日本産科婦人科学会専門医。 平成5年、日本大学医学部卒。 日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。 現在は港区の日野原... 女性の基礎体温は、大きく「低温期」と「高温期」に分かれます。 しかし、妊娠するとある一定期間は高温期が持続します。 今回は、その高温期とは何度くらいのことで、通常の期間はどれくらいなのか、高温期と妊娠、病気との関係、高温期のまま生理が来ることがあるのかなどについてご説明します。 基礎体温とは? 基礎体温とは、寝起き直後で体が一番安静な状態にあるときの体温のことを指します。 少し体を起こしただけでも体温は上昇してしまうので、朝、目を覚ましたタイミングで、体を動かさず寝たままの状態で測る必要があります。 基礎体温は、女性ホルモンの分泌によって左右され、一つの生理周期のなかで、「低温期(低温相)」と「高温期(高温相)」の二相に分かれます。 毎日基礎体温を記録して変化を見ることで、排卵や妊娠の可能性などを推定することができます。 関連記事 基礎体温の「高温期」とは? 基礎体温は、生理周期にあわせて上記のように変化します。 生理開始〜排卵前までが「低温期」、排卵後〜生理が始まる直前までが「高温期」となります。 排卵が起こると「プロゲステロン」という女性ホルモンの分泌量が増加します。 生理が始まる直前になると、プロゲステロンの分泌量は減るため、高温期は終わり低温期が始まります。 高温期の基礎体温は何度くらい? 基礎体温は個人差があるため一概には言えませんが、高温期の基礎体温は36. 高温期の基礎体温は、低温期の基礎体温から約0. 3〜0. もともと基礎体温が高い人は37度を超える可能性もあり、人によっては高温期に微熱のように感じる人もいます。 ただし、基礎体温が高すぎる場合、子宮内膜炎や風邪などの感染症が原因の可能性もあります。 基礎体温が高いこと以外に、何か症状がないか確認しましょう。 関連記事 基礎体温で妊娠がわかる?高温期が何日続いたら妊娠? 基礎体温の変化で、妊娠しているかどうかがおおよそわかります。 そのため、妊娠している場合、プロゲステロンの分泌が続き、高温期が維持されたまま生理予定日を過ぎます。 生理予定日から1週間以上経っても生理が来ず、高温期が続いている場合は、妊娠検査薬で調べてみましょう。 陽性反応が出たら、きちんと婦人科で検査を受けてくださいね。 高温期でも生理が来ることはある? 妊娠が成立しなかった場合、プロゲステロンの分泌量が減るため、基礎体温が下がります。 高温期が終わると、次の生理が近づいている証です。 通常、高温期のまま生理が来ることはありません。 もし、「まだ高温期なのに出血がある」という場合は、主に以下の理由が考えられます。 妊娠の着床出血 生理の血だと思っていたものは、実は妊娠が成立したときの「着床出血」だった可能性もあります。 月経予定日と同じくらいの時期に起きるため、違いを見極めるのは難しいですが、生理の出血量よりも少量の出血が数日続いただけであれば、着床出血の可能性があります。 関連記事 ホルモン療法の影響 不妊治療や月経異常の治療などでデュファストンやルトラールなどのプロゲスチン製剤を服用、または注射投与している場合、体温が下がらないまま生理が来ることもあります。 プロゲスチン製剤は、プロゲステロンを人工的に合成して作られた薬なので、基礎体温を上昇させる作用があります。 服用を止めると生理が来ますが、いつもの生理周期からは少し外れることもあるので、医師に詳しく確認しておきましょう。 婦人科系の病気や感染症による不正出血 子宮内膜症や子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がんなどの婦人科系の病気や、性器クラミジア感染症などの症状として、不正出血が見られることもあります。 あきらかに生理ではないときに出血があったり、おりものの異常などに気づいたりしたときは、病気の可能性も疑って、一度婦人科を受診しておくと安心です。 女性ホルモンの乱れ 生理が来ても高温期の状態が続く場合は、本来少なくなるはずの黄体ホルモンが過剰に分泌されてしまっている可能性があります。 その原因は明らかになっていませんが、なんらかの影響により女性ホルモンの分泌が乱れていると考えられるため、生理が始まっても高温期が続く場合は、医師に相談することをおすすめします。
次のもくじ• そもそも基礎体温とは? 基礎体温とは、 人間が生きるために必要最低限のエネルギーを使っている時 身体がもっとも安静な時 の体温のことです。 通常は、朝目を覚ました時に、横になったままの状態で測ります。 女性の基礎体温は生理周期、つまりは女性ホルモンの働きによって、 ・低温期…体温が低い ・高温期…低温期から0. 妊娠してない女性の基礎体温の特徴とグラフ 妊娠しておらず、排卵のある女性の基礎体温は、次のようなグラフを描きます。 出典: 【1】低温期 生理 月経 開始~次の排卵日までの約2週間のこと。 エストロゲン 卵胞ホルモン の量が増加し、体温が低い状態が続きます。 【2】高温期 排卵日~次の生理までの約2週間のこと。 プロゲステロン 黄体ホルモン の量が増加し、体温が高い状態が続きます。 このように女性の基礎体温は、女性ホルモンの働きによって「生理日」「排卵日」を境目にして、高温期と低温期の2相性のグラフになります。 妊娠しない場合はこのサイクルを繰り返していく形となります。 ちなみに、基礎体温で身体の状態を判断する為には、少なくとも3周期 3ヵ月 ほど記録をつける必要があります。 基礎体温グラフがガタガタ・・・理想通りにならないことも多い!? 上記のように低温期と高温期がキレイに2相にわかれるのが理想ですが、お手本通りにならないケースも多いようです。 低温期なのに体温が上がったり、逆に高温期になったと思ったら大きく体温が下がったり、「基礎体温がガタガタで・・・」と表現する人が多いようですね。 こんなグラフの状態だと「何のために基礎体温をつけてるんだろう」と、意味を感じなくなってしまいますが、 まずは少なくとも3ヶ月は続けることが大切です。 最初はガタガタで気が滅入るかもしれませんが、3ヶ月くらい続けていると自分のパターンが見えてきたりします。 また、基礎体温がガタガタになってしまう原因として、睡眠不足やストレス、不規則な生活、無理なダイエット、暴飲暴食などがあげられます。 ご自身の体調管理を見直すキッカケにもなるので、日頃から基礎体温は継続して計っておくと良いですね。 妊娠 超 初期の基礎体温の特徴とグラフ!高温期が2週間以上続いたら… 妊娠した場合は生理が止まるので、高温期が継続されることになります。 基礎体温グラフは次のような変化をします。 出典: 高温期が2週間以上続いた場合は、妊娠の可能性があると考えられます。 ただ、普段から高温期が長い人もいますので、いつもの高温期+2日以上続いたら妊娠の兆候と考えてよいでしょう。 3週間 21日 以上続いて、異常も生理もない場合は、かなり妊娠の可能性が高いので妊娠検査薬でチェックすることをオススメします。 妊娠 超 初期になぜ高温期が続くの? 排卵するとプロゲステロン 黄体ホルモン が増加しますが、このホルモンには 「受精卵が着床しやすいように子宮内膜をやわらかくすること」「受精卵が育つように体温を上げること」などの役割があります。 そのため、受精卵を育てるためにプロゲステロンの分泌量が減らず、高温期が継続されることになります。 妊娠しなかった場合は受精卵を育てる必要がないので、生理を起こすと同時に低温期に移ります。 後からグラフを見たら二段階上がりになってました。 0~36. 15、高温期は5日目までは36. 35~36. それ以降は36. 60~36. 85と、全体的に低めでも高温期が2段階になりました。 出典: この体験談のように、高温期で上昇した体温が、妊娠してさらにもう一段階上昇するという話はよくあります。 妊娠超初期で基礎体温が二段階になっているグラフの一例をご紹介します。 出典: このように二段階に上昇する原因として、体温を高くする働きのあるプロゲステロンが、妊娠してさらに多く分泌されるからだと考えられています。 妊娠初期に基礎体温が下がるのは異常?3つの原因とは? 妊娠初期に基礎体温が下がることで「赤ちゃんに何かあったのでは?」と不安を感じる人もいるようです。 妊娠初期に基礎体温が下がる3つの原因をご紹介します。 胎盤が完成してきた 妊娠するとプロゲステロン 黄体ホルモン が増加し、胎児が快適に過ごすための胎盤作りを手伝ってくれます。 ただ、 胎盤が完成してくると、胎盤からの妊娠維持ホルモンに切り替わるために基礎体温が下がり始めます。 早い人だと妊娠12~15週くらいから、遅い人でも妊娠20週くらいに基礎体温が低下するようです。 妊娠初期の流産確率は全妊娠の8~15%と言われており、その8割以上が初期流産とされています。 もし、 妊娠12週までに基礎体温が低下したら流産の可能性がありますので、産婦人科を受診するようにしましょう。 基礎体温の測り方が悪い 基礎体温はちょっとした変化で敏感に反応しますので、 「毎朝同じ時間に計る」「寝起きに寝たままの状態で計る」「舌の裏側の奥にある筋のすじ 舌小帯 にあてる」など見直してみましょう。 神経質になりすぎる必要はありませんが、、、起きる時間が遅かったり、体温計を取るのに起き上がったりしただけでも、体温が上昇して正確な体温が計れなくなるので要注意です。 基礎体温が高いのに流産?産婦人科に早く行くべき理由とは? 生理予定日がきても高温期が続き、妊娠検査薬で陽性反応が出て「妊娠しちゃった」と思っても、それで確実に妊娠が確定したとは言えません。 全妊娠の約15%は流産となり、流産した場合には、通常はプロゲステロン 黄体ホルモン が減少して基礎体温は下がります。 しかし、 ・お腹の中で胎児が亡くなってしまう稽留流産のケース ・子宮内膜以外の場所に着床する子宮外妊娠 異所性妊娠 のケース の場合、そのまま高温期が続くことがあります。 どちらも放っておくと危険な状態になる可能性があり、手術が必要になることもあります。 そのため、高温期が続き、妊娠検査薬で陽性が出たとしても、早めに産婦人科を受診して正確な判断をしてもらうことをオススメします。 「基礎体温の変化」以外の妊娠 超 初期症状もチェック! 妊娠 超 初期に高温期が続くというのは、妊娠の可能性を判断する上でとても有効ですが、他にもさまざまな初期症状があるのでご紹介します。 次のようなサインがあらわれたら妊娠している可能性があります。 ・そもそも基礎体温とは何なのか? ・妊娠時と通常時 妊娠なし の基礎体温の特徴やグラフの比較 ・基礎体温が二段階で上昇するケース ・妊娠初期に基礎体温が下がるケース ・基礎体温が高いままだけど流産しているケース ・妊娠の可能性を判断するための、他の 超 初期症状 などなど、詳しく解説させていただきました。 妊娠すると基礎体温を測らなくなる人もいますが…、安定期に入るまでは基礎体温の計測を継続することをオススメします。 妊娠症状の目安としてだけではなく、妊娠中の赤ちゃんや自分自身の体調管理もしやすくなります。 安定期に入るまでは何があるか分かりませんし、流産など何か異常があった時にも基礎体温の変化で気づきやすくなります。 ご参考になれば嬉しいです。
次の日本産科婦人科学会専門医。 平成5年、日本大学医学部卒。 日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。 現在は港区の日野原... 女性の基礎体温は、大きく「低温期」と「高温期」に分かれます。 しかし、妊娠するとある一定期間は高温期が持続します。 今回は、その高温期とは何度くらいのことで、通常の期間はどれくらいなのか、高温期と妊娠、病気との関係、高温期のまま生理が来ることがあるのかなどについてご説明します。 基礎体温とは? 基礎体温とは、寝起き直後で体が一番安静な状態にあるときの体温のことを指します。 少し体を起こしただけでも体温は上昇してしまうので、朝、目を覚ましたタイミングで、体を動かさず寝たままの状態で測る必要があります。 基礎体温は、女性ホルモンの分泌によって左右され、一つの生理周期のなかで、「低温期(低温相)」と「高温期(高温相)」の二相に分かれます。 毎日基礎体温を記録して変化を見ることで、排卵や妊娠の可能性などを推定することができます。 関連記事 基礎体温の「高温期」とは? 基礎体温は、生理周期にあわせて上記のように変化します。 生理開始〜排卵前までが「低温期」、排卵後〜生理が始まる直前までが「高温期」となります。 排卵が起こると「プロゲステロン」という女性ホルモンの分泌量が増加します。 生理が始まる直前になると、プロゲステロンの分泌量は減るため、高温期は終わり低温期が始まります。 高温期の基礎体温は何度くらい? 基礎体温は個人差があるため一概には言えませんが、高温期の基礎体温は36. 高温期の基礎体温は、低温期の基礎体温から約0. 3〜0. もともと基礎体温が高い人は37度を超える可能性もあり、人によっては高温期に微熱のように感じる人もいます。 ただし、基礎体温が高すぎる場合、子宮内膜炎や風邪などの感染症が原因の可能性もあります。 基礎体温が高いこと以外に、何か症状がないか確認しましょう。 関連記事 基礎体温で妊娠がわかる?高温期が何日続いたら妊娠? 基礎体温の変化で、妊娠しているかどうかがおおよそわかります。 そのため、妊娠している場合、プロゲステロンの分泌が続き、高温期が維持されたまま生理予定日を過ぎます。 生理予定日から1週間以上経っても生理が来ず、高温期が続いている場合は、妊娠検査薬で調べてみましょう。 陽性反応が出たら、きちんと婦人科で検査を受けてくださいね。 高温期でも生理が来ることはある? 妊娠が成立しなかった場合、プロゲステロンの分泌量が減るため、基礎体温が下がります。 高温期が終わると、次の生理が近づいている証です。 通常、高温期のまま生理が来ることはありません。 もし、「まだ高温期なのに出血がある」という場合は、主に以下の理由が考えられます。 妊娠の着床出血 生理の血だと思っていたものは、実は妊娠が成立したときの「着床出血」だった可能性もあります。 月経予定日と同じくらいの時期に起きるため、違いを見極めるのは難しいですが、生理の出血量よりも少量の出血が数日続いただけであれば、着床出血の可能性があります。 関連記事 ホルモン療法の影響 不妊治療や月経異常の治療などでデュファストンやルトラールなどのプロゲスチン製剤を服用、または注射投与している場合、体温が下がらないまま生理が来ることもあります。 プロゲスチン製剤は、プロゲステロンを人工的に合成して作られた薬なので、基礎体温を上昇させる作用があります。 服用を止めると生理が来ますが、いつもの生理周期からは少し外れることもあるので、医師に詳しく確認しておきましょう。 婦人科系の病気や感染症による不正出血 子宮内膜症や子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がんなどの婦人科系の病気や、性器クラミジア感染症などの症状として、不正出血が見られることもあります。 あきらかに生理ではないときに出血があったり、おりものの異常などに気づいたりしたときは、病気の可能性も疑って、一度婦人科を受診しておくと安心です。 女性ホルモンの乱れ 生理が来ても高温期の状態が続く場合は、本来少なくなるはずの黄体ホルモンが過剰に分泌されてしまっている可能性があります。 その原因は明らかになっていませんが、なんらかの影響により女性ホルモンの分泌が乱れていると考えられるため、生理が始まっても高温期が続く場合は、医師に相談することをおすすめします。
次の