お知らせ 株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)による事業運営委託のもと株式会社リクルートキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林 大三、以下リクルートキャリア)が運営していたサービス『リクナビDMPフォロー』(2019年8月4日にサービスを廃止)に関して、学生の皆さま、企業、大学の関係者の皆さまなど各所に多大なご心配、ご迷惑をおかけしていること、誠に申し訳ございません。 また、リクルートとして、子会社に対する適切なガバナンスを実施できていなかったことを深くお詫び申し上げます。 また、これまで関係各所からの調査が継続していたため、私たちよりご報告できることに限りがございました。 しかしながら、本日付の個人情報保護委員会による勧告・指導をもって本件に関する事実認定が完了し、『リクナビDMPフォロー』に関する事実の全容をご報告できることとなりました。 そのため、改めて以下に本日受けました個人情報保護委員会からの勧告・指導も踏まえ、本件の一連に関する課題認識と再発防止策をご報告いたします。 1.『リクナビDMPフォロー』に関する私たちの課題認識について 2019年8月26日付および本日付の個人情報保護委員会からの勧告・指導、2019年9月6日付での東京労働局からの指導において指摘されているところでもありますが、本件は、適切な個人情報の取扱いという観点にとどまらず、大きな不安を抱えながら就職活動に向き合う学生の皆さまにサービスを提供するものとしての在り方に大きな課題があったと考えております。 また、本件のように「データの利活用」という慎重なリスク分析を必要とするテーマを取扱う際には、その時点における法規制の内容だけではなく、広く社会の動向や時流を踏まえて検討を進めていくべきところ、結果的に一部のサービス提供が法の趣旨に沿わず不適切であると指摘されたことについて、重く受け止めております。 2019年8月26日付のリクルートキャリアからのリリースにおいて、本件の問題の根本は「ガバナンス不全」と「学生視点の欠如」にあるというご報告させていただいておりますが、本日付の勧告内容も含めて、改めてその認識を強めております。 以下にて、本認識の詳細についてご報告させていただきます。 本件につながる「ガバナンス不全」とは、リクルートキャリアにおいてこのような研究開発的な商品開発に対するガバナンスの空白地帯が存在しており、その体制をリクルートキャリアの経営システムとしてカバーできていなかったことに、その真因があったと考えております。 研究開発として位置付けられた商品開発における、責任者不在の検討体制 『リクナビDMPフォロー』は、個別企業の課題解決を目的としたソリューションサービスとして、通常アサインされるべき商品責任者が不在の状態で検討が開始されました。 その後、営業・商品企画・システム開発・法務等のバックオフィスといった部門横断で、担当者が局所的に連携を繰り返す形で検討が進み、徐々に提供企業数を広げてまいりました。 この過程において、通常であれば商品の全容を把握し判断を下す役割である責任者が『リクナビDMPフォロー』には設置されないまま検討が進む状態になってしまっていたリクルートキャリアの経営体制に問題があったと認識するに至っています。 当該プロセスの中で決裁がおりない場合は商品化されることはありません。 一方で、『リクナビDMPフォロー』は、前述のとおり研究開発として開発が進んでいたため、こうした商品開発に対して必要な観点から複眼で網羅的にチェックを及ぼすためのプロセスが十分に整っていませんでした。 また、当初の投資規模や事業規模が小さかったがゆえに、リクルートキャリアが内規として定める投資決裁権限に則った決裁プロセスなど、本来存在する複層的なチェックプロセスを通ることなく進んでしまっていました。 『リクナビ』は就職活動という特徴から、当該年度の商品がリリースされた後は、基本的にはそのままの規格で提供する商品形態となっております。 そのため、『リクナビDMPフォロー』のスキームを2019年3月に変更するにあたり、『リクナビ』のプライバシーポリシーに改定を加えるという行為はイレギュラーな運用でした。 このイレギュラーな運用について、必要な作業や踏むべき工程について整備・明文化されておらず、関係者の認識が統一されていないまま対応が進行しておりました。 その結果、一部画面へのプライバシーポリシーの反映が漏れてしまう結果につながっていました。 『リクナビDMPフォロー』というサービスは、仮に前述の「ガバナンス不全」によって生じた法的な問題がなかったとしても、生み出されるべきサービスではなかったと考えております。 今回学生の皆さまをはじめとするステークホルダーの皆さまから頂いた、「不安」「怖い」「裏切られた」という言葉を前に、私たちは、「学生の皆さまの心情やご状況に全く寄り添うことが出来ていなかった」と認識し、大変重く受け止めております。 これは、個別の検討プロセスの在り方や部分的な機能の不全という問題だけではなく、就職活動に真剣に向き合われる学生の皆さまの心情を十分に踏まえた上での経営判断が出来ない状態になっていたリクルートキャリアの経営システムの問題であったという認識に至っています。 また、同社において商品企画組織と商品開発組織を統合し、商品開発におけるすべてのプロセスを一つの部署が一貫して管掌し、管理する体制へ変更します。 これにより、研究開発的な商品開発に関わる複数部署間で役割分担と責任が不明瞭なまま検討が進むことのないよう、再発防止に努めます。 また、当該組織においてシステム開発に関する購買の中央モニタリングによる監視体制を構築し、すべての発注支払いを管理監査する機能を持たせます。 これにより、商品開発にともなう発注や支払いについても、その内容を複眼的にチェックが効かせられる体制とし、検討が不十分なまま商品開発が進んでしまう事態の防止に努めます。 なお、体制構築が完了したのちには、速やかに全グループ会社のすべての商品開発に導入することを2019年11月5日開催のリクルート取締役会議で決議いたしました。 また、リクルートキャリアにおけるこの間の暫定対応として、経営統括室長を座長とし内部統制・法務・システム責任者で編成する「新サービスチェック強化のためのタスクフォース」を組成し、案件規模や内容にかかわらず、新規の案件について一括で内容を確認する体制を設置しています。 また、リクルートキャリアにおいては、2019年10月1日付で、『リクナビ』全体を個人情報保護の観点から総合的にチェックするプライバシー責任者を設置いたしました。 商品・サービスの変更が個人情報保護の観点において、どのように影響するかを統合的に判断し、プライバシーポリシー改定の際の更新反映の最終責任を担います。 また、リクルートの法務部門において、2019年10月1日付でデータマネジメント専属の組織が設置され、リクルートキャリアにおけるデータ利活用の検討部門とも連携してまいります。 リクルートキャリアにおいては、それらに加え、全従業員を対象に本件全容の振り返りを含めた独自の研修を検討・実施します。 その内容については、個人情報保護に関する知識や行動の周知徹底にとどまらず、就職・転職を支援する事業の社会的責任という観点も加えた内容とします。 その第一歩として、リクルートキャリアの2019年10月1日付組織及び人事発令において、新たに「新卒事業検討プロジェクト」を発足いたしました。 本プロジェクトは、既存の新卒事業とは切り離して設置します。 これまでのやり方にとらわれない闊達な議論を促すため、プロジェクト内の意思決定は「学生・大学・社会視点レビュアーステアリングコミッティ」組織が最終レビューおよび否決権を持つ構造とします。 レビュアー組織のメンバーは、学生・大学接点のある業務経験者および内部統制責任者にて構成され、学生の皆さまの心情に最大限の配慮を行った上で、抜本的なサービス改革を検討できる体制にします。 また、このプロジェクトのレポート先を、リクルートからの社外取締役2名とリクルートキャリア社長で構成されるリクルートキャリア取締役会とし、最適な経営判断を実現できる体制としています。 リクルートキャリアにおいて組成された本プロジェクトでは、通常では既に仕様決定している今年度・来年度のサービスも含めて、在り方の見直しを進めてまいります。 また、私たちに欠けていた学生の皆さまの視点が、新卒事業の意思決定に反映され続ける経営システム構築を目指し、2020年1月を目処とした新卒事業の経営体制の変更を行う予定であり、本プロジェクトと接続させていく予定です。 3.今後に向けた取組みとしての諮問委員会の発足 リクルートとしての今後に向けた取組みとして、適切なデータ利活用に向けた諮問委員会を発足いたします。 今後、より一層お客様や社会の期待に沿ったデータの取扱いやデータ利活用を実行することを目的に、リクルートの代表取締役社長を委員長とし、外部有識者を加えた委員会を発足いたします。 第一回会議は2019年12月に開催いたします。 外部の有識者の方々の客観的な視点や、各領域の専門家としての助言を踏まえ、最適なプライバシー保護の在り方も含めたリクルートのデータ利活用指針の制定を進めてまいります。 以上 【本件に関するお問い合わせ】 株式会社リクルートキャリア 広報部 社外広報グループ kouho waku-2. com 03-3211-7117 株式会社リクルート 社外広報部 社外広報グループ press r. recruit. jp 03-6835-9601.
次の「リクナビ HP」より 内定辞退率の予測を顧客企業に販売していた就職情報サイト「 リクナビ」を運営する リクルートキャリア(東京・千代田区)に対して、厚生労働省は9月6日、行政指導を行った。 指導は職業安定法に基づくものだが、この問題は職安法の範疇を超えて、IT新時代に突入した日本社会が孕む深刻な問題の現れだと私は考える。 個人の通信の自由を脅かす可能性がある企業行動があったとみている。 また、リクルートキャリアの親会社であり東証一部上場企業であるリクルートHDの責任も大きい。 リクナビの個人データの商業的利用は「優越的な地位の濫用」 『残念な経営者 誇れる経営者』(山田修/ぱる出版) 厚生労働省が行政指導した対象は、リクルートキャリアが昨年から企業向けに販売を開始した「リクナビDMPフォロー」(8月4日付で廃止)と呼ばれるサービス。 リクナビは「マイナビ」と並ぶ大手の就活サイトだ。 今年の利用者は前者が82万人、後者が90万人などと推測されており、ほとんどの就活生が登録、活用する。 登録に際しては「規約への同意」が求められ、多くの学生がその内容もよく検討せず、同意しているとみられる。 登録した学生は、リクナビを通じて多くの企業情報を得たり、自らをエントリーしたりする。 すでに企業から採用内定を得た学生が、もし活発にリクナビで企業情報を収集していれば、その学生にはまだ求職意欲があり、ひいては内定辞退につながることが予想される。 採用を判断する企業としては、内定辞退の可能性が高い学生を採用決定することに躊躇するのは当然だ。 データを購入した顧客企業は口を揃えて「合否の判断には使わなかった」としているが、信じる者はいないだろう。 「リクナビDMPフォロー」では、AIを使って学生の内定辞退率を予測して、その個人データを38の顧客企業に販売していた。 販売額は発表されていないが、年間の利用額は1社あたり数百万円に上ると見られている。 リクルートキャリアとしては、本来の就活サイトとしての運営益に加えて、データ加工だけで「美味しい追加ビジネス」を事業化したつもりだったのだろう。 問題は、販売した個人データのうち、8000人あまりの学生からデータの再提供に対する同意が得られていなかった点だ。 現代のネット社会で、就活学生がリクナビやマイナビなどの就活サイトを使わないで他の学生と競合していくことはできない。 大手就活サイトはその意味で、就活学生に対して優越的な地位にある。
次の指導対象は昨年春に開始の「リクナビDMPフォロー」と呼ばれるサービス。 顧客企業が就活生の個人情報をリクルートキャリアに送信すると、リクナビの閲覧履歴などを使って人工知能(AI)が計算した辞退率が取得できる仕組みだった。 厚労省は「主な就活サイトはリクナビなど2~3種類に限られ、辞退率の利用に同意しなければ就活が実質的にできなかった」と判断した。 就活生から同意を得ていたかどうかに関係なく、職安法が禁じる特別な理由のない個人情報の外部提供に当たると認定した。 厚労省が個人情報に関する行政指導に踏み切るのは異例だ。 リクナビは職安法が定める「募集情報等提供事業」だが、同省は事業形態から実質的な人材紹介事業と判断した。 年間約80万人に上るリクナビ利用者のうち、同社は今年3月以降に辞退率の計算対象となった約8千人について、本人の同意を得ていなかった。 政府の個人情報保護委員会は8月26日、是正を求める初の勧告を出した。 厚労省の東京労働局も問題発覚後の8月上旬から調べていた。 厚労省は辞退率などの購入契約を結んだ企業38社についても、就活生本人の同意なくデータを取得した行為などが職業安定法に抵触していないか調査している。
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