カボチャは年2回栽培することができる野菜で、カボチャの旬は、夏の7月~8月、秋の11月です。 カボチャの科目は、ウリ科でアメリカ大陸が原産地です。 日本への渡来は江戸時代にポルトガル人がカンボジアから持ち込んだことから、カボチャの名前が定着したとされています。 カボチャの種類は、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャなどに分類されています。 日本カボチャは、果肉が粘質でねっとりした風味があり、煮物や天ぷらに利用されています。 西洋カボチャは、果肉が粉質でホクホクして甘みが強く、日本で栽培されているほとんどが西洋カボチャです。 また、ペポカボチャは果実の形が様々で栽培の楽しみがあります。 ズッキーニもペポカボチャの仲間です。 かぼちゃの品種としては、『えびすかぼちゃ』『ほっこりえびす』『くりゆたか』『味平』『こふき』『ダークホース』『ロロン』『バターナッツ』『プチィーニ』『雪化粧かぼちゃ』『赤皮栗かぼちゃ』など色々な品種があります。 カボチャの栄養素としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カロテンなどが多く含まれており、タンパク質や食物繊維も豊富で栄養価の高い緑黄色野菜です。 カボチャは冬至まで保存ができ、冬場に不足がちなビタミン類を補給できるため、風邪の予防にも効果があるとされています。 カボチャを栽培する好適土壌pHは、6. 0~6. 5です。 畑で栽培する際には苦土石灰を混ぜて耕す必要があります。 カボチャは連作障害が少ない作物ですが、1~2年空けることもあります。 過湿には弱いので、日当たりの良い場所で育てます。 カボチャを畑で栽培する場合、つるが伸びて広がるので1株当たり2m四方の面積を必要します。 面積の確保が難しい時は、ミニカボチャを選択して、立体栽培にすることをおすすめします。 ミニカボチャは、実の付きも良く、放任でも栽培できる野菜です。 カボチャは、種から栽培する方法と、苗から栽培する方法があります。 種から栽培する場合は、3月中旬以降に種まきを行います。 4月にポットに移植し、5月に畑に植え付けします。 収穫は7~8月となります。 受粉してから約40~50日に、ヘタの部分がコルク状になり亀裂が入った頃が収穫の時期となります。 1株あたり3~5個の収穫ができます。 冬至カボチャ栽培を行う場合は、夏まきを8月上旬~中旬ごろに行い、11月上旬~11月下旬頃にかけて収穫を行います。 冬至栽培用カボチャの品種としては、えびすカボチャが有名です。 栽培が比較的簡単で様々な料理にも使えるので、初心者にも栽培できる野菜です。 なお、ミニサイズの品種を選ぶことにより、プランターやコンテナで栽培することも可能です。 2.カボチャの栽培基本(畑・プランター) 畑で栽培する場合は、水はけの良い場所を選び、縦2mx横2mの栽培面積を確保します。 苗を植え付ける2週間前までに、苦土石灰1㎡当たり100gを散布して、土とよく混ぜて耕します。 元肥は植え付け当日に施します。 畝は、幅60~90㎝、高さ20㎝とします。 畝作りの際に、ビニールマルチを施して地温を上げておくこともおすすめします。 マルチをすると生育も良くなり、雑草もおさえることができます。 苗作り用の種まきは、セルトレーにまいて育ててからポットに植え替える方法と、直接ポットにまく方法があります。 カボチャは育苗が簡単なのでポットまきをおすすめします。 直径12㎝のポットに培養土を入れて、2~3カ所に深さ1㎝のくぼみをつけ、そこに種の尖った方を下向きにして、1粒ずつ種をまきます。 まいた後は土を軽く被せて、水をたっぷりと与えます。 発芽するまでは暖かい環境で育て、土が乾かないようにします。 発芽したら、本葉1枚の頃に生育のよい苗を1ポットに1本だけ残して間引きます。 苗は、晩霜の心配が無くなった頃に、本葉が4~5枚になったら畑に植え付けます。 畝の中央に植え付け用の穴を深さ30㎝に掘り、元肥を入れて土を戻します。 なお、窒素が多いとつるボケになりやすいため、元肥は少なめにして追肥で調節したほうが良いでしょう。 水はけを良くするため、植え付け箇所に高さ20㎝の鞍付き(小山)を作り、そこに苗を植え、たっぷりと水をやります。 株間は90㎝以上空けるようにします。 市販の苗を購入する場合は、がっちりしていて本葉3~4枚で双葉が付いているものを選びましょう。 プランター栽培では、標準サイズの容器(60㎝)は深さのある物を選び、植え付け株数を1~2本にして株間20㎝を空けるようにします。 9~10号鉢の場合は1株にします。 用土は、市販の野菜用培養土を使う方が良いでしょう。 植え付け後は、支柱栽培をすることになりますので、支柱を用意します。 3.カボチャの栽培手入れ 植え付け後、カボチャが大きくなってきたら、親づるを摘芯します。 親づるの株元から出ている葉を4~5枚残して先端を摘芯します。 親づるを摘芯すると子づるが出てくるので、子づるを3~4本残して整枝します。 なお、子づるの先端は摘芯しないで放任でかまいません。 残した子づる3~4本以外はすべて取り除きます。 また、子づるから出る孫づるは、実が付いているところまではすべて取り除きます。 カボチャが成長してくると葉が大きくなってきます。 葉が混み合ってきたら葉が重ならないように、実が付いていない枝を切り取って風通しを良くしましょう。 また、敷きわらを施しておくと、葉の痛みと果実の汚れを防ぐことができ、雑草防除にもなります。 カボチャは、つるが旺盛に伸びてきますので、狭い場所では栽培しにくいことがあります。 限られたスペースで栽培する場合は、支柱栽培にします。 苗を植え付けてから、本葉が3枚頃になったら親づるを摘芯します。 子づるが伸びてきたら2本にして、支柱を立てて誘引します。 つるの先端は放任でかまいませんが、下のほうの孫づるは取り払います。 支柱1本に1~2個の収穫が可能です。 カボチャは自然にまかせると受粉しないこともあるので、人工授粉によって確実に結実させます。 カボチャは、同じ株に雌花と雄花が咲きますが、雌花は花弁の下に小さな丸い実が付いています。 株元に近い所の雌花は大きくならないため、葉が10~14枚あたりの雌花に受粉させます。 受粉はその日に咲いた雄花を使って行います。 雄花の花弁を取って雌花の柱頭にやさしくこすりつけて受粉させます。 受粉は、花がしぼまない朝のうちに行います。 1回目の追肥は、最初の実が付いてこぶし大になったら行います。 マルチシートの通路部分に溝を掘って化成肥料をまいて埋め戻します。 2回目は2~3週間目に茎や葉に肥料を掛けないようにしてつるの先端近くにまいて埋め戻します。 先端部分に追肥しても茎から根を出して養分を吸収します。 いずれも化成肥料1㎡当たり30gを目安にします。 葉の色が濃い場合や、つるの伸びが盛んなときは追肥を控えて様子を見ましょう。 カボチャは、地面に接している部分は日が当たらないため、緑色にならないことがあります。 味には影響ありませんが、実の向きを変えて日光に当てると緑色になります。 角度を曲げ過ぎると実が茎から取れてしまうので注意しましょう。 4.カボチャの収穫時期について カボチャの収穫時期の目安は、日本種は開花後30日~40日、西洋種は40日~50日経過した時点で収穫ができます。 ヘタが割れて白く変色してコルク化したら収穫適期です。 1株で5~6個程度は収穫することができますが、あまり数が多くなると味が落ちてしまうので、4個ぐらいまでが良いでしょう。 収穫したカボチャはすぐに食べずに、日が当たらない涼しくて風通しの良い場所に2~3週間保管して乾燥させます。 完熟の目安は、ヘタの部分に縦方向にスジが入ってコルク状になり、実の表皮が爪が立たないくらい堅くなっていれば完熟です。 完熟したカボチャは、デンプンが蓄積されておいしくなります。 カボチャは、冬至の頃までおいしく食べることができます。 5.カボチャに発生しやすい病気と害虫 カボチャは土壌病害に強い特徴がありますが、それでも気を付けるべき病害虫があります。 主に葉に発生し、白いカビの斑点ができて全面に広がり、白いうどん粉をかけたようになります。 やがて黄色くなったり縮れて、枯れることもあります。 発病した葉を見つけしだい取り除きます。 最も効果的な方法は殺菌剤の散布です。 梅雨の時期と秋の長雨の時期など、水分が多くて蒸れやすい頃に発生しやすくなります。 カビの一種なので、雨による高湿度で蒸れやすい環境にならないようにします。 胞子が飛び散って伝染するため、発病した場合は畑の外に搬出して処分します。 葉に濃淡のある緑や黄色などモザイク状の模様が出て、葉が縮む病気です。 アブラムシ類の媒介により伝染します。 この病気に一度かかると治療できないので、薬剤による治療が必要です。 モザイク病は主にアブラムシがウイルスを運ぶのでアブラムシの防除を行います。 アブラムシは、回復手立てのないウィルス病を媒介するので、見つけ次第ガムテープなどで捕殺します。 体長が0. 3~0. 5㎜でとても小さく、肉眼では見つけにくい虫です。 成虫は主に葉の裏に丸い卵を産みます。 幼虫は葉の組織から養分を吸いとります。 多数寄生すると、葉全体が白っぽくなり、植物の生育が悪くなります。 雑草はハダニの発生源となるので、雑草を除去しておきます。 ハダニは水に弱いので、水を強くかけると寄生数を減らすことができます。 薬剤で防除する場合は、発生時に散布します。 カボチャ、キュウリ、スイカなどウリ科の野菜の葉を好んで食害します。 葉を円弧状に食害して穴をあけてしまい、多発すれば成長が悪くなり、枯れてしまうこともあります。 ウリハムシの被害は、特に5月と8月に集中します。 ウリハムシは見つけ次第捕殺しますが、虫の動きが鈍い午前中の方が効果があります。 コンパニオンプランツとして、ネギ類を植えることもおすすめします。 カボチャの育て方を読んだあなたにおすすめの記事:.
次の種まき かぼちゃの種まきの適期は4~5月初旬です。 直まきにせず、育苗ポットで十分に苗を生長させてから植え付けるとよいですよ。 3~5号の育苗ポットに赤玉土(小粒)など種まき用の土を入れる• 土に指を使って深さ1cmほどのくぼみを2~3個作る• 種の尖った方を下向きにしてくぼみに入れる• 1~2cmほど土をかぶせる• たっぷり水を与え、発芽するまで暖かい場所で土が乾かないよう水やりをして管理する• 発芽後、1つの育苗ポットに対して1本になるよう間引く• 本葉が3~5枚出るまで生長したら、鉢やプランター、畑に植え付ける 苗植え かぼちゃの苗の植え付けは、5月中旬~6月頃が適期です。 深さのあるものを選ぶようにしてください。 土は、市販の野菜用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1を混ぜた水はけのよいものに植え付けます。 植え付け後は、苗のそばに支柱を立てるようにしましょう。 1㎡あたりこぶし2個分(100~150g)混ぜ込んでおくとよいですよ。 そして、植え付ける1週間前に堆肥や肥料を入れてよく混ぜあわせ、幅80~100cm、高さ10~15cmの畝を作っておきます。 そこへ、株どうしの間隔が60~100cm、支柱を立てないなら90~140cm空くように植え付けていきます。 葉が茂ってきたら、株元にワラを敷くと、つるが絡まって風で動かされなくなるほか、ダンゴムシや雨による泥の跳ね返り、カビの侵入などを防ぐ効果がありますよ。 かぼちゃの育て方!水やり、肥料の与え方は? 水やり かぼちゃは乾燥に強く、水のやりすぎはうどんこ病などの病気や害虫を招く原因となります。 地植えは降雨のみでかまいません。 ただ、鉢植えやプランターは水切れを起こしやすいので、梅雨の時期以外は土の表面が乾燥したら水を与えるようにしましょう。 肥料の与え方 かぼちゃは、窒素肥料が多いとツルボケしやすいので、植え付けるときの肥料は控えめにするのがポイント。 リン酸やカリウムの成分が多めに入った肥料がおすすめです。 その後は、最初の実が子供の握りこぶしくらいの大きさになったときと、2~3個目の実ができたときに追加で植え付け時と同じ肥料を与えていきます。
次の冬至は、1年で日照時間が最も短くなる日のことを言います。 (冬至の日は、12月21日前後になります。 暦の関係で毎年同じ日にはなりません。 ) そこで、遥か昔から冬至の日は、太陽が生まれ変わるとされ、世界のそこかしこで祝いのお祭りが行われてきました。 また、太陽の力は冬至の日に一番弱くなり、この日を境に力が復活すると考えられていました。 これは、「 一陽来復(いちようらいふく)」の考えであります。 冬至がきっかけとなり、「 陰が極まり再び陽にかえる日」という運が上昇する意味を込めています。 しかし、本来夏に収穫されるかぼちゃをなぜ、冬至に食べる習わしが出来たのでしょうか。 ここでは、冬至かぼちゃの栽培方法とその由来についてご説明します。 冬至かぼちゃの栽培方法と注意点 <種選び> まずは種を選びましょう。 冬至かぼちゃは栽培できる期間が短いので成長の早い種を選ぶことがポイントです。 かぼちゃの種は、えびす、栗えびす、ほっこり133、ほっこりえびす、くりひろなど多数あります。 <種まき> 時期:8月上旬~中旬 種1~2粒をポットに蒔きます。 夏の暑い時期に蒔くので、芽吹くまでは寒冷紗で直射日光が当たらないようにしましょう。 双葉が芽生えたら、1本に間引いてください。 <植え付け> 双葉のあとに出来た葉の根は活力があります。 その葉が直径4~5㎝の大きさになったら植え付けを行います。 植え付けは、少し涼しくなった夕方ごろに行ってください。 根を崩さないように注意し、終わったらお水をたっぷりあげます。 暑い時期なので、その後もこまめに水をあげましょう。 さらに、暑さで土が乾燥しないように敷きワラやもみ殻などで株元に被せてください。 <支柱立て> 冬至かぼちゃの栽培期間が短いので、親つる1本仕立ての1果取りとしてください。 実をつけさせる場所までのわき芽と、株元から9節以内に咲く雌花は取り除きます。 10~15節に咲く雌花に実をつけさせることで、丁度よい大きさの美味しいかぼちゃが出来ます。 ある程度の大きさになったら支柱を立ててつるを巻き付けましょう。 また、定期的に要らない葉は取り除いてください。 <人工授粉の方法> 花が咲いただけでは、実はつきません。 確実に実をつけさせるために人工授粉を行います。 雄花を摘み取り、雄しべをむき出しにして雌花の柱頭に花粉が着くようにくっつけてあげます。 トントンと優しくつけてください。 受粉は晴れた日の午前中、涼しい時間帯に行いましょう。 人工受粉する雌花を10個程度に抑えることで、大きい実が出来るようになります。 <追肥> 実がこぶし大になる頃に肥料を与え、より大きくなるように促してあげます。 これ以下になる場合は、寒さ対策を行ってください。 <収穫のタイミング> 時期:11月上旬~11月下旬頃 収穫が見込めるのは人工授粉を行ってから約2ヶ月経過したころです。 果梗部がコルク化したころが収穫の目安になります。 収穫後は10日ほど冷暗所に置き、果梗部の切り口を乾かして腐りを防ぎます。 その間に甘みが増し、美味しいかぼちゃができあがります。 かぼちゃは腐りにくいので、12月下旬の冬至まで食べなくても問題ありません。 冬至にかぼちゃを食べるようになった由来 冬至かぼちゃの習わしができたのはなぜでしょうか。 その由来は諸説あります。 風邪などの病気にかからないよう滋養をつけるため、かぼちゃを食べるようになったと言われています。 かぼちゃは、風邪などに抵抗するための栄養素をたくさん含んでいます。 ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、鉄分、カリウムなどがバランスよく含まれ栄養価が高い野菜になります。 冬至の寒い時期に栄養価の高いかぼちゃを食べて寒い冬を乗り切っていました。 さらに、かぼちゃは保存力が優れているため、冷蔵庫がない時代でも夏に収穫したかぼちゃを冬まで保存することが可能だったからと言われています。 かぼちゃは、長期保存している間に甘みや栄養価が増していきます。 昔の人は、収穫された直後よりも少し時間を置いた方が美味しく食べられることがわかっていたのです。 先人たちの知恵ですね。 また、かぼちゃには「運盛り」があると言われています。 昔は、文字を覚えるとき「いろはにほへと」で覚えていました。 「いろはにほへと」の最後は「ん」で終わります。 「ん」はものの終わりを表現しており、「 冬の寒さの終わりを示していた」と考えられていました。 しかし、「かぼちゃ」の単語の中には、どこにも「ん」がないとは思いませんか。 実は、そんなことないのです。 かぼちゃを漢字にすると「南瓜」と書き、「なんきん」と読めます。 「ん」が2つも含まれていたことに気がつかれましたでしょうか。 こうして「ん」が2つもついているかぼちゃには、「たくさん運を呼び込み、冬を乗り切れる」とされたのでした。 由来には諸説ありましたが、このような理由から冬至かぼちゃを食べるようになったと言われています。 さいごに 近頃は、冬至かぼちゃを食べる家庭が少なくなってきているようです。 しかし、冬至かぼちゃを自分で栽培して、冬至に食べてみるのはいかがですか。 日本の習わしを知るだけではなく、栽培した人の苦労や気持ちを理解出来る、いい機会かもしれないですね。 自分で栽培したかぼちゃはより一層美味しく感じるはずです。 寒い冬は、冬至かぼちゃを食べて健康で元気に乗り切っていきましょう。
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