それでもイモニイの授業には、全国の教員が見学に来る。 学校の先生だけではない。 カリスマ塾講師も、プロ家庭教師も、イモニイの授業を一目見ようとやってくる。 どんな授業をしているのか。 拙著で詳しく取り上げたイモニイの授業の実況中継を、一部転載する。 手を動かさないと「頭のよさ」がマイナスに働く 「はい。 ちょっとパズルやめて。 残り時間で『試行錯GO!』をやります」 「オー!」とか「イェーイ!」とか、歓声が起こる。 生徒たちから人気の活動らしい。 「今日の問題は簡単です。 『立方体をつくろう』です。 ただし、幅が『1』の長方形からつくってください。 1センチじゃなくていいよ。 幅が『1』の長方形から、一辺の長さが『1』の立方体をつくってください」 「先生! のりしろはありですか?」 「なしです。 折るのみです。 折るだけでつくってほしいんだけど、折る前に、幅『1』の長方形がどれくらいの長さがあればいいかちょっと考えてみてください。 長方形のここの辺の長さが『1』に対して、もう1辺はどれだけの長さがあれば折りたたんで立方体ができる?」 「8!」 「オマエたちのすごいところは、頭の中で考えて、頭の中で結論が出せること。 つまり、実際に作業をしなくても予想できる。 それはすごい。 でもね。 一方で、つくってみないと本当はわからないってことがあるわけよ。 例えば、オレのいちばん初めの授業でやったでしょ」.
次のナメられそうなのに、ナメられない。 それが不思議 私は6~7年にわたってイモニイの教育現場を取材してその成果をという書籍にまとめた。 そこでわかったことがある。 イモニイの魔法の秘密の1つは、実は、生徒との対等な関係性にある。 その安心感の中でこそ、子供たちは最もよく学び、結果を出し、大きく成長するのだ。 栄光学園の生徒たちにイモニイの「評判」を聞くと、こんな答えが返ってくる。 「生徒への愛が普通じゃない」「自由なひと。 生きていればそれでいいじゃんと本気で言ってくれる」「夢中にさせる名人」「生き方がかっこいい」「ツッコミどころ満載で、生徒からナメられそうなのに、ナメられない。 それが不思議」。 世間には、年頃の子どもの傍若無人なふるまいに頭を抱える親御さんも多いことだろう。 悪態をつく生徒にどう対処していいのか戸惑う教員も多いはずだ。 そこで、イモニイに、子どもたちとのコミュニケーションのコツについて聞いた。
次の全国の教員が! カリスマ塾講師が! 一目見たいと見学に訪れる授業では一体何が行なわれているのか? 大切なのは「ふざけ」「いたずら」「ずる」「脱線」!? 【はじめにより】 急激なグローバリゼーションだとか、情報技術の発展だとか、AI 人工知能 の進歩だとか、 たしかに世の中は大きく変化している。 だから教育も変化しなければいけないとも叫ばれている。 しかしともすると、そのような言説をもとに繰り広げられる教育論議は、 世の中の変化に、どうやって子供たちを対応させるのかという話に陥りがちだ。 まったくあべこべだ。 子供たちが未来をつくるのであって、当たりっこない未来予想図に合わせた子供たちをつくるのではない。 教育の役割は、子供たちに未来をつくる力を携えさせることであり、未来に怯えさせることではない。 とはいえ、教育が変わらなければいけないことも事実である。 どう変えればいいのか。 そのヒントが、イモニイの授業を受ける子供たちの躍動感のなかにある。 一人でも多くの先生がイモニイ流のコツをつかんでくれれば、大げさな教育改革なんてしなくても、 日本の教育は意外にあっさりと変わるかもしれない。 イモニイと同じ視点から子供たちを見つめれば、多くの親の不安が解消し、 偏差値に振り回されるようなことが減るかもしれない。 そんな願いを込めて、本書を著す。 現在の教育に対する痛烈な批判書であり、希望の書でもある。 ライバルはスマホやゲーム機 手を動かさないと、頭の良さが弱点になる …etc 第2章「プルっと体験」が止まらない この教室ではありのままの自分でいられる 「奇跡」を「奇跡」と決めて受けているのは大人たち …etc 第3章 伝染るんです 毎週わざわざ愛知から通う生徒も 世界トップのエリート校をうならせる …etc 第4章 ジャッキー・チャン参上 20年以上続けている学習支援 学校の長期休暇のたびにセブ島に通う …etc 第5章 鬱るんです 嘘で埋め尽くした原稿用紙 教えたことは身に付かない …etc 第6章「奇跡」のレシピ 15年ぶりに明かされた真実 論理だけでは前に進めない …etc この本は、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、「いもいも」教室を主宰する 栄光学園教員・井本陽久さんに密着したルポルタージュです。 先生の授業では「変態」という言葉が飛び交います。 それは最高の褒め言葉。 それまでになかった突飛な方法で解答を思いついた生徒に対して先生がかける言葉なのです。 そこで喜び、はしゃぎ、悔しがり……瞳を輝かせる生徒たちの姿が見事に活写されています。 既存の日本の教育に、明るく楽しく一石を投じる内容です! 内容(「BOOK」データベースより) 正直内容は薄い。 前半で、これからのグローバル人材を育成するためなんて掲げていない、これからの社会に必要だからといってそれを身につけさせるための教育をしようとは考えていないと記されている。 それは本当だろう。 が、理屈を超越したところで、井本氏は日本の誰よりも先を見越した教育を行っている。 内容は薄い、だからこそ時間もかからずに読み通すことができる。 故に、気兼ねなく薦められる。 とにかくたくさんの人に読んでほしい。 内容が薄いからこそ決して読みとばさずに最初からきっちりと読みすすめてほしい。 そうすることで教育関係書紙上、衝撃的に「熱い」ラスト22ページが最後に待っている。 決して得るものは薄くない。 むしろ分厚くぶ熱い。 本人の思考と実践が厚すぎるからこそ、この内容でも薄いと感じてしまう。 もっと聴きたい、知りたい、学びたいという思いが込み上げてくる。 帯のコピーに「叱らないでも子どもは育つ」とあるが、これはイモニイの思想の本質を突いていない。 著者の質問にイモニイはこう答えている。 「状況によっては僕も全然怒りますよ。 個々はきちんとしていても集団になると全然ダメっていうことあるじゃないですか。 考えて『悪さ』をしているというよりは、考えないで堕落して行くみたいな。 そういうときに注意とか、ハッとさせるとかは、全然使えばいいと思っているし」。 イモニイも叱るべきときは叱ってもいいと言っているのだ。 この「叱るべきとき」にイモニイの思想が逆説的に表れているように思う。 イモニイが「叱るべき」とするのは「考えないで堕落して行くみたいな」ときである。 すなわちイモニイは、「叱らない」ではなく「考えているか」を重視しているのだ。 「叱らないでも子どもは育つ」というコピーは、お手軽でスピリチュアルな印象を与えるばかりか、イモニイの本質を誤解させかねない。 なぜ私が帯のコピーのような些細なことにこだわるのか。 それは、本書ができるだけ多くの読者に流通してほしいと願うからだ。 本書に書かれているのは、人が好い中年男性が語るスピリチュアルな教育観ではない。 教育の求道者が語る実直な哲学である。 帯の印象で購入をためらった方は、ぜひ一度手にとってイモニイイズムを確かめていただきたい。 この本で、イモニイが栄光学園で実践しているポイントゲット!システムを応用して、娘にポイントカードを作ったところ少し自発性が増してきている。 スマホやYouTube番組やゲームが憎らしく思うわけですが、取り上げるのではなく、子供達が楽しいと思うこれらのものを超える授業だったり、教え方が求められているのだと思います。 本書は後半に進めば進むほど、子供を全承認するとはどういうことか?というかなり深い話になっていきます。 ほとんど悟りの境地に近いと思うのですが、子育てや教育の理想形がここにある気がしました。 一度イモニイの授業見学してみたいです。 今は国語をメインに教えているので、国語の先生でイモニイみたいな方がいらっしゃったら合わせて勉強したいです。
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