軽い感染症から血液病(血液のがん)といった重いものまで、様々な病気の可能性を示しています。 検査において白血球の数値を指摘されたら、必ず医師の診断をうけ、精密な検査を行うようにしましょう。 この内容は医師の監修のもと制作していますが、健康に不安のある場合は、正確な診断・治療のために医療機関等を受診してください。
次の