日テレの土曜9時枠の名物ドラマとして今も記憶に残っているのが「野ブタ。 をプロデュース」です。 当時大人気であったこともあり、2005年10月~12月に放送されたドラマだったという話を聞いてもうそんなに年月が経ったのか!と驚く人もいるようです。 「野ブタ。 をプロデュース」といえばもう一つドラマの登場人物名義でリリースされた「青春アミーゴ」が大ヒット曲になったということもあり、かなり広い年代に知られるドラマになりました。 「青春アミーゴ」を歌ったのは役名では「修二と彰」でしたが、役者さんは今も大人気の亀梨和也君と山下智久君で、いずれもイケメン高校生の役がぴったりはまり役で彼らを見るために毎週テレビをつけるという人もたくさんいたことでしょう。 役的には修二の方はクラスのリーダー的な存在であり、一方の彰の方は優柔不断でおっちょこちょいという変わり者というキャラクターをしており、この二人の掛け合いもドラマを見るときの大きな楽しみになっていました。 ドラマの内容は、メインヒロインである小谷信子(堀北真希)が地味でさえない転校生から、修二と彰とのかかわりを通して性格を改善していくことで徐々に美しさを見せるようになっていくということがまた今時のティーンエイジャーの心をぐっとつかみました。 信子は地味なだけで実は美人であったということだけでなく、性格も他の人を思いやる優しさがあったりひたむきに努力をしていく強さがあるなど人間的にとても好感を持てるキャラクターをしていたことも人気を呼んだ大きな要素となっています。 他にもこのドラマを契機に大ブレイクしていった若手俳優も数多くクラスメートとして登場していたので、当時このドラマにはまっていた人にとってはかなり大きな楽しみになっているのではないかと思います。 「野ブタ。 をプロデュース」には、今でも深く心に残る名言もたくさん登場してきました。 例えばしっかりした性格の修二が、野ブタこと信子とかかわるうちに彰を見る目が変わってゆき「あの二人が好きだったから。 あの二人といる自分が好きだったからだ」といったような場面です。 このドラマの醍醐味は、三人が自分以外の二人と一緒にいるうちに他の二人に影響されつつお互いを思う気持ちがだんだん大きくなっていくことがわかるというところです。 ヒロインの信子が屋上で「私、笑えるようになったよ。 ちゃんと笑えるようになったよ!」と言った場面などは思わず涙ぐんでしまいそうになるほどでした。
次の「青春アミーゴ」がエモい。 劇中の役名、修二(亀梨和也)と彰(山下智久)名義で歌う『野ブタ。 をプロデュース』(日本テレビ系、以下『野ブタ。 』)の主題歌「青春アミーゴ」。 2005年の本放送当時、「エモい」というワードは現在ほどは一般化されていなかったと思うが、当時この言葉があったら最もこの言葉が似合う曲大賞1位(勝手に作りました)を捧げたい。 メロウでエモーショナルなメロディで「地元じゃ負け知らず」「信じて生きてきた」の部分で亀梨と山下の若く細い喉を絞リ出すような高音の絡み合いが、心の柔らかい部分のど真ん中を刺して、何度聞いても泣ける。 これぞ青春の痛み。 そしてこの感覚がまるごとドラマの魅力とリンクしているように感じる。 『野ブタ。 』は、高校生活を円滑に、学内の人気者でいるために、表面を繕って生きている修二と、マイペースのお坊ちゃん彰が、自分の良さを上手に表現できずイジメにあっている少女・信子(堀北真希)をプロデュースして学内の人気者にしていくというもの。 髪で顔を隠しうまく笑えない信子が徐々に変わっていく解放感と救済感を描く一方で、毎回、最後に修二がちょっと不穏なモノローグをつぶやき、そこから「青春アミーゴ」がかかる。 主人公・修二の内面をミステリー仕立てにした続きが気になる仕掛けが見事で、毎回、ドラマが終わって、面白かったーという気分と同時に、どこかモヤモヤが残るところにこのドラマの妙味はある。 暗い少女を魅力的に変化させていくゲーム感覚、学内にはびこる虐めに対抗する明るい前向きさというポジティブ面の裏側で、じわじわとあぶり出されていく修二のほの暗さ。 自分が優秀なゆえに周囲の人々を軽んじ、器用に彼らをあしらいながら立ち回っていた修二の生き方は、観ている側の鏡にもなる。 昔ばなし『王様の耳はロバの耳』のように、いつだって私たちは、社会に適応するために本音を隠す技術が求められている。 2005年から15年経ったいま、さらにその傾向は顕著になっているといっていいだろう。 SNSが発展して、匿名の発言権が強くなり、裏アカを持つのが当たり前のようになった。 相手と違う意見を言って険悪になりたくないから、なんでも「そうですね」と受け止めて、好きではないものを「好き」、面白くないものを「面白い」とその場をやり過ごしながら、本当の気持ちは、裏アカや鍵アカにそっと吐き出したり、匿名アカで厳しく批判したりして、心のバランスをとっている。 いまは、『野ブタ。 』の前半に描かれたような直接的な虐めよりも、こういう内面の分断のほうが広がっているような気さえする。 だからこそ、『野ブタ。 』がいま放送されても色褪せることなく高い支持を得るのではないだろうか。
次の亀梨和也と山下智久が出演するドラマ「野ブタ。 をプロデュース」特別編(日本テレビ系)の第8話が6日に放送された。 本作は、桐谷修二(亀梨)と草野彰(山下)がいじめられっ子の転校生・小谷信子(堀北真希)、通称「野ブタ」をクラスの人気者にプロデュースしていく姿を、笑いと涙で描いたドラマ。 第8話では、修二がクラスメートの勘違いからクラスで孤立。 さらに、信子への嫌がらせの真犯人も明らかになった。 また、「人を信じるということ」について描かれた今回からは、「信じればどんなに困難なことも解決できる」「誰にも信じてもらえなくていい。 ただ、コイツらだけは信じてもらいたい」などの数々の名言も生まれた。 放送終了後、SNS上には「信じたい人を信じるって簡単そうで難しいよね。 修二に、彰と野ブタがいてよかった」「自分の置かれているつら過ぎる状況にもかかわらずひたすら優しい修二に涙していたけれど、彰と野ブタが来てくれて、信じてくれて、今度はうれしさのあまりまた涙。 2人がいてくれて本当によかった」「何十年たって見てもやはりエグい…。 人の悪意って根源的には何も変わっていないのか…」「昔見てたときより胸に刺さるものがある」といった感想が寄せられた。 外部サイト.
次の