ポール ダノ。 ポール・ダノ、新作『ザ・バットマン』の脚本を称賛

ポール・ダノ、新作『ザ・バットマン』の脚本を称賛

ポール ダノ

無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。 いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。 ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。 まさかと思ったが、その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。 ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!様々な便利機能を持つ死体の名前はメニー。 苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。 「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。 1999年、テレビドラマ『デビッド・コパーフィールド』で俳優デビュー。 2001年、『テイラー・オブ・パナマ』でスクリーンデビュー。 その後、世界的メガヒットとなった『ハリー・ポッター』シリーズで主演を務め人気を確立。 2010年のシリーズ最終話8作目を終えてからも多様な才能を発揮し続ける。 2012年イギリス・ホラー映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』で主演を務めるほか、その後も、デイン・デハーンと共演した『キル・ユア・ダーリン』(13)、『ホーンズ容疑者と告白の角』(13)、『もしも君に恋したら』(13)、ジェームズ・マガヴォイと共演した『ヴィクター・フランケンシュタイン』(14)、ジェシー・アイゼンバーグ主演作の続編『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(15)などに出演。 舞台では、2007年に全裸姿での演技が話題となった「エクウス」で主演を務めブロードウェイデビュー。 演劇ファンチョイス賞、ブロード・ウェイ・ドット・コム・オーディエンスアワードで最優秀主演男優賞、ブレーク・スルー・パフォーマンスアワードを受賞した。 2011年には10か月間チケットが完売状態だったミュージカル「ハウ・トゥ・サクシード-努力しないで出世する方法-」で主演を務めた。 1984年6月19日、アメリカ合衆国・ニューヨーク州生まれ。 10歳の頃スカウトされ、12歳でブロードウェイデビュー。 17歳の時に出演した『L. E(原題)』(01)で映画デビュー。 インディペンデット・スピリット賞最優秀デビュー演技賞、監督週間賞の最優秀俳優賞を受賞。 その後、『卒業の朝』(02)、『キング 罪の王』(05)などに出演し、2006年、『リトル・ミス・サンシャイン』で日本でも知られるようになる。 その後、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたポール・トーマス・アンダーソン監督作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作『プリズナーズ』(13)、アカデミー賞作品賞に輝いたスティーブ・マックィーン監督作『それでも夜は明ける』(13)、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされたパオロ・ソレンティーノ監督作『グランド・フィナーレ』(15)など名だたる監督たちの作品に出演。 15年『ラブ&マーシー終わらないメロディー』ではビーチ・ボーイズの作曲家でミュージシャンのブライアン・ウィルソンを演じ、ゴッサム・インディペンデント映画賞の最優秀男優賞を受賞した。 最新作は、ポン・ジュノ監督のNetflixオリジナル映画『オクジャ』。 また、2012年『ルビー・スパークス』では主演&製作総指揮を務め、出演&脚本のゾーイ・カザンとはプライベートでも交際している。 1984年11月28日、アメリカ合衆国・ノースカロライナ州生まれ。 12歳までバレエスクールに通うが、その後役者を目指すようになる。 97年にTVドラマに初出演、99年に映画デビュー。 2005年『ザ・リング2』『スカイ・ハイ』、2006年『ファイナル・デッドコースター』の出演を経て、2007年『ダイ・ハード4. 0』で主演ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンの娘役に抜擢。 続いて、クエンティン・タランティーノ監督『デス・プルーフinグラインドハウス』に出演。 2011年のエドガー・ライト監督によるカルト・コミックの実写化作品『スコット・ピルグリムVS. 邪悪な元カレ軍団』ではヒロイン役としてマイケル・セラと共演する。 ダニエル・クワン(Daniel Kwan)とダニエル・シャイナート(Daniel Scheinert)の2人組みの通称。 ダニエル・クワンはアメリカ合衆国・マサチューセッツ州で生まれ、アニメーションとグラフィックの業界で働き始め、同国・アラバマ州出身のダニエル・シャイナートと出会った。 クリエイティブ・デュオとして彼らは共に監督、編集、VFX、時にダンス、演技、スタントまでも手がける。 2014年、彼らはDJスネークとリル・ジョンの圧倒的人気を誇るミュージック・ビデオ「Turn Down for What」でMTVビデオ・ミュージック・アワードの最優秀監督賞を受賞し、第57回グラミー賞最優秀ミュージック・ビデオ賞にノミネートされた。 2011年、マンチェスター・オーケストラ「SimpleMath」でUKミュージック・ビデオ・アワーズVideooftheYearを受賞。 2012年、バトルス「MyMachine」でSXSW映画祭の最優秀ミュージック・ビデオ賞を受賞。 2013年には、フォスター・ザ・ピープル「Houdini」で第55回グラミー賞最優秀短編ミュージック・ビデオ賞にノミネートされた。 また、ショートフィルムの制作にも取り組んでおり、革新的な会話劇である『Possibilia』は2014年のトライベッカ映画祭でプレミア上映されフューチャー・オブ・ストーリー・テリング部門で最高賞を受賞。 翌年のサンダンス映画祭ニュー・フロンティア部門でも上映された。 2015年には、ファッションサイト「DAZED DIGITAL」とのコラボレーションで短編『Interesting Ball』をリリースしSXSW映画祭で上映された。 予想外な絆の中に見つける人間性 『スイス・アーミー・マン』は、人生の過渡期におり、無人の浜辺に打ち上げられた漂流者のハンク(ダノ)の物語だ。 彼は、浜辺に打ち上げられた水死体で、ハンクが予想だにしなかった方法で新たな希望をもたらす、メニー(ラドクリフ)という仲間を見つける。 2人は親密で思いもしなかった関係を育んでいき、それは大自然の中で生き抜くための努力を試される中で、愛とも呼ぶべき関係へと発展していく。 彼らは共生的に絡み合い、互いを支え合い高め合っていく。 この新たに築かれた友情が文明によって脅かされるまでは。 「毎日、ダニエルズは驚くほどすばらしい脚本にどのように命を吹き込むんだろうと思いながら現場に行っていたよ」と、ラドクリフは語る。 「毎日、2人は一見シンプルに見える方法で、驚くようなことを見つけだすんだ。 この映画の撮影における最大の喜びの1つは、監督たちが自分たちの頭の中にあるイメージを現場で具現化させるところを見られたことだったよ」。 本作では、事もあろうに、おならの中に、次第に失われていく人間性を描いている。 「僕たちは正道から外れた小さな中心点をまず決め、それを支えるためのあらすじを考えたんだ。 その途中で、パーソナルな何かや、それほど正道から外れていない人間を見つけていった。 『誰だっておならをする、それでいいんだ』ってわけさ。 通常であれば周囲の人々に避けられるかもしれないが、代わりに、より親密にする何かがあれば、人生を前向きに生きられるんだ」。 『スイス・アーミー・マン』の中心にあるのはブロマンスだ。 または、片割れがたまたま死んでしまっているバディ・ムービーとも言える。 この作品は、深遠で度々めまいがするようなレベルで、人間関係を中心に据えた、ウキウキするような創作の意欲とつながる喜びを表現している。 「これは普遍的な愛についての映画なんだ」とシャイナートは主張する。 「僕たちは、それをわざわざ説明することなく、もっとシンプルな方法を開拓したかったんだ」とクワンがつけ加える。 「この作品は、何かを、または誰かを必要とする2人の物語で、彼らはそれを何もない所から見つけるんだ。 できれば、観客のみんなには、映画を観たあとに2人の嗜好について疑問を感じてもらいたいね」。 奇妙な勝利:ハンクとメニーのキャスティング 脚本の最終版ができあがると、ダニエルズは『スイス・アーミー・マン』の核となる忘れがたい2人組の役に合う俳優を探しはじめた。 彼らが求めたのは、創造性という点で気心が合う人物たちで、ダニエル・ラドクリフとポール・ダノというありそうでなかったコンビを見つけ出したのだ。 ラドクリフは、インディーズ作品やブロードウェイ・ミュージカルへの出演を経て、ハリー・ポッターを演じていた頃からすっかり成長していた。 「大変だったのは、歌を歌えて、一緒に働きやすく、才能がある人物を見つけ出すことだった」とシャイナートは説明する。 ダノは第一候補だった。 『リトル・ミス・サンシャイン』、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』などに出演する熟練の俳優であるダノは、大胆で冒険心があり調子の悪い役柄にはなじみがあった。 「ハンクは彼にとってありきたりの役柄ではなかったけれど、ダノはこのキャラクターを面白い方向転換として捉えたんだ」とクワンは説明する。 「おかげで、あの偉大な映画は俳優を僕たちのバカげた物語の中心に据えることができたんだ」とシャイナートはつけ加える。 「ダノは親友になったよ。 なぜなら、彼も芯の部分では変わり者だからね。 ダノとダニエル・ラドクリフ、そしてメアリー・エリザベス・ウィンステッド、『スイス・アーミー・マン』に出演する3人の俳優は、僕たちの奇想天外な創造の作業についていくため、自分たちの信念から脱却しなきゃならなかったんだ」。 この創造の作業では、北カリフォルニアのアメリカスギの森における数週間にわたる撮影が必要となった。 撮影では、ダノとラドクリフは肉体を酷使しなければならず、それは骨の折れる作業となった。 「たぶん、俳優になってから一番肉体を酷使したよ。 森中、ダニエルを抱え歩いただけの話ではない」とダノは語る。 「地形とアクション、それにユーモアや感情的なものが組み合わさって、酷使することになったんだ。 ダニエルズは数多くのすばらしいアイデアを映画に取り入れた。 ほとんどダンス・シーンに見えるような場面が何度もあったよ」。 『スイス・アーミー・マン』の撮影に入る前、ダノとラドクリフは顔見知り程度の仲だった。 だが脚本の読み合わせで、撮影中でもそうでなくても、親密な関係になることがこの映画において必須条件だと分かった。 「ラッキーなことに、僕たちはカメラが回っていない時もうまくやっていた」とダノが説明する。 「撮影準備のためにニューヨーク市で初めて会った時、ダニエルズがこのクレイジーな作品をどうやって完成させるつもりなのか、僕たちは2人とも不思議がっていたんだ」。 セットでは、ダノとラドクリフは抱き合う体勢が心地よくなり、長い間、絡み合っていたわけではないが、肉体的に密着していた。 「だって、映画の大部分で、2人しかいないんだ。 僕たちは常に互いを頼りあうしかなかった。 ふざけあったり友情を育んだり、対抗したり一緒に楽しんだりする余地はたくさんあったよ」。 マンチェスター・オーケストラによる音の挑戦 『スイス・アーミー・マン』の核となる躍動感を作り上げているのはマンチェスター・オーケストラのアンディー・ハルとロバート・マクダウェル作曲のユニークな音楽だ。 それはハンクの頭(そして口)から鳴り響いているという意図で創られている。 ハンクは未開の荒野に取り残され、棒きれやゴミ、そしておならが止まらない死体から自身の現実を創り出すよう追い込まれる。 制作に先立ってダニエルズは自分たちの監督デビュー作に音楽を提供してもらおうとアトランタ在住の彼らにアプローチした。 彼らバンドは脚本の精神に基づいて歌曲を提示した。 それはシャイナートとクワンにとって喜びでもあった。 彼らはその代わりに、作品を形作る時に自分たちに課すようなクリエイティブな挑戦を友人である音楽家たちへ提示した。 先駆者ハルとマクダウェルは楽器を用いず「限られた手段」で音楽を作曲するという課題を与えられた。 つまり身体から発せられる音だけを使って、もしくは森林のような自然環境に存在する音を使って。 ラストシーンまでは、音楽全体が極めてミニマリストであり、アカペラである。 映画の最後のシーンで初めて、伝統的なオーケストラ構成となる。 「この映画の大前提は常に森にいる男についてだった。 僕たち自身はそこで利用可能なものだけを使おうとしたのさ」シャイナートは説明する。 クワンは大学時代からマンチェスター・オーケストラのファンだった。 だからハルとマクダウェルが『スイス・アーミー・マン』の音楽に相応しい人間だということを分かっていたのだ。 「アンディーはボーカルメロディとハーモニーに長けているんだ。 つまり自分の声に対して非常に強いコントロール力を持っている」とクワンは主張する。 「映画はボーカル・ハーモニーだけを必要としていたんだ。 そしてロバートは匹敵する口のテクニックがある。 2人の力で本当に完璧な才能豊かな音楽チームになったよ。 」ハルとマクダウェルは通常、音楽制作には不十分とされるような材料を使って野外録音を作り上げるという挑戦に臨んだ。 「僕たちは楽器を使って音楽を創る方法は知っていた。 でも僕たちの声だけでオーケストラ風の音楽を生み出すという試みに惹きつけられたのさ」とハルは認める。 マクダウェルは付け足す。 「異なる芸術分野への敬意を、音楽という背景に存在するものを使ってどうやって表せばいいのか。 それを学ぶというのはとてもエキサイティングだったよ。 だけどダニエルズは鍵となるシーンで僕たちの音楽を大きく、音楽が取って代わるようにして欲しがった。 この壮大な音楽的瞬間に取り組みながら押し引きを見つけるということ、それは本当に芸術的挑戦だったよ。 」 確かに楽曲の精神、挑戦からの繋がりは事実上、制作過程のどの段階においても『スイス・アーミー・マン』を定義づけるものだった。 ダノとラドクリフによって、ダニエルズの当初のアイデアである「おならをし続ける死体」という考えからマンチェスター・オーケストラの口を基本とする音楽へと絆が育まれたのだ。 それはデュエットと二元性を楽しむ映画だ。 「監督2人がバディ・ムービーを成立させたのは偶然ではないんだ」と、シャイナートは言及する。 「映画を作るなんてことは狂気だよ。 そして他人も同じくらいこの狂気を愛している。 それは特別な感情だ。 そんな繋がりを築くのは難しい。 けれども魔法のようなんだ。 奇人たちに溢れた映画を僕たちは創りたかった。 人間は誰もが奥底では奇人だからさ」。

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【俳優】ナヨナヨした魅力がステキなポール・ダノがたまらない!

ポール ダノ

ポール・ダノが、マット・リーヴスによる新作『ザ・バットマン』の脚本が「とてもパワフル」だと称賛している。 ロバート・パティンソンが新たなバットマンを演じる同作で、悪役のリドラーを演じるポールは、新型コロナウイルスの影響により現在は撮影が中断となっているものの、監督でもあるリーヴスの力量に感銘を受けていることから、再開が待ちきれないのだという。 ザ・プレイリストとのインタビューの中で、ポールはこう話す。 「撮影中だったんだ。 それで子供に会いに一度家に戻ったら、(ロックダウンが始まり)セットに戻れなくなった。 変な気分だったよ」「でも作品には自信を持ってる。 マット・リーヴスってすごい人物だと思うから。 彼の脚本にはとても驚かされた。 すごくパワフルな可能性を秘めてる。 近々、撮影に戻れるといいけど、分からないね」 ストーリーについて詳細は明かせないとしながらも、ポールは全てのキャラクターに面白みがあると続ける。 「派手にビッグスクリーンでみんなに見てもらいたくて仕方ないっていうような映画なんだ」 同新作にはキャットウーマンのゾーイ・クラヴィッツ、ペンギン役のコリン・ファレルなども出演している。

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映画『ワイルドライフ』公式サイト

ポール ダノ

映画『ワイルドライフ』の作品概要 監督はポール・ダノ。 ベストセラー小説をパートナーのゾーイ・カザンと 4 年かけて脚本を書いたそうだ。 アメリカ社会で問題になっている 「山火事」と「毒親 」の二つをうまく絡めて物語を編んだ。 少年役のエド・オクセンボールドの純粋な眼差しが切ない。 映画『ワイルドライフ』のあらすじ・ネタバレ 仕事も長続きしない父親ジェリー。 仕事探しのため引越しを繰り返す。 妻のジャネットは温かい目で見ている。 息子のジョーはできれば一箇所に落ち着きたいと考えている。 でも、またしても父親は失業した。 毎日ビールばかり飲む夫に愛想をつかす妻。 お金も底をつき、ジェリーは出稼ぎに行く。 そこから妻の何かが崩壊した。 ジョーはどうなるのか。 映画『ワイルドライフ』の感想・評価・内容・結末 毒親を見て真面目な大人になろうとする少年の物語 正直、とてもキツイ映画だと思いました。 わたしが少年ジョーの立場だったらこんな両親を捨てると思います。 特に母親は絶対に許せません。 この映画はジョーが大人で両親のジェリーとジャネットは子ども以下だと思います。 ジョーは こんな両親を通してちゃんとした大人への階段を登っていくのがせめてもの救いです。 多感な14歳の少年だったら今まで仲睦まじかった父と母が不仲になり、 母親が浮気をする様を目の当たりにしたら精神的におかしくなり、投げやりな行動に出ると思います。 特にアメリカですから悪い仲間を作り酒、タバコ、挙げ句の果てにドラッグへと足を踏み込む可能性が高い。 最悪の毒親は子どもに無関心であること でもジョーはとってもピュアなのだ。 特に母親が最悪だ。 確かに夫のジェリーは怠け者かもしれない。 でもそれを覚悟で伴侶にしたのではないか。 仕事も長続きしない、そして引越しで各地を転々とする、妻にとっては不安な毎日だろう。 でも彼を選んだのは妻であるジャネットだ。 お金のない生活は不安だろう。 子どもの学費も明日のパン代すらないのは確かに怖い。 でもだ、だからと言って 子どものジョーの前で浮気三昧はまずいだろう。 いくらアメリカでも子どもの前で父親と違う男との情事は常識的におかしい。 究極の毒親だ。 つまり子どもに一番無関心である証拠だ。 ポール・ダノ監督の才能を応援したい 本作の監督はポール・ダノ。 まさか監督デビュー作にてこれほどの良作に仕上げるとは驚いている。 ハンサム俳優で進んでいくと思ったが、 演出の才能も豊富にあることがわかった。 近年、 アメリカの俳優が監督を手がける動きが活発だ。 イーストウッド無くしてポール・ダノもない。 なぜならば イーストウッドに続けとばかりにロバート・レッドフォード、メル・ギブソン、ケビン・コスナー、デンゼル・ワシントン、ジョージ・クルーニー、ベン・アフレック、アンジェリーナ・ジョリーが監督として成功している。 余計な SE (効果音)がない。 全体的にフラットだ。 台詞のやり取りもガチャガチャしてない、 時には沈黙 を持って語らせているのが良い。 カメラも固定ショットが多く、余分な動きがないのが良い(普通、初めての監督作品だと撮影監督に任せてパンやドリーを多用してしまうらしい)ダノは多くの 映画を観て勉強しているのがわかる。 予想だがポール・トーマス・アンダーソン監督の影響を受けているように感じる。 アメリカの山火事とジャネットの浮気心を比喩として表現 もう一つ、 アメリカで深刻な山火事をこの家族の物語にうまく溶け込ませている。 火は一度燃え上がると消すのが難しい。 ましてや人力で消すのは途方もないエネルギーが必要だ。 映画の中で母親のジャネットが言っていた 「自然の摂理」 つまり人間の力なんで無力である、だったら放っておけば良いとなる。 これが ジャネットの浮気心に重なるのだ。 ジャネットの浮気心は抑えられなかった。 だから ジョーは見守るしかなかったのだろう。 実にうまい演出だと思う。 ジェイク・ギレンホールのスクリーンへの浸透力が素晴らしい さて、父親役のジェイク・ギレンホールはもうスクリーンに出てくるだけでなぜか納得してしまう。 もちろんとってもハンサムな顔は言うまでもないが、あ のしっとりとした雰囲気がどんなシチュエーションにも馴染んでしまう不思議な魅力がある。 浸透力とでも言おうか。 なんだろう?あの憂いを持った瞳からだろうか。 今後も研究していきたい。 本作ではダメ父を演じているが、自分の若かりし頃の夢を子どもに託しているあたりは、ひょっとしたら 過去の栄光にこだわるプライドが成功への道を阻んでいることがうかがえる。 その心情光景がうまく表れていたと思う。 キャリー・マリガンはいつの間にか成長してしまった感じが嬉しい 母親役のキャリー・マリガンは着々とキャリアを積み上げてきた。 本作の母親の年齢は34歳でマリガンも同じ歳だ。 ひょっとしたら初めての母親役だったのかもしれない。 それが良かったのかもしれない。 まだ母親に成りきれていない様が引き立ったからだ。 ジョーを生んだのは二十歳の時だからあまり遊んでいないから、夫に愛想を尽かした瞬間に堰を切ったように遊びたくなったのだ。 実に分かりやすかった。 後に息子と再会した時のちょっと後悔している表情が絶品だった。 さて、この映画は 少年ジョーの優しさに満ち溢れた物語だ。 当事者でありながら 両親を俯瞰しながら見ている。 決してヤケを起こさない。 両親を正しき道に戻そうとする 神様の目線で捉えている。 最後に 3 人で写真を撮る場面はグッときた。 成長したジョーの目線は両親と同じ高さになっている。 でも余計な動きはせず、真ん中に黙って座ることで二人に 「もう一度、家族に」とメッセージを送っている。 映画『ワイルドライフ』まとめ 一言で言うと! 真実が所在を見失ったら、子ども聞け! 子どもは親の心を一番知っている。 正しいことも間違ったことも子どもは見ている。 夫婦ケンカをする前に子どもの顔を見ろ、子どもの声を聞け! あわせて観たい映画 【毒親が登場する映画】 映画『存在のない子供たち』 これがレバノンの現状なのだろうか。 出生証明書もない子供たち 映画『ガラスの城の約束』 両親揃って社会から逸脱していて働きません。 父親はアル中でDV野郎です。 映画『荒野にて』 父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。 『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』 娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。 映画『赤い雪 Red Snow』 我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。 映画『J・エドガー』 息子が可愛くて仕方ありません。 徹底的な教育を施します。 映画『ある少年の告白』 宗教的な観念で息子の自由を束縛します。 【子ども可愛がり映画】 映画『リアム16歳、はじめての学校』 気持ち悪いくらいに息子に干渉します。 息子と恋人気分です。 『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 』 こちらは母親依存です。 映画『パパは奮闘中』 蒸発した妻の代わりに子育てします。 【ある意味、毒親である気がする映画】 映画『ビューティフル・ボーイ』 薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。 映画『ベン・イズ・バック』 薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。 映画『ワイルドライフ』の作品情報 監督 ポール・ダノ 『スイス・アーミー・マン』(17)『グランドフィナーレ』(16)『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』(15)『プリズナーズ』(14)『それでも夜は明ける』(14) 製作 アンドリュー・ダンカン アレックス・サックス ポール・ダノ オーレン・ムーバーマン アン・ロアク ジェイク・ギレンホール リバ・マーカー 製作総指揮 ゾーイ・カザン テッド・デイカー エディ・ベイスマン ベス・ウェザーマン 原作 リチャード・フォード 脚本 ポール・ダノ ゾーイ・カザン 撮影 ディエゴ・ガルシア 美術 アキン・マッケンジー 衣装 アマンダ・フォード 編集 マシュー・ハンナム ルイーズ・フォード 音楽 デビッド・ラング 音楽監修 スーザン・ジェイコブス キャスト キャリー・マリガン (ジャネット) 『未来を花束にして』(17)『ナショナル・シアター・ライヴ 2015 「スカイライト」』(15)『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(14)『華麗なるギャツビー』(13)『ドライヴ』(12)『わたしを離さないで』(11)『プライドと偏見』(06) ジェイク・ギレンホール(ジェリー) 『世界にひとつのロマンティック』(19)『ゴールデン・リバー』(19)『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』(19)『ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた』(18)『ノクターナル・アニマルズ』(17)『ブロークバック・マウンテン』(06) エド・オクセンボールド ジョー ビル・キャンプ 作品データ 原題 Wildlife 製作年 2018年 製作国 アメリカ 配給 キノフィルムズ 上映時間 105分 映倫区分 PG12.

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