低用量ピルを1日1錠決まった時間に内服することで、 ほぼ100%の避妊効果と 生理痛改善効果や 生理周期調整効果により日常生活のリズムが立てやすくなります。 日本では1999年に低用量ピルが認可されました。 欧米に遅れること30年です。 しかし、認可が遅れたメリットもあります。 それは、30年前に認可された国々の女性達の健康状態が今どうかを知ることができるからです。 欧米の女性達は健康被害にあっているでしょうか?いいえそうではありません。 不妊症の女性が増えましたか?それも違います。 フランスでは約40%の女性がピルを内服していると言われていますが、人口は増加傾向にあります。 ピルには毎日内服するわずらわしさや不正出血などのマイナートラブルはあります。 しかし、それにもまして内服する女性に大いにメリットをもたらしてくれるものです。 当院では、女性の味方であるピルを処方前にメリットとデメリット(副作用)をきちんとご説明し、安心して使っていただけるように心がけています。 ノルエチステロンを使用したピルは一番最初に製造承認された低用量のピルですが、副作用が一番強いわけではなく、ノルエチステロンの作用で生理の量が減り、生理痛緩和効果に優れたピルです。 超低用量ピルであるルナベルULDは現在日本で発売されているピルの中で、 1周期中( 28日間を 1周期とカウント)最も エストロゲン総用量が少ないピルで、血栓症リスク軽減が期待されます。 英語で低用量を Low Dose(ロー・ドーズ)、超低用量を Ultra Low Dose(ウルトラ・ロー・ドーズ) といいます。 ルナベルLD(ロー・ドーズ)は低用量ピルで、ルナベルULD(ウルトラ・ロー・ドーズ)は超低用量ピルというわけです。 ヤーズには他のピルには無い 3つの特長があります。 1)ピルの中で唯一「抗ミネラルコルチコイド作用」を有し、浮腫みにくいといわれています。 2)実薬が 24錠タイプ(他のピルはすべて 21錠タイプ)で、休薬期間が 4日間と短く(他のピルは休薬期間が 7日間)、ホルモンの変動が少ないため、ホルモン消退時の症状(下腹部痛や頭痛など)を軽減することが期待されます。 3) 米国でPMDD(PMSより精神症状が強い)に対して2006年に治療承認を得ています。 日本では「月経困難症」での保険適応があります。 さらに、2017年4月からヤーズの姉妹ピルヤーズフレックスが発売されました。 月経の回数を減らすことができるため、PMSの出現回数や月経前の諸症状を減らすことが期待されます。 これは自分の女性ホルモンとピルに含まれる女性ホルモンのバランスが原因と考えられています。 そのため、ホルモンバランスが安定する2シート目を内服する頃にはほとんどの出血は治まります。 まれに、3シート目(約3ヶ月)以降も不正出血を認めることがあります。 その場合はピルの種類を変更するかどうかご相談させていただいています。 極まれに顔) いずれも生活に支障を来すほどではありませんが、極まれに「吐き気やむくみがひどいのでピルを続けられなかった」という方がいらっしゃいます。 副作用が強い場合は一旦ピルを中断してご相談下さい。 吐き気を軽減する一つの方法として、食直後に内服することをおすすめします。 何時に内服しても吐き気の無い方も多いのですが、内服を始めて 2週間以上経つのにピルを内服する度に吐き気を認める方がいらっしゃいます。 そういう方は食直後(食後30分以内)に内服するようにしてみて下さい。 ピルのキャラクター(利点と欠点)は プロゲステロンの種類に依存することが多いため、例えば、「トリキュラー」で生理痛が改善しない方は同じプロゲステロンが使われている「ラベルフィーユ」に変更しても症状は改善しない可能性があります。 そのため、 ピルを変えるときはプロゲステロンの違うピルを選ぶようにしています。 血栓症とは血管の中に流れる血液が固まり、血液の流れを栓をして止めてしまう病態です。 ピルによる血栓症では、ふくらはぎを流れる静脈に発症することが多く、症状としてはふくらはぎや太ももが腫れ、強い痛みを伴います。 しかし、発症率は極めて少なく、海外の疫学調査によりますと、 低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間 10,000人あたり 1- 5人であるのに対し、 低用量ピル服用女性では 3- 9人と報告されています。 一方、妊娠中は年間 10,000 人あたり5- 20人 、分娩後 12週間は年間 10,000 人あたり 40- 65人と報告されています。 このデータから、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルによる血栓症の発症頻度はかなり低いことがわかります。 「けいゆう病院」勤務時に年間 1800例くらいお産があった年もありましたが、妊婦さんや分娩後の方が重篤な血栓症にかかられた例はありませんでした。 40歳後半の方や若い方でも1日15本以上喫煙をする方は血栓症のリスクが高くなると言われています。 「 1年間にそれぞれの避妊方法を行った 100人の女性のうち何人が妊娠するか (避妊に失敗する)」をパール指数といいパーセント(%)で表します。 パール指数が少ないほど避妊効果が高いということです。 方法 理想的な使用(%) 一般的な使用(%) 避妊無し 85 低用量ピル 0. 3 9 コンドーム 2 18 避妊リング 銅付加) 0. 6 0. 8 ミレーナ 0. 2 0. 2 卵管結紮 0. 5 0. 5 パイプカット 0. 1 0. 15 殺精子剤 18 28 Trussell J. Contraceptive efficacy. In: Hatcher RA, Trussell J, Nelson AL, Cates W, Kowal D, Policar M. Co ntraceptive Technology: Twentieth Revised Edition. New York NY: Ardent Media, 2011. 腟外射精は避妊法の一つではありません。 腟外射精のパール指数は 22%といわれています。 すなわち 1年間に 100人のうち 22人(約 4人に 1人)が妊娠するということです。 腟外射精があった場合は避妊しなかったと場合と同じ対処が必要です。 アフターピルの妊娠阻止率(成功率と考えればよいでしょう)は「ノルレボ」で 85%といわれています。 それに対して低用量ピルを毎日きちんと内服していれば避妊効果は 99. 7%です。 ピルは主に腸から体内に吸収されるので、激しい下痢や嘔吐があった場合はピルの体内への吸収が悪くなり避妊効果が下がる可能性があります。 下痢や嘔吐が治まってから(2日以上飲み忘れた時と同様に)、 7 日以上連続して服用するまで確実に避妊を行うか、性交渉を避けるようにしてください。 1錠の飲み忘れに気づいた場合には、飲み忘れた錠剤を直ぐに内服し、残りの錠剤は予定通り内服します。 2錠以上飲み忘れた場合は、飲み忘れた錠剤のうち直近のものを直ぐに内服し、残りの錠剤は予定通り内服します。 例えば、いつもの時間に内服しようとしたら、前日の分が残っていた場合は、前日の分と当日の分の合計2錠を一度に内服します。 (2錠以上同時に内服しないようにして下さい。 ) そして、 7日以上連続して服用するまで確実に避妊を行うか、性交渉を避けるようにしてください。 2錠以上飲み忘れた場合の多くは出血してきますが、内服を続けても問題はありません。 出血が長く続くこともありますが、7日以上連続してきちんと服用すれば出血していても避妊効果は戻っていると考えてよいでしょう。 2錠以上飲み忘れている間に避妊のない性交渉があった場合は、アフターピルが必要な場合がありますので注意が必要です。
次のjemina 〜ジェミーナ配合錠〜 主成分 レボノルゲストレル:0. 09mg エチニルエストラジオール:0. 02mg が配合された錠剤です。 上記の2成分に関しては、これまで経口避妊薬(ピル)製剤として以下の商品名で使用されていた製剤です。 アンジュ錠• トリキュラー錠• ラベルフィーユ錠 しかし、経口避妊薬として上記2成分を服用する際は、1日目〜6日目、7日目〜11日目、12日目〜21日目、22日〜28日目という具合に服用する量がそれぞれ決められています。 一方で、月経困難症治療薬として上記2成分を使用する際は一定量を服用することになります。 そのためジェミーナ配合錠の重要な基本的注意として 「本剤を避妊目的で使用しないこと」という注意喚起がなされています。 (ピルとは服用量が異なるため別の薬という認識で捉えます) ジェミーナ配合錠の一番の特徴はその用法です。 既存の月経困難症治療配合薬は21日間連続服用後、7日間休薬する用法が多いのですが、ジェミーナ配合錠はその用法にくわえて、1日1錠を毎日一定時刻に77日間連続経口投与し、その後7日間休薬する。 以上84日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず85日目から次の周期を開始する。 という用法が新設されています。 生活様式に応じて用法を選択できることは、患者様にとっては有益に感じます。 私的には、月経困難症治療薬は副作用が多い印象があったので、77日間連続服用したときのデータを確認してみました。 副作用歴 21日投与7日休薬群:副作用発現率83. 特に77日投与群で注視すべき点は「希発月経86. (希発月経:月経周期が39日以上90日未満)。 25〜38日の月経周期を維持するというこれまでの治療方針から、84日周期へサイクルを変更するわけですから、月経の遅延や過少、希発といった症状になることが十分予想されます。 そのためジェミーナ配合錠を安心して84日周期(77日投与7日休薬)で服用するために、約3ヶ月間で予想されうる有害事象・経過について十分な説明が必要かと思われます。 さらに静脈血栓症のリスクが3〜4倍高くなることもお伝えした上で、四肢の脱力感・麻痺・冷感、視野の変化といった血栓症の前兆についてもお伝えすべきかと思います。
次のピルについて ピルは使用用途やその人の状況に合わせてお選びいただける数種類の製品があります。 ピルを特徴ごとに分類してご紹介します。 1)エストロゲンの量による分類 ピルは1錠中のエストロゲンの量によって高用量、中用量、低用量、超低用量に分類されます。 高用量 :エストロゲンの量が1錠中0. 05㎎より多い• 中用量 :エストロゲンの量が1錠中0. 05㎎• 低用量 :エストロゲンの量が1錠中0. 05㎎より少ない• 超低用量:エストロゲンの量が1錠中0. 低用量ピルに含まれるエストロゲンはすべて同じ種類のエチニルエストラジオールというエストロゲンが含まれています。 プロゲステロンの種類と開発順により低用量ピルは4世代に分けられます。 英語で低用量をLow Dose(ロー・ドーズ)、超低用量をUltra Low Dose(ウルトラ・ロー・ドーズ) といいます。 超低用量ピルはエストロゲン総用量が少なく、血栓症など副作用リスク軽減が期待できます。 第1世代の低用量ピルに比べ1周期中のエストロゲン総用量は少なく、生理周期の調節性も向上し、ピル内服中の不正出血の率が低下しています。 28日周期にコントロールする従来の内服法に加え、77日間の連続内服を行う方法での利用もできます。 月経の回数を減らすことで、PMSの出現回数を減らすことが期待されます。 「抗ミネラルコルチコイド作用」により、浮腫みにくいといわれています。 実薬が24錠タイプ(他のピルはすべて21錠タイプ)で、休薬期間が4日間と短く(他のピルは休薬期間が7日間)、ホルモンの変動が少ないため、ホルモン消退時の症状(下腹部痛や頭痛など)を軽減することが期待されます。 米国ではPMDD(PMSより精神症状が強い)に対して2006年に治療承認を得ています。 日本では「月経困難症」での保険適応があります。 月経の回数を減らすことで、PMSの出現回数を減らすことが期待されます。 他の抗生剤は問題なし) 三環系抗うつ薬:イミプラン(イミプランの効果が強くなる可能性がある。 ) 抗てんかん薬:フェニントイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、トピラマート(ピルの効果が弱くなる可能性がある。 抗てんかん薬の効果が弱くなる可能性がある。 ) アセトアミノフェン(アセトアミノフェンの効果が弱くなる可能性がある。 ピルの効果が強くなる可能性がある。 ) セントジョーンズワート含有食品(ピルの効果が弱くなる可能性がある。 ) など。
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