本作の山田を見ている間中、そんな思いがふつふつと沸き上がる。 第1話を20分ほど見れば、すぐにその魅力の虜となるはずだ。 ある男の成功と失敗、そして幸福と絶望の物語を、かつてない熱量で演じてみせた山田に迫る。 「全裸監督」制作決定の第一報で、こんなコメントを寄せていた。 「これまで何度も『山田さん、監督はなさらないんですか?』と聞かれてきた。 僕の答えは毎回決まって『撮りたいと思うものがあったら撮りますよ』。 そして、ようやくナイスな答えを見つけました。 山田孝之、AV監督(役)になります」 山田はついに、最も演じたい役どころを見つけたのだ。 そして、こうも明かしている。 「本作の描写や表現は、地上波はおろか映画でもなかなか実現が難しい。 Netflixでは、必要ならばそれができる」。 そうした山田の信念が、本作には刻み込まれている。 玉山鉄二やリリー・フランキー、若手注目株・森田望智らも加わり、彼らのアンサンブルは異様な魔力を帯びていく。 新時代を迎えた今、山田は何を表現し、我々に何を伝えたかったのか。 その答えを見つけに、Netflixを開いてみよう。 山田演じる村西は、もともとはうだつの上がらないサラリーマンだったが、あることをきっかけにAV業界へと流れ、やがて革命的成功を収めていく。 また、主人公が危険な方法でのし上がっていく姿は、Netflixドラマ「ナルコス」や映画「日本で一番悪い奴ら」などと重なり、困難を乗り越えイノベーションを起こす様子はNHK「プロジェクトX」を彷彿させる。 攻めた設定だけでなく、奥深いテーマや丹念に紡がれる映像も、じっくり味わってもらいたい。 取材記者が告白 撮影現場に入った瞬間「超面白いドラマになる」と確信した 高品質のセット、バイタリティたぎるキャスト陣… 理想の制作環境が実現 映画. com編集部の記者Oは、2018年12月3日に披露された本作の撮影現場を取材した。 神奈川・川崎市の某体育館に建てられたセットに足を踏み入れた瞬間、ある確信が胸に宿った。 「これは絶対、面白い作品になる」。 そう感じさせるほど、現場やセットのクオリティは通常の映画・ドラマからかけ離れていた。 その日、冷たい風に身を縮こませながら体育館の正面玄関をくぐると、想像だにしない光景が広がっていた。 ネオンが妖しくきらめき、あらゆる欲を飲み込もうとうごめく80年代の新宿・歌舞伎町が、そこにあったのだ。 目を丸くしながら奥へ進んでいくと、切り分けられたカステラのような建物がところ狭しと軒を連ねていた。 それらは大小様々な看板を掲げ、猥褻な文字列によって通行人を引き込もうと必死だ。 微に入り細を穿ったセットは、カメラには絶対に映らないであろう、人一人がようやく通れそうな細い路地の向こうにも広がっていた。 日焼けして赤茶けた雑誌「ホットドッグ・プレス」や、ベータカム、SHARP製のワープロ「書院 WD-VP1」などが置かれたその空間に身を浸すと、タイムスリップしたかのような感覚に陥った。 様々な映画の現場を見てきたが、ここまでディテールを追求した美術・小道具は非常に稀だ。 一体どれほどの時間と労力と技術と費用が必要だったのか、想像もつかなかった。 空間に刺激を受けたのか、キャスト陣にも熱が入る。 スタッフと活発に意見を交換し、そのたびにシーンはみずみずしく変化していった。 カットがかかるや満島が冗談を飛ばし、山田らが吠えるように笑い声を上げた。 ギスギスした空気が流れることは皆無。 そんな理想的な制作環境で創出された本作を、いち早く目撃してもらいたい。 「デスカムトゥルー」 C IZANAGIGAMES, Inc. All rights reserved. 「ソニック・ザ・ムービー」 C 2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED. 「エジソンズ・ゲーム」 C 2018 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved. 」 C 2019 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios Inc. All Rights Reserved. 「ドクター・ドリトル」 C 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
次の「ナイスですね!」といった印象的な言葉とともに、アダルトビデオ業界の黎明期を席巻した村西とおる。 その独特な喋りのテクニックとオン/オフのスイッチ、さらに白ブリーフ一丁の姿でカメラを構えるインパクト大の姿まで完璧に我が物として掌握する、山田孝之という俳優の姿をまざまざと見せつけられたNetflixオリジナルシリーズ『全裸監督』。 そんな山田の芝居に引っ張られるかのように、玉山鉄二や満島真之介といった共演陣が揃いも揃って泥臭く画面の中で蠢きあう中、紛れもなく異質な存在感を放っていたのが、実在した伝説的女優・黒木香を演じた森田望智だ。 森田が演じる黒木香がテレビの討論番組に出演し、饒舌に持論を展開していくシーンから幕を開ける本作。 実際に彼女が物語に関与してくるのは第2話からで、まだ女学生だった彼女ーーこの時点では「黒木香」ではなく「佐原恵美」という名前だーーが、友人と歩いていると、神社の境内でビニ本の修正を消そうと躍起になる少年たちを見つけるというくだりがはじまりとなる。 その後彼女は大学に進学し美術を専攻。 厳格で保守的な母親への不信感を抱えながら次第に性に目覚め、ふとしたきっかけで村西の存在を知り、第5話で自ら事務所に訪ねてきて「出演したいんです。 アダルトビデオに」と申し出るのである。 いわば彼女が本作で務めている役割は、村西とおるという男が(良くも悪くも)覚醒するきっかけとなったミューズといったところだ。 村西がうだつの上がらない営業マン時代に巧みなトーク術を身につけて成長していった過程を反復するように、彼女も独特の言い回しを獲得して時代の寵児としてメディアに多く取り上げられていく。 一見すると、彼女も村西という第三者の手で開花したかのように映るが決してそうではない。 彼女に「黒木香」という新たな名前を与えた村西は単なるきっかけなり踏み台に過ぎず、彼女は自分自身で「佐原恵美」という人間を開花させて「黒木香」というもうひとりの姿を勝ち取るのだ。 この森田望智という女優を、本作を観る前から知っていたという人は果たしてどれくらいいるのだろうか。 恥ずかしながら筆者自身も、名前を見かけた記憶があるだけで具体的に他の出演作と結びつけることはできなかった。 改めて彼女のフィルモグラフィにある作品をいくつか観直してみると、例えば『一週間フレンズ。 』では主人公たちの同級生役として序盤のクラス発表のシーンや中盤の教室のシーンであったり、はたまた『リュウグウノツカイ』では集団妊娠計画を企てる10人の女子高生のひとりとして、まちがいなく森田望智という女優はそこにいるのだが、絶妙に作品に染まって他のキャストを引き立てる役割を担っているに留まっていた。 目立つ役柄といえば、土屋太鳳と一緒に「ちちんぶいぶい」と歌って踊りながら秩父に旅するCMぐらいではないだろうか。
次の「全裸監督」より。 村西とおる(山田孝之)と、黒木香(森田望智) 22歳の新星・(もりた・みさと)が、8月8日より配信スタートとなったNetflixオリジナルシリーズ「全裸監督」で体当たりの熱演を見せている。 本作は、演じる実在のAV監督・村西とおるの人生を事実とフィクションを交えて描く物語で、森田はのちに伝説のAV女優となるヒロインにふんした。 のノンフィクション小説「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)に基づく本作。 1980年代のアダルトビデオ黎明期を舞台に、時には指名手配・逮捕されるなど、ドン底と絶頂を繰り返した村西と、彼に翻弄される仲間たちの狂騒をハイテンションに活写する。 厳格な母親(小雪)のもとで育ったエリート女子大生・恵美が、村西との出会いによって抑圧から解放され、劇的な変貌を遂げていく。 黒木と言えば、わき毛を大胆にアピール、露出することで知られた伝説のAV女優。 森田は、黒木の仕草や話し方を完コピ。 劇中でハードな濡れ場にも体当たりで挑み、AV女優デビュー前後を見事に演じ分けた。 村西と出会い、AV女優デビュー! フィギュアスケート、クラシックバレエを特技とし、抜群の身体能力を誇る森田。 らと共演した西武鉄道のCMや、脚本のドラマ「パパ活」(2017)、映画『』(2017)、『』(2018)などに出演。 現在放送中のテレビ東京系深夜ドラマ「Iターン」(毎週金曜深夜0時12分~)では、営業マンの柳()が夢中になるホステス・めぐみを、はつらつと好演している。 (編集部・石井百合子) Netflixオリジナルシリーズ「全裸監督」は独占配信中.
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