いずも護衛艦。 いずも型護衛艦

海自護衛艦「いずも」わずか31億円で「空母化」のワケ F

いずも護衛艦

(Photo by GettyImages) 具体的には2019年度から始まる新しい中期防衛力整備計画の中で、「いずも」型(1番艦「いずも」、2番艦「かが」)を戦闘機の発着が可能なものに改修する、という話である。 一部メディアでは、改修後に空母となる「いずも」型が、米製の短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型F-35Bステルス戦闘機を搭載できるようになるのか、という話題がおどった。 つまり、これまで憲法の制約上、保有が認められないとしてきた「 攻撃型空母」にあたるのではないかというのだ。 これに関して、小野寺五典防衛大臣は記者団の質問に「専守防衛の立場は変わらず、検討していない」と回答している。 その詳細は後述するとして、本稿ではまず、日本と空母との関係性について述べておきたい。 「空母」とは、正式名称「 航空母艦」の略語である。 1921年のワシントン軍縮会議では、空母を「水上艦船であって、専ら航空機を搭載する目的を以って計画され、航空機はその艦上から出発し、又その艦上に降着し得るように整備され基本排水量が1万トンを超えるものを航空母艦という」と定義している。 さらに1930年のロンドン海軍軍縮条約では、基本排水量1万トン未満の艦船も空母に含まれることになった。 今回の「いずも」型は建造費1139億円。 基準排水量は1万9500トンで、充分に「空母」といえるサイズである。 満載排水量は2万トンを超えるので、分類上では「 護衛空母」にあたる。 世界一般では「 ヘリ空母」とも呼ばれるものだが、海上自衛隊では、あくまで「護衛艦」という分類にこだわって呼称している。 近隣諸国に配慮してのことだろう。 たしかに、船だけ見れば空母であっても、艦載機がなければ「ただの船」であることも事実だが、海上自衛隊がまじめに「艦載機がないから護衛艦です」と言ってきたとは思えない。 世界初の「新造空母」が誕生したのは日本 ここで少々、空母の歴史をひもといてみたい。 世界初の水上機母艦は、1912年、フランス海軍が「ラ・フードル」を改装し、水上機8機の収容設備と滑走台を設置して誕生した。 日本では、早くもその2年後、1914年に「若宮丸」が、特設水上機母艦として第一次世界大戦の青島攻略戦に参加している。 1918年、英海軍が、世界で初めて全通飛行甲板を採用した「アーガス」「ハーミーズ」を建造した。 現在の空母をイメージしていただければいいのだが、甲板全体が滑走台となっている構造だ。 しかし、世界初の「新造空母」、つまりいちから空母として建造された戦艦は、実は1922年12月27日に完成した日本の「 鳳翔」なのである。

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「空母型」護衛艦「ひゅうが/いせ」の航空機運用能力を災害に活かす訓練を見る 自衛隊新戦力図鑑15|MotorFan[モーターファン]

いずも護衛艦

今年中にいずも型護衛艦の空母化改修工事が始まる予定だが、果たして改修が終わり空自のF-35Bを搭載して実戦に投入できるようになるのは何時だろうか? 空母化工事が完了するのは後から改修を受ける2番艦「かが」の方が早い? 海上自衛隊の艦船は毎年行われる年次検査とは別にドックに入渠して行う大掛かりな定期検査を3年から5年毎(艦種や使用されている材質、搭載機関の種類によって期間は異なる)に実施しており、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦の空母化改修もこの定期検査に合わせて実施される予定だ。 いずも型ヘリコプター搭載護衛艦1番艦「いずも」の空母化改修費は2020年度防衛予算に計上されているため2020年4月以降に開始されるのだが、この空母化改修工事は1回で終わらないらしい。 いずもが予定している今回の空母化改修工事は最低限F-35Bの運用が可能になる程度(フライトデッキの耐熱強化や電源設備の増設等)に留める方針で、次回の定期検査(2025年頃)で再び改修工事を行い空母化が完了する予定だ。 逆に2番艦「かが」の空母化改修工事は2022年春以降に予定されている定期検査で、いずもが2回に分けて行う工事を1回で済ませる予定なので1番艦「いずも」も2番艦「かが」の空母化工事の方が先に完了する。 参考: 防衛省は1番艦と2番艦の空母化改修の違いについて説明していないため詳細は不明だが日本にとってF-35B運用を運用するための艦艇改造は初めてなので、まずは最小限の改造にとどめ飛行甲板の耐熱性能を確認したいのかもしれない。 出典:public domain 垂直着陸中のF-35B ここからは管理人の推測だが、英海軍の空母クイーン・エリザベスも伊海軍の空母カブールも米東海岸まで行ってF-35B運用適合テストを受けているため1番艦「いずも」も飛行甲板の耐熱強化工事が終われば、直ぐに米国へ移動するものと思われる。 さらに2番艦「かが」が受ける空母化改修工事は、いずもが受けた飛行甲板の耐熱強化に加えF-35Bが使用する兵器やジェット燃料の貯蔵庫を新たに増設したり格納庫を改良してF-35Bの整備環境を整えるなど大規模な工事になることが予想されるため、当然いずもより工事期間は長くなるはずだ。 肝心のF-35B調達は取得費846億円(6機分)が2020年度予算に計上されているため本年度中に正式な発注が行われるはずだ。 あとはいつ日本に到着するかだが、導入中のF-35Aとは操縦方法が異なるため米アリゾナ州ルーク空軍基地や実際の空母で発着艦訓練を行う必要があるため相当時間がかかるだろう。 英海軍の例を挙げると英空軍パイロットが操縦するF-35Bが空母クイーン・エリザベスに初めて着艦したのは英国ではなく米東海岸で実施されているため日本も同じ手順を踏むものと思われる。 以上のことから、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦の空母化改修スケジュールは以下のような感じになるのではないかと管理人は推測している。 日本の空母いずもに早期警戒ヘリは必要か不必要か? 最後に管理人が気になる点はいずも型護衛艦に搭載する早期警戒ヘリの問題だ。 出典:ロッキード・マーティン 早期警戒ヘリ「マーリン HM. 2」 今の所、早期警戒ヘリ導入は話に挙がっていないため搭載する予定が無いのかもしれないが、英国はクイーン・エリザベス級空母に搭載する新しい早期警戒ヘリ「マーリン HM. 2」を開発中で2021年頃には実用化される見込み(遅れる可能性もあるが・・・)で、伊海軍のカブールも早期警戒ヘリ「EH101 AEW」を運用中なので日本のいずも型護衛艦も早期警戒ヘリの導入を検討すべきではないだろうか? 関連記事: V-22をベースにした早期警戒機開発構想があるのだが、あくまで構想止まりで同機導入に手を挙げ開発費を負担する国が現れなければ永久に開発されることはない。 そのため現実的な選択肢は英国が開発中の早期警戒ヘリ「マーリン HM. 2」かイタリア海軍が開発した早期警戒ヘリ「EH101 AEW」ぐらいだ。 流石に4機~6機程度の需要で日本が独自開発したり早期警戒機型のV-22開発に手を挙げるのはコスト負担が重すぎるが、米海軍がライトニングキャリアのために早期警戒型V-22を開発すると言うなら便乗するのも有りだ。 果たして、日本はいずも型護衛艦に早期警戒機を載せるつもりがあるのか非常に気になる。

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護衛艦「いずも」、正真正銘の空母へ。F35Bの発着艦に必要な改修費31億円を計上(高橋浩祐)

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いずも(海上自衛隊HP) 全長248m、排水量と呼ばれる船の容積は26000トン。 全長160m前後で8000トンほどの容積のイージス艦に比べて全長は100mほど長く、容積は3倍の大きさと圧倒的な巨体を誇ります。 なにより最も目を引くのが、平らな甲板と片側に寄っている艦橋から、 空母のような姿をしていることです。 この見た目からも分かるように、艦そのものの戦闘能力は低く、航空運用機能に重点が置かれており、最大14機のヘリコプターを積載することができます。 見た目も運用目的も空母のような「いずも型護衛艦」は、そのまま戦闘機を乗せると空母になりそうですが、そう簡単には空母になれないようです。 「いずも型護衛艦」が空母になるために必要な装備 空母にはその他の艦艇と大きく異なる設備が2つあります。 それは、ジェット戦闘機を飛ばせるカタパルトやジャンプ台、エンジンから吹き出る高熱に耐えられる滑走路です。 カタパルトは大量の電力を消費するため、アメリカ海軍の原子力空母のような大型の空母にしか搭載できません。 By: また、ジャンプ台も艦の構造そのものが変わってしまうため、「いずも型護衛艦」への搭載は現実的ではないと言われています。 そこで、原子力空母のような設備を持たなくても飛ぶことができるF-35B戦闘機が着目され、日本でも導入されることになりました。 垂直離着陸機 STOVL機 であるF-35Bはその名の通り、甲板から 垂直に離陸と着陸が可能ですが、離着陸時に噴射されるジェットエンジンの熱に耐えられるように「いずも型護衛艦」を改装してF-35Bの運用を予定しているようです。 そもそも日本に空母は必要か? 「いずも型護衛艦」を空母に改装できるとして、今の日本に空母は必要なのでしょうか?空母といえばアメリカ海軍の原子力空母が有名で、他国を攻撃する 攻撃型空母が強くイメージされます。 いずも(海上自衛隊HP) 50~70機の戦闘機を搭載する「攻撃型空母」は1隻で小国の空軍以上の力があり、まさに力の象徴と言ってもよいでしょう。 しかし、日本が今後、諸外国の政治には介入せず、他国と覇権をかけて戦争をする予定がないのであれば、この「攻撃型空母」は必要ないとする考えもあります。 そのような議論も起こるなかで、空母には 軽空母と呼ばれる種類もあり、他国の軍隊と戦闘する力はありませんが、自国の領土や軍隊を防衛する役割を担っています。 実際に、イタリア海軍やタイ海軍が自国の海軍艦艇、離れた領土を防衛する目的で軽空母を運用しています。 あまり知られてはいませんが、戦闘機を10機程度運用できるイタリア海軍の軽空母「カヴール」よりも、海上自衛隊の「いずも型護衛艦」の方がわずかに大きい艦でもあります。 軽空母を運用する目的 他国を侵略できる力のある「攻撃型空母」は日本にとって必要ではないでしょう。 しかし、「軽空母」なら日本にも運用をする目的があります。 ご存知の通り、日本には広い領海にいくつもの小さな離島があります。 最近では、離島に他国の軍隊が上陸、占領されたことを想定して自衛隊にも新しい部隊が創設されました。 いずも(海上自衛隊HP) その部隊は水陸機動団と呼ばれ、離島をはじめとした日本の領土が他国から侵攻された場合に防衛作戦を実行する日本版の海兵隊とも称されています。 この部隊の作戦を空から支援するためには地域の 制空権を確保する必要があり、わずかな戦闘機でも常に離島近くに配置できる軽空母は水陸機動団にとって頼もしい助けとなるでしょう。 このように、自国の防衛という観点から「いずも型護衛艦」の空母化における議論は急速に進んでいるのです。 「いずも型護衛艦の空母化」のまとめ 尖閣諸島や竹島に対する諸外国の脅威は大きくなりつつあり、現在ではイージス艦や現行の護衛艦がその動向に目を光らせています。 しかし、イージス艦や護衛艦単独よりも、 空からの抑止力を発揮できる戦闘機を配備した空母は、日本の領土の防衛において非常に効果的です。 また、万が一離島が占領されてしまった場合には、空母に搭乗した水陸機動団が海から上陸して離島を防衛することになります。 この場合にも離島の制空権を確保して、部隊を支援できる空母は必要不可欠となるでしょう。 さらに、アメリカとの関係性から米軍の後方支援としての役割も担うことが想定されており、同盟国としての立場にも注目が集まっています。 こうしたことから、国産の空母が活躍するようになる日もそう遠くはないのかもしれません。

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