ヒゲダン(Official髭男dism)、ビルボード国内1・2位を独占 ボーカルとキーボードを担当する藤原聡 28 をはじめ、 島根大学と松江工業高専の卒業生からなるメンバーは、それぞれ複数の楽器をこなす強者ぞろい。 リーダーを置かず、自由な議論から生まれるアレンジが楽しいポップソングは、たちまちチャートを席巻。 かく言う筆者も、ある日、MTVから流れてきた 「Pretender」に一発でやられてしまいました。 とにかく、演奏、歌、曲、詞が、それぞれ高いレベルでバランスを保っていることに驚いたのです。 とはいうものの、特に奇抜なことをしているわけではありません。 革新性を売りに未来の音楽を打ち出すのでもなければ、知識や理論を駆使してリスナーにレッスンをするわけでもない。 それとは逆に、 良い意味で、ただのポップスなのです。 Jポップに馴染んだ耳ならば、琴線に触れるフレーズがそこかしこにある。 その点では、安心して聴けるバンドだと言えるでしょう。 ただし、繰り返し聞いていくと、プレゼンテーションの瞬発力が異質なことに気づきます。 歌の一言一句、演奏の一音に至るまで、キレ味が段違いだからです。 「Pretender」は令和初の名曲 まずは、演奏から。 リズムをキープする行為に、とてつもない説得力があるのですね。 ザクザクと刻まれた8分音符が、歌っているかのように生き生きとしている。 最もよく表れているのが、サビの<その髪に触れただけで>という箇所です。 ボーカルの藤原聡は、この部分を一音ずつバラバラに聞こえるように歌っています。 楽器は、これに応える形でリズムの後ろ足を短く切り落としていく。 すると、傍点を打つように、言葉が強調されるのですね。 当然、メロディにもメリハリが出てきます。 歌と演奏のベクトルが一致することで、シンプルなリズムが楽曲に意味を与える鼓動になり得ることを教えてくれるわけです。 こうした土台があるからこそ、歌メロとハーモニーのセンスも光るのですね。 同じところになりますが、 <その髪にふれただけで>から始まる、下降していくベースライン。 このスムーズな開放感がたまりません。 ほとんど定型句のようなコード進行なのに、古びて聞こえないのはお見事。 歌詞も韻を踏みつつ、きちんとストーリーの流れを保っていますし、そのあらすじの起伏を分かりやすく伝える曲線的なメロディと、ダイナミックな和音の使い方にはスケールの大きさを感じます。 ただキーが高いだけでなく、役者的な表現力に優れている藤原聡のボーカルにも華がある。 ストリーミングチャートで11週連続1位になったのも納得。 個人的には、令和初の名曲に推したい1曲ですね。 親しみやすさの裏に、ピリッと玄人の顔がのぞく。 新時代にふさわしい、魅力的なバンドの誕生です。 <文/音楽批評・石黒隆之>.
次の宿命とは前世から定まっている運命。 避けることも変えることもできない運命的なもの。 という意味がありますが、どう言った意味で曲名として使われているのでしょうか? この曲は楽曲の紹介でも触れたように、2019年夏の高校野球応援ソングに起用されているんですよね。 つまり、「高校野球」のイメージに沿って歌詞が作られ、曲名が決められていると考えられます。 高校野球といえば毎年数々のドラマが生まれ、世間を沸かせますよね。 9回裏ツーアウト満塁で逆転サヨナラホームランなんて打った選手がいたら、まるで生まれた瞬間から運命的に決まっていたんじゃないかなんて思ってしまうものです。 そんな、まるで運命的に決められていたかのような高校野球のドラマをイメージして「宿命」と曲名にしたのかもしれませんね。 解釈 無意識のうちに胸の奥から溢れ出してくる想いで 未来に突き進んだ。 君の想いも合わさって一緒に前に進んだんだ。 青い夏の空の下。 夏の群青の空。 どこまでも透き通っているかのような夏の青は、選手たちの清々しい心を表現しているかのように感じますよね。 この歌詞だけで青春を感じさせてくれて、ぐっと曲に引き込まれる気がします。 心臓から溢れ出した声。 これは高校野球の選手の 甲子園に行きたいという純粋な想いを表現しているのではないでしょうか。 混じりっけのない純粋な想いだからこそ数々のドラマが生まれるのかもしれませんね。 夢じゃない夢じゃない 涙の足跡 嘘じゃない嘘じゃない 泥だらけの笑顔 夢じゃない夢じゃない 肩を組んで叫びたい 僕らの想い 届け 解釈 うまくいかなくて泣いた涙は夢じゃない。 泥だらけの笑顔という努力の結晶も夢じゃない。 みんな一丸になって「僕らの想いが届け」って叫びたい。 ここの歌詞は、努力して時には泣いて。 野球を通してチームが一丸となっていくという清い青春の一面を歌っているのでしょう。 そもそも、別に野球でなくても青春なんてできるのですから、野球が好きでないならやめて他のことをすればいいわけです。 それでもここに残ったチームの一員だからこそ、みんな同じ方向を向いて歩めるのかもしれませんね。 奇跡じゃなくていい 美しくなくていい 生きがいってやつが 光り輝くから 切らないバッテリー 魂の限り 宿命ってやつを 燃やして暴れ出すだけなんだ 解釈 奇跡じゃなくてもいい。 美しく勝てなくてもいい。 君と一緒に野球ができるということが何よりも価値があるから 僕らは絶対に裏切らないバッテリーなんだ。 魂が尽きるまで宿命を信じるだけなんだ。 ここの説明をする前に前提知識として、藤原さんの歌詞に込めた想いを見ておきましょう。 美しいものばかりじゃなくてもいいし、奇跡みたいなことばかりが起こらなくてもいい、という歌詞がサビの部分にあるのですが、これは僕が伝えたかった思いです。 試合の中にドラマや奇跡のようなことがなくても、選手や応援団も含めた「勝ちたい」「戦いたい」「応援したい」という両チームの思いに、言葉が必要ないぐらいのすばらしい奇跡がすでに起こっている。 そんな思いを込めたつもりです。 つまりインタビュー は、 仲間とともに今試合にいるだけで、すでに奇跡が起きてるんだということを伝えたいのだと思います。 その藤原さんの想いが「生きがいってやつが光り輝くから」という歌詞で表現されているのでしょうね。 Official髭男dism(ヒゲダン)の歌ってなんというか、歌詞の伝えたいことがびしっと一本、筋が通っていて訴えかけてくるものがありますよね。 解釈 音がなっていることにも気づかないほど悔しかった日もあった。 自分の弱さに未来が遠ざかっていくような気がした。 「大丈夫」「頑張れ」って励ましてばっかくる曲が嫌になる夜もあった。 ここは主人公の「 挫折」を歌っている部分なのだと思います。 「沈黙が続いたイヤホン」という歌詞がより主人公の余裕のなさを印象付けますよね。 甲子園ではキラキラしている球児も、影ではこうやって何度も挫折を繰り返して成長していっているのかもしれませんね。 そんな努力があるからこそ、あの晴れ舞台に立てるのかもしれません。 夢じゃない夢じゃない あの日の悔しさと 忘れない忘れない 手のひらの爪痕 無駄じゃない無駄じゃない それも全てたたえたい もうあと少し 解釈 あの日の悔しさは絶対に忘れない。 手のひらの豆は無駄じゃない。 今までの小さな努力だって讃えたい。 あと少し。 夢じゃない夢じゃない、忘れない忘れないと繰り返し歌詞にすることで、主人公が自分に言い聞かせているかのように聞こえますね。 ものすごく不安な様子が想像できます。 手のひらの爪痕とは、手のひらの豆のことを言っているのだと思います。 高校時代ではありませんが私自身野球をやっていた経験があるんですが、 バットを素振りしているとすぐ手のひらに豆ができてしまうんですよね。 普通なら、痛くて嫌な物のはずなんですけど、なんだか 努力が認められた気がしてすごく嬉しい物なんです。 主人公もそうだったのではないでしょうか? 自分の無力さに挫折したくなってしまうけれど、今までの努力の結晶を見てもう少し頑張ってみようかなと思う。 そんな想いが手に取るようにわかります。 願いの熱さに 汗まみれになったり 光背負ってたって 重さに臆病になるけど 僕らの背番号 それは背中じゃなく 瞳の奥のanswer 重なって照らし合ってくforever.
次の変更ができないのですから「宿っている」ということです。 「前提」を変えることができないのですから、生まれたときに、ある程度生きるであろう道のりは決定されています。 男に生まれたのですから、男に従った生き方が自然です。 そうなるような人生がすでに決められています。 宿った命とは、すでに決められていることです。 自分でコントロールすることはできないのです。 一方「運命」とは何でしょうか。 「運ぶ命」と書くように、生きてから自分で経験して、加えていく道のりのことです。 運ぶ命と書くように、自分の力で運び、動かすことが可能です。 自分でコントロールすることができる。 どんな人と出会い、経験をして、どのような学校へいき、どのような仕事をして、どんな人と結婚するのかは、運命です。 自分しだいだからです。 自分からアクションを起こすことで決定され、命をどう運んでいくかを自分で決めることができるからです。
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