腎臓の病気|腎盂腎炎(腎盂炎) 腎臓の病気の1つで、細菌による感染症です。 感染によって「腎盂」、もしくは「腎実質」に炎症が起きて、様々な症状が現れます。 では、「腎盂腎炎」と「腎盂炎」という病名、どう違うのでしょうか? 厳密に言えば、細菌感染が「腎盂」で起きていれば腎盂炎、感染がさらに「腎実質」にまで及ぶと腎盂腎炎と云います。 実際、細菌が入ってくると、感染は腎盂だけにとどまらず、腎実質まで広がる為、腎盂炎と腎盂腎炎はあまり区別されてません。 一般的には腎盂炎と云われ正式名を腎盂腎炎としている様です。 この病気は膀胱炎同様、女性がかかる事が多いです。 それは、膀胱炎と同様に身体の構造にあり、男性に比べ尿道が短い事と、尿道口が膣や肛門に近い事が、細菌が侵入しやすい理由となります。 なお、腎盂腎炎を発病した女性の約3割が、膀胱炎を併発しています。 ですが、高年齢になると、男性にも増えてきます。 それは、高年齢になると「前立腺肥大」にかかる人が増える為です。 前立腺が肥大すると尿道を圧迫し、尿の流れが悪くなる為、腎盂腎炎になりやすくなると云われています。 そら豆を縦にしたような形で、お互いにへこんでいる方を背骨側に向けています。 なお、皮質と髄質と合わせて「腎実質」と云います。 腎臓に運ばれてきた時点の血液には、それまでに体内で作られてきた栄養素の残りカスや老廃物が含まれています。 それをそのまま体内に留めておくと、身体には有害なので、血液から取り除かなければなりません。 その為に、腎臓は血液をろ過して、身体に有害なものを血液から取り除き、その分を尿として作り換えます。 血液をろ過するのは、「糸球体」と云われるものによって行われます。 糸球体にはきめ細かいフィルターがあり、そのフィルターで血液をふるいにかけます。 ろ過された血液は、「腎静脈」を通って心臓に戻ります。 ですが、尿細管へ流れていったものが全て尿になる訳ではありません。 なお、尿細管と集合管で再吸収した成分や水分は血液に戻し、腎静脈を通って心臓に戻ります。 <症状> 腎盂腎炎には、「急性腎盂腎炎」と「慢性腎盂腎炎」と2種類あり、それぞれ症状は異なります。 その症状も、風邪に似てい たり、ほとんど感じられないという所から、腎盂腎炎と気づかず、放置して悪化してしまうケースもあります。 腎臓は左右に1つづつありますが、炎症を起こした方に痛みが現れます。 両方に炎症が起こる事はあまりなく、通常、左か右かのどちらか片方です。 炎症を起こしている方の背中を"トントン"と叩くと、激しい痛みを感じます。 排尿痛や残尿感といった膀胱炎の様な症状も現れます。 また、尿に白血球が混じるので、白く濁ります。 ですが、自覚症状がないという事もあり、その場合、判断するのは難しいと云われています。 <原因> この病気は細菌による感染症ですが、原因は細菌の侵入経路によって3タイプに分かれます。 一番多いのは「上行性感染」です。 細菌は「大腸菌」が大半を占めますが、2種類以上の細菌で感染している場合もあります。 その誘因としては、尿路の構造上の異常、前立腺肥大、尿路結石、膀胱炎、痛風、妊娠などが挙げられます。 通常、膀胱と尿管のつなぎ目は「弁」の機能を持っており、尿が尿管に流しないようになっています。 ですが、元々、このつなぎ目に異常があったり、膀胱や尿管の異常があってその影響でこのつなぎ目が弱くなったりする事があります。 その為に、弁の機能が働かなくなって(弱まって)、尿が逆流していくのです。 なお、1歳以下の子供が腎盂腎炎になった場合、半数以上がこの膀胱尿管逆流症であると云われています。 <血行性感染> 別の臓器にあった感染源となる細菌が、血液によって運ばれ、腎臓にて感染したものを云います。 <リンパ性感染> リンパ管を通って、細菌が運ばれ、腎臓にて感染したものを云います。 尿道から膀胱、尿管、腎盂の周りにあるリンパ節(腺)より感染します。 風邪などで体の抵抗力が低下している時には、この感染にてかかる事が多いようです。 <治療法> 治療方法は、急性と慢性とで異なってきますが、基本的にはどちらとも抗生物質の投与となります。 <急性腎盂腎炎> 原因となっている細菌を特定し、その細菌に有効な抗生物質を用いて治療を行います。 症状を抑える為に、消炎鎮痛剤を用いる事もあります。 通常、4〜7日ほどで症状は治まってはきますが、治療は1〜2週間程かかります。 また治療が終了した後にも、更に1〜2週間あけて、再発していないか確認する為に検査を行います。 なお、治療で一番気を付けないといけない事は、お薬の服用です。 症状が治まったからといって、勝手に止めてはいけません。 症状が治まったとしても、細菌はまだいるのです。 中途半端な飲み方をすると、細菌が繁殖して、ぶり返したり、また急性は慢性化したりします。 処方されたお薬は、必ず飲みきりましょう。 <慢性腎盂腎炎> 急性腎盂腎炎と同様に、抗生物質にて治療を行います。 ですが、再発を繰り返している場合、尿検査で反応がない事もある為、症状が治まったとしても、一ヶ月以上続けなければなりません。 そして、持ってる基礎疾患が原因で慢性腎盂腎炎となっている場合には、基礎疾患の治療も必行わなければなりません。 また、これらは再発予防策ともなります。 ・安静腎臓への血流量は、体を横にしている状態(寝ている姿勢)で一番多くなります。 血流量を増やす事によって、腎臓機能の回復を早める事が出来ます。 ・保温体を冷えると、腎臓への血流量は減ってしまいます。 季節が寒い時の防寒はもちろん、暑い時には冷房にて冷え過ぎない様にします。 ・水分補給排尿には器官に付いてる細菌を洗い流すという役割を持っています。 ですので、尿の量が少ないと十分に洗い流せず、細菌は繁殖しやすくなります。 また量があっても、尿意があるのに我慢してしまうと、その分、尿の中の細菌が繁殖してしまいます。 ですので、たくさん水分を取って、我慢せずにトイレに行き、たくさんの尿で細菌を体から出す様にします。 <予防> 膀胱炎の予防ポイント「菌を入れない・増やさない、抵抗力を落とさない」が、そのまま腎盂腎炎の予防となります。 ・排便後のふき取りは、前から後ろに拭く。 ・セックス前は、シャワーを浴びて清潔にし(自身だけでなく相手もです)、セックス後は、排尿する事。 但し、トイレに行くのを我慢してしまうと、細菌が繁殖してしまうので、なるだけ我慢せずに行く事。 尿意がなくても、3〜4時間毎にトイレに行くようにする。 もし、冷え性であれば、下半身を冷やさない様にしましょう。 冷え性だと膀胱炎になるリスクが高いと云われています。
次の慢性腎盂腎炎では症状が出ない事もあり、自覚症状がないまま腎不全となってしまう事もあります。 原因としては、尿路結石、前立腺肥大症、神経因性膀胱、膀胱尿管逆流症、尿路悪性腫瘍(尿路がん)、尿路奇形などが考えられます。 慢性腎盂腎炎の症状 一般的な慢性腎孟腎炎の症状は急性腎孟腎炎と比較し軽微で,緩徐に経過する。 腰痛や微熱のみを訴える症例や,細菌尿と膿尿を認めるものの自覚症状のない症例も多い。 引用:小児慢性特定疾病情報センター 急性増悪期(活動性)の場合には急性腎盂腎炎同様に発熱、血尿、腰痛、全身倦怠感、食欲不振等の症状が出現する事もありますが、通常症状は軽微であり自覚されにくいとされています。 ただし経過とともに腎機能障害が進行し、高血圧、貧血、蛋白尿等を生じる事があります。 慢性腎盂腎炎の原因 原因としては,閉塞性尿路疾患やストルバイト結石などもあるが,最も頻度が高いのは膀胱尿管逆流症(VUR)である。 引用:MSDマニュアル プロフェッショナル版 慢性腎盂腎炎の検査法 まずは尿検査を行い、尿中の白血球や細菌を確認します。 白血球が一定数以上ある場合、尿路感染症である可能性が高くなり、さらに発熱や腰背部痛など腎盂腎炎に特徴的な症状がある場合、急性腎盂腎炎と診断されます。 一方、発熱や腰背部痛などがなくても、過去に膀胱炎や急性腎盂腎炎などにかかったことがあれば慢性腎盂腎炎が疑われます。 また、尿検査と並行して病原菌の種類を特定するために尿の細菌培養検査も行います。 引用:日本医師会 原因となる疾患の有無や、腎機能障害の有無を必要に応じて調べます。 【尿検査】蛋白尿、糖尿、白血球、細菌、尿沈渣異常(円柱等)の有無 【超音波検査】尿路の異常の有無を調べる 【血液検査】腎機能障害の有無等 【尿路造影検査】膀胱尿管逆流症、前立腺肥大、尿路腫瘍、尿路の形態異常の有無 【CT】尿路結石、尿路腫瘍の有無 慢性腎盂腎炎の治療方法 治療の基本は抗生物質の使用です。 主として経口抗生物質で治療し、速やかに改善するのですが、時によっては入院して抗生物質の点滴を受けなければならない場合もあります。 また中途半端な治療では再発することもありますし、近年抗生物質が効き辛い耐性菌が出現していますので、きちんとした治療が必要です。 引用:日本医師会.
次の腎盂腎炎とは? 腎盂腎炎とは細菌感染によって腎盂や尿が作られてたまる腎杯といった部位に炎症が発生してしまったものであり、一部の方からは腎盂腎炎ではなく腎盂炎とも呼ばれております。 腎臓でつくられた尿が排泄されるまでの通り道は尿路と言われておりますが、尿路は腎臓から始まって、尿を集めて尿管にそそぐ腎盂や膀胱を経て尿道で終わるようになっており、 尿道に細菌が入ってしまうことで尿路や膀胱、そして腎臓や腎盂で炎症が発生するようになるのです。 このように尿路が原因で発生する腎盂腎炎のような病気を尿路感染症と呼び、ひとくくりにすることがあります。 尿路感染症は最も頻繁に発生する感染症と言われておりますが、その最たるものは女性なら発症を気にしている人も多い膀胱炎なのです。 尿路感染症には細菌感染した部位によって下部と上部に分けて考えられておりますが、尿道や膀胱に発生する感染症、例えば膀胱炎は下部尿路感染症に、腎盂や腎臓に発生する感染症は上部尿路感染症となります。 腎盂腎炎はこの上部に該当するのです。 このように 尿路で腎臓や膀胱は繋がっているので膀胱炎と腎盂腎炎は併発することもあるのです。 ただし、膀胱炎よりも腎盂腎炎のほうが症状が強く出る傾向にあります。 血尿や頻尿は膀胱炎の症状ではありますが、尿路感染症は腎盂も含めて感染することが多いので、腎盂腎炎と膀胱炎は同時に発症することが多く、同時に症状が発生することがあるのです。 乳幼児が発症した場合はこのような症状は出てこないで、ひきつけや不機嫌、そして食欲不振といった解り難い症状が主体になることが多いようです。 逆に高齢者だと熱が出ないで全身症状が出ないこともあるので気が付かないこともあるようです。 腎盂腎炎の原因は? 腎盂腎炎の原因は腎臓や尿路にいないはずの細菌が侵入したことにあります。 侵入経路は細菌が尿道をさかのぼるように侵入する上行性感染、身体の他の感染部位にいた細菌が血液によって腎臓に運ばれる血行性感染、リンパ液によって細菌が腎臓に運ばれるリンパ行性感染の3つがありますが、 腎盂腎炎は尿道をさかのぼる上行性感染がほとんどのケースで発症する原因のようです。 尿の通り道は細菌がいるイメージを持っている方もいますが、排尿で洗い流されているので基本的には膀胱・尿管・腎盂といった部分には細菌は一切いません。 無菌状態なのです。 また、細菌が侵入したとしても、免疫力が働くことで細菌を排除することができるのですが、 免疫力が低下することで発症するようになるので、疲労した体や病気になってしまった体は危険と言えるでしょう。 ストレスや性行為が腎盂腎炎の原因に? 先に記載しましたように腎盂腎炎の大元の原因は細菌の侵入です。 この 細菌が入ってしまうケースの一つに性行為がありますので、注意して下さい。 ここでストレスがどのように関わっているのかを解説します。 この尿道に侵入した細菌は免疫力がしっかりと働いているのであれば、退治されるものではあるのですが、 ストレスや疲労によって免疫力が低下しているとこの細菌を倒しきれなくなるので、腎盂腎炎になってしまうのです。 つまり、ストレスによって免疫力が低下しているような人は発症しやすい状況になっていると言えるでしょう。 Sponsored Link 腎盂腎炎の検査・診断法は? 腎盂腎炎を発症してしまった場合は泌尿器科や腎臓内科に行くのが良いのですが、内科でも対応は可能でしょう。 検査内容は最初は問診から入りますが、基本は尿検査となります。 腎盂腎炎は無菌状態が基本な尿路に細菌がいることが問題なので、尿検査で細菌がいることが分かればすぐに判明します。 他には、血液検査・超音波検査などの方法がありますが、一般的な方法は問診からの尿検査だと思われると良いでしょう。 また、尿検査は基本ではありますが、尿道や尿道口付近を完全な無菌状態にするのは困難なので、尿を培養して細菌を定量化して観測する必要性が出てきます。 そうすることで膀胱内で細菌が増殖しているのか、採尿時にくっついてきた細菌なのかを調べることとなります。 感染症を調べるには血液中の白血球数とかCRPという体内で炎症が発生することで増加するものの数を調べることで解ってくるので、尿検査に合わせて血液検査を行うこともあります。 腎盂腎炎の治療法は? 治療法は抗生剤を用いての治療が基本ですが、症状や原因次第でその方法も異なってくるでしょう。 症状が軽い人の場合は処方された薬の抗生剤を内服して細菌を排出しやすいように水分をしっかりと補給して自宅である程度療養していれば症状も改善します。 ただし、症状が重く重症化している人は吐き気もかなり強く普通に食事をすることができないとか、薬を飲むことすらできないということもあるので、そのような人たちは 入院をして抗生剤の投与と水分補給を点滴で行うことになるでしょう。 腎盂腎炎における食事は? 腎盂腎炎になってしまった人の食事は症状の重さによって制限が加わるようになるでしょう。 特別な食事制限がない人のほうが多いようですが、水分補給は重要となってきます。 ただし、腎臓に炎症が発生しているということは腎臓に無理をさせることはできないので、 塩分過多やタンパク質の過剰摂取は避けたほうが良いでしょう。 おそらく、制限とまではいかないでしょうが、できる限り塩分薄めの低蛋白質食を心がけるように指摘されるはずです。 ただし、 腎盂腎炎が起こしやすくなる原因があるのならそれに対応した治療も必要となるので入院期間もまた変わってきます。 この3~5日はあくまで目安と考えたほうが良いでしょう。 腎盂腎炎はなぜ再発する?予防法は? 腎盂自然は再発する確率の高い病気です。 一度発症してしまうと繰り返し発症してしまうことがあり、何度も発症するようになることで急性腎盂腎炎から慢性の腎盂腎炎へ移行してしまうのです。 再発を防ぐために必要なことはとにかく膀胱内に細菌を入れないようにすることでしょう。 そのためには トイレで拭くときも前から後ろに拭くように意識したり、水しぶきを防ぐためにもウォッシュレットは弱めに使うといったケアが重要になります。 また、免疫力次第で再発する確率も大きく変わってくるので、 身体を健康に保つように努力を重ねましょう。 本来ならちょっとの細菌が侵入しただけでは腎盂腎炎にはならないものなのです。 腎盂腎炎につきましては次のページも参考にして下さい。 腎盂腎炎の症状や原因・検査・治療法は?再発の予防法は?まとめ 以上、いかがだったでしょうか。 今回は腎盂腎炎について触れて参りました。 腎盂腎炎は人体の構造上男性よりも圧倒的に女性が発症する確率の高い病気で、その比率は一説には1:30とまで言われているものなのです。 尿道が狭く尿道口が肛門から近い女性こそ気を付けるべき病気だと思います。 膀胱炎を気にしている人も多いと思いますが、この腎盂腎炎も同じ尿路感染症なので病気のことを把握して発症したらすぐにでも病院に行かれるようにしましょう。 カテゴリー•
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