下肢静脈瘤の手術の目的は静脈の逆流をとめること まず、下肢静脈瘤はなぜできるのかを理解しないと、治療法も理解できません。 典型的な下肢静脈瘤は静脈の弁が壊れて血液が逆流することでできます。 そうすると治療は、この逆流を止めることが大切になります。 逆流を止めるためにどうするか、まず、壊れた弁ごとダメになってふくらんでしまった血管を取ってしまう方法がわかりやすいです。 これがストリッピング手術という、血管を引っこ抜く手術です。 ストリッピング(stripping)というのは「引っこ抜く」という意味です。 従来はこの方法しかなく、100年間以上ずっと行われてきた治療で、外科医の入門手術として、「アッペ、ヘルニア、ヘモ、バリックス」と言われる手術がありました。 このうちの「バリックス(varix:静脈瘤)」が、このストリッピング手術に当たります。 しかし、昨今、腹腔鏡のカメラの手術が発展するにつれ、「アッペ(虫垂切除)」や「ヘルニア(そけいヘルニア手術)」も外科医1年目の手術ではなくなり、高度化してしまいました。 今、残っているのは「ヘモ(痔の手術)」くらいでしょうか。 なお、ストリッピング手術は、痛みが強く、メスで皮膚を切らなければいけないなど侵襲も大きいため、現在では推奨されていません。 アメリカの大きな静脈学会では、次に述べるレーザー手術を推奨しています。 下肢静脈瘤もレーザー手術になってからは高度専門化しています。 もう一つの逆流を止める方法が、前述のレーザー治療です。 正確には、「血管内焼灼術」、あるいは、「血管内レーザー手術」と言われるものです。 これは注射のように皮膚に針を刺すだけの治療なので、痛みもありませんし、侵襲も小さいです。 現在の下肢静脈瘤治療の主流になっています。 焼いてしまった血管は収縮し、最後は糸のように吸収されていきます。 実際、半年もするとエコーで見えなくなります。 患者さんは、手術したわけでもないのに、血管がなくなるということに不思議がられます。 下肢静脈瘤は焼いたり抜いたりしても問題ない? ところで、血管を抜いたり、焼いたりしていいのか?という素朴な疑問ですが、人間は実は深い所の骨のそばにある太い静脈(深部静脈)さえあれば足の循環は事足りるのです。 そして、静脈や毛細血管のネットワークが無数にあるので、今まで壊れた血管に流入していた血液は、深部静脈に新しく入るようになり、循環は正常化していきます。 いっそのこと、下肢静脈瘤になる表面にある血管(伏在静脈)を無くしてしまえばいいのでしょうが、深部静脈が血栓で詰まった時などのバイパスになるので、重要になるときもあります。 よって深部静脈に血栓のある方は、下肢静脈瘤の治療ができません。 あとはラジオ波の治療もあります。 レーザー治療と大差ありませんが、7cmずつ20秒間焼くので、血管が曲がりくねって蛇行の強い症例には行えないことと、デバイス(ファイバー)が高価であることが難点です。 手術方法は以上ですが、従来は、「高位結紮+硬化療法」という手術もよくおこなわれていました。 ももの付け根の静脈だけ結紮といって結んでしまい、あとは硬化剤を入れて固める治療で、一時は流行病のように皆に行ったものですが、現在、この治療は絶対に再発するとわかっています。 しかし、田舎の病院などでいまだにこの方法が行われていますので、注意が必要です。 下肢静脈瘤は、「エルベス1470」という最新の保険適応レーザーがあり、12,000例以上など経験豊富な血管外科医が常勤しているクリニックで是非受けてください。 この記事の関連コラム.
次の下肢静脈瘤とは 下肢静脈瘤とは、足の血管の病気です。 足の静脈が浮き出てしまいます。 病気としては良性のため、命に関わるようなことはありませんが、悪化することで生活の質を下げる危険性があります。 下肢静脈瘤が起こる原因は、静脈内の弁が壊れてしまい、血液が逆流してしまうことにあります。 本来、静脈は心臓に血液を戻すために重力に逆らって流れていきます。 この時に還流の助けとなるのが弁なのです。 弁があることによって血液の逆流が防がれているのですが、何らかの原因でこの弁が壊れてしまうと、逆流が起こります。 弁が壊れる主な原因としては、長時間の立ち仕事や、出産・妊娠、遺伝などが考えられます。 下肢静脈瘤で手術すべき症状 主な症状としては、見た目的に血管がぼこぼこと膨れ上がります。 これを伏在型静脈瘤と言います。 足のだるさや重さを感じたり、むくみやすく、夜になると足がつることもあります。 症状が悪化するにつれ、痒みや痛みを伴い、出血したり、潰瘍ができることもあります。 潰瘍ができてしまうとかなり重症化した状態です。 伏在型静脈瘤の他にも、クモの巣状静脈瘤、網目状静脈瘤がありますが、これらは中高年の女性に多く見られます。 見た目には問題になりますが、伏在型静脈瘤のような症状はないことが多く、重症化することはほとんどありません。 下肢静脈瘤のうち、治療が必要とされるものは足の見た目が気になった時や、症状がでている場合です。 逆に言えば、症状が出ていなければ、治療は必ずしも必要というわけではありません。 ただし、40歳未満の若い方であれば、将来悪化することを避けるために治療した方が良いことが多いです。 下肢静脈瘤の治療・日帰り手術方法と内容 下肢静脈瘤の治療法には、保存的療法、硬化療法、手術、血管内治療といくつか種類があります。 ここでは各治療の効果と内容についてご紹介いたします。 ストリッピング術(保険診療) 下肢静脈瘤の根治的な治療として古くから行われている方法がストリッピング手術です。 弁が壊れてしまった静脈を引き抜きます。 多くの場合は、足の付け根部分と膝の内側の2か所を切開し、そこからストリッピングワイヤーを通します。 ワイヤーを静脈に絡ませ、そのまま静脈ごとワイヤーを引き抜きます。 再発率が低いのが特徴です。 現在では主にレーザーや高周波治療が困難な静脈瘤に対して行われています。 これまでは、全身麻酔や脊椎麻酔を用いて手術が行われていたため、手術の後は入院が必要でした。 しかし現在では局所麻酔 TLA麻酔 で行うことが多く、日帰り手術も可能になっています。 この手術のデメリットとしては、切開を行うため傷痕が残ってしまうこと、術後の痛みが強いこと、後遺症として神経障害を起こす可能性があることなどがあげられます。 硬化療法(保険診療) 静脈瘤に対して、直接注射をして硬化剤という薬を注入し固めてしまう治療法です。 この治療のメリットとしては外来で簡単に行うことができ、時間がかからないことにあります。 硬化した静脈瘤は数か月かけて、吸収され消えていきます。 硬化剤も液体のものが主流でしたが、現在では泡状にしたものを使用するフォーム硬化療法も行われるようになってきました。 泡状にすることで、液状硬化剤よりも血管内川に対する接触面積が大きくなり、接触時間が長くなることから、より効果の高い治療となりました。 デメリットとしては、再発率が高いこと、症状の重い静脈瘤に対して効果が薄いことが挙げられます。 また治療後、注射した部位にしこりができたり、変色することもありますが、徐々に消えていきます。 高位結紮術(保険診療) 高位結紮術 こういけっさつじゅつ は、足の付け根部分を小切開し、逆流を起こしてしまった伏在静脈をしばり 結紮 、逆流を防ぐという治療方法です。 現在では、レーザーや高周波治療が多くなってきているため、症例は少なくなってきていますが、硬化療法と併用することで、高い治療効果が期待できます。 こちらのデメリットは、再発しやすいことが挙げられます。 血管内レーザー焼灼術/高周波カテーテル治療(保険診療):日帰り手術可能 下肢静脈瘤の根本的な治療としてはストリッピング手術が主流でした。 そんな中、海外でレーザー治療が始まり、日本でも2002年に初めてレーザー治療が行われ、2011年1月に保険認可され 高周波は2014年6月に認可 、以降広く行われようになりました。 この方法は、弁が壊れた静脈を内側から焼灼し、血管を閉じてしまうという方法です。 問題となる血管にカテーテルというボールペンの芯ほどの細い管を挿入し、その中にファイバーを通します。 レーザーもしくは高周波を発しながら血管内を焼灼し、閉塞(へいそく)していきます。 焼灼された静脈は数か月かけて繊維化し、そのまま体内に吸収されていきます。 この治療のメリットとしては、局所麻酔 TLA麻酔 で行うため日帰り手術ができること、切開を行わないため治療後の傷が目立たないこと、ストリッピング手術に比べて術後の痛みが小さく、皮下出血も少ないこと、再発率が非常に少ないことなどが挙げられます。 弾性ストッキング 自費診療 弾性ストッキングの着用は保存的療法にあたります。 これは根本的な治療には至りませんが、症状の緩和や、静脈瘤の防止にも効果的です。 足を圧迫し、静脈の還流を助け、また血液の貯留を防ぎます。 十分な効果を得るためには、正しく使用することが重要です。 弾性ストッキングは作りが特殊になっており、足首部分の圧迫力が一番強く、上になるにつれて徐々に弱くなっていきます。 また着用の際はストッキングコンダクターによる指導を受けることをお勧めします。 足のサイズやや太さ、長さは個々人で異なりますので、きちんと採寸を行い、ご自身に適したストッキングを着用するようにしましょう。 なお、下肢静脈瘤に対する治療としての弾性ストッキングは保険適応できません。 下肢静脈瘤の手術費用について 下肢静脈瘤の治療は一部を除き健康保険の適応となります。 一部というのは、弾性ストッキングや保険認可されていないレーザー機器による治療を指します。 この場合は自費診療となりますので、ご注意ください。 治療費に関してですが、3割負担の方の場合で、ストリッピング手術が片足で約35,000円、硬化療法は約5,000円、高位結紮術が片足で約11,000円、血管内レーザー・高周波治療が片足で約45,000円になります。 両足の治療を行った場合は、おおよそ倍の費用になります。 なお、大きな病院などではストリッピング手術を入院手術として行っているところもあります。 ただし入院する場合は入院日数により金額が変わってきますので、事前に確認することをお勧めします。 手術後の生活について 日帰り手術を受けた場合、当日は歩いて帰宅が可能で、すぐに日常に復帰できます。 術後は痛みや内出血が起こることもありますが、これらは薬で抑えたり、自然に治すことができます。 入浴やシャワーに関しては、手術当日は控える必要がありますが、大体、シャワーは翌日から、入浴は4日後から可能になります。 食事に関する制限も特にはありませんが、術後2日間はお酒を控えましょう。 基本的には弾性ストッキングを着用して生活を送っていただきます。 弾性ストッキングも正しく着用しなければ、効果は得られないため、必ず使用方法を医師に指導してもらいましょう。 またスポーツや激しい運動は1週間ほど避ける必要がありますが、ウォーキングや散歩、体操程度であれば翌日から行えます。 適度に動かすことで、エコノミークラス症候群の予防にもなります。 仕事に関しては、軽作業であれば問題なく当日から復帰ができます。 立ち仕事の場合は、多少仕事量を減らすようにしてください。 旅行に関しては、国内旅行であれば1週間後、海外旅行は2週間後以降に組むようにしましょう。 下肢静脈瘤手術の保険適応について 下肢静脈瘤の治療、及び手術は前述した通り、健康保険が適応される保険診療です。 レーザー治療に関しては、始めは自費診療として行われていました。 そのため治療費が高額なものとなっていましたが、2011年1月に初めて保険認可され、保険診療として扱われるようになりました ELVeS980nmレーザー。 現在は波長1470nmの半導体レーザーが主流になってきておりますが、こちらも2014年5月より、翌月には高周波治療もそれぞれ保険認可されました。 なお最新のLSO1470nmレーザーも2015年に保険認可されております。 ただし、レーザーや高周波治療には保険適応の条件として、国から認められた機器を使っていること、また学会より認定を受けた施設・医師であることが条件となります。 これらの基準を満たしていない場合は、自費診療として取り扱われます。 その他にも、クモの巣静脈瘤に対するレーザー照射治療や弾性ストッキングの処方も自費診療となります。 手術の失敗や後遺症は大丈夫か? さて、ここまでご紹介したように、下肢静脈瘤の治療については、様々な種類があります。 一概にどの治療がいいというのは断定できません。 そのため患者様にひとりひとりに適した治療方法を医師が提供する必要があります。 また患者様自身も、手術は必ずしも成功するとは限らないこと、治療には再発や合併症のリスクが伴う危険性があることも認識しておく必要があります。 治療後の合併症としては、硬化療法を行った場合は、注射した部分が茶褐色に変色したり、しこりが生じることがあります。 しかし、これらは時間が経つと解消されます。 手術の合併症では、皮下出血、神経障害による痺れ、痛み、血腫、炎症があります。 最新の治療である血管内治療(レーザー・高周波)であっても、合併症のリスクは減ったものの、0ではありません。 しかしこれらの症状は時間がたつと軽快したり、内服薬でも対応ができます。 ごくまれですが、エコノミークラス症候群を発症することもあります。 その場合はすぐに手術を受けた施設にご連絡してください。 手術を受けた方の体験談 50代女性 以前から、左足のふくらはぎあたりの血管が浮き出ているのが気になっていましたが、しばらくするとさらに目立つようになってしまったので、近くのクリニックで診断してもらいました。 そこで初めて下肢静脈瘤という病気を知りました。 その当時は、血管が浮き出ている以外にも、足がむくんだり、就寝時にこむら返りを起こすことが増えてきていました。 手術と言われると正直怖いものがありましたが、私がお伺いしたクリニックの先生がとても丁寧な対応をしてくださる先生でしたので、お任せしようと思いました。 後から確認しましたが、そこの先生はインターネットでの評判も良い先生でした。 私が受けた治療はレーザーでしたが、30分もかからずに手術は終わったと思います。 局所麻酔を行っていたため、治療中は変な感じはしましたが、痛みはありませんでした。 手術後もそのまま付き添いの夫と帰りましたが、自分の足で問題なく歩いて帰ることができました。 手術を受けて2日後くらいにちょっと紫色っぽくなっていましたが、それ以外に症状はなく、時間が経つとともに消えていきました。 現在では再発もなく、元通りのきれいな足になりました。 本当に感謝しております。 まとめ 下肢静脈瘤は命に関わるような大きな病気ではありませんが、生活に支障をきたす恐れがないとも言い切れません。 そうなる前に治療を行う必要がありますが、薬による治療はできず、根治的治療を希望される場合は手術が必要になります。 ただ手術と言っても、外来で簡単に受けられるものもあります。 手術を受けるうえで必要なことは、患者様自身が不安や心配事のない状態で受けられることが大切です。 そのため診察を受ける際は、症状はしっかり伝え、わからないことは恥ずかしがらずに聞きましょう。 そうすることで医師も適切な判断を下しやすくなります。 下肢静脈瘤は治療を行えば治る病気です。 しかし、再発する可能性もあります。 そういった面では、現在、血管内レーザー治療が最も再発率が低く、痛みの少ない治療とされています。 もし診療を受けても、納得できないようであればセカンドオピニオンをうまく活用しましょう。 また、現在では古くから行われているストリッピング手術に代わり、より痛みの少ないレーザーや高周波による血管内治療が主流になりつつあります。 例えば症例数や、レーザー学会の認定施設、もしくは認定医師であるかどうかを判断基準に選ぶのも良いでしょう。
次の下肢静脈瘤とは 下肢静脈瘤とは、足の血管の病気です。 足の静脈が浮き出てしまいます。 病気としては良性のため、命に関わるようなことはありませんが、悪化することで生活の質を下げる危険性があります。 下肢静脈瘤が起こる原因は、静脈内の弁が壊れてしまい、血液が逆流してしまうことにあります。 本来、静脈は心臓に血液を戻すために重力に逆らって流れていきます。 この時に還流の助けとなるのが弁なのです。 弁があることによって血液の逆流が防がれているのですが、何らかの原因でこの弁が壊れてしまうと、逆流が起こります。 弁が壊れる主な原因としては、長時間の立ち仕事や、出産・妊娠、遺伝などが考えられます。 下肢静脈瘤で手術すべき症状 主な症状としては、見た目的に血管がぼこぼこと膨れ上がります。 これを伏在型静脈瘤と言います。 足のだるさや重さを感じたり、むくみやすく、夜になると足がつることもあります。 症状が悪化するにつれ、痒みや痛みを伴い、出血したり、潰瘍ができることもあります。 潰瘍ができてしまうとかなり重症化した状態です。 伏在型静脈瘤の他にも、クモの巣状静脈瘤、網目状静脈瘤がありますが、これらは中高年の女性に多く見られます。 見た目には問題になりますが、伏在型静脈瘤のような症状はないことが多く、重症化することはほとんどありません。 下肢静脈瘤のうち、治療が必要とされるものは足の見た目が気になった時や、症状がでている場合です。 逆に言えば、症状が出ていなければ、治療は必ずしも必要というわけではありません。 ただし、40歳未満の若い方であれば、将来悪化することを避けるために治療した方が良いことが多いです。 下肢静脈瘤の治療・日帰り手術方法と内容 下肢静脈瘤の治療法には、保存的療法、硬化療法、手術、血管内治療といくつか種類があります。 ここでは各治療の効果と内容についてご紹介いたします。 ストリッピング術(保険診療) 下肢静脈瘤の根治的な治療として古くから行われている方法がストリッピング手術です。 弁が壊れてしまった静脈を引き抜きます。 多くの場合は、足の付け根部分と膝の内側の2か所を切開し、そこからストリッピングワイヤーを通します。 ワイヤーを静脈に絡ませ、そのまま静脈ごとワイヤーを引き抜きます。 再発率が低いのが特徴です。 現在では主にレーザーや高周波治療が困難な静脈瘤に対して行われています。 これまでは、全身麻酔や脊椎麻酔を用いて手術が行われていたため、手術の後は入院が必要でした。 しかし現在では局所麻酔 TLA麻酔 で行うことが多く、日帰り手術も可能になっています。 この手術のデメリットとしては、切開を行うため傷痕が残ってしまうこと、術後の痛みが強いこと、後遺症として神経障害を起こす可能性があることなどがあげられます。 硬化療法(保険診療) 静脈瘤に対して、直接注射をして硬化剤という薬を注入し固めてしまう治療法です。 この治療のメリットとしては外来で簡単に行うことができ、時間がかからないことにあります。 硬化した静脈瘤は数か月かけて、吸収され消えていきます。 硬化剤も液体のものが主流でしたが、現在では泡状にしたものを使用するフォーム硬化療法も行われるようになってきました。 泡状にすることで、液状硬化剤よりも血管内川に対する接触面積が大きくなり、接触時間が長くなることから、より効果の高い治療となりました。 デメリットとしては、再発率が高いこと、症状の重い静脈瘤に対して効果が薄いことが挙げられます。 また治療後、注射した部位にしこりができたり、変色することもありますが、徐々に消えていきます。 高位結紮術(保険診療) 高位結紮術 こういけっさつじゅつ は、足の付け根部分を小切開し、逆流を起こしてしまった伏在静脈をしばり 結紮 、逆流を防ぐという治療方法です。 現在では、レーザーや高周波治療が多くなってきているため、症例は少なくなってきていますが、硬化療法と併用することで、高い治療効果が期待できます。 こちらのデメリットは、再発しやすいことが挙げられます。 血管内レーザー焼灼術/高周波カテーテル治療(保険診療):日帰り手術可能 下肢静脈瘤の根本的な治療としてはストリッピング手術が主流でした。 そんな中、海外でレーザー治療が始まり、日本でも2002年に初めてレーザー治療が行われ、2011年1月に保険認可され 高周波は2014年6月に認可 、以降広く行われようになりました。 この方法は、弁が壊れた静脈を内側から焼灼し、血管を閉じてしまうという方法です。 問題となる血管にカテーテルというボールペンの芯ほどの細い管を挿入し、その中にファイバーを通します。 レーザーもしくは高周波を発しながら血管内を焼灼し、閉塞(へいそく)していきます。 焼灼された静脈は数か月かけて繊維化し、そのまま体内に吸収されていきます。 この治療のメリットとしては、局所麻酔 TLA麻酔 で行うため日帰り手術ができること、切開を行わないため治療後の傷が目立たないこと、ストリッピング手術に比べて術後の痛みが小さく、皮下出血も少ないこと、再発率が非常に少ないことなどが挙げられます。 弾性ストッキング 自費診療 弾性ストッキングの着用は保存的療法にあたります。 これは根本的な治療には至りませんが、症状の緩和や、静脈瘤の防止にも効果的です。 足を圧迫し、静脈の還流を助け、また血液の貯留を防ぎます。 十分な効果を得るためには、正しく使用することが重要です。 弾性ストッキングは作りが特殊になっており、足首部分の圧迫力が一番強く、上になるにつれて徐々に弱くなっていきます。 また着用の際はストッキングコンダクターによる指導を受けることをお勧めします。 足のサイズやや太さ、長さは個々人で異なりますので、きちんと採寸を行い、ご自身に適したストッキングを着用するようにしましょう。 なお、下肢静脈瘤に対する治療としての弾性ストッキングは保険適応できません。 下肢静脈瘤の手術費用について 下肢静脈瘤の治療は一部を除き健康保険の適応となります。 一部というのは、弾性ストッキングや保険認可されていないレーザー機器による治療を指します。 この場合は自費診療となりますので、ご注意ください。 治療費に関してですが、3割負担の方の場合で、ストリッピング手術が片足で約35,000円、硬化療法は約5,000円、高位結紮術が片足で約11,000円、血管内レーザー・高周波治療が片足で約45,000円になります。 両足の治療を行った場合は、おおよそ倍の費用になります。 なお、大きな病院などではストリッピング手術を入院手術として行っているところもあります。 ただし入院する場合は入院日数により金額が変わってきますので、事前に確認することをお勧めします。 手術後の生活について 日帰り手術を受けた場合、当日は歩いて帰宅が可能で、すぐに日常に復帰できます。 術後は痛みや内出血が起こることもありますが、これらは薬で抑えたり、自然に治すことができます。 入浴やシャワーに関しては、手術当日は控える必要がありますが、大体、シャワーは翌日から、入浴は4日後から可能になります。 食事に関する制限も特にはありませんが、術後2日間はお酒を控えましょう。 基本的には弾性ストッキングを着用して生活を送っていただきます。 弾性ストッキングも正しく着用しなければ、効果は得られないため、必ず使用方法を医師に指導してもらいましょう。 またスポーツや激しい運動は1週間ほど避ける必要がありますが、ウォーキングや散歩、体操程度であれば翌日から行えます。 適度に動かすことで、エコノミークラス症候群の予防にもなります。 仕事に関しては、軽作業であれば問題なく当日から復帰ができます。 立ち仕事の場合は、多少仕事量を減らすようにしてください。 旅行に関しては、国内旅行であれば1週間後、海外旅行は2週間後以降に組むようにしましょう。 下肢静脈瘤手術の保険適応について 下肢静脈瘤の治療、及び手術は前述した通り、健康保険が適応される保険診療です。 レーザー治療に関しては、始めは自費診療として行われていました。 そのため治療費が高額なものとなっていましたが、2011年1月に初めて保険認可され、保険診療として扱われるようになりました ELVeS980nmレーザー。 現在は波長1470nmの半導体レーザーが主流になってきておりますが、こちらも2014年5月より、翌月には高周波治療もそれぞれ保険認可されました。 なお最新のLSO1470nmレーザーも2015年に保険認可されております。 ただし、レーザーや高周波治療には保険適応の条件として、国から認められた機器を使っていること、また学会より認定を受けた施設・医師であることが条件となります。 これらの基準を満たしていない場合は、自費診療として取り扱われます。 その他にも、クモの巣静脈瘤に対するレーザー照射治療や弾性ストッキングの処方も自費診療となります。 手術の失敗や後遺症は大丈夫か? さて、ここまでご紹介したように、下肢静脈瘤の治療については、様々な種類があります。 一概にどの治療がいいというのは断定できません。 そのため患者様にひとりひとりに適した治療方法を医師が提供する必要があります。 また患者様自身も、手術は必ずしも成功するとは限らないこと、治療には再発や合併症のリスクが伴う危険性があることも認識しておく必要があります。 治療後の合併症としては、硬化療法を行った場合は、注射した部分が茶褐色に変色したり、しこりが生じることがあります。 しかし、これらは時間が経つと解消されます。 手術の合併症では、皮下出血、神経障害による痺れ、痛み、血腫、炎症があります。 最新の治療である血管内治療(レーザー・高周波)であっても、合併症のリスクは減ったものの、0ではありません。 しかしこれらの症状は時間がたつと軽快したり、内服薬でも対応ができます。 ごくまれですが、エコノミークラス症候群を発症することもあります。 その場合はすぐに手術を受けた施設にご連絡してください。 手術を受けた方の体験談 50代女性 以前から、左足のふくらはぎあたりの血管が浮き出ているのが気になっていましたが、しばらくするとさらに目立つようになってしまったので、近くのクリニックで診断してもらいました。 そこで初めて下肢静脈瘤という病気を知りました。 その当時は、血管が浮き出ている以外にも、足がむくんだり、就寝時にこむら返りを起こすことが増えてきていました。 手術と言われると正直怖いものがありましたが、私がお伺いしたクリニックの先生がとても丁寧な対応をしてくださる先生でしたので、お任せしようと思いました。 後から確認しましたが、そこの先生はインターネットでの評判も良い先生でした。 私が受けた治療はレーザーでしたが、30分もかからずに手術は終わったと思います。 局所麻酔を行っていたため、治療中は変な感じはしましたが、痛みはありませんでした。 手術後もそのまま付き添いの夫と帰りましたが、自分の足で問題なく歩いて帰ることができました。 手術を受けて2日後くらいにちょっと紫色っぽくなっていましたが、それ以外に症状はなく、時間が経つとともに消えていきました。 現在では再発もなく、元通りのきれいな足になりました。 本当に感謝しております。 まとめ 下肢静脈瘤は命に関わるような大きな病気ではありませんが、生活に支障をきたす恐れがないとも言い切れません。 そうなる前に治療を行う必要がありますが、薬による治療はできず、根治的治療を希望される場合は手術が必要になります。 ただ手術と言っても、外来で簡単に受けられるものもあります。 手術を受けるうえで必要なことは、患者様自身が不安や心配事のない状態で受けられることが大切です。 そのため診察を受ける際は、症状はしっかり伝え、わからないことは恥ずかしがらずに聞きましょう。 そうすることで医師も適切な判断を下しやすくなります。 下肢静脈瘤は治療を行えば治る病気です。 しかし、再発する可能性もあります。 そういった面では、現在、血管内レーザー治療が最も再発率が低く、痛みの少ない治療とされています。 もし診療を受けても、納得できないようであればセカンドオピニオンをうまく活用しましょう。 また、現在では古くから行われているストリッピング手術に代わり、より痛みの少ないレーザーや高周波による血管内治療が主流になりつつあります。 例えば症例数や、レーザー学会の認定施設、もしくは認定医師であるかどうかを判断基準に選ぶのも良いでしょう。
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