『俺ガイル』14巻(最終巻) 感想・考察 俺ガイル 最新巻 感想 ネタバレ注意 「本物」を追い求める高校生たちの青春を描いた「」が昨年11月に完結を迎えた。 数ヶ月前から少しずつを通して感想を投稿し、ようやくこの作品に対する自分なりの見解が固まってきたため、これまでの総括を交えながら最終巻の感想をブログにまとめていきたい。 それなりに文字量のある記事(7500文字程度)になってはおりますが、興味のある方は是非とも最後までお付き合い頂きたく、宜しくお願いいたします。 <関連記事> ~14巻あらすじ~ まちがい続ける青春模様、シリーズ完結。 季節はまた春を迎えようとしていた。 同じ日々を繰り返しても、常に今日は新しい。 言葉にしなければ伝わらないのに、言葉では足りなくて。 いつだって出した答えはまちがっていて、取り返しがつかないほど歪んでしまった関係は、どうしようもない偽物で。 過ぎ去った季節と、これから来る新しい季節。 まちがい続ける物語が終わり……そしてきっとまだ青春は続いていく。 シリーズ完結巻。 俺ガイル 14巻(最終巻) :本物とは何か さて。 既に書き出しでも述べた通り、『俺ガイル』は "本物"を求める高校生たちの青春模様を描いた物語である。 "ラ"としての側面を持ちながらもその点にブレはなく、「本物」の希求こそが常にこの作品の核心であり続けた。 よって、当然 「本物」とは一体どういうものなのか……というテーマが物語を貫く要旨となってくるわけだが、この抽象的なワードを具体的に定義している内容については第9巻で既にその一端が八幡の台詞を通して描かれている。 八幡の欲した本物 俺はわかってもらいたいんじゃない。 俺はわかりたいのだ。 わかりたい。 知っていたい。 知って安心したい。 安らぎを得ていたい。 わからないことはひどく怖いことだから。 完全に理解したいだなんて、ひどく独善的で、独裁的で、傲慢な願いだ。 本当に浅ましくておぞましい。 そんな願望を抱いている自分が気持ち悪くて仕方がない。 だけど、もしも、もしもお互いがそう思えるのなら。 その醜い自己満足を押しつけ合い、許容できる関係性が存在するのなら。 そんなこと絶対にできないのは知っている。 そんなものに手が届かないのもわかっている。 「それでも……。 それでも、俺は……。 俺は、 " 本物"が欲しい」 (第9巻、アニメ2期8話より) が欲した"本物"とは 「相手のことを完全に理解したい」ということであり、その 「自己満足を押しつけ合い、許容できる関係性」を築くことだった。 「言葉にせずともわかりあえる関係性」が理想の産物だと知りつつも、言葉に裏があるのかどうかを読んでしまうにとって、「話せば何でもわかりあえる」という弁は欺瞞であり曖昧なものである。 だからこそ、たとえ手が届かないとしても、足掻きもがき苦しんで「本物」が欲しいと願ったわけだ。 うわべだけの馴れ合いではない、もっと深いつながりに憧れてしまったから。 この背景が物語の大前提として敷かれている。 そして、この大前提(=作中表現でいうところの 『信念』)は、とが言葉にせずとも確かに共有していたものだった。 「俺には確かな 信念があったのだ。 おそらくは、誰かとたった一つ共有していて。 今はもう失くしてしまった 信念を。 」(第8巻 p. 204より) 俺が見てきた。 常に美しく、誠実で、嘘を吐かず、ともすれば余計なことさえ歯切れよく言ってのける。 寄る辺がなくともその足で立ち続ける。 その姿に。 凍てつく青い炎のように美しく、悲しいまでに儚い立ち姿に。 そんなに。 きっと俺は、憧れていたのだ。 (第5巻 p. より) 八幡と雪乃の強固な"つながり"、がに憧れていたとわかる明確な記述。 こうした背景を元に 「本当の」を知っていく過程が『俺ガイル』の本流にあり、今の自分から "変わりたいと願う雪乃"と "変わることを逃げと評してきた八幡"の対比関係(及び、すれ違い) が中盤以降のストーリーで展開されていく。 八幡「変わるなんてのは結局、現状から逃げるために変わるんだろうが。 逃げてるのはどっちだよ。 本当に逃げてないなら変わらないでそこで踏ん張んだよ。 どうして今の自分や過去の自分を肯定してやれないんだよ」 雪乃「……それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」(第1巻より) 無論、アニメ第1期(原作 第1巻~第6巻)の段階における雪乃自身の「変わりたい」という願望は遠回しにしか語られておらず、序盤で見える雪乃像はあくまでも八幡のフィルターを通した完璧な理想像であったため、物語を通じて変えられていく対象は雪乃以外の人物たちだった。 しかし、巻が進むにつれ、真に変わりたいと願っていたのが雪乃自身だったという事実が浮き彫りになる。 いつか、私を助けてね 第9巻の 「いつか、私を助けてね」の台詞がその決定打となり、終盤の論点ががいかにして変わるのか、あるいはいかにして自立を果たすのかに寄っていたのもおそらくはこのためだと考えて良い。 うわべだけではないお互いを知り、お互いの感情に歩み寄りを図る。 相手への理解を「本物」と定義し、との相互理解を一つのテーマに据える。 俺も、雪ノ下も、お互いのことを知らなかった。 何を持って、知ると呼ぶべきか。 理解していなかった。 ただお互いの在り方だけを見ていればそれで分かったのにな。 大切なものは目に見えないんだ。 つい、目をそらしてしまうから。 俺たちは。 この半年近い期間をかけて、ようやく互いの存在を知ったのだ。 (第6巻 p. 353~354より) 以上の背景より、の想い人がであることは最初から明示されていたと読むのが筋なのかもしれない。 理由や理屈に拠らない、自身の感情で動く八幡と雪乃のラストに物語の集大成があったように思う。 待ち続けたヒロイン とはいえ、それはあくまでも構造上のお話である。 八幡と雪乃の成長ストーリーが軸にあったことは間違いないが、 ラとしての側面を交えればより多くの接点を持っていたのはの方である。 にも関わらず、最初から可能性がゼロで彼女の恋が失恋前提だったと解釈してしまうのは流石に胸が痛むし、個人的にあまり好きな読み方ではない。 はたぶんまちがえない。 彼女だけはずっと正しい答えを見ていた気がする。 (第11巻、アニメ2期13話より) 上述の台詞からもわかるとおり、そもそもこの物語において は「まちがえない」存在として描かれてきた。 の恋 「まちがいラ」の象徴が八幡と雪乃であるならば、彼女は最初から正しい答えを知り、ちゃんとしたやり方を知っていた人物。 そして、ここで言うところの正しい答えとは 「相手の"感情"を推し量ること/理屈ではなく感情(=主観)で動くこと」だと推測ができ、理由を与えられなければ動けない八幡と雪乃のやり方を彼女はずっと傍で見守り待ち続けていたことになる。 だからこそ、「第12巻~第13巻で書かれていた彼女の独白(=「Interlude」)がひどく胸を打つ切ない描写に映ったのだと思う。 「彼女のお願いはもう決まってる。 あたしと同じであたしと反対。 似ているけれど全然違う。 けどもう少しだけこの時間を続けさせてください。 ちゃんと終わらせるから。 そんな彼女が心の片隅で願ったのは「曖昧な時間を続けること」であり、それは当然「本物」ではなく、 雪乃の願い(+物語の目指す場所)とは真逆の願いとなる。 恋も友情も奉仕部として過ごす時間も、その全部が欲しい。 彼女が自身を「ずるい子」と評している理由はそういう欺瞞を求める在り方に自己嫌悪があったからである。 だから、もう少しだけ。 そうやって言い訳をして。 噓をついて。 頑張って笑顔を作る。 ほんとに、ずるくて、嫌な子だ。 (第13巻より) しかし、そういう「感情」の発露こそが彼女の正しさの象徴に他ならず、たった一人で運命に抗おうとした女の子の強さだ。 八幡が「はやさしい女の子だ... そう勝手に決めつけていた。 は強い女の子だ.... そうやって理想を押し付けていた。 (アニメ第2期13話より)」と語っていたが、まさしくその通りだと言って良い。 能動的に何かを待ち続けることの難しさは誰もが理解しているところで、その実現が難しい願いであるのならなおさら切なさが募る。 待っててもどうしようもない人は待たない。 こっちから行くの。 ……なんか、待ってみたかったから (第14巻より) けれど、彼女はただ受け身で構えていたわけでもなく、自ら関わりを持ったうえで八幡たちの答えを待つ選択をした。 奉仕部に入部をしたことも、八幡のやり方を見守り傍で支え続けてきたことも。 確かに彼女が選び、積み上げてきた「今」という時間の結果である。 にとってがかけがえのない大切な存在になったのはこうした「今」の積み重ねがあったからであって、たとえ恋に敗れようともその日々がなくなることは決してない。 の強さ もどかしい「まちがいラ」の中で、誰よりも真っ当に恋の熱を帯びていたの強さ。 彼女がいたからこそこの作品を好きになれた自分がいる。 その点を深く留意したうえで結末を前向きに受け入れていきたいと思う。 がもたらす問題提起 さて。 奉仕部3人の関係を更に深く考えるにあたり、の存在がキーだった点にも触れていく。 の姉であり、雪ノ下家の長女でもある。 彼女がどういう存在で、どんな役割を担っていたのか。 ひとつは、奉仕部の現状について問題提起を行う人物であったという側面が挙げられる。 「自意識の化物」「」「代償行為」などのワードを始め、陽乃の視点は常に "客観"で語られている。 陽乃の示唆はいつも客観 例えば第13巻の骨子は、3人がそれぞれに「」というワードからの脱却を画策する様子に比重があった。 2人のやり方に 素直な 感情はなく、 「からの脱却」という記号を攻略しようとしていたに過ぎないことがわかる展開であった。 しかし、対するは自らの感情に基づき 「少なくとも自分はなんかじゃない」と陽乃の言葉を正面から否定する。 自分の中から湧き出る感情を「」なんて容易い言葉で第にタグ付けされるなんてあってはならないから。 その感情は一言で片付けて良いものでは決してないからである。 もうひとつ気になるのは、陽乃自身が奉仕部の現状を写す鏡であったと思われる点。 言わずもがな、作中においては 停滞や後退のメタファー(=歩みを止めてしまった者)として描かれてきた。 「 あ、勘違いしないでね。 家のことなんて正直どうでもいいのよ? わたしは別に家継ぎたいわけじゃないし」 「こんな結末が、わたしの二十年と同じ価値だなんて、認められないでしょ。 もし、本気で譲れっていうならそれに見合うものを見せてほしいのよね」(第14巻より) ちゃんと決着つけないと、ずっと燻るよ。 いつまでたっても終わらない。 わたしが二十年そうやって騙し騙しやってきたからよくわかる……。 そんな偽物みたいな人生を生きてきたの (第14巻より) 上述の台詞通り、母の言い付けで家を継ぐこと自体は彼女にとっておそらくどうでもいいことなのだとは思う。 しかし、宿命を受け入れる期間として過ごしてきた自分の20年がつまらない妹の茶番劇(=本物から目をそらす奉仕部)で塗り替えられるなんてのはやはり納得がいくものではない。 対価として八幡たちに「本物」を求めたのは、やはり歩みを止めてしまった者として 陽乃自身もまた「本物」を希求していたからだろう。 そう解釈をすると、単なる舞台装置ではない "生きたの想い"を感じ取ることができるのかもしれない。 颯爽と、は前を歩く 一方、そんな陽乃と対照的だったのが世界の平塚ことである。 平塚先生 誰かを大切に思うということは、その人を傷つける覚悟をすることだよ 君でなくても本当はいいんだ。 この先いつか、雪ノ下自身が変わるかもしれない。 いつか彼女のことを理解できる人が現れるかもしれない。 彼女のもとへ踏み込んでいく人がいるかもしれない。 それは、にも言えることだ。 君たちにとっては、今この時間がすべてのように感じるだろう。 だが、けしてそんなことはない。 どこかで帳尻は合わせられる。 世界はそういうふうに出来ている。 ……ただ、私はそれが君だったらいいと思う。 君とが雪ノ下に踏み込んでくれることを願っている。 この時間がすべてじゃない。 ……でも、今しかできないこと、ここにしかないものもある。 今だよ、比企谷。 ……今なんだ (アニメ2期8話より) 控えめに言って至言だらけの先生であるが、はただ大人として彼らに助言を与えるだけではなく、八幡たちの目線を汲み取ったうえでクリティカルな示唆を提示してくれる存在であった。 を指して「歩みを止めてしまった者」と評したのも彼女であり、 「今を肯定する者」として彼女が陽乃と対を為していたこともおそらく偶然ではない。 平塚先生の語った、 なんて、簡単な言葉で括るなよ…… その気持ちをわかりやすい記号で済ませるなよ (第14巻より) という言葉が奉仕部のこれまでと「今」を肯定し、 「なんて言葉で簡単に片付けて良い人間関係は存在しない」という示唆を八幡にもたらす。 奉仕部が積み重ねてきた今 「今」という瞬間は更新を繰り返して止まず、彼らは彼らだけの「今」を前向きに生きていく。 ならば、第が決めた客観的記号に果たしてどれだけの価値があるだろうか。 陽乃は後継ぎとして家に囚われ続けてきたが、雪乃が家を継ぐことによって晴れて自由の身になることができる。 きっとここからの、偽物ではない本当の人生が始まるのだ。 もう「歩みを止めてしまった者」ではいられないし、家に依存することもできない。 代償行為ではない「」を自分自身で見つけ、自分の足で歩き出さなくてはならない。 もし可能であるのなら、是非とも彼女の行く末を書いていただけたら幸いである。 (刊行予定の短編集に期待しております。 ) 「青春」はいつまでも「本物」を探し続ける さて。 ここまで様々な見解をつらつらと書き続けてきた結果、新しく気になった点が一つある。 そもそも 雪乃はなぜ奉仕部を作ったのか。 彼女が最初に「変えるのよ、人ごと、この世界を」と語っていたことから「持っているもの」が損をする世界を変えるためと捉えても良いのだろうが、それではあまりにも対象が広く一介の高校生には荷が重い。 とすると、奉仕部の活動方針が 魚の獲り方が分からない人に魚の獲り方を教えて「自立」をうながす というものであったことて、やはり 雪乃自身の「自立」が目的の一つであったと見た方が妥当だろうか。 他者に手を差し伸べながらも本当に救われたかったのは雪乃で、結果を見るに八幡とによって彼女は救われたことになる。 実際に雪乃は彼女の意志で父親の仕事を手伝うと決めているし、八幡との恋も自分の気持ちに従って意思決定を行った。 平塚先生「どんな言葉でもどんな行動でもいいんだ。 その一つ一つをドットみたいに集めて、君なりの答えを紡げばいい。 キャンバスの全部を埋めて、残った空白が言葉の形をとるかもしれない」 八幡「お前は望んでないかもしれないけど……、俺は関わり続けたいと、思ってる。 義務じゃなくて、意志の問題だ。 ……だから、お前の人生歪める権利を俺にくれ」 雪乃「あなたの人生を、私にください」 「あなたが好きよ。 比企谷くん」 八幡が自分なりの答えを紡ぎ、雪乃が残った空白の2文字(=好き)を言葉にする。 その「言葉」がうわべで曖昧なものに映らないのは、お互いを大切に想い合う前提を積み重ねてきた彼らだからこそなのだと思う。 雪乃の「自立」と八幡の欲した「本物」。 他者から与えられてパートナーを得たわけでもなければ、に向けて歩き出した雪乃に依存の影を見るのもやはり無粋でしかない。 今の八幡と雪乃ならばきっと、面倒な遠回りを繰り返しながらも同じ歩幅で「本物」を求め続けていけるはずだ。 「青春」はいつまでも「本物」を探し続けていくのだから。 たどり着いた青春ラの答え そして願わくば、作品最大の功労者として2人を見守り待ち続けてきたにも幸せな未来が訪れて欲しいなと。 そんなことを想いつつ、この場を借りて、最高の物語を生み出してくださった作者の渡先生に感謝を申し上げます。 本当にありがとうございました。 huwahuwa014.
次のざっと読んだ感想 冒頭はこれまでの 奉仕部の活動を振り返る回想シーン。 1巻から11巻までさまざまなことがあった。 3人の関係性を曖昧にしてきたが避け続けてはいけない。 逃げるというか避け続ければいつかこの関係性は解消できる。 そう信じていた。 この気持ちなんかかなり共感できます。 風邪などは病院に行かなくても治る。 病院が嫌いだから病院に行くのをずっと避け続けているみたいなものと思った。 3人の関係性もいつかは気にしなくなる日が来る時まで避け続けていたかった。 しかし彼らはホンモノを求めた。 雪乃が父の仕事を引き継ぎたい、そして 八幡に依存せず自分の力でやり遂げる。 そう語った。 そして一色からの依頼であるプロムを私一人でこなして見せる。 それが雪乃の成長につながる。 八幡は奉仕部としての仕事がなくなった。 八幡にとってみれば雪乃を手伝う言い訳がなくなる。 奉仕部にいかない日々は、もし八幡が奉仕部に入らなかったらこうだったなーという話だった。 もちろん奉仕部に入り依頼をこなしてきたからこそ今の関係性もある。 ただ奉仕部が無かったらこんな風に日常を過ごしていたんだろうなと。 学校行ってぼーっと授業受けて家帰ってからはゲーム、読書して毎日をただただ過ごす。 まるで僕みたいな日々ですね。 そして由比ヶ浜と一緒に帰ったり、遊びにいったりと由比ヶ浜ルート確定に思える流れだった。 由比ヶ浜派の僕からすれば がんばれー!と、ずっと応援していた。 が、後半は激流だった。 雪乃ママ登場、プロムの危機と悪い空気になったうえで最後の由比ヶ浜の涙。 由比ヶ浜に幸せになってほしい僕からすれば辛かった。 2つ目のinterludeで由比ヶ浜が八幡と雪乃のツーショット写真を見つけたときも胸が苦しかった。 が、最後のinterludeはほんとずるい。 涙をこらえる由比ヶ浜の姿。 想像するだけで胸が締め付けられそう。 12巻は比企谷の女の子を誰でも助けたい、頼られたいというお兄ちゃん気質とそして雪ノ下雪乃のひきがや離れ。 小町が入学試験に合格して兄離れしていくのも上手く演出するシーンだった。 そして由比ヶ浜の心情。 これらについてもう少し感想を書いていく。 八幡のお兄ちゃん気質 11巻でも一色がバレインタデーイベントを奉仕部の頼りなしでこなしていた。 そのときも八幡は 一抹の寂しさを覚えていた。 1巻のときは孤高の俺かっこいい! 自己犠牲で周りを助ける、青春は嘘である。 などと臭いセリフ吐いていた。 そんな八幡がかっこいいと僕は思って読んでいた。 今の八幡の生活と照らし合わせてみると今の生活はリア充と呼べるもの。 しかも互いに想いを曖昧に誤魔化し続けている八幡が大嫌いとする欺瞞の関係。 これがホンモノと呼べるだろうか? なにより誰かに頼られることに自己満足してしまっている。 しかも頼られないと寂しさを覚えてしまう。 さらには妹がいるからなどと言い訳しだす。 様々な女の子たちの世話を焼きたい八幡がいた。 雪ノ下雪乃の自立 11巻での 雪ノ下雪乃の依頼は自立。 八幡への依存からの脱却だった。 雪ノ下雪乃の八幡への別の感情 雪乃は最後まで見届けて欲しかった。 ただ、由比ヶ浜と陽乃はそれではない、別の何かを期待していた。 「ゆきのんの答えは、それ、なのかな……」49P 「……ああ。 そっちか。 わたしが聞きたい話じゃなさそうだね」69P 由比ヶ浜は 八幡への恋愛感情、陽乃もそれに似たなにかのこと。 陽乃は言った後に由比ヶ浜の方を見るしぐさをしていたのでおそらく 3人の関係性について聞きたかった。 じゃあ、雪ノ下雪乃の八幡への恋愛感情はどうなったのか? 色々予想できる。 八幡への依存を脱却し、対等になったうえで告白する• 八幡への想いを隠しつづけようとする• 由比ヶ浜の気持ちを察して諦めた この3つのうちどれかだと思う。 八幡への想いを隠し続けるのはこれまでと同様に欺瞞の関係を続けていく。 八幡のホンモノが欲しいという依頼があるので隠したままではホンモノは見つからない。 2の隠すというのは今後の展開として有り得ないのでは。 やはり1の 依存から脱却した上で八幡と対等な立場になったうえで告白するというのが可能性としてありそう。 というか僕自身そうなってほしい。 由比ヶ浜に譲るのは父の仕事を引き継ぎたい、最後の依頼と同じ羽目になりそう。 父の仕事を引き継ぎたいのにもずっと言えず抱え込んでいた。 結局は二の舞になる。 こんなのでいいのか?と言いたい。 とすれば雪ノ下雪乃は自立しそして八幡に想いを伝える、意志があるように思える。 由比ヶ浜結衣の本音 アニメでは雪乃を応援していたが、原作を読み返して由比ヶ浜を応援している僕。 そして12巻で由比ヶ浜派の僕は死にかけた。 本物なんてほしくない 2つ目のinterludeの時点から涙が。。 だから、ほんとは。 ゆきのんが大事に隠していた八幡とのディズニーでのツーショット。 それを見つけた時点で 由比ヶ浜は「あ、やっぱりゆきのんヒッキーのこと好きなんだ」と確信した。 雪乃から 八幡への恋愛感情はあるとみていいでしょう。 八幡への依存と、好きという感情を両方持っています。 最初の3人で話し合っているとき雪乃は 「けれど、私は……、私が自分でうまくできることを、証明したい。 そうすればちゃんと始められると思うから」50P 『始められる』 何を始めるのかとはっきり言っていませんが、この流れであれば3人の関係、もっと言えば八幡への恋愛感情なのでしょう。 八幡と由比ヶ浜に頼ってしまうダメな私だけど、プロムを自力でやり遂げそして母にやりたいことを自分の口で伝える。 八幡と対等な立場になったうえでまた新しく始めたい。 そもそもこの奉仕部が何のためにあるのか?どうして雪ノ下雪乃が最初からいたのか? 他人の自立する手助けをすることで自分自身 雪ノ下雪乃 も自立する・成長するための部活動なのではと。 由比ヶ浜について書こうとしていたら雪乃に話がそれてしまった。。 話をinterludeに戻す。 由比ヶ浜は八幡と雪乃がお似合い、ホンモノを持っていると思っている。 自分 由比ヶ浜 には越えられない壁が二人との間にある。 だからホンモノなんて欲しくなかった。 嫉妬に近いかもしれません。 雪乃には自分には持っていない何かを持っている。 そして八幡もおなじものを持っている。 ほんとにまじで由比ヶ浜には幸せになってほしい・・・ 由比ヶ浜ルートか? とは言っても12巻は八幡と一緒にいる時間が長かった。 奉仕部として手伝うことがない二人は一緒に帰るように。 「お前は?」 問うと、由比ヶ浜もちょっと考えるような間をとって口元のマフラーをもふもふといじる。 「んー……。 あたしも帰る……」 「そうか」 「うん」214P 付き合いたてのカップルみたいなぎこちない会話。 由比ヶ浜は八幡が誘ってくることを待って、八幡はびびって誘わなかった。 というか誘うという選択肢すら出てなかったように思えます。 そしてプロムの動画撮影のときには 「ああ。 ……それと、ここ、暗いからな」 言って、少し左肘を上げた。 中略 そして無言のままにそっと俺の左肘に手を添えた。 288P 暗いからという言い訳をはりつけて距離を縮めた。 そしてこの撮影が終わった後の日は 「……どっか寄っていくか?」 「え?」 「あ、いや……。 小町の合格祝いか、誕生日祝いか、……なんか用意しようと思っててな」302P と由比ヶ浜を小町という言い訳を使って誘った。 憎からずと本当に、心が揺れる 変な距離の縮め方だが、どう考えても由比ヶ浜に好意があるように思える。 ちょっとずつ一緒にいるようになってきてそして、、、 何より手間暇をかけてくれた事実に胸を打たれる。 それを憎からず思っている相手であれば、なおのこと。 本当に、心が揺れる。 315P 小町に手作りのプレゼントを送ろうとしたときの比企谷の独白です。 12巻でかなりキーとなる文章だと思っています。 注目すべき2文目と3文目。 『 憎からず』と『 心が揺れる』 憎からずを辞書で引いてみると• 愛情を感じてはいるが、それを直接表さず、いやではないと間接的に表す語。 かわいい。 好感がもてる。 感じがよい。 あのひねくれたツンデレの八幡なので2みたいな単純な意味ではない。 1の愛情を感じてはいるが、それを直接表さず、いやではないと間接的に表す意味で言ったと考えるのが妥当です。 まさに八幡にぴったりな言葉です。 八幡は由比ヶ浜に対して恋愛感情を抱いていますね。 そして本当に、心が揺れる。 由比ヶ浜に想いを寄せる• 好意を素直に受け取ろうか悩んだ 恋に落ちたというよりは 由比ヶ浜の好意を素直に受け取ろうかと悩んだ。 これまでの考えが揺らぎ始めた。 といった方が適切。 これまでの考えとは、好意を好意として受け取らない・気持ち悪い意味、理由をつけてしまう癖。 これは優しく接してきた中学の折本に告白したら粉砕した、というトラウマが原因です。 それ以来、他人からの好意を素直に受け取らないようになった。 自意識の化け物と呼ばれる所以です。 ただそんな自意識の化け物、八幡は徐々に変わりつつあります。 ラストのシーン…… 一緒にいる時間が多くなり お?由比ヶ浜とくっつくのか?と思っていたら保護者側から中止を求める声があがり、そしてプロムが中止になる。 そしてラストの八幡の行動。 「……いつか、助けるって約束したから」353P 助ける、それが八幡のホンモノの気持ちだった。 共依存は仕組みだ。 気持ちじゃない。 でも気持ち 感情 ではない。 心理と感情についてはかなり昔の頃に平塚先生にヒントをもらっていた。 「全部の答えを出して消去法で一つずつつぶせ。 残ったものが君の答えだ。 」 「……計算できずに残った答え、それが人の気持ちというものだよ」9巻228p 探すのに結構苦労しました笑 共依存を理解したうえで考え、絞り出して最後に残ったのが助けたい気持ち。 それがホンモノの気持ちだった。 12巻では感情豊かになった八幡。 小町が兄離れしたときも涙し、そしてラストの選択。 ほんと 感情豊かになった。 じゃあ助けたいのは雪乃が好きだからか?友達としても異性としても言えます。 この段階では何とも言えないです。 八幡にとっての恋が何を意味しているのかよく分からないので、八幡が好きというまで断定できません。 まあ、はっきり好きと断定できるよりあいまいにされる方が読んでいるほうからすれば考察のしがいがあり楽しいです。 そして、由比ヶ浜の視点に変わります。 雪ノ下雪乃を助ける選択をとった八幡を間近で見ています。 「なんかひとつでもわかるとほんと安心する。 」355P 八幡が雪乃のことを好きだったと分かった。 安心すると言っておきながら、心の中は大雨。 そして八幡に泣き顔をみせないように我慢する由比ヶ浜。 やばい... そしてinterlude 2ページもわたり色々書きたいことはあるが一番は 1文目と最後の文の矛盾。 涙が止まってくれてよかった。 中略 涙が止まらなければよかった。 358P,359P 強い由比ヶ浜と本音の由比ヶ浜両方の気持ちが出ています。 1文目は涙が止まって良かった。 我慢しているが、独白が進むにつれて本当の気持ちが徐々にあふれ出します。 そして最後の涙が止まらなければよかった。 矛盾する書き方、終わりになっています。 こんなん読んで僕の涙はとまるわけありません。 そしてあとがきがない。 これが12巻最後の締めの文。 この思いをどこにぶつければいいのか? ここまで考えたうえで渡航先生はあとがきを入れなかったかのでは。 やはり、さすがです。 締め切りがギリギリだったからあとがきがなかったと最初は思っていましたが読者が余韻に浸れるようにわざとあとがきを無くしたと思う次第です。
次の主人公の 比企谷八幡(ひきがやはちまん)は、千葉市立総武高校の2年生。 「ぼっちを貫いた1年生を振り返った、リア充への恨み満載の作文」を提出した罰として、国語教師の平塚静が顧問を務める奉仕部入部を命じられます。 奉仕部は、総武高校の正式な部活動。 依頼者の自己変革を促しながら、悩みを解決することを目的としています。 部員は、部長の 雪ノ下雪乃(ゆきのしたゆきの)ひとり。 2年生になっても存在感が希薄なひねくれ者の八幡と違い、彼女は学校一の秀才で、大人びた美少女でした。 2人しかいない奉仕部。 しかし価値観が相い入れず、互いに貶しあい、意見を譲りません。 いがみ合う二人に、平塚先生は「どちらが正しいか、奉仕部への依頼の解決で証明しろ」と。 波乱の予感で部活動がスタートします。 2巻はなかば強引に奉仕部に入部してきた 由比ヶ浜に注目です。 人と群れることを厭う雪乃にも懐き、八幡のことをヒッキーと呼び、「キモい」などと言いつつ八幡への愛着さえ覗かせています。 実は入学式の日、八幡は交通事故に巻き込まれたのです。 それに関わっていたのが由比ヶ浜。 八幡がぼっち生活を送ることになったのは、その事故のせいで高校生活のスタートからつまずいたため。 彼女はそれを気にしていたのです。 しかし、そんなことで優しくする必要はないという八幡。 人の優しさを素直に受け止められないのはぼっちの性でしょうか。 八幡と雪乃、そこに由比ヶ浜を加えた関係は、果たしてどんな風に発展していくのか、期待が高まります。 「俺ガイル」3巻の見所をネタバレ紹介!:最強の姉・陽乃登場! 高校の入学式の日、八幡をはねた車に雪乃が乗っていたことがはっきりするところは見逃せません。 ただ、自分のスタイルを崩せない八幡は、事故についても、雪乃が抱えている問題も、踏み込んで知ろうとはしません。 八幡は、雪乃が事故のことを黙っていたことから、雪乃の理想像を勝手に作り上げていたことに気づきます。 そしてそこに生まれる「ぼっち」らしからぬ感情。 そして、事故がなくても奉仕部のふたりに出会っていたと思いたいと思う結衣。 彼女が気持ちを吐露する場面も……。 3人それぞれの「距離感」が変わっていく様子は、本作の重要な要素となっていきます。 「俺ガイル」6巻の見所をネタバレ紹介!:そこまで自分を傷つけていいのか八幡? 注目したいのは、単なるイケメンではない、葉山の人間像です。 人を傷つけたくないから、人の期待に応え続ける。 そんな彼は、人を傷つけたくないという八幡の姿勢を以前から意識し、高く評価していました。 葉山を通して、八幡の個性がより露わになるといえるエピソードです。 また、雪乃の変化も見逃せません。 誤解されても、「近しい人が理解してくれるならいい」と、考え方も優しく柔らかくなっていきます。 前巻での心のぶつけ合いが奏功したようですが……果たして。 八幡と由比ヶ浜、八幡と雪乃をふたりきりにするというよくできた妹・小町のはからいが見られます。 本作の影の仕掛人かもしれません。 「俺ガイル」11巻の見所をネタバレ紹介!:八幡の目指した本物を陽乃が挑発? 見所は、八幡が見せる「男の意地」。 雪乃が助けを必要としていなくて、それでも自分が助けたいのなら、それは共依存じゃないと、プラム実現に向けて勝手に手伝うことを宣言します。 陽乃の存在もそうでしたが、立ちはだかる大人の壁が若者の成長には必要なのかもしれません。 雪乃の母親は手強いです。 しかし八幡は一歩も引きません。 また、雪乃と結衣の関係からも目が離せません。 「ゆきのんのお願いは叶わない」という結衣に、「わたしはあなたの願いが叶えばいいと思ってる」と優しく応える雪ノ下。 そして、ついに雪乃は八幡への気持ちを伝えます。 クライマックスに向け、待っているのは切ない最後なのでしょうか? 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』1~13巻を一気にご紹介しました。 14巻で完結といわれる本作。 八幡、雪乃、結衣はもちろん、愛すべき登場人物たちはどのようなラストを飾るのでしょうか?.
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