こんにちは。 木彫りグマです。 ますます寒さが厳しくなるこの時期、いつも思い出す古典作品があります。 それが、る「雪のいと高う降りたるを」という一節です。 随筆『』の一節で、情景描写と宮廷人の教養について考えさせられる部分です。 別名、「の雪」ともいわれます。 今回は「雪のいと高う降りたるを」をとりあげ、の宮廷模様をご紹介したいと思います。 なお、や古典の関連記事はこちらです。 興味がありましたら、ぜひご覧ください!• 「雪のいと高う降りたるを」の 登場人物紹介 定子(ていし・さだこ) とはの后の称号の一つで、皇后とほぼ同格です。 定子はのでした。 当時、にはの娘である定子との娘である彰子(しょうし)の2人がから嫁いでいました。 定子と彰子、どちらにの子供が生まれるかは彼女らの父である道隆・の将来を決定する重要事項。 そのため、彼らはそばに仕える女房として優秀な女性を送り込み、定子・彰子をバックアップさせました。 定子は非常に聡明で、日本語も漢文もどちらも優秀だったといいます。 しかも、非常に明るい性格の女性だったといわれます。 との仲も良好だったようです。 女房 有名なだったの娘。 清原家の娘なので「清」がつきます。 の由来は不明です。 加えて、彼女の本名もわかっていません。 ームさんという感じなのでしょう。 981年に守のと結婚し、子供を生みますが間もなく離婚。 にでもわかるように、非常に博学な才女でした。 停止に仕えていたころ、非常にもてたようで多くの和歌のやり取りが残されています。 定子がなくなったあとは宮中を退き、再婚相手のもとで暮らしたといいます。 を書いたのは彼女が宮中を去ってからでした。 その他の女房達 女房とは、宮中で一人住みの部屋(房)を与えられた高位の女官のこと。 あらすじ 敬語をややショートカットしつつ、あらすじだけを抜き出してみましょう。 ある、雪がたくさん降った朝。 いつもと違い 御格子(木で組んだ枠。 窓ガラスの役割を果たしました)を下げて、火鉢に火を起こして(ストーブがないので、温まるための唯一の道具、これは寒かったでしょうね)、女房同士でいろいろな話をしていると。 定子「よ。 の雪はどうなっているのでしょう」とお尋ねになりました。 は何も言わず、御格子を上げさせ(窓を開けさせる感じ)、御簾(カーテンのようなもの。 偉い人は、カーテンに囲まれて過ごし、簡単には姿を現しませんでした。 )を高く上げさせました。 すると定子はお笑いになりました。 周りの女房達は「の雪のことは知っていますし、和歌を詠むときの題材に使うことはありますが、(御簾をあげさせようとは)思いもよりませんでした。 さん、あなたはさすがに様にお仕えするだけありますね。 」といったという。 当時の宮廷人に求められた 教養 の宮廷につかえる人はとても高い教養を求められました。 和歌を詠むための基本知識、過去の和歌集の名言、有名な漢文などは知っていて当たり前だったのです。 ですから、その場にいた女房達も「の雪」がの詩の一部であることはわかっていたのです。 しかし、定子がなぜ、「の雪、いかならむ」といったかまではすぐにわかりませんでした。 は、「これはいかに」などと問い返すようなことはせず、 黙って御簾を上げます。 は、の一節が「の雪は簾(すだれ)を上げてみる」とあることから、定子が「雪が見たいから、すだれを上げて頂戴」と言ったのだと解釈して行動に移したのです。 の雪については女房ならば知っていて当たり前の基礎知識。 しかし、その 基礎知識をすぐに応用して行動に移すのはなかなかできることではありません。 この話を単なるの自慢話ととらえるのはちょっともったいない気がします。 教養の数= 引き出しの数 では教養を次のように定義しています。 学問や知識を身につけることによって得られる心の豊かさや物事への理解力。 また、社会人として必要な文化に関する広い知識。 カルチャー 誰かとコミュニケーションをとるとき、相手が理解しやすいように話すには教養が必要不可欠です。 相手にとって身近なものに例えたり、表現を工夫する必要があるからです。 多くの教養を身に着けている人は、話の引き出しが多いです。 ただ単に知識ばかりが多くても意味はありません。 知っている知識をいかに多く活用するかが大事なのです。 中学校までに習う知識は、実社会でも使うものが多いのです。 たとえば、天気。 の方向や地形を頭に入れることで局地的な天気を予想することができます。 冬・側・北西に山がなく開け地形。 この条件がそろえば、雪の多い地域となります。 東海地方でも中央高地に雪を阻まれると北西方向に高い山が少なく、強いが吹けば雪が舞う名古屋周辺ではおのずと生活スタイルも異なるでしょう。 の「雪のいと高う降りたるを」は、彼女の自慢話というよりも教養の引き出しを持つことの大事さを物語っていると木彫りグマは考えます。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 kiboriguma 個人情報の保護について 「」(以下、当サイト)を利用される方は、以下に記載する諸条件に同意したものとみなします。 個人情報の収集について 利用者は匿名のままで、当サイトを自由に閲覧する事ができます。 お問合せ等、場合によっては、利用者の氏名やメールアドレスなどの個人情報の開示をお願いする事があります。 しかし、利用者の個人情報を利用者の許可なく、当サイトから第三者へ開示・共有する事はありません。 アクセス解析ツールについて 当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を利用しています。 このGoogleアナリティクスはトラフィックデータの収集のためにCookieを使用しています。 このトラフィックデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。 この機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。 この規約に関して、詳しくはをクリックしてください。 広告の配信について 当サイトはGoogle及びGoogleのパートナーウェブサイト(第三者配信事業者)の提供する広告を設置しております。 その広告配信にはCookieを使用し、当サイトを含めた過去のアクセス情報に基づいて広告を配信します。 DoubleClick Cookie を使用することにより、GoogleやGoogleのパートナーは当サイトや他のサイトへのアクセス情報に基づいて、適切な広告を当サイト上でお客様に表示できます。 お客様はで、パーソナライズ広告の掲載に使用される DoubleClick Cookie を無効にできます。 また にアクセスして頂き、パーソナライズ広告の掲載に使用される第三者配信事業者のCookieを無効にできます。 その他、Googleの広告における、Cookieの取り扱いについての詳細は、をご覧ください。 ウェブサーバの記録 当サイトのウェブサーバは、利用者のコンピュータのIPアドレスを自動的に収集・記録しますが、これらは利用者個人を特定するものではありません。 利用者が自ら個人情報を開示しない限り、利用者は匿名のままで、当サイトを自由に閲覧する事ができます。 免責事項 利用者は、当サイトを閲覧し、その内容を参照した事によって何かしらの損害を被った場合でも、当サイト管理者は責任を負いません。 また、当サイトからリンクされた、当サイト以外のウェブサイトの内容やサービスに関して、当サイトの個人情報の保護についての諸条件は適用されません。 当サイト以外のウェブサイトの内容及び、個人情報の保護に関しても、当サイト管理者は責任を負いません。 初出掲載:2019年2月2日.
次の[ 現代語訳 ] 雪がたいそう高く降り積もっているのに、いつもと違って御格子をお下げして、角火鉢に火をおこして、話などして、集まってお仕えしていると、「少納言よ、香炉峰の雪は、どんなふうですか。 」とおっしゃるので、御格子を上げさせて、御簾を高く巻き上げたところ、お笑いになる。 人々も、「そのようなことは知り、歌などにまで歌うが、思いもよらなかった。 やはりこの中宮様にお仕えする者としては、ふさわしい人のようだ。 」と言う。 [ 原文 ] 雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子参らせて、炭櫃に火おこして、物語などして、集まり候ふに、「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ。 」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。 人々も「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそ寄らざりつれ。 なほこの宮の人には、さべきなめり。 」と言ふ。
次の【雪のいと高う降りたるを】の文法のポイント!! 短い文章ですのでストーリーは分かりやすいです。 文法的には助動詞がいくつか出ています。 特に最終盤に登場する 「さべきなめり」は頻出ですので注意が必要。 「さ」は副詞、「べき」は当然の助動詞、「な」は断定の助動詞、「めり」は推定の助動詞です。 【なるめり】の「なる」撥音便化して【なんめり】となり、さらに省略され【なめり】になるのは学校の先生が大好きな文法事項ですし、入試でも問われる可能性があるため、問われやすい。 授業中に先生がこの辺りのことまで触れた場合は一応覚えておいた方が無難です。 ちなみに大学入試ではかなり問われやすいです。 また、中宮定子に対する敬語表現の中でも、 二重敬語「せたまふ」が登場しますので、ここは押さえておきたいですね。 このお話では 白居易の漢詩が登場します。 100%授業中に漢詩も習うことになります。 そのため、白文からの書き下しや、対句表現などもしっかり押さえておきたいですね。 便覧などからも範囲がある場合は白居易についてもしっかり復習しておきましょう。 最後に、定期試験では必ず漢字の読みが問われます。 「炭櫃」「御格子」などは必ず覚えておきましょう。 【雪のいと高う降りたるを】のあらすじ 一言でいえば、褒められた自慢話です。 高校で習う枕草子はほぼ自慢です 笑 そのため、清少納言が嫌いになる人も多いのですが、中宮定子様に褒められた!! って気持ちをメチャクチャ正直に書いちゃうあたり、可愛らしい性格とも言えそうです。 今作では中宮定子様がちょっと捻った表現で外の雪の様子を聞いてきたので清少納言が当意即妙な返しをして褒めていただいた。 という内容。 【雪のいと高う降りたるを】授業ノートはこちらです。 画像とPDFの好きな方をご覧ください。 『雪のいと高う降りたるを』は様々な教科書に掲載されている題材ですので、漢字などに違いがある場合があります。 内容は同じです。 当サイトの原文は第一学習社に合わせて作っています。 PDFファイルはこちら.
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