イタドリ
イタドリ : 階級なし : 階級なし : : : : Fallopia : イタドリ F. japonica Fallopia japonica Ronse Decr. var. compacta Reynoutria japonica R. var. compacta R. compacta Polygonum compactum P. cuspidatum P. var. compactum P. compactum 英名 イタドリ（虎杖、 Fallopia japonica、: Japanese knotweed）とは、の。 山野や道端、土手などのいたるところで群生し、草丈は1. 5メートルほどになる。 雌雄別株で、夏から秋に細かい白花を咲かせる。 春先の若芽は食用になる。 名称 [ ] 和名 イタドリの語源は、傷薬として若葉を揉んでつけると血が止まって痛みを和らげるのに役立つことから、「痛み取り」が転訛して名付けられたというのが通説になっている。 初期の本草書『』（918年）には、イタドリの名前が記されている。 漢字（）では「虎杖」とも書き 、軽くて丈夫なイタドリの茎がに使われ、茎の虎斑模様から「虎杖（こじょう）」とよばれたことによる。 別名は、 スカンポ（酸模） 、イタンポ、ドングイ、スッポン、ゴンパチ、エッタン、ダンチ、タンジ 、スイバ 、サイタナ など、地方によりさまざまな呼び名がある。 俗にスカンポとよばれる植物は、イタドリの他にも見た目はまったく異なるが、同じタデ科のを「スカンポ」 とよぶ地域もある。 分布・生育地 [ ] 東アジア原産で、からまでの全土 、、、 に分布する。 ヨーロッパやアメリカでは本種が帰化して、強害草になっている。 日当たりの良い、、、など様々な場所で群生し、いたるところで見られる。 やや湿ったところを好むうえ、撹乱を受けた場所によく出現する先駆植物である。 短い期間に生長を遂げて大きくなり 、谷間の崖崩れ跡などはよく集まって繁茂している。 これは太く強靭で、生長の早い地下茎によるところが大きい。 , 2000 選定種の1つでもある。 イタドリは生長が早く、日本からヨーロッパに導入されて土壌侵食の防止や、家畜の餌に利用された。 19世紀には、によって観賞用としてヨーロッパへ持ち込まれてとなり、特にでは旺盛な繁殖力から在来種の植生を脅かすうえ、コンクリートやアスファルトを突き破るなどの被害が出ている。 2010年3月、イギリス政府はイタドリを駆除するため、天敵の「」を輸入することを決める。 形態・生態 [ ] 草丈は30 - 150 cm ほどになる大型の多年生で 、肥沃な土地では高さが2メートル m に達することもある。 冬期は地上部のみが枯死して地下部の地下茎や根のみが越冬する。 春、のような赤紅色の新芽が地上から直立して生える。 茎は中空で、若いときは紅紫点があり、多数ある節は赤みを帯びて 、膜質で鞘状のがあり 、その構造はややに似ている。 そのためイタドリの茎は軽くて丈夫で、短い期間でも生長が早い。 はし、は先が尖った卵形から広卵形で 、長さは6 - 15 cm 、幅は7 - 15 cm 、基部は切れたようにまっすぐな形をしている。 特に若いうちは葉に赤い斑紋が出る。 葉の裏は粉白色にならない。 花期は夏から秋（7 - 10月）ころ。 で、と枝先に白か赤みを帯びた小さなを多数つけたをだして 、枝の上側に並んでつく。 花被片は5枚のみで、がない。 雄花は形で小さく、が萼片の間から飛び出すように長く発達しており、萼片は雄花よりも雌花の方が大きい。 また、白い雄花は数日で枯れ落ちる。 雌花は、先が5裂する。 特に花の色が赤みを帯びたものは、 ベニイタドリ（メイゲツソウ）と呼ばれ、本種のとして扱われる。 雌株は、花が終わるとハート型の3稜あるができ、秋に熟する。 果実はで、を包む薄い3枚の翼は、雌花の（）3個がを包み込んで翼状に張り出したもので、風によって散布される。 痩果は3稜形、両端は尖っていて、表面がなめらかな暗褐色をしている。 そして春に芽吹いた種子はを伸ばし、各所に芽をだし 、群落を形成して一気に生長する。 一面に花が咲いていると、多くのが集まる。 秋に昆虫が集まる花の代表的なものである。 また、冬には枯れた茎の中の空洞を、の一種であるコメツガの幼虫や、の仲間が冬越しの部屋として利用しているのが見られる。 は、成虫も幼虫もイタドリの葉を食べる。 果実 利用 [ ] 山菜 [ ] 春頃の紅紫色でタケノコ状の新芽・若い茎は「スカンポ」などと称して食用になり、根際から折り取って採取して皮をむきとする。 また、やわらかい葉も食用にされている。 新芽は生でも食べられ、ぬらめきがあり珍味であると形容されている。 かつては子供が外皮をむいて酸味を楽しんだ。 この酸味はで、多少のえぐみもあり、そのまま大量摂取すると下痢をおこす原因になり、健康への悪影響も考えられ注意が必要となる。 山菜として採った新芽は、外皮を取り除いて生食するか、かるく湯通しして十分に水分を切ってから油炒めにして醤油・塩・胡椒で味付けしたり、短冊状に切って肉や魚などと一緒に煮付けにする調理法で食べられている。 また、塩漬けにして保存し、食べるときに水にさらして塩抜きして食べられている。 高知県では「イタズリ」とも称され、皮を剥ぎ、塩もみをして炒め、砂糖、醤油、酒、みりん、ごま油等で味付けし、鰹節を振りかける等の調理法で食べられている。 和歌山県では「ゴンパチ」、兵庫県南但では「だんじ」とそれぞれ称され、食用にする。 新芽を湯がいて冷水に晒し、麺つゆと一味唐辛子の出汁に半日ほど漬け、ジュンサイのようなツルツルとした食感がある。 では「さしぼ」と称され、にして味噌汁の具に使ったりする。 では「さいじんこ」、「しゃじなっぽ」、「しゃっぽん」などとも称される。 山菜として本格的に利用するときには茹でて水にさらすことでをするが、そうするとさわやかな酸味も失われてしまう。 では、や苦汁成分を含んだあら塩で揉む。 こうすると、苦汁に含まれるとが結合し、不溶性のとなる。 その結果、シュウ酸以外の有機酸は残したままシュウ酸だけを除去できる。 民間薬 [ ] 根には、のを含み、加水分解することで、などを生じる。 これら成分が、ゆるやかに下痢を起こす緩下作用、月経不順を整える通経作用、尿の出をよくする利尿作用として働く。 薬効は、緩下、利尿、通経、常習便秘、膀胱炎、膀胱結石、月経不順、産後の悪露に効用があるうえで老人や婦人にも安全とされ 、民間では、緩下薬として用いられている。 冬になる10 - 11月頃、地上部の茎葉が枯れた頃に根茎を掘り上げて採取し、水洗いして天日乾燥させたものは 虎杖根（こじょうこん）というになる。 便秘や月経不順には、虎杖根を1日量5 - 15グラムを500 - 600 の水で半量になるまで煎じ、食間3回に分けて服用するとよいとされている。 また、といっしょに煎じて、咳を鎮めるために利用された。 若葉を揉んで擦り傷などで出血した個所に当てると多少ながら作用があり、痛みを和らげるのに役立つとされる。 虎杖根を採るための栽培は、丈夫で土地を選ばないので容易であるが、切断した根からも発芽し駆除が困難なため、露地栽培はしない方がよいとの見方がされている。 なお、生薬となるコジョウコン（イタドリの根。 指定については茎も該当。 ）は厚生労働省が定める「専ら医薬品として使用される成分本質（原材料）リスト」 に収録されており、ではないでは用いれなくなっている事情が存在する（なお、若芽については「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質（原材料）リスト」 に収録されている。 イタドリの根はを比較的多く含み 、海外では廉価なレスベラトロールサプリメントの材料として用いられているが、日本ではこの事情により、イタドリの根・茎を用いた医薬品ではないレスベラトロールサプリメントは違法の扱いとなっている。 その他 [ ] 戦時中、タバコの葉が不足した時にイタドリなどを代用葉としてに混ぜた。 インドや東南アジアでは、イタドリの葉を巻いたものをの代用とする。 イタドリに寄生する は釣りのとして使われる。 変種・近縁種 [ ] イタドリには変種（亜種）が多く、高山には花が紅色のベニイタドリ（メイゲツソウ）や、斑入りの園芸種もある。 北海道などの北方には、大イタドリの一種で近縁種にあたる大型のオオイタドリがある。 オオイタドリ Reynoutria sachalinensis（ Polygonum sachalinense） イタドリに似るが、葉の裏側がやや白っぽいことで区別される。 名の通り大型で、その高さは3mに達する場合もある。 葉も倍ほど大きい。 イタドリ同様、若い茎は食用になる。 果実はイタドリよりも翼はやや狭く、全体に大きめ。 文化 [ ] 昔の子供の遊びとして、 イタドリ水車がある。 切り取った茎の両端に切り込みを入れてしばらく水に晒しておくとのように外側に反る。 中空の茎に木の枝や割り箸を入れて流水に置くと、水車のようにくるくる回る。 タデ科のイタドリやスイバは別名を「スカンボ（酸模）」と呼称し、のに「酸模の咲く頃」がある。 脚注 [ ] ウィキメディア・コモンズには、 に関連するメディアがあります。 注釈 [ ]• 茎を折るとポコッと音が鳴り、食べるとがあることから。 が編纂した『』でも、食べられる野草として紹介されている。 出典 [ ]• 2008年3月16日. 2013年12月15日時点のよりアーカイブ。 2013年12月15日閲覧。 195. 196. 196. 107. 村上志緒『日本のハーブ事典』東京堂出版、2002年。 参考文献 [ ]• 稲垣栄洋『残しておきたいふるさとの野草』、2010年4月10日、195 - 198頁。 大嶋敏昭監修『花色でひける山野草・高山植物』〈ポケット図鑑〉、2002年5月20日、44頁。 大嶋敏昭『花色でひける山野草の名前がわかる辞典』、2005年3月20日、56頁。 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著『花と葉で見わける野草』、2010年4月10日、196頁。 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『草木の種子と果実』〈ネイチャーウォッチングガイドブック〉、2012年9月28日、107頁。 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』〈ベストライフ〉、1995年2月15日、63頁。 馬場篤『薬草500種－栽培から効用まで』大貫茂（写真）、、1996年9月27日、21頁。 外部リンク [ ]• - コトバンク• - 辞書.
次の
