緊急事態宣言が全国で解除されてから1カ月近くが経過した。 さまざまな経済活動が再開される中、新型コロナウイルス感染患者の治療に当たった病院も、通常の診療体制に戻りつつある。 4月に「治療最前線」として取材した東京都江戸川区の東京臨海病院を再訪すると、通常外来診療を再開する一方で、「第2波」への備えも進めていた。 記者の他にバスを降りたのは、高齢者ら十数人。 前回訪れた4月21日は他に1人しかいなかったことを考えると、ずいぶん増えた印象だ。 敷地に入ってまず目についたのは、右手に見える「健康医学センター」が、人間ドックや定期健診などの通常業務を再開していたこと。 前回訪問時は通常業務をやめて発熱外来になっていたが、6月1日から再開したという。 その奥にある一般外来の正面入り口も、検温を行う半円形のテントが撤去され、複数いた白い防護服姿の職員の姿も見えなくなっていた。 ただし、引き続きマスクの着用は義務づけられ、サーモグラフィーカメラの前を通ってから、非接触型体温計での検温を受ける必要がある。 入院患者への面会も引き続き禁止されている。 外見上のものものしさこそ薄れているものの、警戒体制が続いていることが見て取れた。 それは来院者も同じで、特に指示は無いものの、待合室ではみな他人と間隔を空けて座っていた。 4月の訪問時、10床ある治療室のうち5床が重症の新型コロナ患者で埋まっていた。 現在は新型コロナ患者はおらず、病室前の廊下とナースステーションを隔てていたビニールシートは撤去され、防護服姿の看護師も見えない。 小林病院長は「奥の陰圧病室2室をコロナ患者用に確保していますが、いまは誰もいません」と、透明の扉で仕切られた病室を指さした。 かつてはいたるところに貼られていたゾーニングのためのテープははがされ、陰圧室の手前に「ゾーニング中」と書かれた白い紙が張られているだけだ。 重症化していない新型コロナ患者が入院している7階にも案内してもらった。 東京臨海病院では、4〜7階にある一般病棟のうち7階を新型コロナ患者専用のフロアとし、最も多い時期でICUを含めて40人以上の患者が収容されていた。 だが5月に入って新規患者は激減し、5月終盤まで7人ほど残っていた入院患者は、6月12日時点では陽性患者1人、PCR検査の結果待ちの患者4人まで減り、その後全員が退院した。 発熱で病院の外来を訪れる人も、4月の1日約20人から、いまは5〜9人程度に減少しているという。 前回の新型コロナ専用フロア訪問時は、エレベーターホールからA〜Cの各病棟につながる廊下の先は全て鉄の扉で閉ざされていた。 だが今回閉ざされていたのはこの時患者がいたA病棟の1カ所だけ。 前回取材したB病棟は前日までに消毒などを終え、元の病棟に戻っていた。 現在、一般病棟は9床を新型コロナ患者の待機病床として確保している。 新型コロナ患者1人に2人の看護師を付けているため、前回訪問した際は忙しそうに動き回るスタッフと何人もすれ違ったが、今は半分以下になっているように見える。 息苦しさすら覚えた医師・看護師の待機場所も、ゾーニングが取り払われたことで前回よりも広く感じられた。 患者を受け入れ始めた当初は、新型コロナで亡くなった患者の受け入れを火葬場から拒否されたり、看護師が子どもを迎えに行った際、保育所の敷地に入るのを拒まれたりするなど、差別や偏見にさらされることもあった。 だが、新聞やテレビの取材に応じ、現場の実情をありのままに伝えたことで風向きは変化し、激励や支援の申し出が急増したという。 小林病院長は、「治療は大変だったが、人の温かさに触れることができた」と振り返る。 SNS上では、「そのうち院内感染を起こすぞ」などの悪意に満ちた書き込みもあったが、これまでに院内感染は一度も発生していない。 小林病院長は、要因の一つとして、感染患者が増える前の2月7日に帰国者・接触者外来を設置したことで、市中の感染患者を実際に受け入れるまでに1カ月程度の時間があったことを挙げ、「危機感を持ちながら十分な準備と職員の安全教育の徹底ができた。 職員たちが高い意識を持って取り組んでくれた」と病院スタッフの努力に感謝の思いを語った。 数週間に及ぶ隔離入院は、精神的な苦痛を患者に与えるとともに、対応する医師や看護師にも極度の緊張を強いた。 東京臨海病院では、精神科医と精神専門看護師らで構成するメンタルサポートチームが、患者と医療スタッフの心のケアに当たったが、小林病院長は「新型コロナの専門病棟にいた職員のストレスの値が格段に高かった。 患者も職員も不眠症状に悩まされた人が多かった」と明かす。 このため、専門病棟を一般病棟に戻すために消毒を行うタイミングで、忙しかった病棟の看護師から順番に1週間程度の休暇を取ってもらった。 更に、職員全員に5万円の臨時ボーナスも出したという。 病院経営への影響は甚大だった。 新型コロナの対応に医師、看護師を充てるため、25の診療科の診療ブースを、それぞれ2〜4個から1個に減らし、外来患者の受け入れを大幅に減らした。 症状が落ち着いている人は長期処方などで対応し、初診は紹介状を持った患者のみに絞った。 この結果、2、3月は、収入が約3割減り、逆に支出は1割以上増えた。 外来患者の数は現在、新型コロナ感染拡大前の水準まで回復しているが、手術が大幅に減った影響で、入院患者数はコロナ以前の65%程度に減少している。 人間ドックの受診者も数%しか戻っていない。 小林病院長は「4、5月の収支の悪化は2、3月を上回る規模になるだろう。 大幅な赤字で、正直非常に厳しい」と苦境を語る。 政府は5月に新型コロナ重症患者の診療報酬を3倍に引き上げる決定をしたが、「焼け石に水。 新型コロナに対応した病院には抜本的な支援が必要だ」と訴える。 東京臨海病院では現在、発熱患者は救急外来で対応しており、入り口に設置したテントで検温と問診を実施後、感染疑いの患者とそれ以外の患者を振り分けている。 PCR検査の態勢も拡充している。 当初、疑いのある患者は、保健所経由で東京都に検査を依頼するしかなかったが、3月前半ごろから江戸川区が独自に保健所でPCR検査を開始し、その後に民間検査会社での検査も認められたことで、比較的スムーズに検査ができるようになった。 中でも大幅に強化したのが手術患者へのPCR検査だ。 執刀医らへの感染を避けるため、予定している手術患者には以前から検査を行っていたものの、緊急の入院・手術患者には検査が間に合わないという問題があった。 このため、1時間程度で結果がわかり、従来の方法と同程度の検査精度が見込める「LAMP(ランプ)」法と呼ばれる検査の導入を決定。 5月中旬と6月19日に検査機器を1台ずつ設置した。 現在、手術の患者に加えて内視鏡検査や血管造影検査などの対象患者についても、全員PCR検査を行っている。 「院内感染を完全に防げるわけではないが、抑止効果はあると考えている」(小林病院長)という。 一方、小林病院長は、これまでの経験を踏まえ、新型コロナの第2波や、今後起こりうる新たな感染症に備えるためには、大学病院の診察体制の整備に取り組む必要があると訴えている。 「第1波では、コロナ疑いの患者を診察しない大学病院があった。 こうした病院は急性期の患者を診るためだと主張するが、例えば本院に急性期の患者を集約し、分院は新型コロナ患者を診るなど、いろいろな手はあるはず。 大学の研究室でPCR検査を行うこともできるし、何より、教育機関として、新たな感染症に対応できる人材を育てることができる」というのが小林病院長の考えだ。 また、感染症治療に当たる病院をパンクさせないためにも、住民の初期対応を行う地域の診療体制を整備することが不可欠と話す。 東京臨海病院には、診療所から診察を断られたという発熱患者が多く訪れ、対応に追われた経緯があるためだ。 小林病院長は「診療所には十分な感染防御態勢が取れないところもあり、やむを得ない面もある」と理解を示す一方で、「自治体などがリーダーシップを取って、診察センターのようなものを整備する必要がある」と提言した。
次の知り合いの看護師さんから見てね、と言われていたテレビ番組。 4月26日に放送されたフジテレビ系「日曜THEリアル! ~・緊急追跡!新型コロナ 未知なる敵を知るSP~」 本当は直接目で見ていただいたほうがいいので、TVerまたは再放送などで見られるようになったら、またお知らせします。 見ていない方に少しでも伝えられればと書きます。 ジョギングやはウォーキング、サイクリングに危険が潜む たとえばジョギングの際に 並走者は飛沫を浴びにくいけれど、 縦に並んで走っていると、2メートル離れていても 真後ろでは飛沫を浴びるという結果が出ている。 (スリップストリームと呼ばれ、走っている人の真後ろに気流が発生されるもの) ジョギングだと10メートル、ウォーキングだと4~5メートルの間隔が必要。 自転車の場合は20メートルは離れる必要があるという。 感染されているひとがくしゃみや咳をしたとき、小さな粒子(マイクロエアロゾルと言われるもの)が 4メートル離れたところまで届く実験などの紹介があった。 密閉された空間だとアメリカの研究だと3時間漂うという報告もあるとのこと。 その後は、東京臨海病院の密着映像 新型コロナウイルス患者を受け入れる病院は限られている 3階は集中治療室(ICU) 7階を新型コロナ病棟(ほかの病棟はつぶしている) レッドゾーンから出るときは防護服を脱ぎ、捨てなければ ならない。 防護服節約のためレッドゾーンに入ると 4時間は出られない 防護服は暑く、専用マスクも長くつけていると呼吸が苦しく、鼻と耳が引きちぎれそうに痛いと話す看護師 7階新型コロナ病棟 2週間して重症化した患者さん 専用ICU(3階)に移したい だが、 専用ICU(3階)は満床 その後、急遽大学病院のICUに空きが出たため、 重症化した患者さんを大学病院へ転送した そこで1床空いた、と思ったのもつかの間 5分後に症状が急変した新型コロナ患者さんの到着 5分の間に消毒 江戸川区内に新型コロナウイルスに対応できるICUがあるのは東京臨海病院のみ 満床が続けば、救えない命が出てくる 医療従事者の休む時間がない コロナは特効薬がない 肺の機能を血中の酸素濃度で検査 苦しそうな様子はない患者さんも、酸素の値が低くて口から人工呼吸をつけないといけないことも また、一番軽い症状のICU患者さんをコロナ病棟(7階)へ 次の重症コロナ患者さんのために、専用ICUを空けておかないといけない また別の患者さん 7階の新型コロナウイルス病棟に父、母が入る 幼い一人娘、児相は濃厚接触のため病院側が一時預かり 専用病棟の個室へ 家族感染、新たな問題が増えている 看護師長は、幼い子どもを育てる母でもある 「(自分の)子どもにうつすのかなって心配はありますけど医療従事者なのでやはりそこは仕事 自分の仕事ですからそこは責任もってやっていく 家族も理解してくれてますし 致し方ないところもあったりする。 このコロナの感染期間を 短く終わらせるために、今、とにかく外出を徹底的に控え 長くかかっても堪えられるように、家の中で工夫をして 楽しく過ごします。 そして、改めて、医療従事者の方に感謝。 本当にありがとうございます。 余談 もうなんか、息子が16歳とかになってくると、新人さんとの年が近いこともあって、新人さんの母親みたいな気持ちになっちゃって、頑張っている新人さんと気遣ってくれている看護師長さんの話に、涙が止まらなかったりします。
次の写真 消毒を終えたB病棟について説明する小林滋病院長。 防護服を着脱するスペースに置いてあったチェック用の鏡や注意点が書かれた紙は全て片付けられていた=東京都江戸川区で2020年6月12日午前11時16分、吉田卓矢撮影 緊急事態宣言が全国で解除されてから1カ月近くが経過した。 さまざまな経済活動が再開される中、新型コロナウイルス感染患者の治療に当たった病院も、通常の診療体制に戻りつつある。 4月に「治療最前線」として取材した東京都江戸川区の東京臨海病院を再訪すると、通常外来診療を再開する一方で、「第2波」への備えも進めていた。 記者の他にバスを降りたのは、高齢者ら十数人。 前回訪れた4月21日は他に1人しかいなかったことを考えると、ずいぶん増えた印象だ。 敷地に入ってまず目についたのは、右手に見える「健康医学センター」が、人間ドックや定期健診などの通常業務を再開していたこと。 前回訪問時は通常業務をやめて発熱外来になっていたが、6月1日から再開したという。 その奥にある一般外来の正面入り口も、検温を行う半円形のテントが撤去され、複数いた白い防護服姿の職員の姿も見えなくなっていた。 ただし、引き続きマスクの着用は義務づけられ、サーモグラフィーカメラの前を通ってから、非接触型体温計での検温を受ける必要がある。 入院患者への面会も引き続き禁止されている。 外見上のものものしさこそ薄れているものの、警戒体制が続いていることが見て取れた。 それは来院者も同じで、特に指示は無いものの、待合室ではみな他人と間隔を空けて座っていた。 ゾーニング消え、広く感じた新型コロナ患者専用病棟 小林滋病院長の案内で、集中治療室(ICU)のある3階に向かう。 4月の訪問時、10床ある治療室のうち5床が重症の新型コロナ患者で埋まっていた。 現在は新型コロナ患者はおらず、病室前の廊下とナースステーションを隔てていたビニールシートは撤去され、防護服姿の看護師も見えない。 小林病院長は「奥の陰圧病室2室をコロナ患者用に確保していますが、いまは誰もいません」と、透明の扉で仕切られた病室を指さした。 かつてはいたるところに貼られていたゾーニングのためのテープははがされ、陰圧室の手前に「ゾーニング中」と書かれた白い紙が張られているだけだ。 重症化していない新型コロナ患者が入院している7階にも案内してもらった。 東京臨海病院では、4〜7階にある一般病棟のうち7階を新型コロナ患者専用のフロアとし、最も多い時期でICUを含めて40人以上の患者が収容されていた。 だが5月に入って新規患者は激減し、5月終盤まで7人ほど残っていた入院患者は、6月12日時点では陽性患者1人、PCR検査の結果待ちの患者4人まで減り、その後全員が退院した。 発熱で病院の外来を訪れる人も、4月の1日約20人から、いまは5〜9人程度に減少しているという。 前回の新型コロナ専用フロア訪問時は、エレベーターホールからA〜Cの各病棟につながる廊下の先は全て鉄の扉で閉ざされていた。 だが今回閉ざされていたのはこの時患者がいたA病棟の1カ所だけ。 前回取材したB病棟は前日までに消毒などを終え、元の病棟に戻っていた。 現在、一般病棟は9床を新型コロナ患者の待機病床として確保している。 新型コロナ患者1人に2人の看護師を付けているため、前回訪問した際は忙しそうに動き回るスタッフと何人もすれ違ったが、今は半分以下になっているように見える。 息苦しさすら覚えた医師・看護師の待機場所も、ゾーニングが取り払われたことで前回よりも広く感じられた。 十分な準備で院内感染ゼロ 社会の冷たさと温かさも経験 東京臨海病院は、国からの要請でクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染患者を受け入れた2月11日以来、新型コロナ感染症患者に対応する最前線として治療に追われてきた。 患者を受け入れ始めた当初は、新型コロナで亡くなった患者の受け入れを火葬場から拒否されたり、看護師が子どもを迎えに行った際、保育所の敷地に入るのを拒まれたりするなど、差別や偏見にさらされることもあった。 だが、新聞やテレビの取材に応じ、現場の実情をありのままに伝えたことで風向きは変化し、激励や支援の申し出が急増したという。 小林病院長は、「治療は大変だったが、人の温かさに触れることができた」と振り返る。 SNS上では、「そのうち院内感染を起こすぞ」などの悪意に満ちた書き込みもあったが、これまでに院内感染は一度も発生していない。 小林病院長は、要因の一つとして、感染患者が増える前の2月7日に帰国者・接触者外来を設置したことで、市中の感染患者を実際に受け入れるまでに1カ月程度の時間があったことを挙げ、「危機感を持ちながら十分な準備と職員の安全教育の徹底ができた。 職員たちが高い意識を持って取り組んでくれた」と病院スタッフの努力に感謝の思いを語った。 不眠症状に悩む職員 経営にも大きな傷痕 最も恐れていた院内感染は防いだものの、2カ月以上にわたる新型コロナへの対応は、職員の健康や病院経営に大きな影響を及ぼした。 数週間に及ぶ隔離入院は、精神的な苦痛を患者に与えるとともに、対応する医師や看護師にも極度の緊張を強いた。 東京臨海病院では、精神科医と精神専門看護師らで構成するメンタルサポートチームが、患者と医療スタッフの心のケアに当たったが、小林病院長は「新型コロナの専門病棟にいた職員のストレスの値が格段に高かった。 患者も職員も不眠症状に悩まされた人が多かった」と明かす。 このため、専門病棟を一般病棟に戻すために消毒を行うタイミングで、忙しかった病棟の看護師から順番に1週間程度の休暇を取ってもらった。 更に、職員全員に5万円の臨時ボーナスも出したという。 病院経営への影響は甚大だった。 新型コロナの対応に医師、看護師を充てるため、25の診療科の診療ブースを、それぞれ2〜4個から1個に減らし、外来患者の受け入れを大幅に減らした。 症状が落ち着いている人は長期処方などで対応し、初診は紹介状を持った患者のみに絞った。 この結果、2、3月は、収入が約3割減り、逆に支出は1割以上増えた。 外来患者の数は現在、新型コロナ感染拡大前の水準まで回復しているが、手術が大幅に減った影響で、入院患者数はコロナ以前の65%程度に減少している。 人間ドックの受診者も数%しか戻っていない。 小林病院長は「4、5月の収支の悪化は2、3月を上回る規模になるだろう。 大幅な赤字で、正直非常に厳しい」と苦境を語る。 政府は5月に新型コロナ重症患者の診療報酬を3倍に引き上げる決定をしたが、「焼け石に水。 新型コロナに対応した病院には抜本的な支援が必要だ」と訴える。 第2波に備え検査強化 社会全体での対応強化も必要 新型コロナの感染が疑われる患者の来院は減ったが、「第2波」が来る可能性もあり、警戒は怠れない。 東京臨海病院では現在、発熱患者は救急外来で対応しており、入り口に設置したテントで検温と問診を実施後、感染疑いの患者とそれ以外の患者を振り分けている。 PCR検査の態勢も拡充している。 当初、疑いのある患者は、保健所経由で東京都に検査を依頼するしかなかったが、3月前半ごろから江戸川区が独自に保健所でPCR検査を開始し、その後に民間検査会社での検査も認められたことで、比較的スムーズに検査ができるようになった。 中でも大幅に強化したのが手術患者へのPCR検査だ。 執刀医らへの感染を避けるため、予定している手術患者には以前から検査を行っていたものの、緊急の入院・手術患者には検査が間に合わないという問題があった。 このため、1時間程度で結果がわかり、従来の方法と同程度の検査精度が見込める「LAMP(ランプ)」法と呼ばれる検査の導入を決定。 5月中旬と6月19日に検査機器を1台ずつ設置した。 現在、手術の患者に加えて内視鏡検査や血管造影検査などの対象患者についても、全員PCR検査を行っている。 「院内感染を完全に防げるわけではないが、抑止効果はあると考えている」(小林病院長)という。 一方、小林病院長は、これまでの経験を踏まえ、新型コロナの第2波や、今後起こりうる新たな感染症に備えるためには、大学病院の診察体制の整備に取り組む必要があると訴えている。 「第1波では、コロナ疑いの患者を診察しない大学病院があった。 こうした病院は急性期の患者を診るためだと主張するが、例えば本院に急性期の患者を集約し、分院は新型コロナ患者を診るなど、いろいろな手はあるはず。 大学の研究室でPCR検査を行うこともできるし、何より、教育機関として、新たな感染症に対応できる人材を育てることができる」というのが小林病院長の考えだ。 また、感染症治療に当たる病院をパンクさせないためにも、住民の初期対応を行う地域の診療体制を整備することが不可欠と話す。 東京臨海病院には、診療所から診察を断られたという発熱患者が多く訪れ、対応に追われた経緯があるためだ。 小林病院長は「診療所には十分な感染防御態勢が取れないところもあり、やむを得ない面もある」と理解を示す一方で、「自治体などがリーダーシップを取って、診察センターのようなものを整備する必要がある」と提言した。
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