ヨーロッパへは16世紀初めに導入されました。 日本へは1601年オランダ船がジャガタラから長崎へ導入し『じゃがいも』と呼ばれるようになりました。 今では、カレーの具や肉じゃがなど日本の食生活にかかせない食材の一つです。 こんなに身近なじゃがいもでも、食中毒の原因になることがあるのです。 最近、児童が学校の授業で栽培したじゃがいもによる食中毒が多く見られます。 どうしたら防ぐことができるのかもう一度確認してみましょう。 また、芽だけでなく 光が当たった部分にも多く含まれます。 じゃがいもは光に当たるとクロロフィルが作られ表面が緑色になるほかアルカロイドも表皮の近くに作られるのです。 注意が必要なのは、 たとえ表皮が緑色になっていなくてもアルカロイドが多く作られていることもあるということです。 このアルカロイドを取り除かずに食べると、食べたて20分後くらいから、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、脱力感、めまい、呼吸困難などの症状を示し、一般的に軽症ですが食中毒を起こすことがあります。 アルカロイドの中毒量は一般的に200から400ミリグラムと言われていますが、子供の場合はその10分の1の20ミリグラム程度とされています。 2 じゃがいもにはどれくらいアルカロイドが含まれているの? 市販じゃがいも(メークインと男爵)中のアルカロイド市販品のじゃがいも(メークイン及び男爵:芽の発生がないもの)中には下のグラフに示したようにアルカロイドが含まれています。 グラフからもわかるように、じゃがいもの皮の部分(皮層部)に多く含まれ、可食部(髄質部)に含まれるのは皮の10分の1以下です。 また、さらに1ミリメートル皮をむくと、アルカロイドは可食部から検出されませんでした。 じゃがいも1個を100グラムとすると1個あたり12,000マイクログラム(=12ミリグラム)が含まれることになります。 200〜400ミリグラムのアルカロイドで中毒になるとすると、これは、じゃがいも約1. 7〜3. 3キログラムに相当するので、市販品のじゃがいもで食中毒を起こすことはまずありません。 ただし、子供は10分の1程度のアルカロイド量で中毒をおこす可能性があるため、皮をむくか、大量に食べないようにする必要があります。 ( 注:1ミリグラム=1000マイクログラム) 参考文献• 2004. 8 食衛誌 Vol. 45,No. 5 3 どうして学校で栽培したじゃがいもは食中毒が起こるのでしょうか? 上述したように、市販品のじゃがいもで食中毒をおこすことはほとんどありません。 しかし、平成10年以降、全国の学校で12件のジャガイモによる食中毒が発生しています。 一体、どうしてなのでしょうか?? 平成18年7月、都内の小学校で栽培したじゃがいもを食べたことにより腹痛、吐き気、喉の痛み等の症状の食中毒が起きました。 残品1:ゆでたじゃがいも(12グラム) 残品2:ゆでたじゃがいも(20グラム) 参考品1:畑に残ったじゃがいも(13グラム) 参考品2:畑に残ったじゃがいも(22グラム) 残品のゆでじゃがいものアルカロイド含有量の平均値はじゃがいも1グラム当たり710マイクログラムでした。 これは 市販じゃがいもの約6倍に相当する量です。 また、子供は20ミリグラム程度のアルカロイドでも中毒をおこすと推定されるので、今回の事例では、子供はじゃがいもを約30グラム食べると食中毒になる危険がありました。 今回の事例では、じゃがいもを理科の実験用として栽培しており、間引き等、適切な世話がきちんとされていませんでした。 一般的に、不適切な栽培によって緑変し、未成熟で小型のまま収穫されたじゃがいもはアルカロイドの含有量が多いと言われています。 東京都では栽培したじゃがいもによる食中毒を防止するため学校に対して通知文を出し、注意点の周知を行いました。 つまり・・・ 調理によって、未熟なじゃがいもや芽の部分などの毒素が完全になくなるということはありません。 参考文献• 1990. 2 食衛誌 Vol. 31,No. 1 5 じゃがいもを安全に食べるためには・・・• 芽の部分はきちんと取り除きましょう。 自分で栽培した小さい未成熟なじゃがいもはアルカロイド含有量が多いと言われているので十分注意しましょう。 緑変した部分の皮は厚めにむきましょう。 じゃがいもの皮には可食部(髄質部)と比べて多くアルカロイドが含まれているので、少ない量で中毒になる可能性があるお子様は、なるべく皮をむいて食べましょう。 貯蔵するときは、光の当たらない風通しの良い場所に保管しましょう。 苦味やえぐ味がある場合には食べないようにしましょう。
次のMEMOジャガイモは光が当たると緑色になるのにはそうならない理由・・・サツマイモは根が肥大したもの(塊根)に対し、ジャガイモは茎が肥大したもの(塊茎)なので光が当たると緑色になります。 マルチ栽培について 家庭菜園ではその手軽さから、ジャガイモのマルチ栽培もよく行われています。 マルチ栽培のメリットとしては、地温を確保して生育を促し、早植えや早採りができること。 また、黒マルチを利用すれば、光を遮って雑草とイモの緑化を抑制することができ、 土寄せの作業も不要となります。 一方で、マルチは地温が上がりすぎることがあり、 高温障害が出やすくなります。 植えた種芋が高温で腐ったり、収穫するイモの食味や貯蔵性が低下したりといったデメリットがあることも考慮しておきましょう。 イモを傷つけないよう、株元から少し離れた位置にスコップをさし、土を掘り上げ、茎を持ちながら収穫します。 皮が剥がれると傷みやすくなるので、丁寧に掘り起こしましょう。 掘りあげた後、土の中にイモが残っていることが多いので、採り忘れないように。 掘りあげたイモは風にあて、十分に土を乾かしてから冷暗所で保存します。 保存 掘り出したイモを長期保存するためには、次のようにします。 収穫は晴れた日に行い、2時間ほど畑で乾燥させます。 そのあと1週間くらい雨のあたらない所で陰干しして、腐ってくるイモは取り除きます。 残ったイモをダンボールなどに詰めて暗くして保管します。 洗うと保存性が落ちてしまいます。 また、保存しているイモから芽が出たら、都度、芽を取り除くこと。 芽が出たままにしておくと、養分が吸われて、イモ自体がシワシワになってしまいます。 トラブル・生育不良 ジャガイモ栽培によくある、トラブル・生育不良などをまとめています。 内部に茶色いシミがある 高温に伴う水不足によって、内部の中央組織が死滅し、茶色く変色してしまうことがあります。 中心に穴が空いている 肥料過多、水分過多、地温が高過ぎる、茎数が少ない、株間が広すぎるなどにより、イモが過剰に肥大した際、中心部に養分が供給されずに発生します。 イモが変形している こぶのような出っ張りがあるものや芽が出ているものは「2次生長」という現象です。 窒素肥料の過多や高地温・乾燥後の降雨などが原因。 食べる分には問題ありません。 実割れ 実割れは、イモの内部の生長に表皮の生長が追いつかないと発生します。 例えば、乾燥状態が続いた後に大雨が降って、肥大が一気に進んだ場合などに起こります。 予防として、水はけの良い畝を作る、肥料過多にならないよう追肥は控えめにするなどがあります。 モザイク病 葉にモザイク状の模様、葉が縮れて小さい、葉色が薄い、などの症状が現れます。 ウイルス病は感染すると治療する方法がありません。 種芋の時点で既にウイルスを持っている場合が多いので、無病の種芋を使うことが大切です。 また、アブラムシがウイルスを媒介して、他のジャガイモ株だけでなく、他の野菜にも感染する場合があるので、早めに抜き取って焼却処分すること。 尚、既にイモができている栽培終盤の発生であれば、収穫した芋は食べても問題ありません。 害虫 アブラムシ 体長1〜4mmの小さな虫が集団で棲みつき、吸汁加害します。 モザイク病のウイルスを媒介するため、注意が必要。 葉を食害します。
次のそもそも、 えぐみっていったい何なのでしょうか?実はこのえぐみ、じゃがいもに含まれる「天然の毒素」なんです…。 「じゃがいもの芽は食べられないから、取り除く必要がある」ということは、皆さんよくご存知ですよね。 なぜ取り除く必要があるのかというと、 じゃがいもの芽には毒性のある「ポテトグリコアルカロイド」の「チャコニン」や「ソラニン」といった成分がたくさん含まれているからなんです。 じゃがいもの保存状態が悪かったり、賞味期限が切れてしまったものにはこの「ポテトグリコアルカロイド」が発生してしまう事があり、えぐみの原因となってしまいます。 えぐみは食べられない? じゃがいものえぐみは天然の毒素であるという話をしましたが、実はあのサリンと同じ神経性の毒なんです。 そのため、食べたら不味いだけではなく恐ろしい食中毒を引き起こす危険性があります。 具体的にどんな症状が現れるかというと、「腹痛」や「下痢」、「吐き気」、「嘔吐」、「めまい」、「頭痛」…などです。 特に子どもはえぐみの強いじゃがいもを一個食べただけでも症状が出る可能性がありますので、注意が必要とされています。 えぐみのないじゃがいもの見分け方 できるだけえぐみの少ないじゃがいもを選ぶには、どういうじゃがいもを選べば良いのでしょうか? 実はえぐみの原因であるポテトグリコアルカロイドはじゃがいもの発芽した部分だけでなく、皮が緑色に変色した部分や傷が付いた部分などにも多く含まれています。 ですから、なるべく芽が生えていないもので、尚且つ緑色に変色していない新鮮なじゃがいもを選ぶようにしましょう。 保存方法にも注意 またえぐみのないじゃがいもを選んだとしても、その後の保存状態によってはえぐみを発生させてしまうことがあります。 そうならないためにも、じゃがいもの保管方法は非常に重要です。 じゃがいもは、太陽光に当たると芽が伸びたり皮が緑化してしまいますので、冷暗所に保管するのが望ましいとされています。 室内灯の光に当たっても同様の作用がありますので、できればダンボールの中に入れたり、新聞紙で包んだりするのが良いでしょう。 なるべくえぐみの無さそうなじゃがいもを選んでも、保存方法に気をつけていたとしても、食べてみるまではえぐみが強いじゃがいもかどうかわからない事もありますよね。 続いては、実際に調理をする際にできるだけえぐみを取り除く方法をいくつかご紹介したいと思います。 下ごしらえをする まず、間違いない方法はきちんと下ごしらえをすることです。 先ほどじゃがいもの芽や、緑化してしまった皮の部分に多く毒素が含まれている…という話をしましたが、逆に言えばきちんと芽や皮を取り除くことでえぐみを無くすことができます。 じゃがいもの芽は、小さいものでも大きいものでも同じ強さの毒素を含んでいますから、一個一個丁寧に取り除いてください。 根元までちょっと深めにくり抜くのがポイントです。 さらに、 皮といもの部分に緑色に変化した箇所がある場合には、太陽光によって緑化してしまった証拠です。 皮は厚めに剥くようにして、緑色の部分を完全に取り去ってしまいましょう。 アク抜きをする また、じゃがいもはアクが出る野菜ですので、調理する前にひと手間かけてアク抜きをする必要があります。 実はこのアクの正体が…芽や皮に含まれている毒素だったんです。 つまり、きちんとアクを抜いてから調理をすればえぐみも取れるわけですね。 アク抜きの方法は、水にしばらく浸けてから流水で洗い流す…といった手順になります。 水に漬けるときのポイントは、大きめのボールに大量の水を入れて、じゃがいもが完全に浸かるようにすることです。 水に浸す時間は、だいたい約10分程度がベストです。 それ以上浸けておくと、必要な栄養成分まで抜けてしまうので決して浸けっぱなしにしないようにしましょう。 ちなみにこのアク抜きですが、じゃがいもの変色を防いだりする役割もあります。 さらに表面のでんぷんも取り除かれるため、調理がしやすくなる効果もあるんですよ。 もしも生のままサラダなどで食べる場合には、水に浸けるプロセスを何度か繰り返す方が良いでしょう。 その上、しっかり流水で洗い流してから調理するようにしてくださいね。 蒸すか茹でる アク抜きするとえぐみを取り除く効果がある…という事からもわかりますが、じゃがいもに含まれているえぐみの成分は水溶性なんです。 ですから、 じゃがいもを「蒸す」か「茹でる」方法で調理すれば、ある程度えぐみを取り除くことができます。 その際に、念のため皮を取り除いてから調理をした方がよりえぐみを感じにくくなります。 レンジで茹でると簡単? 最近、電子レンジで簡単にじゃがいもを調理するようなレシピが流行っていますよね。 しかし、 じゃがいもに含まれるえぐみの成分は水溶性ですので、じゃがいもをそのままレンジでチンする調理方法はえぐみが強く出てしまう可能性があります。 とはいえ、レンジで簡単に調理できる方法は非常に便利ですからやめられないですよね。 どうにかえぐみを取り除くレンジ調理法はないものでしょうか? 実は、えぐみを取り除きながらレンジでじゃがいもを調理するためには、重要なポイントがあります。 それは、 あらかじめ水を振ってからレンジでチンすることです。 また、耐熱容器に水とじゃがいもを入れてレンジで茹でる方法もおすすめです。 これらの方法であれば普通に蒸したり茹でたりしたときと同じように、えぐみの成分が水分に溶け出してきて抜け出ていきます。 えぐみの出ないレンジ調理法 具体的なじゃがいものレンジ調理方法を詳しくご紹介したいと思います。 簡単にえぐみのないじゃがいもを作る方法ですのでおすすめですよ。 レンジで蒸す レンジで蒸す場合には、じゃがいもをよく洗ってから水をたっぷり含ませたキッチンペーパーで一個ずつ包んで、その上からラップを巻きます。 じゃがいも一個の場合、600Wの電子レンジで約3分間加熱すれば出来上がりです。 じゃがいもの大きさによって加熱時間が異なりますから、竹串を刺して中まで熱が通っているか確認してください。 それから様子を見て加熱時間を調節してくださいね。 レンジで茹でる 耐熱容器に水を入れて、その中によく洗ったじゃがいもを入れます。 耐熱容器の蓋をして、500Wの電子レンジで8分間加熱します。 こちらも加熱時間は様子を見ながら調節してください。 まとめ せっかくのじゃがいもが、えぐみのせいで美味しくなくなってしまったら台無しですよね。 しかもえぐみは不味いだけでなく、食中毒の危険もあるので注意が必要です。 そのため、先ほど紹介させていただいたように下ごしらえをしたり工夫して調理することで、きちんとえぐみを取り除いてから調理することが重要です。 また レンジで簡単に調理する方法もおすすめですので、是非試してみてくださいね。 えぐみはある程度取り除くことはできますが、あまりに芽がたくさん出ていたり、緑色に変色している部分が多かったりしたら思い切って捨ててください。 そうならないためにも、普段からじゃがいもの保存方法には気をつけながら、なるべく新鮮なものを調理できるようにしておきましょう。 ジャガイモに関する記事•
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