どうでもいいニュースかもしれませんが、ヴァーグ・ヴァイカーネス (またの名をカウント・グリシュナック)がノルウェーのトロンハイム刑務所 から出所することになりました。 (おめでとう!!パチパチ!!) この人が伝説のブラックメタルバンド BURZUMのリーダー。 反キリスト教集団「インナーサークル」のメンバーでもあった。 MAYHEMのユーロニモスを殺害し、その他にも放火、窃盗、爆弾テロといった 悪事の限りを尽くし、懲役21年の刑に服していた。 この度、めでたく娑婆に戻ったということで、真性ブラックメタルを 復活させてくれるのだろうか。 はたまた、またもや教会放火、殺人といった凶行に出るのだろうか。 これからの活動から目が離せない。 刑務所の中でも録音しアルバムを発表したほどだから、BURZUMを 復活させてくれることだろう。 とても楽しみだ。 マイクロビキニ・ブラジリアン水着 マイクロビキニ・Tバック水着.
次のヴァルグ・ヴィーケネス(2009年) 基本情報 別名 カラシニコフ Kalashnikov 1988 ウルク=ハイ Uruk-Hai 1988 - 1991 出身地 ジャンル 活動期間 - - レーベル シモフェン・プロダクションズ () ベロボーグ・プロダクションズ 公式サイト メンバー 、、、、 バーズム Burzum、バーザム、又はブルツムとも表記される、英語発音: 、ノルウェー語発音: ノルウェー語: は、 Varg Vikernes による・のプロジェクト・バンド。 から前身のプロジェクトの下、楽曲の作成を始めているが、音源自体は現在の名前に改名後の1st『Burzum』が最初にされた作品となる。 バンド名はの『』に登場する国・における ()()で「闇」を意味する burz に複数形の接尾辞 -um を足したものである。 また Count は一般には「伯爵」の意だが、ヴァーグ自身の主張によれば、語源であるの Comtes 仲間 を意識しているという。 このプロジェクトバンドは、ノルウェーの初期ブラックメタルシーンで活動し、ブラックメタルにおいて最も影響力のあるバンドの一つとなった。 ヴィーケネスは、1月から3月の間に、最初のアルバム4枚分の楽曲をレコーディングしている。 しかし、これらすべてがリリースされるまでにはかなりの時間を要することになった。 この判決による服役中に、ヴィーケネスが小型のしか持ち込みを許可されなかったことから、2枚のアルバムをレコーディングしている。 ヴィーケネスはの信奉者として有名で、的色彩の強いの一種である Wotanism や Odalism の信奉者でもあるが、バーズムで扱うテーマはもっぱら指輪物語とからヒントを得ており、ヴィーケネスはバーズムを政治・宗教的信条の宣伝としては使っていない。 また、ヴァーグはメタル、ひいてはロックが黒人音楽にルーツを持つことを否定的に捉えているが、メタル自体に対しての否定はしていない。 バーズムは、前身のバンドとレコーディング時のサポートメンバーを除けばヴィーケネス以外のメンバーが在籍したことはなく、今までに一度もを行ったことはない。 ヴィーケネス自身も、ライヴを行うことには興味がないと発言している。 メンバー [ ]• セッション・メンバー [ ]• Euronymous : ギター 1stアルバム『Burzum』の「War」で、2ndアルバム『Det Som Engang Var』のイントロとアウトロのギターを担当した。 また、同アルバムの「Dungeons of Darkness」ではを鳴らす際にサポートしている。 エリック・ランスロット Erik Lancelot :ドラムス 極短期間セッションメンバーとなったが、バーズムでの活動は実質的には無かった。 略歴 [ ] ヴィーケネスの経歴などについてはを参照 初期 1988 - 1992 [ ] ヴィーケネスは、に カラシニコフ Kalashnikov というバンドをヴィーケネスに加えて、との3名で結成し、音楽活動を開始している。 このバンド名は、ヴィーケネスの好きな・の愛称(設計者の)から採られている。 このバンドは、すぐに ウルク=ハイ Uruk-Hai というバンド名に変更された。 こちらのバンド名はの『』に登場する亜人種の名前から採られた。 こちらにも引き続き2名のメンバーが参加していたが、ウルク=ハイは徐々にリハーサルすら行うことはなくなっていたようである。 からにかけて、ヴィーケネスはとして、バンド、 ()に参加。 この時期に、ウルク=ハイも、活動を休止となっている。 同バンドには、後にを結成するメンバーがいた。 ヴィーケネスは、オールド・フューネラルのEP『Devoured Carcass』に参加するが1991年に脱退した。 脱退を機に、ウルク=ハイを バーズム Burzum に変更して、活動を本格化させる。 この時点で、バーズムはソロプロジェクトバンドとなっている。 2本のデモテープ(『Demo I』、『Demo II』)のレコーディングから間もなく、ヴィーケネスはノルウェーのブラックメタルシーンとのつながりを深めていく。 この2枚のデモがのから注目され、オーシェトが立ち上げた・と契約を結ぶ。 契約から間もなく、ヴィーケネス(バーズムでは カウント・グリシュナック Count Grishnackh のを使用)は、セルフタイトルアルバム『Burzum』をレコーディングしている。 ヴィーケネスのウェブサイトに掲載されている自伝によれば、ヴィーケネスは、可能な限りひどい音質でレコーディングすることを目論んでいた。 もっとも、1stアルバムは聴くに堪えうる音質になっている。 バーズムのデビューアルバムはにデスライク・サイレンス・プロダクションからリリースされた。 収録曲の内、「War」ではがリードギターを演奏している。 ヴィーケネスは、バーズムでは一度もライヴ活動を行ったことはないと述べているが、一時期、ライヴにも興味を持っていたとされる。 そのため、短期間ながらの Samoth がベーシストとしてバーズムに参加したことがある。 結局、サモスは1stEP『Aske』の2曲に参加したのみであった。 また、エリック・ランスロット Eric Lancelot がドラマーとして一時期バーズムにセッションとして参加したとされるが、結局バーズムの音源には一切参加せず、サモスと同じくライヴも行われていないため、一切バーズムの音源に関わっていない。 その後、ヴィーケネスがライヴで演奏することに興味を失ってからは、彼は「セッションミュージシャンを必要としなくなった」。 そのため、サモスとランスロットは間もなくバーズムから離れている。 この時期には、ユーロニモスとの関係が悪化し、ヴィーケネスはデスライク・サイレンス・プロダクションを離脱。 自主レーベル・シモフェン・プロダクションを設立している。 には、前年にレコーディングされた2ndアルバム『Det Som Engang Var』を同レーベルからリリースした。 獄中 1993 - 1999 [ ] 、ヴィーケネスはユーロニモスを。 に警察に逮捕された。 結局、ヴィーケネスはこのに加えて、数件のなどで起訴されている。 ヴィーケネスに判決が下る前日の、バーズムの3rdアルバム『Hvis Lyset Tar Oss』がリリースされた。 同アルバムの音源自体は、1992年にレコーディングされていたものである。 ヴィーケネスの服役中、バーズムは4thアルバム『Filosofem』をにリリースしている。 同アルバムの音源は、1993年3月に録音されている。 この音源は、ヴィーケネスが刑務所に収監される前に録音された最後の音源である。 ヴィーケネスが逮捕された後にリリースされた音源は、ティツィアーナ・ストゥーピア Tiziana Stupia によって、バーズムの音源をリリースするために立ち上げられた ()からリリースされている。 には、それまでのバーズムの音源をおさめた・ボックスセット『1992-1997』がリリースされている。 、オフィシャルサイトを通じて Burzum の活動停止を宣言した。 釈放後 2009 - [ ] ヴィーケネスはに釈放された。 釈放されてから間もなく、ヴィーケネスはバーズムの新しい楽曲の作成を始めている。 ヴィーケネスによれば、いくつかのレコード会社がバーズム11年ぶりの新作アルバムのリリースに興味を示したという。 この新アルバムは元々『Den hvite guden』(「白き神」の意)とタイトルされていたが 、最終的に『Belus』に変更された。 同アルバムは、ヴィーケネスの自主レーベル・ベロボーグ・プロダクション Byelobog Productions からにリリースされた。 また、同年中にヴァルグ・ヴィーケネスの1990年代初頭の人生を題材にした映画が公開されるとアナウンスされた。 この映画は、主に『ブラック・メタルの血塗られた歴史』 Lords of Chaos からインスピレーションを受けており、同名で作成されるとされていた。 ヴィーケネスは、この映画にも、ベースとなるとされた映画にも軽蔑の意を示している。 に、8thアルバム『Fallen』をリリース。 さらに同年には、1stアルバム『Burzum』から2ndアルバム『Det Som Engang Var』までの楽曲をリレコーディングしたコンピレーションアルバム『From the Depths of Darkness』をリリースしている。 翌3月には、9thアルバム『Umskiptar』をリリースした。 同年、「Back to the Shadows」とタイトルされた楽曲がヴィーケネスの公式チャンネルに投稿された。 ブログの記事において、ヴィーケネスはこの「Back to the Shadows」が、バーズムとしてリリースする最後のブラックメタルの楽曲となると述べている。 、11thアルバム『The Ways of Yore』をリリースした。 歌というよりは、嘆き、泣きながらの絶叫といったヴォーカルである。 途中何の歪みのない声でぼそりとつぶやいたり、ウォー……と気だるそうな声で歌っているが、いずれにせよとても暗い曲調である。 生々しく物騒で、鬱々とした世界が読み取れる。 4th『Filosofem』ではヴォーカルや、ギターの歪みがとても強く、1st~3rdアルバムとはまた雰囲気の違う仕上がりとなっている。 だが、が「絶望論」というのも頷けるほど暗く、絶望的な心情を読み取ることができる。 1stアルバムのように、意図的に音質を悪くし、不気味で生々しく過激なブラックメタルを「 プリミティブ・ブラックメタル」とも呼ぶことがある。 また、絶望的でリアルな精神病の世界(鬱など)をあらわした音楽を「」ということもある。 この様な鬱な音楽のジャンルを確立したのがBurzumといっても過言ではないだろう。 ヴァルグがに収監された後に録音された後期の2枚のアルバムは完全なアルバム となっている。 これは刑務所の独房内にの持ち込みを禁止され、小型のの使用のみ許されたためである。 とはいえ、投獄前に製作されたアルバム、『Filosofem』の全6曲中の後半3曲もシンセを多用したインスト曲で構成されており、仮にユーロニモスのがなかったとしても、同じような方向性に向かった可能性が高い。 再始動後の Belus ではシンセサイザーによるインストゥルメンタル曲はなく、初期の作風に回帰している。 ただ、ヴォーカルはDarkthroneのTransilvanian Hungerのようになっており、典型的なプリミティブ・ブラックメタルになっている。 どのアルバムにも共通して言えるのは、シンプルなフレーズを何度も繰り返すことだろう。 また、アルバムのには、著名な画家の絵が用いられていることが多い。 3rdアルバム『 Hvis Lyset Tar Oss』と4thアルバム『Filosofem』のディスクジャケットには、ノルウェーの、 の絵が用いられている『 Hvis Lyset Tar Oss』には『 Fattigmannen』 1894-95 、『Filosofem』には『 Op under Fjeldet toner en Lur』 1900 が用いられ、それぞれのの中で用いられている絵もテオドール・キッテルセンのものである。 2ndアルバムと、3rdアルバムの日本盤はより発売されていたが、現在はになっており入手は困難である。 ただし、後に輸入盤に・を付けた日本国内仕様のものがから発売されており、そちらの入手は容易である。 ヴァルグは90年頃によく聞いていた音楽として、の89年リリースのデモテープとのHammerheartやBlood. Fire. Death、Old FuneralのAbduction Of Limbs、Pestilenceを挙げている。 92年頃からはのWithin The Realm Of A Dying Sunなども聞いていたという。 一方で、しばしば影響が指摘されるはBurzumを始めるまで聞いたことすらなかったと述べている。 ディスコグラフィー [ ] アルバム [ ] 以下、日本国内で発売されたことのある作品については〔 〕内に日本語タイトルを付記。 Burzum 1st Album• Aske Mini Album• 同年 Det Som Engang Var 2nd Album 〔トイズファクトリー盤:『涅槃宮』、輸入盤日本国内仕様:『無常の門』〕• Hvis Lyset Tar Oss 3rd Album 〔トイズファクトリー盤:『白昼夢』、輸入盤日本国内仕様:『虚無光』〕• Filosofem 4th Album 〔輸入盤日本国内仕様:『絶望論』〕• Belus 7th Album 〔輸入盤日本国内仕様:『ベリウス』〕• Fallen 8th Album 〔輸入盤日本国内仕様:『フォールン』〕• Umskiptar 9th Album 〔輸入盤日本国内仕様:『北欧神の化身』〕• The Ways Of Yore 11th Album コンピレーション・アルバム [ ]• 1998年 1992-1997• 2008年 Anthology• From the Depths Of Darkness Self-cover Album 〔輸入盤日本国内仕様:『フロム・ザ・ディプスズ・オブ・ダークネス』〕 コンピレーション参加作品 [ ]• 1998年 Presumed Guilty ("Et Hvitt Lys Over Skogen" 収録)• 2004年 Fenriz Presents... The Best of Old-School Black Metal ("Ea, Lord of the Deeps" 収録) トリビュート [ ]• 2002年 Visions• 2003年 A Man, a Band, a Symbol• 2003年 Wotan Mit Uns! 2005年 The Tribute• 2005年 Burzum Tribute Atakk• 2006年 Triumph und Wille• 2007年 Lost Freedom• 2008年 A Hungarian Tribute to Burzum: Life Has New Meaning• 2009年 Tribute to Burzum: When the Night Falls — Bethlehem Struluckt• 2010年 A Tribute to Varg Vikernes: Born to Be White• 2012年 Forsvunnet Filosofem: A Tribute to Burzum 脚注 [ ]• burzum. org. 2013年5月25日閲覧。 原文ママ。 正確なラテン語は comes, comitis。 マイケル・モイニハン、ディードリック・ソーデリンド『ブラック・メタルの血塗られた歴史』島田陽子訳、メディア総合研究所、2008年。 2005年. motion picture. Canada• dagbladet. no 2009年7月4日. 2013年5月25日閲覧。 burzum. org 2009年12月. 2013年5月25日閲覧。 2009年11月. burzum. org. 2013年5月25日閲覧。 2009年12月. burzum. org. 2013年5月25日閲覧。 burzum. org 2011年1月. 2013年5月25日閲覧。 burzum. org. 2012年2月4日時点のよりアーカイブ。 2013年5月25日閲覧。 外部リンク [ ]• (英語)• Burzum Study Group LLC (英語)•
次の一般人のためのブラックメタル傑作選〜EMPEROR、ABIGOR、DISSECTION、CRADLE OF FILTH、DIMMU BORGIR 一般人のための ブラックメタル傑作選 〜メロブラ、シンフォブラ傑作選〜 極寒の地ノルウェーから生まれたブラックメタルなる異形の音楽は、反キリストをかかげるレイシストやサタニズムなどとともに、 一線を超えた思想的なエスカレートと、邪悪な魂を表現する類の音楽であって、演奏技術や録音面の弱さも含めて、 一般の人々からすれば自己満足的な劣悪な音楽とも思われがちであろう。 MAYHEM、 BURZUMをはじめ、 EMPEROR、 ULVERといったバンドたちが、独自にその音楽性を変遷させて表現を深めてゆくにつれ、 ブラックメタルシーンそのものが、北欧からヨーロッパ全土へと広がりをみせることになり、それまでの反キリスト的な思想重視ではなく、 激烈かつ邪悪な表現としての音楽形態を示すジャンルへと変化していったというのも、いわば必然だったのかもしれない。 その過程において、よりメロディにこだわるバンド、暴虐なだけでなく壮麗さ、荘厳さをイメージさせるバンドたち、 CRADLE OF FILTH、 DIMMU BORGIRらを筆頭にした、いわゆるメロディックブラック、シンフォニックブラックというべきバンドたちが、 かつては一部のマニアックなリスナーの楽しみにすぎなかったこのジャンルの普遍化をうながしてゆく。 現在では、北欧のみならず世界各国において、スタイルとしてのブラックメタルを標榜するバンドはその数を増やしているが、 一方では、いまだにブラックメタルとしての原初的な闇や思想的なミスティック部分を愛するリスナーもおり、 そうした音そのものの質よりも雰囲気の方を重視する、いわゆるプリミティブ・ブラックのファンも根強いようだ。 しかし、アンダーグラウンドなブラックメタル作品には、音質や演奏ががひどく粗悪でスカスカだったり、 一般のリスナーにとっては劣悪、極悪すぎて到底聴くに耐えないようなアルバムもあったりするわけで、 ここでは、そうしたプリミティブであることのこだわりよりも、作品として完成度の高いもの、 一般のメタルリスナーにも薦められるような傑作アルバムを紹介したいと思う。 1994年作 ノルウェーにおけるブラックメタルムーブの火付け役ともいうべきバンドで、前ヴォーカルのデッドは本作の前にすでに自殺を遂げており、 ギターのユーロニモスを中心に、ベースにはBURZUMのカウント・グリシュナック、ヴォーカルにアッティラ、ドラムにヘルハマーというメンバーで録音された作品。 しかしながら、本作の発売前にユーロニモスはカウントに刺殺されてしまい、まさしくいわくつきの伝説の一枚というべき作品となった。 狂気に取りつかれたかのようなヴォーカルを乗せて、ノイジーなギターリフとともに疾走するサウンドは、ブラックメタルとしての暗黒性と激しさを 過不足なく体現したというべきもので、メロディックな愛想は薄いが、メンバーたちの描き出す狂気じみた迫力には圧倒される。 とくにヘルハマーの叩き出すブラストを含んだ強烈なドラムと、アッティラの怨念的なヴォーカルのインパクトは強烈きわまりない。 ドラマティック度・・7 暴虐度・・9 狂気度・・9 総合・・8 BURZUM 「Hvis Lyset Tar Oss」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 バーズムの3rd。 1993年作 全4曲で44分という大作志向のアルバムで、初期のノイジーなブラックメタルから、 シンセを導入し始めたことで、カウント・グリシュナックの絶叫するヴォーカルとともに、 もの悲しい叙情や虚無感が、暗黒に包まれた幻想的なサウンドの中で表現されている。 シンセのみのラスト曲はもはやブラックメタルというよりはアンビエントなダークミュージック。 おそらく、初期BURZUMのアルバムの中では最も完成度の高いアルバムであろう。 随所に激しいブラスト疾走も含みつつ、邪悪なダークさよりも北欧神話の世界を描きだすような ミスティックな雰囲気が特徴的。 10分以上の大曲を中心にしたヴァイキングブラックの力作だ。 デビューミニの方は、こもり気味の音質とともにさらに荒々しい原初的なブラックメタルサウンドが聴ける。 ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8 EMPEROR 「 In the Nightside Eclipse」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 エンペラーの1st。 1994年作 ブラックメタル界のカリスマ、イーサーン率いるこのバンド、4枚のアルバムを残して消えた まさにノルウェーを代表する伝説のブラックメタルバンドの、その記念すべきデビュー作。 うっすらとした美しいシンセをバツクに暴虐に疾走するサウンドは、激しくも幻想的であり、 この時点ですでに他のブラックメタルバンドとは一線を画すだけの美意識を感じさせる。 2nd以降のような圧倒的なまでの荘厳さはまだないが、その分プリミティブな暗闇に包まれた まさに闇の皇帝というべきサウンドが楽しめる。 リマスター再発盤では音質も向上している。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8. 5 EMPEROR 「Anthems to the Welkin at Dusk」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 エンペラーの2nd。 1997年作 教会への放火容疑で逮捕されたギターのサモスが出所し、殺人容疑で逮捕されたファウストに代わって、 ドラムには超絶なブラストビートを叩くタリムを迎えて作られた本作は、1stをはるかに上回る傑作となった。 荘厳なるイントロに導かれ、暴虐なる地獄の音楽が始まるや、黙示録の戦いを思わせる激しさとともに、 ときにシンフォニックな美しさをたたえたシンセワークや、プログレッシブなリズム展開なども素晴らしく、 リーダー、イーサーンの美意識がとことんまで発揮された本作のサウンドは、単なるブラックメタルの枠を超え、 闇の芸術ともいうべき境地に達している。 激烈にして耽美、暗黒にして知性と狂気をともなった名作だ。 ドラマティック度・・9 暴虐度・・9 荘厳度・・10 総合・・9 ABIGOR 「 Nachthymnen」 オーストリアのブラックメタルバンド、 アビゴーの2nd。 1995年作 このバンドの2ndは EMPERORの2ndと並び、 シンフォニック・ブラックの最高傑作である。 1stの時点から、単なる暴虐疾走だけではない、テクニカルな展開や芸術性、 そしてメロディアスな要素を兼ね揃える、独自の個性を有していたのだが、 この2ndでさらに独自の世界観を身に付け、崇高さと邪悪さを見事なまでに表現している。 女性コーラスの導入や、ギターメロディの煽情力も向上し、雰囲気ものとしての説得力も増した。 ブラックメタルとしての本物の闇の質感に、こもり気味の音質がまた真性っぽく、それもよし。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 ドラマティック度・・9 総合・・8. 5 DARK FUNERAL「 The Secrets of the Black Arts」 スウェーデンのブラックメタルバンド、 ダーク・フューネラルの1st。 1995年作 今やスウェディッシュ・ブラックメタルのベテランとなったバンドだが、彼らの記念すべきデビュー作がこれ。 ノイジーなギターリフダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、プリミティブな味わいを残したブラックメタルを聴かせる。 リマスター盤ではいくぶん音質が良くなっているが、それでもこもり気味のサウンドが妖しい雰囲気をかもしだし、 DISSECTIONの1stにも通じる疾走感と、ツインギターによる叙情性を含んだフレーズで案外聴きやすい。 3rd以降は薄れた湿り気を含んだ幻想性があるのもいい。 北欧メロブラの原点の1枚として聴く価値のあるアルバムだ。 メロディアス度・・7 暴虐度・・8 スウェディッシュブラック度・・9 総合・・8 MARDUK 「Heaven Shall Burn... When We Are Gathered」 スウェーデンのブラックメタルバンド、 マーダックの4th。 1996年作 1992年にデビュー、まさにスウェディッシュ・ブラックメタルを代表する重鎮というべきバンド。 本作は初期の中でも最高作と名高いアルバムで、そのサウンドは激烈に疾走しつつも いくぶんの叙情を感じさせるギターリフとともに、ドラマティックな気配を漂わせている。 ムソグルスキーの「はげ山の一夜」のフレーズを取り入れた曲なども面白い。 近作のようなすさまじいまでの迫力と荘厳さはまだないが、リフにおける叙情性という点では、 本作と次作あたりが強いだろう。 90年代の北欧ブラックメタルとしては外せない傑作だ。 ドラマティック度・・7 激烈度・・8 暗黒度・・8 総合・・8 SATYRICON 「Nemesis Divina」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 サテリコンの3rd。 1997年作 1stの時点では、ややB級臭い土着的でプリミティブなサウンドであったが、 本作では音の力強さとともに、ドラマティックな質感と説得力を増している。 基本は激烈に疾走するスタイルながら、曲における緩急のつけ方や 挿入されるメロディアスなフレーズなども効果的で、暴虐なだけでないセンスを感じさせる。 真性ブラックメタルとしての邪悪さを保ちながら、質の高さもともなった希有な作品だ。 4th以降はややドライで硬質な作風へと変化してゆくが、メロディックブラックとしては本作が最高。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 ドラマティック度・・8 総合・・8 GEHENNA 「Seen Through the Veil of Darkness」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 ゲヘナの1st。 1995年作 ブリミティブでミスティックな雰囲気とともに、シンセ入りで聴かせる美しきサウンド。 ブラストビートなどの激速リズムは比較的抑え目で、この手の初期型ブラックメタルにしては 非常に聴きやすい。 ヴォーカルは絶叫しているが、邪悪な雰囲気よりは薄暗い美意識を感じ、 メロディにある土着的な雰囲気もいい味になっている。 2nd以降は幻想的な作風を脱し、 徐々にブラックメタルから離れてゆくが、本作の美しさは名作として語り継ぐに足るものである。 楽曲は5〜7分と、当時のバンドにしては比較的長めで、 リフレインされるトレモロのリフが耳に心地よく、いまあらためて聴くと、シンプルなスタイルながら この古き良きメロブラサウンドが新鮮に感じもする。 リマスターにより音質もいくぶん良くなった。 激しさの中にも北欧的な薄暗い叙情を感じさせる、90年代メロディック・ブラックの好作品である。 メロディアス度・・8 古き良きブラック度・・8 北欧度・・9 総合・・8 DISSECTION 「Storm of the Light's Bane」 スウェーデンのメロディック・ブラックメタルバンド、 ディセクションの2nd。 曲と演奏のクオリティの高さの点でも、数あるメロデス系バンドのアルバムでもトップの1枚だと思う。 残念ながら、バンドのリーダーであったジョンは、2006年の解散ツアーの後、自殺という形で 永遠にバンドを去ってしまったが、葬送の意味でこのアルバムを聴き返すにつれ、メロディのもの悲しさと、 北欧的な暗い叙情性を有した楽曲には、あらためて彼の音楽センスとその才能が惜しまれる。 メロディアス度・・8 暴虐度・・8 北欧的薄闇度・・9 総合・・8. 5 NOCTES 「PANDEMONIC REQUIEM」 スウェーデンのシンフォニックブラックメタルバンド、 ノクテスの1st。 1997年作 ツインギターにキーボード入りで、シンフォニックかつ暴虐性もあるサウンドは、 初期の EMPERORをさらに美しくやわらかくしたような、なかなか聴きやすい作風です。 音質などからB級っぽさが残りますが、それがかえってエッジを押さえた印象でよいのですな。 ギターリフにゴリゴリした部分が少ないので、マイルドな? 感じに心地よく聴けたりします。 曲やメロディにさほど個性は感じませんが、ギターリフはいちいちクサメロで北欧的な叙情美が満載。 暴虐すぎず怖すぎない、マイナーなシンフォニックブラックを聴きたい、という方には良いバンドです。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 北欧度・・9 総合・・8 Sargoth 「Lay Eden in Ashes」 スウェーデンのブラックメタル、サルゴスの1998年作 ノイジーなギターリフにダミ声ヴォーカルを乗せて疾走する、オールドスタイルのブラックメタル。 邪悪な暗黒性に包まれつつ、甘すぎない程度の叙情フレーズを含んだ感触は、 MARDUKや DARK FUNERALあたりに通じるスウェディッシュブラックの王道で、 演奏力も含めてレベルは高い。 ときにシンセによるシンフォブラック風味も取り入れつつ、 リズムチェンジを含む緩急ある展開力は、初期 EMPERORが好きな方にも楽しめるだろう。 本作を最後にバンドは消滅、1作のみを残して消えるには惜しい存在であった。 1995年の1st 「 Sventevith」と1996年の2nd 「Grom」の全曲に加え、 ミニアルバム 「 And The Forests Dream Eternally」の音源を加えた2枚組。 初期の作風はや BURZUMや EMPERORにも通じるような、アンダーグラウンドな香りを漂わせたブラックメタルで こもり気味の音質も含めてややチープながらもプリミティブでミスティックな妖しさたっぷり。 これぞ原初的ブラックメタルというサウンドは聴いていてにんまりである。 2ndになるとより緩急のついた知的な展開力を見せるようになり、 激しさと叙情性をまとわせたスタイルは、この時点でもすでに非常に完成されている。 ドラマティック度・・7 暴虐度・・7 ミスティック度・・8 総合・・8 CRADLE OF FILTH 「Dusk and Her Embrace」 イギリスのシンフォニックブラックメタルバンド、 クレイドル・オブ・フィルスの2nd。 1996年作 壮麗に聴かせるシンフォニックなシンセワーク、ヴァンパイアをテーマにした耽美な世界観、 そして絶叫としわがれ声を巧みに使い分けるヴォーカルのダニ・フィルスの存在感。 あらゆる点で1stからスケールアップを遂げ、本作ではその激烈かつドラマティックなサウンドに 説得力を付加し、闇の幻想美を彩っている。 たとえば、ノルウェーのバンドとは異なるベクトルで ブラックメタルをエンターテイメントミュージックにまで仕立て上げたこのバンドの功績は大きい。 現在におけるシンフォニック・ブラックシーンの発展の布石ともなった傑作といっていいだろう。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 幻想美度・・9 総合・・8. 5 OUIJA 「Riding into the Funeral Paths」 スペインのブラックメタルバンド、 オウイジャの1997年作 90年代にスペイン産ブラックメタルバンドがあったのかと、少々意外ながら、音自体はむしろ北欧っぽく、 ややこもり気味の音質で疾走するスタイル。 昨今の綺麗すぎるブラックメタルよりも耳に心地よく、楽曲における展開の多さも楽しい。 現在はAnasarcaというバンドのアルバムとのカップリング盤で出回っている模様。 2003作 彼らのサウンドは、は専任キーボードを持たない、昨今流行りのシンフォブラックとは一線を画している。 聴きやすさよりも暴虐さ重視で、疾走しながら2本のギターリフにより叙情性を表現しているという点では 現代版 DISSECTIONという位置づけもできるバンドかもしれない。 甘めのメロブラ好きにはやや辛口のサウンドかもしれないが、本物の暴虐さを継承する 高品質バンドとしての存在価値は高いバンドであろう。 メロディアス度・・7 暴虐度・・8 王道メロブラ度・・9 総合・・8 MARDUK 「PLAGUE ANGEL」 スウェーデンのブラックメタルバンド、 マーダックの9th。 2004作 1992年のデビューというベテランだがその暴虐性は落ち着くどころかいっそう激しくなっており、 演奏レベルの向上もあってか音の説得力も相当上がっている。 中世の暗黒時代…死の舞踏、チェコやポーランドの暗い歴史などを題材にしていることもあり、 いつになく重厚で、重みのある暗黒性ともいうべきサウンドは激烈この上ない。 もちろん北欧のバンドらしく、リフには多少メロディを感じる部分があるので案外聴きやすく、 クオリティの高い演奏、楽曲が堪能できる。 しかし…このドラムは速いだけでなく音が格好いいね! メロディアス度・・7 暴虐度・・10 暗黒度・・9 総合・・8. 5 The Legion「Unseen to Creation」 スウェーデンのブラックメタルバンド、 ザ・リージョンの2004作 MARDUKのドラマーを中心としたバンドで、サウンドの方もマーダックばりの ファストで激烈な疾走ブラックをやっている。 演奏力も非常に高くブラストビートに乗るギターリフは ときにテクニカルであったり、 BEHEMOTHなどを思わせるブルータルな重厚さも見せつける。 激しいだけでなくドラマティックな暗黒美も含めて、クオリティの高い作品だ。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 激烈度・・9 総合・・8 SIRIUS 「SPECTRAL TRANSITION」 ポルトガルのブラックメタルバンド、 シリウスの2nd。 EMPERORを思い出す雰囲気だが、なんのことはないその今はなきエンペラーのサモスが プロデュースしたバンドだったのだ。 しかもサモスは自身もベースで一曲に参加。 Voはどっちかというと低めのデス声系。 暴虐さとシンフォニックさの度合いが絶妙で、 シンフォニック一辺倒であった1stに比べ、曲、演奏ともに説得力が増している。 そのクオリティは帝王 EMPERORにも十分ひけをとっていない。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・9 クオリティ・・9 総合・・8 TIDFALL 「Instinct Gate」 ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタル、 ティドフォールの2001年作 前作は美麗すぎるほどのシンフォニックブラックであったが、2作目となる本作はいくぶんモダンなサイバー色が強まっている。 ツーバスドコドコで激しくたたみかけるドラムに、ツインギターの重厚なリフとシンフォニックなシンセアレンジが加わり、 前作以上に音の厚みを感じさせる。 ヴォーカルはわりと低音のデスヴォイス気味で、ブルータルな激しさが前に出つつも やはり美麗なシンセのおかげで、 Dimmu Borgirなどに通じるシンフォブラックとしての聴き心地である。 ギターとドラムのヘヴィさが増したことで、全体的にも荘厳な雰囲気が強まった。 説得力十分のシンフォブラの力作! シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・8 総合・・8 BELPHEGOR 「Lucifer Incestus」 オーストリアのブラックメタルバンド、 ベルフェゴールの4th。 2003作 この背徳的なジャケもなかなかすごいが、内ジャケの尼さん裸写真も18禁ですよ。 喘ぎ声入りのイントロから、曲が始まると暴虐にブラスト開始〜。 激烈な疾走のサウンドの中にも、いくぶん北欧ブラック風の叙情があって、 MARDUKや DARK FUNERALあたりに通じるドラマティックさがよい感じだ。 むしろ5th以降のアルバムよりもメロブラ的な魅力では上をいっている。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・9 暗黒度・・8 総合・・8 BEHEMOTH 「The Apostasy」 ポーランドのブラックメタルバンド、 ベヘモスの2007作 マシンガンのようなブラストビートで突進する暴虐性はそのままに、 今作ではサウンドに 魔界の邪神のごとき荘厳さが加わって、今まで以上に「浸れる」作品となっている。 しかも、これまでになくメロディを聴かせる部分が増しており、 魅力的なギターリフやソロ部分が効果的に導入されたことで、 邪悪でありながらも聴きやすいという、奇跡的なバランスを持つにいたった。 全39分というのもこの密度ならちょうど良い。 完成度の点でバンドの最高傑作だろう。 メロディアス度・・7 暴虐度・・9 荘厳度・・9 総合・・8. 2006作 ジャケのイメージのように第一次世界大戦での海戦をテーマにしたアルバム。 ブラストビートで暴虐に疾走しつつも、メロディックなギターフレーズや うっすらとしたキーボードで味付けされたサウンドはメロブラの質感で、 ザクザクとしたギターが音に重厚さと緊張感をもたらしている。 激烈でありながらも、ほのかにドラマティックな空気をも漂わせているのも素晴らしく、 コンセプト作としては DIMMU BORGIRの近作にも匹敵するクオリティといっていい。 メロディアス度・・7 暴虐度・・8 重厚度・・9 総合・・8. 5 WATAIN「Casus Luciferi」 スウェーデンのブラックメタルバンド、 ヴォータンの2nd。 2006作 きらびやかさやモダンさにからは背を向け、 DISSECTIONから引き継がれた 古き良きメロディックブラックを体現しているこのバンド。 シンセなどは一切使わず、ギターリフのみでかもしだすメロディとともに激しく疾走するスタイルは、 激烈なだけのブラックメタルとも違う、アナログ感覚ともいうべき生々しさが耳に心地よい。 ジャケやブックレットのイラストなども黒魔術的でオカルティックな世界観を貫いている。 DISSECTIONやNAGLFARなど、オールドスタイルのメロブラを愛する人間にはたまらない。 メロディアス度・・7 暴虐度・・8 オールドメロブラ度・・10 総合・・8 Thulcandra 「Under a Frozen Sun」 スウェーデンのメロディックブラック、 サルカンドラの2011年作 DISSECTIONタイプの…というよりはリスペクトのメロブラを聴かせた前作に続き、 今作もオールドなトレモロリフで疾走する、モロにディセクションスタイルのサウンド。 曲の雰囲気はもちろん、緩急をつけた展開に、メロディックなギターフレーズと、 すべてがあの頃のメロディックブラックで、なんというか、ここまでやるともう天晴れだ。 いわば90年代的な古き良き邪悪さというべき感触とダークな翳り、そしてドラマティックな叙情性、 DISSECTIONが新作を出したらきっとこんな感じなのだろうと思う。 最高だとしか言えない。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 ディセクション度・・9 総合・・8 KEEP OF KALESSIN 「 Kolossus」 ノルウェーのメロディック・ブラックメタルバンド、 キープ・オブ・カレッシンの4th。 2008作 コンセプトからくるドラマティックな雰囲気が格段に増し、激烈に疾走、ブラストしつつも、 センスあるギターリフとフレーズでメロディと世界観を構築してゆく手法はさらに磨きがかかっている。 演奏においては、とくにドラムの凄さがバンドの核になっていて、7分、8分という曲でも ダレることなく聴けるのは、パワフルな勢いと強固な構築力とがあるからだろう。 また、曲によってピアノやストリングス、アコギなどの音色を効果的に挿入するなど、 ドラマ性の点でも聴かせどころを増やしていて、激烈なパートをひときわ際立たせている。 メロディアス度・・7 暴虐度・・8 ドラマティック度・・9 総合・・8 PANTHEON ・I・ 「Worlds I Create」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 パンテオン・I・の2009作 女性チェロ奏者を含む5人組で、吐き捨てヴォーカルを乗せて激烈に疾走するスタイルに、 ドラマティックな荘厳さを付加したサウンドは、なかなかレベルが高い。 ブルータルな質感はブラックというよりはデスメタルに近い気もするが、 そこにチェロの音色が加わるとぐっとクラシカルな美しさに包まれる。 適度なヘヴィネスとモダンさを有したサウンドは Keep of Kalessinあたりのファンにも。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・8 モダンブラック度・・8 総合・・8 Cor Scorpii 「 Monument」 ノルウェーのメロディックブラック、 コル・スコルピの2009年作 ツインギターにシンセを含む6人組で、メロディックなギターフレーズと北欧的な叙情を匂わせつつ、 美麗に聴かせるスタイル。 音は比較的軽めで、ツインギターの泣きの旋律をたっぷりと含み シンセやピアノによる美しいアレンジとともに疾走、暴虐さよりむしろクラシカルで優雅な感触が前に出ている。 メロデスでいうと EMBRACEDあたりに通じる美へのこだわりがあって、シンフォニックな耳心地の好作品だ。 メロディアス度・・8 暴虐度・・7 美旋律度・・9 総合・・8 NATTSOL 「 Stemming」 ノルウェーのブラックメタルバンド、 ナットソルの2010作 二人のメンバーによるユニットで、土着的な叙情性を含んだブラックメタルサウンド。 昨今のバンドのようにシンセを使わず、あくまでギター主導で疾走しつつメロディを聴かせる 古き良きスタイルを踏襲しつつ、静と動の緩急をつけた構築性もなかなか見事で 白夜に包まれた北欧の森を思わせる、幻想的な神秘性が音には感じられる。 詠唱のような男性コーラスもいい雰囲気で、初期 EMPERORばりの幻想ブラックを聴かせる傑作だ。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 土着度・・8 総合・・8 NEGURA BUNGET「Virstele Pamintului」 ルーマニアのブラックメタルバンド、 ネグラ・バンゲットの2010作 女性シンセ奏者を含む6人組で、デビューは1998年という中堅バンド。 縦笛の音色とともに始まる本作は、土着的な怨念のようなものを感じさせるプリミティブな質感と 美しいシンセをバックにメロウなギターリフで聴かせるサウンド。 以前の作品に比べると、暴虐性よりもむしろ ドラマティックな叙情性が前に出ていて、ずいぶんと聴きやすくなっている。 母国語による歌声や、 笛の音が絡むフォーキーな雰囲気も面白い。 ペイガンブラック的にも楽しめる高品質なアルバムだ。 2003年作 今作では本格的にオーケストラを導入し、初期に比べてサウンドの荘厳さがアップ。 暴虐かつシンフォニックな世界観は、クレイドル節そのもので、従来からのリスナーには とくに新鮮味は与えないかもしれないが、彼らの音を初めて聴くという方は、この完成度に衝撃を受けるはずだ。 とくにダニ・フィルスのヴォーカルはいっそう表現力を増しており迫力充分。 間奏を含めて全17曲、77分というコンセプト作で、もうお腹いっぱいである。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 世界観完成度・・9 総合・・8. 5 DIMMU BORGIR 「DEATH CULT ARMAGEDDON」 ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 ディム・ボガーの6th。 2003作 壮麗でシンフォニックでありながら、ブラックメタルとしての暴虐さを保ったそのサウンドは、 アルバムごとに着実にクオリティを上げてきており、その美と醜の均衡はまったく見事なほどだ。 今作では楽曲に本物のオーケストラを導入しており、音の荘厳さと説得力は否が応にも増している。 緩急の効いた切り返しの多い曲をこなすメンバーの技量は見事だが、それに加えて キーボード、オーケストレイションのアレンジの質もいっそう上がっているように思う。 クオリティとしては CRADLE OF FILTHと並び立つ、ドラマティックブラックの頂点に立った一作。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 荘厳度・・9 総合・・8. 5 OLD MAN'S CHILD 「IN DEFIAANCE OF EXISTENCE」 ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 オールド・マンズ・チャイルドの5th。 2003作 現在は DIMMU BORGIRにも在籍するガルダー氏の別バンド。 内容は抜群に高品質。 北欧らしい流麗なギターリフとシンフォニックなキーボードが美しく、疾走する暴虐性とのバランスが絶品。 かつてはCRADLE OF FILTHに在籍し、現在はボガーのメンバーであるニコラスのドラムも見事で、 強烈に疾走する楽曲をしっかりと支えている。 総じて雰囲気がボガーちっくなのは否めないが、 分かりやすい良質のシンフォブラックとして勧められるクオリティである。 収録曲のほとんどが5分以下で全39分というのもいっそ潔い。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8 ARCTURUS 「THE SHAM MIRRORS」 ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 アークチュラスの3rd。 2002作 初期は正統派のシンフォブラックだったが、しだいに知的でプログレッシブなアプローチを取り入れてゆく。 本作ではメロディアスな要素を増やし、シンフォニックなアレンジと現代的なデジタリィな要素を融合させている。 ヴォーカルもほとんどをノーマル声で歌い、メロディアスなギターとコーラスワーク、キラキラしたシンセなどは 一聴してメンバーもかぶる THE KOVENANT COVENANT を想起するが、このアルバムは演奏、楽曲ともに その上をいっている。 素晴らしいのはブラストしなくても十分存在感のある HELLHAMMERの正確無比なドラムで、 サウンドはあくまでシンフォニックでありながら、硬質感とある程度の攻撃性を感じることができる。 これは傑作。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・6 楽曲・・8 総合・・8. 5 CATAMENIA 「ESKHARA」 フィンランドのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 カタメニアの4th。 2002作 シンフォニックなキーボードにブラストビートで疾走するスタイルのこのバンド、 基本的にどのアルバムも方向性は同じなのだが、メロディの煽情度はこの4作目が一番。 北欧らしい、ときに民族調のメロディを奏でつつ突っ走るそのサウンドは 激しいながらも音には整合感があって、非常に聴き易く初心者にもお薦めだ。 最近流行りのヴァイキングメタル好きなどにもアピールするはず。 このバンドを初めて聴くならまずこのアルバムを推したい。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 北欧度・・9 総合・・8 GRAVEWORM 「ENGRAVED IN BLACK」 イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 グレイブワームの4th。 ブラックメタルとしての突進力と煽情的なメロディのバランスが見事で、 静寂パートの耽美性はゴシック的でもあり、女性奏者による壮麗なキーボードが音に厚みを加えている。 STORMLORDと共にイタリア産のシンフォブラックとしては一線級といってよい出来だ シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 楽曲・・8 総合・・8. 5 HECATE ENTHRONED 「Dark Requiems... And Unsilent Massacre」 イギリスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 ヘカテ・エンスロンドの2nd。 1998作 実に美麗かつ耽美なシンセワークとともに疾走するスタイルで、 サウンドにはまるでノルウェーのバンドのようなプリミテイブなマイナー感がある。 ぎゃあぎゃあとカラスのような声でわめき散らすヴォーカルは耳障りだが、 ともかくこのシンフォニックなキーボードの美しさですべてを許せてしまう。 B級臭くてもよいから美麗な疾走ブラックが聴きたいの方や、COFの1stが好きならぜひ。 1st 「The Slaughter Of Innosence〜」も同様に美しきシンフォブラ好作デス。 2002作 CRADLE OF FILTH的なシンフォブラックと、 DISSECTION的なメロブラの中間といった雰囲気。 曲、演奏、メロディ、突進力ともにいいものを持っていて、キーボード入りで疾走し、 とくに煽情的なギターフレーズはこの手のバンドの中でもかなり質が高いと思う。 メロディアス度・・8 暴虐度・・7 楽曲・・8 総合・・8 ANOREXIA NERVOSA 「Redemption Process」 フランスのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 アノレクシア・ネルヴォサの4th。 2004作 前作は疾走一辺倒のシンフォブラだったのですが、今作では楽曲にメリハリがついて 美しいシンセをバックに荘厳に疾走しつつも、重厚な要素も増しているという感じです。 これだという特徴的な魅力はないですが、全体的に質の高さで聴かせるシンフォブラック。 シンフォニック度・・7 暴虐度・・8 新鮮度・・7 総合・・8 STIGMATIC CHORUS「AUTODAFE... 」 ロシアのシンフォブラックメタルバンド、 スティグマティック・コーラスの2005作 壮麗なシンセワークで疾走する、 CRADLE OF FILTHを思わせるシンフォブラック。 甲高いわめき声もダニ・フィルスを思わせる雰囲気があり、ドラマティックな曲の展開なども かつてのCOFにそっくり。 ただ物真似に終わるのできないクオリティの高さがあり、 美形の女性Key奏者、カリ嬢のシンフォニックな音作りは素晴らしいし、 こちらも美女のエミリー嬢のコーラスも耽美な世界観を描き出している。 美しいシンフォブラックが好みなら、ぜひとも聴いて欲しい作品だ。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 クレイドル度・・9 総合・・8 Abigail Williams 「In the Shadow of a Thousand Suns」 アメリカのブラックメタルバンド、 アビゲイル・ウィリアムスの2008年作 のっけから DIMMU BOGIRばりに疾走する、なかなか本格派のシンフォブラックサウンド。 クラシックの素養も感じさせる女性シンセ奏者による美しい旋律を全面に出しながら、 暴虐なブラストビートと絶叫ヴォーカルでたたみかけるスタイル。 緩急をつけた楽曲と、アメリカのバンドとは思えぬような叙情性が素晴らしく、 日本でいうと TYRANTあたりにも近い感触か。 この後、2nd、3rdと方向性が変化してゆくので シンフォブラックとして楽しめるこの1stを最高作とする向きも多いだろう。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 本当にアメリカ? 1998作 2nd 「Starfire Burning upon Ice Veiled」において、まるでファンタジーゲームのような 壮麗な世界観で聴かせるシンフォブラックサウンドを確立、そして続く本作で決定打となった。 シンセによる美麗なイントロは映画のような雰囲気だが、曲が始まるとクサメロまくりで疾走開始、 美しいシンセとクサフレーズを奏でるギターににんまりしつつ、彼らのファンタジー絵巻にどっぷり浸る。 ヴォーカルはダミ声ながらちっとも暴虐ではなく、曲間に入る語りなどはとてもエピックな感じである。 とにかくこの、笑っちゃうほど大仰かつ勇壮、そしてクサく、シンフォニックなサウンドは一聴の価値ありだ。 シンフォニック度・・9 暴虐度・・6 ファンタジック度・・10 総合・・8. 後にCADAVERIAを結成する Cadaveria嬢の歌声は、スクリームヴォイスと普通声を使い分けていて、 インパクト充分。 ときに激しく疾走するブラックメタル的な暗黒性と、シンセも入った美しさが合わさって 濃密なゴシック・ブラックサウンドを描いている。 イタリアらしい耽美な闇の美学が詰め込まれたアルバムだ。 2001作 このバンドの特徴はやりすぎなまでにシンフォニックなキーボードが美しいところ。 ゴージャス、メロディアスでセンスの良いシンセが、時に重厚に時に華麗に鳴りまくる。 ほぼ真性のブラックメタルサウンドだが、このシンセとの合体で凶悪度は中和され、 結果として非常に聴きやすいドラマティックブラックとなっている。 初期 EMPERORをさらにメロディアスにするとこうなるという具合。 劇的シンフォブラック傑作。 シンフォニック度・・9 暴虐度・・8 エピック度・・8 総合・・8. 5 STORMLORD 「THE GORGON CULT」 イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンド、 ストームロードの3rd。 2004作 今作ではラウドさが押さえられた録音で音のバランスが良くなり、ずいぶん聴き易くなっている。 相変わらずこれでもかという美しいキーボードを鳴らして疾走する様は、一聴してブラックというよりは 普通のシンフォメタルだが、表現力を増したダミ声Voや、女性スキャットを取り入れるなど 物語性を増したサウンドは CRADLE OF FILTHに通じる部分もある。 暴虐パートをやや抑え目にしたことにより、曲の中でギターのフレーズが生きる場面が増え 結果としてメロディアスさとシンフォニック性が増している。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・8 総合・・8 ANCIENT RITES 「Rubicon」 ベルギーのメロディックブラックメタルバンド、 エンシェント・ライツの2006作 ツインギターにシンセを含む7人組みで、本作は十字軍の遠征をテーマに エピックな雰囲気を増した傑作となった。 美しいシンセによるイントロに続き楽曲が始まると、 ブラックメタルとしての激しい疾走感とともに緩急のつけられたアレンジと、 ある種 RHAPSODYにも通じるシンフォニックメタル的な質感で 壮大な世界観を演出してゆく。 ときに土着的なメロディを盛り込みつつ、 壮麗に聴かせる厚みのあるサウンドは、説得力という点でも過去最高だ。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 エピック度・・9 総合・・8. まずずいぶん音が良くなった。 (といっても、一般のバンドを基準にすればまだ悪いのだが) ノイジーなギターリフの中に、うっすらと北欧的な叙情と殺伐とした冷たさを感じさせながら、 カウントの絶叫ヴォーカルが乗るスタイルはかつてと同じであるが、本作のサウンドはよりメロディアスで、 そこにはに絶望と嫌悪に満ちあふれていたような以前の荒涼感は薄まっている。 衝動的な感情と憎しみに包まれた世界観から、作品としての楽曲を感じさせるようになった、 いわばカウントの人間としての成長が窺える。 これは殺人者ではなく、音楽家としてのアルバムである。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 暗黒度・・8 総合・・8 Wolves in the Throne Room 「 Black Cascade」 アメリカのブラックメタルバンド、 ウルブズ・イン・ザ・スローン・ルームの2nd。 2009作 自然派ブラックメタルともいうべき、薄靄のかかったようなサウンドで驚かせたデビュー作は 本作もとてもアメリカ産とは思えない、まるで欧州の森を思わせる雰囲気の作品だ。 ややこもり気味の音で疾走するアナログ的なブラックメタルサウンドは、 激しくはあっても耳心地がよく、暴虐さよりも自然界の闇への畏怖を感じさせる。 全4曲ですべてが10分以上という長尺さも、いっそ彼らの持ち味となっていて、 曲やメロディうんぬんというよりも、この雰囲気に浸り込んで楽しみたい音楽だ。 メロディアス度・・7 暴虐度・・7 自然派度・・9 総合・・8 Alcest 「Ecailles De Lune」 フランスのシューゲイザー・ブラックメタル、 アルセの2nd。 2010作 前作は癒し系ブラックともいうべき叙情的な作品であったが、本作も同路線。 美しいシンセとマイルドな歌声で聴かせるサウンドは、淡い幻想を含んだ哀愁を漂わせ その聴き心地の良さは、もはやブラックというよりはエモやポストロック的な世界観である。 激しく疾走する部分もちゃんとあるが、それすらもたれこめたグレーの空のように、 叙情的でメロウな薄暗さと、優しい雨のようなやわらかな感触がある。 癒されるブラック。 メロディアス度・・8 暴虐度・・7 幻想叙情度・・9 総合・・8 October Falls「 Collapse of Faith」 フィンランドのネイチャーブラック、 オクトーバー・フォールズの2010年作 北欧の土着的な叙情を感じさせる、フォーキーなブラックメタルサウンドで、 本作は全3曲、それぞれ18分、17分、5分という大作志向のアルバムになっている。 激しい疾走もありながら、メロディックなギターフレーズとアコースティカルな要素も含んで 暴虐さよりも耳触りの良さが前に出ている。 北欧の森を思い起こさせる自然派ブラックの力作。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 北欧土着度・・8 総合・・8 Wodensthrone「Curse」 イギリスのネイチャー・ブラックメタル、 ウーデンズスローンの2012年作 激しくブラスト疾走しつつも、邪悪さよりもミステリアスな神秘性を感じるサウンドで、 うっすらとしたシンセアレンジに土着的な質感も加わったペイガン風味もある。 10分以上の大曲も3曲あり、緩急のついたドラマティックな雰囲気はなかなかいい。 初期 EMPERORばりの激しさを Wolves in the Throne Room的にミスティックにしたとでも言おうか、 同じくイギリスの A Forest Of Starsもそうだが、最近は個性的なブラックメタル系バンドが増えている。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 神秘的度・・8 総合・・8 Deafheaven 「Roads to Judah」 アメリカのポストブラックメタル、 デフヘヴンの2011年作 フランスの ALCESTあたりを思わせる癒し系のブラックメタルで、 トレモロ風のギターフレーズの重ねによるゆったりとした情感から、ブラストビートで激しく疾走。 音自体はとても激しいのだが、そこにあるのは怒りではなく嘆きや悲しみで、マイナー調のフレーズと 泣きを含んだトレモロリフが聴き手の涙腺を刺激する。 楽曲は10分前後と長く、全4曲で38分というのも、 デビュー作にしてはなかなか思い切っている。 耳心地のいい悲しみの叙情ブラックサウンドに泣きましょう。 メロディアス度・・8 泣きの叙情度・・8 激しくも悲し度・・9 総合・・8 Drudkh「 Eternal Turn of the Wheel」 ウクライナのブラックメタルバンド、 ドルドゥクの2012年作 アトモスフェリックな作風で大曲を描いてゆく作風はこれまでと変わらないが、 今回は7〜9分と楽曲がいくぶんシェイプされていて、その分ダレずに聴ける。 絶叫ヴォーカルとともに疾走するブラックメタルとしての激しさを保ちながら、 静寂パートを含んだ緩急ある展開とノイジーなギターリフにうっすらとしたシンセを重ねた、 ダークで幻想的な聴き心地は、BURZUMと双璧をなす世界観の強度といってよいだろう。 1998作 「儒教の国」韓国で「反キリストの音楽」であるブラックメタルが存在するとは驚きだが、 激速なブラストビート、荘厳なキーボード、絶叫ヴォーカル ハングル に女性コーラスと 音楽性は高く、どれをとっても北欧ブラックの一級品と遜色ないレベル。 また疾走するだけでなく、スローパートにおいてもギターフレーズに泣きが多く、 悲哀を感じさせるメロディがサウンドの説得力をかもし出している。 韓国には他に OATHEANというバンドもいるが、メロディの充実度ではこちら。 メロディアス度・・8 暴虐度・・7 哀愁叙情度・・9 総合・・8 TYRANT 「GRIMOIRES」 日本のシンフォニック・ブラックメタルバンド、 タイラントの3rd。 2005作 知名度は低いながらも、今作も安心して楽しめる高品質なシンフォブラック作です。 のっけからワルツのリズムで疾走するあたり、クラシカルで耽美な雰囲気がとてもよろしい。 ブラックというよりは一人ゴスっぽい出で立ちの AYUMI嬢のキーボードワークがとても美麗で、 ときにメロウなフレーズを奏でるギターもいい仕事をしています。 全体的に暴虐でありながらも、綺麗な音作りになっていて初心者にも勧められます。 シンフォブラックのリスナーは、日本にもこんないいバンドがいるのだということを知りましょう。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・7 耽美度・・8 総合・・8 SIGH 「HANGMAN'S HYMN」 日本が誇るアート・ブラックメタルバンド、 サイの7th。 2007作 「音楽による葬式」と題されたコンセプト的な作風で、2ndの頃の シンフォニックブラックとしての 疾走感を取り戻したサウンドになっている。 ライナーにもある通り、バンドのブレインである川嶋未来の語る 現在世界の歪みや飽くことなき人間の欲望や愚かさに対する怒りや悲しみが音の中に溢れており スラッシュメタル的なリフとクラシックの交響曲を思わせる オーケストラルなアレンジが一体となり、 激しく、そして美しいサウンドを追求しているかのようだ。 このバンドの作品としてはシンプルにも感じられるが、 初めて彼らの音に触れる若いリスナーにはむしろ自然に受け入れられるかもしれない。 メロディアス度・・7 疾走度・・8 プログレ度・・7 総合・・8 ChthoniC 「Seediq Bale」 台湾のシンフォニックブラックメタルバンド、 ソニックの4th。 2007作 CRADLE OF FILTHあたりを思わせる禍々しくも美しい世界観で疾走するサウンドは 以前は弱点だったドラムの弱さも克服されていて、堂々たるレベルに仕上がっている。 シンフォニックなキーボードアレンジはどこか幽玄を感じさせる空気があり、 ダミ声で絶叫する男性ヴォーカルに絡む 女性ヴォーカルや、もの悲しい 二胡の音色にも注目だ。 どうせなら中国語で歌って欲しかったが、メロディの雰囲気や怨念の込められたような音には充分地域性を感じ取れる。 シンフォニック度・・8 暴虐度・・8 台湾度・・8 総合・・8 Oathean 「 Vol. 5」 韓国のメロディックデス・ブラックメタル、 オーディンの5th。 2010年作 美麗なシンセアレンジはやや控えめになり、メロディ主体だったギターが 鋭角的なリフの感触を強めたことで、よりヘヴィで重厚な仕上がりになっている。 6〜8分台の楽曲は、疾走とスローパートの緩急を付けたアレンジが光っていて、 激しさだけではないしっとりとした叙情パートなども盛り込みながら、 随所に聴かせるメロウなフレーズやアコースティカルな要素を引き立たせている。 シンフォニック性は薄まったが知的な構築センスが素晴らしい、ドラマティックな傑作である。 ドラマティック度・・8 暴虐度・・7 知的アレンジ度・・9 総合・・8 も併せてご覧ください.
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